2005年10月22日
タイガーの予選落ち
米PGAツアーのフナイクラシックは、ハリケーン「ウィルマ」の接近に伴い、第2ラウンドの残りホールが土曜日の早朝へ持ち越されたりと、スケジュールも狂い気味。そんな中、大きな番狂わせも起こった。あのタイガー・ウッズが予選落ちの憂き目を見たのである。
タイガーの予選落ちは、今年のEDSバイロン・ネルソン選手権に続く2回目。カットラインが6アンダーという中で、タイガーは4アンダーで17番ホールを迎えた。最終2ホールをバーディ、バーディで上がらなければ予選通過できないという苦境下、17番のティショットをややひっかけてフェアウエイ左側に持っていったところで、プレーはサスペンデットになった。
そして翌朝、第2打は右方向にしか出せなかったのだが、フックもかからず、ボールはグリーン右手前の池の淵へ。寄せはピンを2メートルほどオーバーし、返しのパーパットも入らず、何やら情けないボギー。この時点で予選落ちは、ほぼ決まってしまったのだ。
最終ホールがイーグルなら‥‥そんな期待を抱いていたファンもいただろう。しかし結果は、当たり前のパー。悔しがるでもなく、落ち込むでもなく、タイガーは予選落ちした。
ところで、今週のタイガーには、ちょっと謎が多かった。フナイクラシックの会場は、タイガーの自宅があるオーランドのすぐそば。スタンフォード大学ゴルフ部時代の旧友ノタ・ビゲイを自宅に招き、一緒に滞在しながら試合会場へ来ていた。噂では、毎晩、パーティもどきの大騒ぎをしているとかいないとか。タイガーの妻エリンは、とうとうコースに姿を現さず、やっぱり夜のパーティのための準備でもしているのだろうかと、噂の信憑性は高まっていった。
おまけに、予選ラウンドはタイガーとビゲイが同組。予選通過なるかどうかの瀬戸際でさえ、タイガーはビゲイのグッドショットに笑顔で拍手を送っており、見ているこっちのほうが、タイガーは真剣なんだろうかと、ちょっぴり首をかしげたくなった。
米メディアも、やっぱり同じような疑問を抱いたのかもしれない。予選落ちしたタイガーを囲み、彼らが口にした質問は、「アンタ、本気で予選通過を狙ったの?」と言いたげ。朝、練習場にも行かず、いきなり17番ホールのセカンド地点へ行ったタイガーに、こんな質問。
記者「ウォーミングアップは家でやってきたの?」
タイガー「そう、自宅でやってきた」。
どうも信じられない。なぜって、家を出たころは、まだ7時。練習したのなら、それより前の6時台。まだ夜明け前で真っ暗だったはずだ。
記者「暗闇の中でウォーミングアップしたの?」
タイガー「そう、その通り」
どうも疑わしい--記者たちはみな、そんな顔のままだった。

2人は大学ゴルフチームのチームメイト。
PHOTO/JJ TANABE
もう1つ、「なぜ?」という疑問が残るのは、タイガーが使ったドライバーに関することだ。初日、タイガーが手にしていたのは、ナイキの新しいドライバー、「サスクワッチ」の460CC。しかも、タイガーはプロ仕様ではなく市販モデルを使っていた。そして2日目は、以前から使っていた「イグナイト」の460CCへ戻した。このチェンジは何だったのか。「新しいドライバーは、いいドライバーなんだ。でも僕の調子もスウィングも悪すぎて、新しいドライバーの性能を活かせなかった。それで、メジャー優勝したときに使っていたドライバーへ戻し、自信を取り戻そうとしたんだ」。タイガーのこのコメントを聞いて、ナイキ関係者はほっと胸を撫で下ろしていることだろう。いや、これは予選落ちしてもスポンサーに気を遣うタイガーの「余裕」だったのだろうか。

Drive for show...ドライバーは見世物!?
PHOTO/JJ TANABE
ともあれ、タイガーの予選落ちは大会にとってもギャラリーにとっても残念な出来事だった。しかし、ビジェイ・シンまでもが予選落ちしたことで、今年の賞金王争いは、ほぼタイガーで決定した。予選落ちした直後に、そのことを米メディアがタイガーに伝えたのだが、アテストテントから出てきたタイガーに向かって、予選落ちしたにも関わらず、「コングラチュレーション、タイガー!」と始める米メディアには驚いた。もちろん、「おめでとう!賞金王がキミに決まったようなものだよ」と続いたのだが、さすがのタイガーも、いきなり浴びせられた「おめでとう!」には、数秒間、戸惑いの表情。
で、最大の疑問。タイガーは予選落ちして悔しいのかどうか。賞金王のことを聞かされても、「いろんなタイトルや賞が欲しければ、僕はもっと試合に出ていたよ。僕が一番欲しいのは優勝だからね」と答えたタイガー。そう、彼にとって意味があるのは勝利だけ。だから、この予選落ちは、そりゃうれしくはないだろうけれど、予選に落ちたから悔しいというわけではないのでは?どうですかねえ、タイガー?



