2005年11月29日
最新掲載記事(週刊東洋経済)
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2005年11月26日
先日、フロリダ州セントオーガスチンにあるワールドゴルフビレッジ内で、世界ゴルフ殿堂の殿堂入り式典が行われた。今年は、日本の岡本綾子も殿堂入りを果たしたのだが、式典参加者の顔ぶれは少しばかり淋しいものがあった。かつては、過去に殿堂入りしたホール・オブ・フェーマーたちが勢揃いしたものだが、今年は式典に参加した男子ホール・オブ・フェーマーがたったの3人だけ。女子は7人いたが、それでも淋しいムードはぬぐいきれなかった。
淋しいといえば、今年、新たに殿堂入りを果たした顔ぶれも、岡本以外にはカーリー・ウエブ、アリスター・マッケンジー、ウィリー・パーク・シニア、バーナード・ダーウィンというもの。その名を聞いて、一般の人々が「ああ、あの人」とわかるのは、岡本とウエブの女性2人だけ。例年なら1人はいるはずの有名男子プロがいなかった。なぜなら、殿堂入りするはずだったビジェイ・シンが式典参加を辞退したからだ。

悩める、シン。
Photo/JJ Tanabe
シンの不参加の理由は、式典の日時近辺にアジア遠征が入っていたためだ。このアジア遠征は殿堂入りが決まる以前から決まっていたもの。殿堂入りが決まった段階で、シンは米PGAツアー側に式典の日時を変更してくれと頼んだのだが、それはできないという返答を受け、だったら式典には出られないから殿堂入りは来年まで先延ばしにしてくれという強硬な態度に出たのである。
そして、蓋を開けてみれば、今年の式典はシンのみらならず大勢の欠席者を生んでしまった。その結果、殿堂入り式典は近いうちに日時が大幅変更される可能性が出てきた。新しい日時は、おそらく3月のプレーヤーズ選手権の週。TPCソーグラスにトッププロたちが集結するこの週なら、殿堂入りが決まった選手も関係者も過去のホール・オブ・フェーマーたちも、式典に参加できるだろうという考え方だ。この変更は、まさにシンの殿堂入り辞退に端を発するもの。トッププロの影響力はすごいと痛感させられる。

殿堂入り式典
Photo/JJ Tanabe
トッププロの影響力と言えば、今年のツアー選手権で発表された07年からのツアースケジュール大幅変更プランも、トッププロたちの発言に端を発している。「シーズンが長すぎる」「散漫すぎる」とは、タイガー・ウッズやビジェイ・シン・フィル・ミケルソンらがこれまで何度も口にしてきた言葉。1試合で大金を効率よく稼ぐ彼らは、1シーズンがダラダラと1年中続くより、ある期間内に集中的に試合に出て、あとはオフを取るなり、海外に出るなりしたいというのが本音なのである。だからこそ彼らは、現状では11月まで続くシーズンを9月ぐらいで終わりにしてほしいと言い続けてきた。そして、発表された新スケジュールは、まさに彼らの希望通りのもの。こうしてみると、ほんの少数のトッププロたちの意見や好みが、ツアー全体、ひいてはゴルフ界全体を動かしているのだとわかる。
それにしても、米PGAツアーは、ちょっぴり情けない。スタープレーヤーたちの存在がTVの放映権収入やギャラリーの入場料収入の牽引力になっているのは確かだが、「あの人がこう言ったから変えよう」という態度を続けざまに見せ付けられると、「それじゃあ、あの人が何を言っても従うんですか?」と切り返したくなる。米PGAツアーにもビジネス上の都合ってものがあるのはわかるけれど、世界一のプロゴルフツアーなのだから、もう少し、その権威を保ってほしいと感じてやまない。
舩越園子
2005年11月22日
英国ゴルフの総本山R&Aが、先日、風変わりな発表をした。この話は、すでにライブドアのサイトに連載している私のコラムでもお伝えしたのだが、もう1度、簡単におさらいすると、こういうことだ。
男子ゴルフの4大メジャーの中で、出場資格に男女の別を明記していたのは、実を言うと、全英オープンだけだった。それ以外の3つ、つまりアメリカで開催されるマスターズ、全米オープン、全米プロは、性別による出場資格の規制を明文化してはいなかった。だからと言って、これまで女性が出場していたかといえば、もちろん出場していない。ベーブ・ザハリアスが男子の試合に挑戦した大昔はさておき、近年では、女性ゴルファーが男子プロの試合に出るなんてことは、誰も考えもしなかったからだ。
しかし、最近になって事情が変わってきた。米LPGAの女王アニカ・ソレンスタムが米PGAツアーに推薦出場したかと思えば、女性クラブプロのスージー・ウエイリーが自力で出場資格を獲得。さらには、ミッシェル・ウィーの登場で、ティーンエイジャーの女子アマチュアが男子プロの試合に出るという前代未聞の珍現象が起こった。そんな昨今をかんがみ、男女の別を出場資格に加えるかどうかが現実的な問題へ発展。伝統と格式を重んじるR&Aさえもが、「性別の壁」を意識し始めたのである。
さて、R&Aが下した決定は、「女子のメジャーで5位タイ以内に入った選手は、男子の全英オープン地区(1次)予選に挑戦できる」というもの。もっとも、この予選を通過したとしても、さらに地方(2次)予選もクリアしなければ、本戦の全英オープンには出られないわけで、本当に女性が出場できる確率はかなり低い。
しかし、確率の高低はさておき、今回のR&Aの決定に猛反対しているのは、99年にカーヌスティで開催された全英オープンで劇的な敗北を喫したフランス人のジャン・バンデベルデだ。「僕はSEXISTじゃないけど、R&Aはもっと他のことにフォーカスすべきじゃないのか?長尺パターのチェックとか、そういう問題がいろいろあるだろう?」と激怒するバンデベルデは、抗議の意味を込めて、来年の全英女子オープンに出ると言い放っている。

近年、全英オープンにラウンドレポーターとして登場したこともあった、バンデベルデ。

同じフランス人のトーマス・レベ。02年オープンでは2位。極端に陽気な性格。バッグに日本で「トーマス・レベ」。奇抜な発想は、フランス人の国民性?
Photo/JJ Tanabe
女子が男子の世界に挑戦するのは、肉体的な差を乗り越え、性別の壁を乗り越えるという意義があるのだが、肉体的にまさる男子が女子の世界に挑戦したら、有利になるのは当然だ。だが、逆に、女子より俄然、飛距離が出る男子選手なのだから、優勝しなきゃ格好悪いなんて見方もされるわけで、それはそれでプレッシャーがかかるかもしれない。
ともあれ、オヤジ化した女性が増え、女性化した軟弱男性が増えつつあると囁かれる今日、プロゴルフの世界で性別の壁が崩れかかっているのは確かだ。この「壁」、崩れないよう維持したほうがいいのか、それとも崩してしまったほうがいいのか。思わず傾げた首が、今は元に戻らない状態だ。
舩越園子
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2005年11月19日
今、日本ではダンロップフェニックスを開催中。タイガー・ウッズ、デビッド・デュバル、ジム・シューリックなどの米ツアー選手が出場し、盛り上がりを見せているようだ。ギャラリーも結構、集まっていると聞いているのだが、もっと大勢のギャラリーに来てもらい、より一層楽しんでもらうためには、どうしたらよいか‥‥と考えていて、ふと思い出したことがある。
今年の米ツアー終盤戦、クライスラー選手権会場で珍しいシーンが見られたのだ。17番パー3のグリーン奥。ギャラリースタンドにレオタード姿の女性たちが登場。まるで、野球場のスタンドか何かのように、彼女たちがビールを売っていた。


こんなギャラリースタンドがあったら、おもわず会場に行きたくならないですか?
Photo/JJ TANABE
彼女たちは、アメリカの大手レストランチェーン「フーターズ」から派遣された売り子さん。フーターズは、ミニツアーとしては比較的大規模な「フーターズツアー」を主催するなどゴルフビジネスにも積極的で、この大会では、17番ホール近くにフーターズテントを出展。さらには、17番グリーン奥にフーターズスタンドを設置。そして、テントで用意したビールを売り子の彼女たちがスタンドまで運び、ギャラリーに販売していたというわけだ。
なぜ、レオタード姿なのか?このコスチュームは、全米各地にあるフーターズレストランでウエイトレスが着るユニフォームなのだ。色っぽいウエイトレスたちの姿を見たくてフーターズレストランへ行くアメリカ人男性は実はかなり多く、このコスチュームは、いわばフーターズのトレードマーク。それゆえ、たとえゴルフトーナメントの会場であろうとどこだろうと、「フーターズ=色っぽいコスチューム」の図式は崩せないし、崩さないということなのだろう。
ゴルフトーナメントの会場でビールを販売すると聞くと、すぐに思い浮かぶのは、米ツアーで最大ギャラリー数を誇るFBRオープン(旧フェニックスオープン)だ。会場でビールを飲みまくり、悪酔いしたギャラリーたちが、あまりにも大声で騒ぎすぎるということで、近年はアルコール販売を禁止したという経緯があるが、このクライスラー選手権でビールを飲んでいたギャラリーたちは、きわめてグッドマナーで、静かにビールを飲み、おとなしく観戦していた。
だが、彼らはレオタード姿のきれいなオネエさんに声をかけ、ビールを手渡してもらい、そのビールを飲みながら、何を考えていたのだろうかと思うと、少しばかり怖くなる。おとなしかったのは、もしかするとレオタードのオネエさんたちを黙ってじろじろ見つめていたからではないのだろうか。だとすれば、フロリダ州タンパの男性たちは、むっつりスケベ。酔っ払って選手たちのミスショットにギャーギャーと野次を飛ばすアリゾナ州フェニックスの男性たちのほうが、むしろ純粋なゴルフ好き‥‥なのかもしれない。
まあ、そんなことは、どっちでもよいのだが、ゴルフトーナメントの会場でレオタード姿の美人女性たちがビールを販売するなどという、およそゴルフに似つかわしくないサービスが、ゴルフトーナメントを盛り上げる一助となっているのだから、日本でも導入してみてはいかがだろうか。格式高いイギリスやスコットランドでは、もしかしたら許可が下りない話かもしれないけれど、最近はずいぶん考え方が柔軟になってきた日本であれば、「オッ、面白そうじゃん!」と言って、レオタード女性を派遣する会社が出現してもおかしくない。毎週毎週、違うコスチュームの女性がビールを売り、たとえばダンロップフェニックス恒例「○○姿のビール売り」のようなものが大会の密かなトレードマークになれば、それはそれで、集客力はアップするはず‥‥とは思いませんか?
舩越園子
2005年11月18日
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http://sports.livedoor.com/magazine/list?magazine_id=25
2005年11月16日
米ツアーの04年シーズンが終わった。1年が経つスピードが年々早まって感じられるのは年のせいだと誰かが言っていたが、この私もそう感じているのは、やっぱり年のせいなのだろうか。
それはそうと、今年、米ツアーに参戦していた日本人選手は3人。その3人が3人とも、パットに苦しんだのは不思議な偶然だった。そして、パットに苦しみ始めた途端に3人の成績が落ちていく様子を見るにつけ、ゴルフはまさに「パット・イズ・マネー」だなあと思わずにはいられなかった。
その中で、丸山茂樹は、終盤に自分なりの糸口を見い出し、成績アップ。田中秀道は、パターを何本も何本も替えながら、やはり最後の最後に追い上げを見せ、まず無理だろうと思われていた来季のシードを見事に獲得。今田竜二は、全米オープン後の腰痛による欠場が響き、そこへ来てパットの不調が輪をかけたのだが、なんとかシードを獲得し、やれやれ。パットに泣き続けた3人が、全員、来季も姿を見せてくれることになり、本当に良かった。
さて、パットが不調になると、選手たちはいろんな試行錯誤を繰り返す。パターを変えたり、グリップ方法を変えたり、構えを変えたり、ストロークを変えたり。試行錯誤を繰り返すあまり、自分なりのスタイルを見失い、完全に狂ってしまうという最悪のパターンも、ままある。
だが、自分に最適な独自のスタイルをしっかり固めている選手は、あまりパットの不調に陥らないように思える。その代表例は、クリス・ディマルコのゲーターグリップ。彼は、かつてイップスに苦しんだのだが、その解決策としてゲーターグリップを採用し、今ではパットの名手と呼ばれるようになった。
そして、ディマルコに負けず劣らぬユニークなパッティングスタイルを誇っているのは、ノタ・ビゲイだ。彼は、フックラインは得意だが、スライスラインは大嫌い。それゆえ、どんな場合もフックラインで打つという究極のスタイルを見い出した。それは、スライスラインのとき、左打ちに変えるという荒療治。ビゲイは右利きなのだが、左打ちで構えれば、スライスラインはフックラインへ早代わり。だが、ゴルフバッグの中にパターを2本入れるわけにもいかない。それゆえ彼は、右打ちでも左打ちでもできるよう、両面パターを使っているのだ。

Photo/JJ TANABE
とはいえ、世の中に両面パターなんてものは、さほど沢山は存在しない。ビゲイは、ブルズアイの特注の両面パターを使っていたのだが、今年の終盤戦では見慣れない両面パターを手にしていた。「ちょっと見せて」と頼み、手に取ってみると、なんと、それは「RENEGADE」なるマレット型の両面パター。「こんなの初めて見た!」と言うと、「これなら、ガンガン入るよ」とビゲイ。

Photo/JJ Tanabe
ここまで「我がスタイル」が確立されていれば、滅多なことでは揺るがないだろうと思えてくる。パットに限らず、ゴルフに限らず、「我がスタイル」は強い。他人と異なろうとも、奇妙と呼ばれようとも、「我がスタイル」に自信を持つべきだと、つくづく思った。
舩越園子
米ツアーの04年シーズンが終わった。1年が経つスピードが年々早まって感じられるのは年のせいだと誰かが言っていたが、この私もそう感じているのは、やっぱり年のせいなのだろうか。
それはそうと、今年、米ツアーに参戦していた日本人選手は3人。その3人が3人とも、パットに苦しんだのは不思議な偶然だった。そして、パットに苦しみ始めた途端に3人の成績が落ちていく様子を見るにつけ、ゴルフはまさに「パット・イズ・マネー」だなあと思わずにはいられなかった。
その中で、丸山茂樹は、終盤に自分なりの糸口を見い出し、成績アップ。田中秀道は、パターを何本も何本も替えながら、やはり最後の最後に追い上げを見せ、まず無理だろうと思われていた来季のシードを見事に獲得。今田竜二は、全米オープン後の腰痛による欠場が響き、そこへ来てパットの不調が輪をかけたのだが、なんとかシードを獲得し、やれやれ。パットに泣き続けた3人が、全員、来季も姿を見せてくれることになり、本当に良かった。
さて、パットが不調になると、選手たちはいろんな試行錯誤を繰り返す。パターを変えたり、グリップ方法を変えたり、構えを変えたり、ストロークを変えたり。試行錯誤を繰り返すあまり、自分なりのスタイルを見失い、完全に狂ってしまうという最悪のパターンも、ままある。
だが、自分に最適な独自のスタイルをしっかり固めている選手は、あまりパットの不調に陥らないように思える。その代表例は、クリス・ディマルコのゲーターグリップ。彼は、かつてイップスに苦しんだのだが、その解決策としてゲーターグリップを採用し、今ではパットの名手と呼ばれるようになった。
そして、ディマルコに負けず劣らぬユニークなパッティングスタイルを誇っているのは、ノタ・ビゲイだ。彼は、フックラインは得意だが、スライスラインは大嫌い。それゆえ、どんな場合もフックラインで打つという究極のスタイルを見い出した。それは、スライスラインのとき、左打ちに変えるという荒療治。ビゲイは右利きなのだが、左打ちで構えれば、スライスラインはフックラインへ早代わり。だが、ゴルフバッグの中にパターを2本入れるわけにもいかない。それゆえ彼は、右打ちでも左打ちでもできるよう、両面パターを使っているのだ。

Photo/JJ TANABE
とはいえ、世の中に両面パターなんてものは、さほど沢山は存在しない。ビゲイは、ブルズアイの特注の両面パターを使っていたのだが、今年の終盤戦では見慣れない両面パターを手にしていた。「ちょっと見せて」と頼み、手に取ってみると、なんと、それは「RENEGADE」なるマレット型の両面パター。「こんなの初めて見た!」と言うと、「これなら、ガンガン入るよ」とビゲイ。

Photo/JJ Tanabe
ここまで「我がスタイル」が確立されていれば、滅多なことでは揺るがないだろうと思えてくる。パットに限らず、ゴルフに限らず、「我がスタイル」は強い。他人と異なろうとも、奇妙と呼ばれようとも、「我がスタイル」に自信を持つべきだと、つくづく思った。
舩越園子
米ツアーの04年シーズンが終わった。1年が経つスピードが年々早まって感じられるのは年のせいだと誰かが言っていたが、この私もそう感じているのは、やっぱり年のせいなのだろうか。
それはそうと、今年、米ツアーに参戦していた日本人選手は3人。その3人が3人とも、パットに苦しんだのは不思議な偶然だった。そして、パットに苦しみ始めた途端に3人の成績が落ちていく様子を見るにつけ、ゴルフはまさに「パット・イズ・マネー」だなあと思わずにはいられなかった。
その中で、丸山茂樹は、終盤に自分なりの糸口を見い出し、成績アップ。田中秀道は、パターを何本も何本も替えながら、やはり最後の最後に追い上げを見せ、まず無理だろうと思われていた来季のシードを見事に獲得。今田竜二は、全米オープン後の腰痛による欠場が響き、そこへ来てパットの不調が輪をかけたのだが、なんとかシードを獲得し、やれやれ。パットに泣き続けた3人が、全員、来季も姿を見せてくれることになり、本当に良かった。
さて、パットが不調になると、選手たちはいろんな試行錯誤を繰り返す。パターを変えたり、グリップ方法を変えたり、構えを変えたり、ストロークを変えたり。試行錯誤を繰り返すあまり、自分なりのスタイルを見失い、完全に狂ってしまうという最悪のパターンも、ままある。
だが、自分に最適な独自のスタイルをしっかり固めている選手は、あまりパットの不調に陥らないように思える。その代表例は、クリス・ディマルコのゲーターグリップ。彼は、かつてイップスに苦しんだのだが、その解決策としてゲーターグリップを採用し、今ではパットの名手と呼ばれるようになった。
そして、ディマルコに負けず劣らぬユニークなパッティングスタイルを誇っているのは、ノタ・ビゲイだ。彼は、フックラインは得意だが、スライスラインは大嫌い。それゆえ、どんな場合もフックラインで打つという究極のスタイルを見い出した。それは、スライスラインのとき、左打ちに変えるという荒療治。ビゲイは右利きなのだが、左打ちで構えれば、スライスラインはフックラインへ早代わり。だが、ゴルフバッグの中にパターを2本入れるわけにもいかない。それゆえ彼は、右打ちでも左打ちでもできるよう、両面パターを使っているのだ。

Photo/JJ TANABE
とはいえ、世の中に両面パターなんてものは、さほど沢山は存在しない。ビゲイは、ブルズアイの特注の両面パターを使っていたのだが、今年の終盤戦では見慣れない両面パターを手にしていた。「ちょっと見せて」と頼み、手に取ってみると、なんと、それは「RENEGADE」なるマレット型の両面パター。「こんなの初めて見た!」と言うと、「これなら、ガンガン入るよ」とビゲイ。

Photo/JJ Tanabe
ここまで「我がスタイル」が確立されていれば、滅多なことでは揺るがないだろうと思えてくる。パットに限らず、ゴルフに限らず、「我がスタイル」は強い。他人と異なろうとも、奇妙と呼ばれようとも、「我がスタイル」に自信を持つべきだと、つくづく思った。
舩越園子
2005年11月11日
米ツアー最終戦、ツアー選手権の開催期間中のこと。ホテルのランドリールームで洗濯をしていたら、背の高い白人男性がフラッと入ってきた。黒いTシャツ、黒地に白いラインが入ったトレーニングパンツ姿。場所がランドリールームだから、当然、この男性も洗濯しに来たのだろうが、4台しかない洗濯機はすべて使用中。気の毒だが、あと1時間ぐらいは待つしかないなあ、この人は‥‥などと思いながら、男性の顔を見上げて、びっくり。それは、タイガー・ウッズのキャディ、スティーブ・ウイリアムスだった。
スティーブがタイガーのバッグを担ぐのは久しぶりのこと。妻の初産に立ち会うため、母国のニュージーランドに帰っていたスティーブは、プレジデンツカップの週から休暇を取り、このツアー選手権でやっと復帰したのだ。
いや、スティーブのスケジュールの話は、この際、どうでもいい。プロゴルファー、プロキャディ、そして私たちメディアは、ひとたび転戦に出ると、たいていの場合、その地に1週間は滞在するわけだし、翌週も試合会場へ行くことになれば、ホテル滞在は2週間になる。その間に着る洋服やら下着やら靴下やら、すべてを1~2週間分、持っていくわけにはいかないから、滞在中の洗濯はどうしたって必要になる。
キャディの多くは、1週間の宿泊代が割安になるウィークリーホテルに泊まることが多い。私たちメディアも、結構、そうしたホテルを利用する。それゆえ、ホテルでキャディに出くわすこと事態は、別段、珍しいことではないのだが、相手がスティーブとなれば、話は別。なんせ、賞金王タイガーのキャディである。キャディとして受け取る報酬は、キャディの中で断トツトップ。賞金ランクで下位のプロゴルファーより、スティーブのほうがよっぽどリッチなわけで、そんな彼が割安のウィークリーホテルに泊まっているのは驚きだった。
「スティーブ、ここに泊まっているの?」「YES.どうして?」「だって、リッチなあなたは、ハイアットとかマリオットとか、そういうホテルにしか泊まらないのかと思っていたから」「オー、ノー!そんなことないよ。だって、洗濯も簡単にできるし、こういうホテルのほうが快適さ」
確かに、ハイアットやマリオットといった高級ホテルは、自分で洗濯ができるランドリールームは備えていないことが多く、すべてはドライクリーニングのサービスに出すことになる。洗いたいものを洗いたいときに洗えて、2時間もあれば乾燥もできて、翌日すぐに着られることを思えば、かえってランドリールームのあるウィークリーホテルなんかのほうが便利と言えば便利。スティーブはリッチマンではあるけれど、なかなかの合理主義者のようだ。

趣味はカーレース。今年は事故で手を負傷し、包帯を巻いてキャディをしたこともあった。
Photo/ JJ TANABE
ところで、タイガーがプロデビューしたころからバッグを担いでいた前任者は、マイク・フラフ・コーワン。あの白いヒゲのサンタクロースのようなキャディである。現在はジム・フューリックのキャディを務めているが、あのフラフも、センセーショナルなデビューをしたタイガーから大金を受け取りながら、前述のウィークリーホテルよりさらに格安なモーテルに泊まることを好んでいた。おまけに、レンタカーを借りず、ギャラリー用のシャトルバスに乗ってコースへ通うこともあった。

タイガーのキャディ時代、ギャラリーからサインを求められることも多かった、大人気キャディ。
Photo/JJ TANABE
スティーブもフラフも、だからと言ってケチケチしているわけではない。高額賞金を稼ぎ、脚光を浴びているのはあくまで選手であって、その選手のキャディをしている自分は、あくまでもキャディという縁の下の存在。だから、そんな自分が選手と同じような高級ホテルに泊まる道理はない--というのが、彼らの考え方なのだ。さすがは、大物キャディ!ランドリールームなどという妙な場所でスティーブと言葉を交わしながら、そんなことを思っていた。
米ツアー最終戦、ツアー選手権の開催期間中のこと。ホテルのランドリールームで洗濯をしていたら、背の高い白人男性がフラッと入ってきた。黒いTシャツ、黒地に白いラインが入ったトレーニングパンツ姿。場所がランドリールームだから、当然、この男性も洗濯しに来たのだろうが、4台しかない洗濯機はすべて使用中。気の毒だが、あと1時間ぐらいは待つしかないなあ、この人は‥‥などと思いながら、男性の顔を見上げて、びっくり。それは、タイガー・ウッズのキャディ、スティーブ・ウイリアムスだった。
スティーブがタイガーのバッグを担ぐのは久しぶりのこと。妻の初産に立ち会うため、母国のニュージーランドに帰っていたスティーブは、プレジデンツカップの週から休暇を取り、このツアー選手権でやっと復帰したのだ。
いや、スティーブのスケジュールの話は、この際、どうでもいい。プロゴルファー、プロキャディ、そして私たちメディアは、ひとたび転戦に出ると、たいていの場合、その地に1週間は滞在するわけだし、翌週も試合会場へ行くことになれば、ホテル滞在は2週間になる。その間に着る洋服やら下着やら靴下やら、すべてを1~2週間分、持っていくわけにはいかないから、滞在中の洗濯はどうしたって必要になる。
キャディの多くは、1週間の宿泊代が割安になるウィークリーホテルに泊まることが多い。私たちメディアも、結構、そうしたホテルを利用する。それゆえ、ホテルでキャディに出くわすこと事態は、別段、珍しいことではないのだが、相手がスティーブとなれば、話は別。なんせ、賞金王タイガーのキャディである。キャディとして受け取る報酬は、キャディの中で断トツトップ。賞金ランクで下位のプロゴルファーより、スティーブのほうがよっぽどリッチなわけで、そんな彼が割安のウィークリーホテルに泊まっているのは驚きだった。
「スティーブ、ここに泊まっているの?」「YES.どうして?」「だって、リッチなあなたは、ハイアットとかマリオットとか、そういうホテルにしか泊まらないのかと思っていたから」「オー、ノー!そんなことないよ。だって、洗濯も簡単にできるし、こういうホテルのほうが快適さ」
確かに、ハイアットやマリオットといった高級ホテルは、自分で洗濯ができるランドリールームは備えていないことが多く、すべてはドライクリーニングのサービスに出すことになる。洗いたいものを洗いたいときに洗えて、2時間もあれば乾燥もできて、翌日すぐに着られることを思えば、かえってランドリールームのあるウィークリーホテルなんかのほうが便利と言えば便利。スティーブはリッチマンではあるけれど、なかなかの合理主義者のようだ。

趣味はカーレース。今年は事故で手を負傷し、包帯を巻いてキャディをしたこともあった。
Photo/ JJ TANABE
ところで、タイガーがプロデビューしたころからバッグを担いでいた前任者は、マイク・フラフ・コーワン。あの白いヒゲのサンタクロースのようなキャディである。現在はジム・フューリックのキャディを務めているが、あのフラフも、センセーショナルなデビューをしたタイガーから大金を受け取りながら、前述のウィークリーホテルよりさらに格安なモーテルに泊まることを好んでいた。おまけに、レンタカーを借りず、ギャラリー用のシャトルバスに乗ってコースへ通うこともあった。

タイガーのキャディ時代、ギャラリーからサインを求められることも多かった、大人気キャディ。
Photo/JJ TANABE
スティーブもフラフも、だからと言ってケチケチしているわけではない。高額賞金を稼ぎ、脚光を浴びているのはあくまで選手であって、その選手のキャディをしている自分は、あくまでもキャディという縁の下の存在。だから、そんな自分が選手と同じような高級ホテルに泊まる道理はない--というのが、彼らの考え方なのだ。さすがは、大物キャディ!ランドリールームなどという妙な場所でスティーブと言葉を交わしながら、そんなことを思っていた。
米ツアー最終戦、ツアー選手権の開催期間中のこと。ホテルのランドリールームで洗濯をしていたら、背の高い白人男性がフラッと入ってきた。黒いTシャツ、黒地に白いラインが入ったトレーニングパンツ姿。場所がランドリールームだから、当然、この男性も洗濯しに来たのだろうが、4台しかない洗濯機はすべて使用中。気の毒だが、あと1時間ぐらいは待つしかないなあ、この人は‥‥などと思いながら、男性の顔を見上げて、びっくり。それは、タイガー・ウッズのキャディ、スティーブ・ウイリアムスだった。
スティーブがタイガーのバッグを担ぐのは久しぶりのこと。妻の初産に立ち会うため、母国のニュージーランドに帰っていたスティーブは、プレジデンツカップの週から休暇を取り、このツアー選手権でやっと復帰したのだ。
いや、スティーブのスケジュールの話は、この際、どうでもいい。プロゴルファー、プロキャディ、そして私たちメディアは、ひとたび転戦に出ると、たいていの場合、その地に1週間は滞在するわけだし、翌週も試合会場へ行くことになれば、ホテル滞在は2週間になる。その間に着る洋服やら下着やら靴下やら、すべてを1~2週間分、持っていくわけにはいかないから、滞在中の洗濯はどうしたって必要になる。
キャディの多くは、1週間の宿泊代が割安になるウィークリーホテルに泊まることが多い。私たちメディアも、結構、そうしたホテルを利用する。それゆえ、ホテルでキャディに出くわすこと事態は、別段、珍しいことではないのだが、相手がスティーブとなれば、話は別。なんせ、賞金王タイガーのキャディである。キャディとして受け取る報酬は、キャディの中で断トツトップ。賞金ランクで下位のプロゴルファーより、スティーブのほうがよっぽどリッチなわけで、そんな彼が割安のウィークリーホテルに泊まっているのは驚きだった。
「スティーブ、ここに泊まっているの?」「YES.どうして?」「だって、リッチなあなたは、ハイアットとかマリオットとか、そういうホテルにしか泊まらないのかと思っていたから」「オー、ノー!そんなことないよ。だって、洗濯も簡単にできるし、こういうホテルのほうが快適さ」
確かに、ハイアットやマリオットといった高級ホテルは、自分で洗濯ができるランドリールームは備えていないことが多く、すべてはドライクリーニングのサービスに出すことになる。洗いたいものを洗いたいときに洗えて、2時間もあれば乾燥もできて、翌日すぐに着られることを思えば、かえってランドリールームのあるウィークリーホテルなんかのほうが便利と言えば便利。スティーブはリッチマンではあるけれど、なかなかの合理主義者のようだ。

趣味はカーレース。今年は事故で手を負傷し、包帯を巻いてキャディをしたこともあった。
Photo/ JJ TANABE
ところで、タイガーがプロデビューしたころからバッグを担いでいた前任者は、マイク・フラフ・コーワン。あの白いヒゲのサンタクロースのようなキャディである。現在はジム・フューリックのキャディを務めているが、あのフラフも、センセーショナルなデビューをしたタイガーから大金を受け取りながら、前述のウィークリーホテルよりさらに格安なモーテルに泊まることを好んでいた。おまけに、レンタカーを借りず、ギャラリー用のシャトルバスに乗ってコースへ通うこともあった。

タイガーのキャディ時代、ギャラリーからサインを求められることも多かった、大人気キャディ。
Photo/JJ TANABE
スティーブもフラフも、だからと言ってケチケチしているわけではない。高額賞金を稼ぎ、脚光を浴びているのはあくまで選手であって、その選手のキャディをしている自分は、あくまでもキャディという縁の下の存在。だから、そんな自分が選手と同じような高級ホテルに泊まる道理はない--というのが、彼らの考え方なのだ。さすがは、大物キャディ!ランドリールームなどという妙な場所でスティーブと言葉を交わしながら、そんなことを思っていた。
2005年11月09日
舩越園子の最新掲載記事(ライブドア第9回)は
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http://sports.livedoor.com/magazine/detail?sid=203
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米ツアー最終戦、ツアー選手権はバート・ブライアントの圧勝で幕を閉じた。と言うより、幕開けからずっとブライアント首位のまま終わったと言ったほうが正確である。
バート・ブライアントって誰?と思う人も多いと思う。今年のメモリアルでも勝利し、ツアー選手権で2つ目のビッグタイトルを手に入れたブライアントの栄光への道程には、もちろん隠された秘話があり、それはそれで涙のドラマなのだが、一般的な見方をすれば、タイガー・ウッズやビジェイ・シンといったスターたちの熾烈な争いが見られなかった今年の大会は、やや盛り上がりに欠けたという感は否めない。
そんな中で、どうしても気になるのは、タイガーのコメントだ。ブライアントに追いつくことができず、6打差で2位になった直後のインタビュー。すでに確定していた今年の賞金王タイトルの意義を尋ねられたタイガーは、「僕は賞金王には、はっきり言ってあんまり興味がない」と、ピシャリ。
そりゃ、メジャー通算10勝を挙げ、今年だけでもメジャー2勝、目指すは年間グランドスラムのみのタイガーなわけだから、そう言いたくなる気持ちもわからなくはないのだが、せめて「賞金王タイトルを3年ぶりにビジェイから奪い戻したのは、うれしい」ぐらいのことを言ってほしかった。
米ツアー選手の大半は、賞金王タイトルを1度でいいから手に入れたいと思いながら、手に入れられずに終わる。弱肉強食の世界で、情けは無用と言われればそれまでだが、「そんなもん、どうでもいい」というニュアンスが出過ぎると、少しばかり、「てやんでえ~」という気持ちも芽生えてしまう。そこまで言い放つなら、賞金王なんて夢にも見たことがないであろうブライアントに追いつき、追い抜き、大逆転優勝でもしたあかつきに言ってほしかった。
そういえば、ビジェイ・シンにも、ビッグタイトルを軽視しているとしか思えない言動があった。今年、世界ゴルフ殿堂入りが決まったシン。しかし、前々から決めていた「アジアへのビジネストリップ」と殿堂入り式典の日程が重なったそうで、シンは式典の日程変更を要求。「それはできない」と言われると、「ならば、アジアへのビジネストリップを優先するから、殿堂入りは来年まで延長してくれ」。

“ビッグ2”とも呼ぶべき2人。コースではもっと火花を散らして欲しかった。
Photo/JJ Tanabe
全ゴルファーの夢のまた夢である世界ゴルフ殿堂入り。その栄誉を、ちょっとした約束を先延ばしするかのごとく、「また今度ね」なんて言い放つシン。これはやっぱり、シンの驕り高ぶりだ。
折りしも、米ツアーの07年スケジュールの大幅変更が発表され、その変更の大半はタイガーとシンの意見を参考にして作成されたと噂される昨今。2人の言動が及ぼす影響力の大きさ、重みは、本人たちが思っている以上に大きく重い。手にするドル札の重みは実感しているだろうけど、もっと大切な重みを、もう1度、考えてほしいと思えてならない。
舩越園子
米ツアー最終戦、ツアー選手権はバート・ブライアントの圧勝で幕を閉じた。と言うより、幕開けからずっとブライアント首位のまま終わったと言ったほうが正確である。
バート・ブライアントって誰?と思う人も多いと思う。今年のメモリアルでも勝利し、ツアー選手権で2つ目のビッグタイトルを手に入れたブライアントの栄光への道程には、もちろん隠された秘話があり、それはそれで涙のドラマなのだが、一般的な見方をすれば、タイガー・ウッズやビジェイ・シンといったスターたちの熾烈な争いが見られなかった今年の大会は、やや盛り上がりに欠けたという感は否めない。
そんな中で、どうしても気になるのは、タイガーのコメントだ。ブライアントに追いつくことができず、6打差で2位になった直後のインタビュー。すでに確定していた今年の賞金王タイトルの意義を尋ねられたタイガーは、「僕は賞金王には、はっきり言ってあんまり興味がない」と、ピシャリ。
そりゃ、メジャー通算10勝を挙げ、今年だけでもメジャー2勝、目指すは年間グランドスラムのみのタイガーなわけだから、そう言いたくなる気持ちもわからなくはないのだが、せめて「賞金王タイトルを3年ぶりにビジェイから奪い戻したのは、うれしい」ぐらいのことを言ってほしかった。
米ツアー選手の大半は、賞金王タイトルを1度でいいから手に入れたいと思いながら、手に入れられずに終わる。弱肉強食の世界で、情けは無用と言われればそれまでだが、「そんなもん、どうでもいい」というニュアンスが出過ぎると、少しばかり、「てやんでえ~」という気持ちも芽生えてしまう。そこまで言い放つなら、賞金王なんて夢にも見たことがないであろうブライアントに追いつき、追い抜き、大逆転優勝でもしたあかつきに言ってほしかった。
そういえば、ビジェイ・シンにも、ビッグタイトルを軽視しているとしか思えない言動があった。今年、世界ゴルフ殿堂入りが決まったシン。しかし、前々から決めていた「アジアへのビジネストリップ」と殿堂入り式典の日程が重なったそうで、シンは式典の日程変更を要求。「それはできない」と言われると、「ならば、アジアへのビジネストリップを優先するから、殿堂入りは来年まで延長してくれ」。

“ビッグ2”とも呼ぶべき2人。コースではもっと火花を散らして欲しかった。
Photo/JJ Tanabe
全ゴルファーの夢のまた夢である世界ゴルフ殿堂入り。その栄誉を、ちょっとした約束を先延ばしするかのごとく、「また今度ね」なんて言い放つシン。これはやっぱり、シンの驕り高ぶりだ。
折りしも、米ツアーの07年スケジュールの大幅変更が発表され、その変更の大半はタイガーとシンの意見を参考にして作成されたと噂される昨今。2人の言動が及ぼす影響力の大きさ、重みは、本人たちが思っている以上に大きく重い。手にするドル札の重みは実感しているだろうけど、もっと大切な重みを、もう1度、考えてほしいと思えてならない。
舩越園子
米ツアー最終戦、ツアー選手権はバート・ブライアントの圧勝で幕を閉じた。と言うより、幕開けからずっとブライアント首位のまま終わったと言ったほうが正確である。
バート・ブライアントって誰?と思う人も多いと思う。今年のメモリアルでも勝利し、ツアー選手権で2つ目のビッグタイトルを手に入れたブライアントの栄光への道程には、もちろん隠された秘話があり、それはそれで涙のドラマなのだが、一般的な見方をすれば、タイガー・ウッズやビジェイ・シンといったスターたちの熾烈な争いが見られなかった今年の大会は、やや盛り上がりに欠けたという感は否めない。
そんな中で、どうしても気になるのは、タイガーのコメントだ。ブライアントに追いつくことができず、6打差で2位になった直後のインタビュー。すでに確定していた今年の賞金王タイトルの意義を尋ねられたタイガーは、「僕は賞金王には、はっきり言ってあんまり興味がない」と、ピシャリ。
そりゃ、メジャー通算10勝を挙げ、今年だけでもメジャー2勝、目指すは年間グランドスラムのみのタイガーなわけだから、そう言いたくなる気持ちもわからなくはないのだが、せめて「賞金王タイトルを3年ぶりにビジェイから奪い戻したのは、うれしい」ぐらいのことを言ってほしかった。
米ツアー選手の大半は、賞金王タイトルを1度でいいから手に入れたいと思いながら、手に入れられずに終わる。弱肉強食の世界で、情けは無用と言われればそれまでだが、「そんなもん、どうでもいい」というニュアンスが出過ぎると、少しばかり、「てやんでえ~」という気持ちも芽生えてしまう。そこまで言い放つなら、賞金王なんて夢にも見たことがないであろうブライアントに追いつき、追い抜き、大逆転優勝でもしたあかつきに言ってほしかった。
そういえば、ビジェイ・シンにも、ビッグタイトルを軽視しているとしか思えない言動があった。今年、世界ゴルフ殿堂入りが決まったシン。しかし、前々から決めていた「アジアへのビジネストリップ」と殿堂入り式典の日程が重なったそうで、シンは式典の日程変更を要求。「それはできない」と言われると、「ならば、アジアへのビジネストリップを優先するから、殿堂入りは来年まで延長してくれ」。

“ビッグ2”とも呼ぶべき2人。コースではもっと火花を散らして欲しかった。
Photo/JJ Tanabe
全ゴルファーの夢のまた夢である世界ゴルフ殿堂入り。その栄誉を、ちょっとした約束を先延ばしするかのごとく、「また今度ね」なんて言い放つシン。これはやっぱり、シンの驕り高ぶりだ。
折りしも、米ツアーの07年スケジュールの大幅変更が発表され、その変更の大半はタイガーとシンの意見を参考にして作成されたと噂される昨今。2人の言動が及ぼす影響力の大きさ、重みは、本人たちが思っている以上に大きく重い。手にするドル札の重みは実感しているだろうけど、もっと大切な重みを、もう1度、考えてほしいと思えてならない。
舩越園子
舩越園子の最新掲載記事は、
11月5日発行の「ゴーゴル11月号」でご覧いただけます。
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2005年11月04日
米ツアー最終戦、ツアー選手権の会場で、タイガー・ウッズが面白いことを言っていた。現在29歳、来年の開幕戦メルセデス選手権には30歳の大台に乗って臨むことになるわけだが、そろそろ加齢による肉体的な変化を感じるかとの質問に、タイガーは「そりゃ感じるよ」と、答えた。
「21歳のときと29歳の今とでは、僕の人生はまったく異なる。もちろんそれは様々な経験を通じて得られた財産で、以前はクヨクヨしていたことが、今はちっとも気にならなくなったんだ」
この言葉は、変化は変化でも肉体的な変化ではなく、むしろ人間としてゴルファーとしての成熟度の問題。で、肉体面に限った変化は、どうなのだろう。
タイガーいわく、「ゴルファーのピークは30歳代だと僕はずっと信じてきた。で、僕の場合も、僕自身のピークが30歳代ならいいなと思っている」
ということは、タイガーのピークはこれから訪れるということ。念願の年間グランドスラム達成も、来たる30歳代に実ると考えているようだ。だが、実際に今、彼は肉体的な変化を感じるときがあると言う。それは、スタートホールで起こるのだそうだ。
「1番ティに立って、300ヤードをぶっ飛ばそうとするとき、以前なら何ひとつ無理を感じることなく簡単にやってのけることができたんだ。でも、今はもうできないよ。そういうとき、年をとっているんだなって、つくづく感じる」
なるほど。タイガーが自らの老いを感じるのは、その日のスタートホールのティグラウンドに立ったとき。いきなりの300ヤードドライブができるかどうか。


まだまだショットの迫力は、衰えてないと思うが、、。でも、お疲れですか?
Photo/JJ Tanabe
それでは、もう1つ、気になること。エリン嬢との結婚は、タイガーにとってプラスに働いているのか、それともひょっとしてマイナス面があるのか。
「結婚したことで、僕のライフはずっと良くなっている。何がいいかって、とにかくバランスが取れているんだ。独身のころは、ゴルフから離れたいと思ったとき、マーク・オメーラたちと趣味のフィッシングに何度も行ったりしてばかりいただけど、結婚してからは、すべての面でバランスが取れている。生活のバランスがいいかどうか、それがより大きな成功に結びつくはずだと僕は思う」
あーあ。、ご馳走さまでした‥‥。
舩越園子
米ツアー最終戦、ツアー選手権の会場で、タイガー・ウッズが面白いことを言っていた。現在29歳、来年の開幕戦メルセデス選手権には30歳の大台に乗って臨むことになるわけだが、そろそろ加齢による肉体的な変化を感じるかとの質問に、タイガーは「そりゃ感じるよ」と、答えた。
「21歳のときと29歳の今とでは、僕の人生はまったく異なる。もちろんそれは様々な経験を通じて得られた財産で、以前はクヨクヨしていたことが、今はちっとも気にならなくなったんだ」
この言葉は、変化は変化でも肉体的な変化ではなく、むしろ人間としてゴルファーとしての成熟度の問題。で、肉体面に限った変化は、どうなのだろう。
タイガーいわく、「ゴルファーのピークは30歳代だと僕はずっと信じてきた。で、僕の場合も、僕自身のピークが30歳代ならいいなと思っている」
ということは、タイガーのピークはこれから訪れるということ。念願の年間グランドスラム達成も、来たる30歳代に実ると考えているようだ。だが、実際に今、彼は肉体的な変化を感じるときがあると言う。それは、スタートホールで起こるのだそうだ。
「1番ティに立って、300ヤードをぶっ飛ばそうとするとき、以前なら何ひとつ無理を感じることなく簡単にやってのけることができたんだ。でも、今はもうできないよ。そういうとき、年をとっているんだなって、つくづく感じる」
なるほど。タイガーが自らの老いを感じるのは、その日のスタートホールのティグラウンドに立ったとき。いきなりの300ヤードドライブができるかどうか。


まだまだショットの迫力は、衰えてないと思うが、、。でも、お疲れですか?
Photo/JJ Tanabe
それでは、もう1つ、気になること。エリン嬢との結婚は、タイガーにとってプラスに働いているのか、それともひょっとしてマイナス面があるのか。
「結婚したことで、僕のライフはずっと良くなっている。何がいいかって、とにかくバランスが取れているんだ。独身のころは、ゴルフから離れたいと思ったとき、マーク・オメーラたちと趣味のフィッシングに何度も行ったりしてばかりいただけど、結婚してからは、すべての面でバランスが取れている。生活のバランスがいいかどうか、それがより大きな成功に結びつくはずだと僕は思う」
あーあ。、ご馳走さまでした‥‥。
舩越園子
米ツアー最終戦、ツアー選手権の会場で、タイガー・ウッズが面白いことを言っていた。現在29歳、来年の開幕戦メルセデス選手権には30歳の大台に乗って臨むことになるわけだが、そろそろ加齢による肉体的な変化を感じるかとの質問に、タイガーは「そりゃ感じるよ」と、答えた。
「21歳のときと29歳の今とでは、僕の人生はまったく異なる。もちろんそれは様々な経験を通じて得られた財産で、以前はクヨクヨしていたことが、今はちっとも気にならなくなったんだ」
この言葉は、変化は変化でも肉体的な変化ではなく、むしろ人間としてゴルファーとしての成熟度の問題。で、肉体面に限った変化は、どうなのだろう。
タイガーいわく、「ゴルファーのピークは30歳代だと僕はずっと信じてきた。で、僕の場合も、僕自身のピークが30歳代ならいいなと思っている」
ということは、タイガーのピークはこれから訪れるということ。念願の年間グランドスラム達成も、来たる30歳代に実ると考えているようだ。だが、実際に今、彼は肉体的な変化を感じるときがあると言う。それは、スタートホールで起こるのだそうだ。
「1番ティに立って、300ヤードをぶっ飛ばそうとするとき、以前なら何ひとつ無理を感じることなく簡単にやってのけることができたんだ。でも、今はもうできないよ。そういうとき、年をとっているんだなって、つくづく感じる」
なるほど。タイガーが自らの老いを感じるのは、その日のスタートホールのティグラウンドに立ったとき。いきなりの300ヤードドライブができるかどうか。


まだまだショットの迫力は、衰えてないと思うが、、。でも、お疲れですか?
Photo/JJ Tanabe
それでは、もう1つ、気になること。エリン嬢との結婚は、タイガーにとってプラスに働いているのか、それともひょっとしてマイナス面があるのか。
「結婚したことで、僕のライフはずっと良くなっている。何がいいかって、とにかくバランスが取れているんだ。独身のころは、ゴルフから離れたいと思ったとき、マーク・オメーラたちと趣味のフィッシングに何度も行ったりしてばかりいただけど、結婚してからは、すべての面でバランスが取れている。生活のバランスがいいかどうか、それがより大きな成功に結びつくはずだと僕は思う」
あーあ。、ご馳走さまでした‥‥。
舩越園子
2005年11月03日
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2005年11月02日
米ツアー最終戦、ツアー選手権が始まった。と言っても、今日は現地の火曜日。プロアマの日だ。明日の練習日が終わると、木曜からは本戦。この大会は予選落ちがないため、出場者30名が4日間、熱い戦いを繰り広げる--はずなのだが、会場であるイーストレイクGC(ジョージア州アトランタ)に足を踏み入れた今、本当に熱い戦いになるのだろうかという不安を覚えつつある。
と言うのも、日本のゴルフファンの興味は、丸山茂樹がこの大会に出場できるかどうかに集まっていた。だが、その丸山は前週のクライスラー選手権終了後、賞金ランクが32位となり、トップ30入りを逃してしまったからだ。この最終戦はトップ30のみが出場できる大会。日本のメディアも、すでに8名ほどがイーストレイク入りしているが、その多くは、裏試合であるサザンファームビューロークラシックの会場へ移動しようかどうかを思案中。もちろん私もそうだ。
裏試合とは、ビッグトーナメントと同週に開催されているもう1つの大会のこと。元々、サザンファームビューロークラシックは、10月のWGCアメックス選手権の裏試合だったのだが、ハリケーンの影響で予定が遅延され、今週の開催となった。そのサザンファームビューローには、トップ30にもれた丸山、賞金ランク115位に食い込んで来季シード権をほぼ手に入れた田中秀道、そして来季シード権を確実化しようとしている今田竜二の3人が出場しており、日本人メディアにとっては、たとえ裏試合とはいえ、そっちの会場へ行くほうが取材できるネタは豊富なのだ。
だが、それはあくまで日本人メディアの都合にすぎない。アメリカ人メディアは、最終戦という大きな意味合いを持つこの大会の取材に意気込んでいる。しかし、いくら最終戦とはいえ、今年のこの大会の目玉は何だろうと考えると、どうもピンと来ないのである。
タイガー・ウッズが3年ぶりに賞金王に返り咲き--これはとっくの昔に確定しており、このツアー選手権での成績がいまさら影響するものではない。世界一は誰か--これまたタイガーで決まっており、別段、ドキドキする話ではない。
出場選手の顔ぶれはというと、丸山がいないばかりでなく、昨年出場して今年出場していない選手は16名。膝の故障で今季半ばから欠場となったアーニー・エルスはもちろん出場していないし、大人気のジョン・デーリーや日本ツアー出身のカルロス・フランコ、KJチョイ(チェ・キョンジュ)、トッド・ハミルトンなども、こぞって姿を消した。だからだろう。どうも、イーストレイクの火曜日は淋しい雰囲気が漂っている。

イーストレイクGC Photo/JJ Tanabe
だが、姿を消した彼らに代わって、ルーク・ドナルド、ショーン・オヘアといった若手が出場している。テッド・パーディ、ルーカス・グローバーなど、今季初優勝組もいる。こうしてみると、トップ30の顔ぶれは、たった1年で結構進化しており、やっぱり米ツアーにおけるサバイバル合戦は熾烈なのだと痛感させられる。この大会の賞金総額を見ても、昨年は600万ドル、今年は650万ドルと、またまたアップ。どこを見ても、何を眺めても、米ツアーの進化は留まるところを知らない。

練習日、まだ18番ホールのリーダーボードには数字が入っていない。最後に名前を刻むのは、誰か?
Photo/JJ Tanabe
で、再び、先の疑問が沸く--この大会の目玉は何か。結論は、大会後に必ず出ると信じている。賞金王のごときビッグタイトルがかかっているわけではなくても、4日間の戦いを終えたとき、そこには必ずドラマがある。なぜって、それが米ツアーだから--。
舩越園子
米ツアー最終戦、ツアー選手権が始まった。と言っても、今日は現地の火曜日。プロアマの日だ。明日の練習日が終わると、木曜からは本戦。この大会は予選落ちがないため、出場者30名が4日間、熱い戦いを繰り広げる--はずなのだが、会場であるイーストレイクGC(ジョージア州アトランタ)に足を踏み入れた今、本当に熱い戦いになるのだろうかという不安を覚えつつある。
と言うのも、日本のゴルフファンの興味は、丸山茂樹がこの大会に出場できるかどうかに集まっていた。だが、その丸山は前週のクライスラー選手権終了後、賞金ランクが32位となり、トップ30入りを逃してしまったからだ。この最終戦はトップ30のみが出場できる大会。日本のメディアも、すでに8名ほどがイーストレイク入りしているが、その多くは、裏試合であるサザンファームビューロークラシックの会場へ移動しようかどうかを思案中。もちろん私もそうだ。
裏試合とは、ビッグトーナメントと同週に開催されているもう1つの大会のこと。元々、サザンファームビューロークラシックは、10月のWGCアメックス選手権の裏試合だったのだが、ハリケーンの影響で予定が遅延され、今週の開催となった。そのサザンファームビューローには、トップ30にもれた丸山、賞金ランク115位に食い込んで来季シード権をほぼ手に入れた田中秀道、そして来季シード権を確実化しようとしている今田竜二の3人が出場しており、日本人メディアにとっては、たとえ裏試合とはいえ、そっちの会場へ行くほうが取材できるネタは豊富なのだ。
だが、それはあくまで日本人メディアの都合にすぎない。アメリカ人メディアは、最終戦という大きな意味合いを持つこの大会の取材に意気込んでいる。しかし、いくら最終戦とはいえ、今年のこの大会の目玉は何だろうと考えると、どうもピンと来ないのである。
タイガー・ウッズが3年ぶりに賞金王に返り咲き--これはとっくの昔に確定しており、このツアー選手権での成績がいまさら影響するものではない。世界一は誰か--これまたタイガーで決まっており、別段、ドキドキする話ではない。
出場選手の顔ぶれはというと、丸山がいないばかりでなく、昨年出場して今年出場していない選手は16名。膝の故障で今季半ばから欠場となったアーニー・エルスはもちろん出場していないし、大人気のジョン・デーリーや日本ツアー出身のカルロス・フランコ、KJチョイ(チェ・キョンジュ)、トッド・ハミルトンなども、こぞって姿を消した。だからだろう。どうも、イーストレイクの火曜日は淋しい雰囲気が漂っている。

イーストレイクGC Photo/JJ Tanabe
だが、姿を消した彼らに代わって、ルーク・ドナルド、ショーン・オヘアといった若手が出場している。テッド・パーディ、ルーカス・グローバーなど、今季初優勝組もいる。こうしてみると、トップ30の顔ぶれは、たった1年で結構進化しており、やっぱり米ツアーにおけるサバイバル合戦は熾烈なのだと痛感させられる。この大会の賞金総額を見ても、昨年は600万ドル、今年は650万ドルと、またまたアップ。どこを見ても、何を眺めても、米ツアーの進化は留まるところを知らない。

練習日、まだ18番ホールのリーダーボードには数字が入っていない。最後に名前を刻むのは、誰か?
Photo/JJ Tanabe
で、再び、先の疑問が沸く--この大会の目玉は何か。結論は、大会後に必ず出ると信じている。賞金王のごときビッグタイトルがかかっているわけではなくても、4日間の戦いを終えたとき、そこには必ずドラマがある。なぜって、それが米ツアーだから--。
舩越園子
米ツアー最終戦、ツアー選手権が始まった。と言っても、今日は現地の火曜日。プロアマの日だ。明日の練習日が終わると、木曜からは本戦。この大会は予選落ちがないため、出場者30名が4日間、熱い戦いを繰り広げる--はずなのだが、会場であるイーストレイクGC(ジョージア州アトランタ)に足を踏み入れた今、本当に熱い戦いになるのだろうかという不安を覚えつつある。
と言うのも、日本のゴルフファンの興味は、丸山茂樹がこの大会に出場できるかどうかに集まっていた。だが、その丸山は前週のクライスラー選手権終了後、賞金ランクが32位となり、トップ30入りを逃してしまったからだ。この最終戦はトップ30のみが出場できる大会。日本のメディアも、すでに8名ほどがイーストレイク入りしているが、その多くは、裏試合であるサザンファームビューロークラシックの会場へ移動しようかどうかを思案中。もちろん私もそうだ。
裏試合とは、ビッグトーナメントと同週に開催されているもう1つの大会のこと。元々、サザンファームビューロークラシックは、10月のWGCアメックス選手権の裏試合だったのだが、ハリケーンの影響で予定が遅延され、今週の開催となった。そのサザンファームビューローには、トップ30にもれた丸山、賞金ランク115位に食い込んで来季シード権をほぼ手に入れた田中秀道、そして来季シード権を確実化しようとしている今田竜二の3人が出場しており、日本人メディアにとっては、たとえ裏試合とはいえ、そっちの会場へ行くほうが取材できるネタは豊富なのだ。
だが、それはあくまで日本人メディアの都合にすぎない。アメリカ人メディアは、最終戦という大きな意味合いを持つこの大会の取材に意気込んでいる。しかし、いくら最終戦とはいえ、今年のこの大会の目玉は何だろうと考えると、どうもピンと来ないのである。
タイガー・ウッズが3年ぶりに賞金王に返り咲き--これはとっくの昔に確定しており、このツアー選手権での成績がいまさら影響するものではない。世界一は誰か--これまたタイガーで決まっており、別段、ドキドキする話ではない。
出場選手の顔ぶれはというと、丸山がいないばかりでなく、昨年出場して今年出場していない選手は16名。膝の故障で今季半ばから欠場となったアーニー・エルスはもちろん出場していないし、大人気のジョン・デーリーや日本ツアー出身のカルロス・フランコ、KJチョイ(チェ・キョンジュ)、トッド・ハミルトンなども、こぞって姿を消した。だからだろう。どうも、イーストレイクの火曜日は淋しい雰囲気が漂っている。

イーストレイクGC Photo/JJ Tanabe
だが、姿を消した彼らに代わって、ルーク・ドナルド、ショーン・オヘアといった若手が出場している。テッド・パーディ、ルーカス・グローバーなど、今季初優勝組もいる。こうしてみると、トップ30の顔ぶれは、たった1年で結構進化しており、やっぱり米ツアーにおけるサバイバル合戦は熾烈なのだと痛感させられる。この大会の賞金総額を見ても、昨年は600万ドル、今年は650万ドルと、またまたアップ。どこを見ても、何を眺めても、米ツアーの進化は留まるところを知らない。

練習日、まだ18番ホールのリーダーボードには数字が入っていない。最後に名前を刻むのは、誰か?
Photo/JJ Tanabe
で、再び、先の疑問が沸く--この大会の目玉は何か。結論は、大会後に必ず出ると信じている。賞金王のごときビッグタイトルがかかっているわけではなくても、4日間の戦いを終えたとき、そこには必ずドラマがある。なぜって、それが米ツアーだから--。
舩越園子