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舩越園子のGOLF JOURNAL

2005年11月09日

大切な“重み”

米ツアー最終戦、ツアー選手権はバート・ブライアントの圧勝で幕を閉じた。と言うより、幕開けからずっとブライアント首位のまま終わったと言ったほうが正確である。

バート・ブライアントって誰?と思う人も多いと思う。今年のメモリアルでも勝利し、ツアー選手権で2つ目のビッグタイトルを手に入れたブライアントの栄光への道程には、もちろん隠された秘話があり、それはそれで涙のドラマなのだが、一般的な見方をすれば、タイガー・ウッズやビジェイ・シンといったスターたちの熾烈な争いが見られなかった今年の大会は、やや盛り上がりに欠けたという感は否めない。

そんな中で、どうしても気になるのは、タイガーのコメントだ。ブライアントに追いつくことができず、6打差で2位になった直後のインタビュー。すでに確定していた今年の賞金王タイトルの意義を尋ねられたタイガーは、「僕は賞金王には、はっきり言ってあんまり興味がない」と、ピシャリ。

そりゃ、メジャー通算10勝を挙げ、今年だけでもメジャー2勝、目指すは年間グランドスラムのみのタイガーなわけだから、そう言いたくなる気持ちもわからなくはないのだが、せめて「賞金王タイトルを3年ぶりにビジェイから奪い戻したのは、うれしい」ぐらいのことを言ってほしかった。

米ツアー選手の大半は、賞金王タイトルを1度でいいから手に入れたいと思いながら、手に入れられずに終わる。弱肉強食の世界で、情けは無用と言われればそれまでだが、「そんなもん、どうでもいい」というニュアンスが出過ぎると、少しばかり、「てやんでえ~」という気持ちも芽生えてしまう。そこまで言い放つなら、賞金王なんて夢にも見たことがないであろうブライアントに追いつき、追い抜き、大逆転優勝でもしたあかつきに言ってほしかった。

そういえば、ビジェイ・シンにも、ビッグタイトルを軽視しているとしか思えない言動があった。今年、世界ゴルフ殿堂入りが決まったシン。しかし、前々から決めていた「アジアへのビジネストリップ」と殿堂入り式典の日程が重なったそうで、シンは式典の日程変更を要求。「それはできない」と言われると、「ならば、アジアへのビジネストリップを優先するから、殿堂入りは来年まで延長してくれ」。

タイガー&ビジェイ.jpg
“ビッグ2”とも呼ぶべき2人。コースではもっと火花を散らして欲しかった。
Photo/JJ Tanabe

全ゴルファーの夢のまた夢である世界ゴルフ殿堂入り。その栄誉を、ちょっとした約束を先延ばしするかのごとく、「また今度ね」なんて言い放つシン。これはやっぱり、シンの驕り高ぶりだ。

折りしも、米ツアーの07年スケジュールの大幅変更が発表され、その変更の大半はタイガーとシンの意見を参考にして作成されたと噂される昨今。2人の言動が及ぼす影響力の大きさ、重みは、本人たちが思っている以上に大きく重い。手にするドル札の重みは実感しているだろうけど、もっと大切な重みを、もう1度、考えてほしいと思えてならない。

舩越園子

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