2005年11月26日
トッププロの影響力
先日、フロリダ州セントオーガスチンにあるワールドゴルフビレッジ内で、世界ゴルフ殿堂の殿堂入り式典が行われた。今年は、日本の岡本綾子も殿堂入りを果たしたのだが、式典参加者の顔ぶれは少しばかり淋しいものがあった。かつては、過去に殿堂入りしたホール・オブ・フェーマーたちが勢揃いしたものだが、今年は式典に参加した男子ホール・オブ・フェーマーがたったの3人だけ。女子は7人いたが、それでも淋しいムードはぬぐいきれなかった。
淋しいといえば、今年、新たに殿堂入りを果たした顔ぶれも、岡本以外にはカーリー・ウエブ、アリスター・マッケンジー、ウィリー・パーク・シニア、バーナード・ダーウィンというもの。その名を聞いて、一般の人々が「ああ、あの人」とわかるのは、岡本とウエブの女性2人だけ。例年なら1人はいるはずの有名男子プロがいなかった。なぜなら、殿堂入りするはずだったビジェイ・シンが式典参加を辞退したからだ。

悩める、シン。
Photo/JJ Tanabe
シンの不参加の理由は、式典の日時近辺にアジア遠征が入っていたためだ。このアジア遠征は殿堂入りが決まる以前から決まっていたもの。殿堂入りが決まった段階で、シンは米PGAツアー側に式典の日時を変更してくれと頼んだのだが、それはできないという返答を受け、だったら式典には出られないから殿堂入りは来年まで先延ばしにしてくれという強硬な態度に出たのである。
そして、蓋を開けてみれば、今年の式典はシンのみらならず大勢の欠席者を生んでしまった。その結果、殿堂入り式典は近いうちに日時が大幅変更される可能性が出てきた。新しい日時は、おそらく3月のプレーヤーズ選手権の週。TPCソーグラスにトッププロたちが集結するこの週なら、殿堂入りが決まった選手も関係者も過去のホール・オブ・フェーマーたちも、式典に参加できるだろうという考え方だ。この変更は、まさにシンの殿堂入り辞退に端を発するもの。トッププロの影響力はすごいと痛感させられる。

殿堂入り式典
Photo/JJ Tanabe
トッププロの影響力と言えば、今年のツアー選手権で発表された07年からのツアースケジュール大幅変更プランも、トッププロたちの発言に端を発している。「シーズンが長すぎる」「散漫すぎる」とは、タイガー・ウッズやビジェイ・シン・フィル・ミケルソンらがこれまで何度も口にしてきた言葉。1試合で大金を効率よく稼ぐ彼らは、1シーズンがダラダラと1年中続くより、ある期間内に集中的に試合に出て、あとはオフを取るなり、海外に出るなりしたいというのが本音なのである。だからこそ彼らは、現状では11月まで続くシーズンを9月ぐらいで終わりにしてほしいと言い続けてきた。そして、発表された新スケジュールは、まさに彼らの希望通りのもの。こうしてみると、ほんの少数のトッププロたちの意見や好みが、ツアー全体、ひいてはゴルフ界全体を動かしているのだとわかる。
それにしても、米PGAツアーは、ちょっぴり情けない。スタープレーヤーたちの存在がTVの放映権収入やギャラリーの入場料収入の牽引力になっているのは確かだが、「あの人がこう言ったから変えよう」という態度を続けざまに見せ付けられると、「それじゃあ、あの人が何を言っても従うんですか?」と切り返したくなる。米PGAツアーにもビジネス上の都合ってものがあるのはわかるけれど、世界一のプロゴルフツアーなのだから、もう少し、その権威を保ってほしいと感じてやまない。
舩越園子



