2005年12月29日
最新掲載記事(朝日新聞)
舩越園子の最新掲載記事(朝日新聞)は、
下記でご覧いただけます。
http://www.asahi.com/sports/golf/TKY200512290153.html
2005年12月29日
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12月30日はタイガー・ウッズの誕生日だ。今年でタイガーもついに30歳。月日が流れるのは本当に早いものだ。
タイガーの年齢の話になると必ず思い出されるのは、彼がプロデビューして間もなかった19歳のころの秘話。ラスベガスインビテーショナルに出場したタイガーは、ある夜、カジノへ繰り出した。しかし、アメリカでギャンブル場に入場できるのは21歳以上と決められている。いくらタイガーでも法律は法律。カジノの入り口でセキュリティガードに止められてしまった。
セキュリティガードが、まず一言。「IDを見せてください」。タイガーがIDを見せると、セキュリティは冷たく、「キミは19歳だから、ダメだよ」。思わずむっとしたタイガーは、いきなりこう言い返した。「オレはタイガー・ウッズだぞ!」。すると、今度はセキュリティガードがむっとして、こう言い返した。「タイガー・ウッズだろうと、ライオン・キングだろうと、ダメなものはダメだ!」。周囲は大笑い。タイガーも若かったということだ。若気の至りは、誰にでも覚えがある。
そんなタイガーも、とうとう三十路。これからは、体力キープが課題の1つに入ってくる。が、「結婚して人生と私生活が充実し、独身時代とは違う自分になった。だからゴルフも向上した」と豪語するタイガーである。来年は、「30歳になって一味違うオレのゴルフを見てくれ」なんて、言いそうな気配だ。

今年のバースデーパーティは、盛大に?

1年間、おつかれさま。来年もよろしく!
Photo/JJ Tanabe
2005年12月23日
あくまでも噂。アメリカではすでに一部で報じられた裏情報なのだが、カリフォルニア州アナハイムに、タイガー・ウッズのラーニングセンターができるらしい。完成は06年の1月から2月。総額20ミリオンダラー(約22億円)を投じた大事業と言われている。
ラーニングセンターとは、その名の通り、何かをlearnする(学ぶ)ための施設。タイガーの名を冠するのだから、当然、ゴルフのためのラーニングセンターなのだが、単にスウィングや打ち方を学ばせるためのものではなく、子供たちのリーダーシップとシチズンシップを養うことが目的だそうだ。もちろん、集中力が成熟していない子供たちをターゲットにしている以上、彼らの興味を切らさないための工夫もされており、すべてはゲーム感覚。言ってみれば、ファミコンのゴルフゲームを大型施設の中で実践するようなものに仕上がっている‥‥らしい。
さすがはタイガー。レッスン中心のゴルファー養成施設を作らないところがなんとも素敵。こういう事業に莫大な稼ぎを投入していけば、彼の両親が望む通り、果ては合衆国大統領という話も現実味を増す。だが、気になるのは、この噂にまつわるもう1つの噂だ。「ラーニングセンター完成のためにいろいろとやるべきことが山積しているから、タイガーは開幕戦のメルセデス選手権を欠場する‥‥らしい」。もし、そうだとすれば、プロゴルファーとしては本末転倒。どちらも噂の域を出ないから、真相は年明けまでつかめそうもないけれど、いずれにしても06年は、新生タイガー、新生タイガー事業が見られそうな気配だ。


一度は訪れてみたい、タイガーのラーニングセンター。ベールを脱ぐのは来春。
Photo/JJ Tanabe
2005年12月20日
米ツアーの試合会場には年々、新しい文明の利器が登場する。ショットリンクはその1つ。全選手の1打1打がすべてコンピューターで眺められる仕掛けで、これができてからというもの、取材をするメディアたちはコースを歩かなくなってしまった。だが、彼らが書く記事には、まるですべてを目の前で見ていたかのように詳しいデータが記されており、一体、何が本当の取材なのか、よくわからない状態になっている。
それはさておき、テレビ中継用にコースを歩きながらレポートするラウンドレポーターという人がいる。その1人として有名なCBS局のピーター・コスチスが、今年あたりから、妙に苦しげな表情で歩くようになった。その理由は、首から下げたものが重いせい。まるで小学校のとき、写生のときに下げた画板のように、彼はなんとテレビモニターを下げているのだ。
目の前のショットや出来事は、もちろん肉眼で見てレポートできる。しかし、ひとたび外に出てしまうと、他のホールで他の選手に何が起こっているかがわからなくなる。そのため彼は、モニターでチェックしながら、目の前の出来事を報告することにしたわけだ。

100年後のラウンドレポーターは、ASIMOくんが!、、さすがに、そんなことはないか。
Photo/JJ Tanabe
それにしても、これだけ世の中がハイテク時代になり、そのハイテク機器が軽量化、小型化されているというのに、写真のような大きさの重たいモニターを下げているのだから、なんとなく前近代的。コスティス氏いわく、「そのうち、メガネにテレビモニターが仕組まれたりするようになるんじゃないかなあ」。そうなってくれれば、重たいモニターともさよならできるし、記者たちは会場にもメディアセンターにも来ないでメガネだけをかければ取材できちゃうというわけだが、果たしてそこまで進化するのかどうか……。ともあれ、ゴルフの試合会場は、時代の進化発展を感じ取れる場所と言えそうだ。
2005年12月17日
アジア・ジャパン沖縄オープンに出場した宮里藍が最下位で予選落ちした。今後も男子ツアーに挑戦するかと問われた藍ちゃんは、「(それは)ないです。そういう挑戦は無謀だと思った」と答えたそうだ。
その言葉を聞いて、私は正直、ほっと胸を撫で下ろした。なぜって、藍ちゃんが男子の試合に出る意義からして私は疑問を抱いていたし、そんなことをしても彼女にとってプラスになるものがあるのかどうかと、その部分にも首を傾げていたからだ。だから、彼女が今後も挑戦したいなんてことを考え始めないよう祈っていたのだ。
米PGAツアーに挑戦したアニカ・ソレンスタムやミッシェル・ウィーのケースは別だ。彼女たちは、自分が男子の試合に出る意義というものを当初から明確に抱いていた。アニカの場合は「自分を試したい」という挑戦意欲。ウィーの場合は、幼いころから男女の壁を越えることを目標にしているという彼女自身のスタンス。しかし、藍ちゃんの場合、どうして男子の試合に出なければいけないのかがはっきりしてはいなかった。
沖縄オープン出場は、周囲が先に決めたことだと聞いている。最終的な意志決定は藍ちゃん自身が下したのかもしれないが、あくまで故郷沖縄の人々への恩返し的なことが大義名分であって、自身の目標や向上のためではない。恩返しは大切だけれど、アスリートが第一に考えるべきことは、やっぱり自分のこと。せっかく米LPGAのQスクールで見事なゴルフを披露し、いわゆる「いい感じ」を得た藍ちゃんが、男子の試合に挑戦して最下位になったことで「いい感じ」を忘れてしまったら、それは彼女にとって大きなマイナスになってしまう。
だから、自分にとってのプラス要素が見つからない以上、男子の世界になんて、わざわざ挑戦してほしくはないと思っていた。だから、彼女が「そういう挑戦は無謀だ」と認識してくれて、本当にほっとしたのだ。
今後、日本のゴルフ界が注意すべきことは、せっかく才能やスター性に溢れている選手を、人寄せパンダに仕立ててつぶさないようにすることだろう。藍ちゃんが出ればギャラリーが増える、視聴率が伸びると考えるのは、ビジネス上、ごもっともだと頷ける。だが、そういう意図ばかりが先に立ち、パンダにされたスターの感性を低下させることがあったら、それは「周囲が才能をつぶす」ことになる。もちろん、今回の出来事で藍ちゃんがつぶされたわけではないけれど、もともとスターに欠如気味の日本のゴルフ界は、せっかく現われたスターをもっと本当の意味で大事にすべきだと思わずにはいられなかった。

日本でも海外でも、注目を集める藍ちゃん。対応の仕方は、すでに世界のトップクラスだ。

予選落ちも今後の糧と変えていく。その能力こそが天才の証。
Photo/JJ Tanabe(写真上下2点とも、米LPGA・QT最終予選会場での模様)
2005年12月16日
舩越園子の最新掲載記事(ライブドア第12回)は
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http://sports.livedoor.com/magazine/list?magazine_id=25
2005年12月15日
舩越園子の最新掲載記事(朝日新聞)は
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http://www.asahi.com/sports/golf/TKY200512150151.html
2005年12月13日
米ツアー開幕戦メルセデス選手権は、前年の優勝者だけが出場できる栄えある大会である。だが、来季のメルセデスにはタイガー・ウッズが出ないことが発表され、関係者は大いにショックを受けている。
ショックを受けた関係者--その筆頭は、スポンサーとトーナメントの中継局である。タイガーが出ると出ないとでは、テレビの視聴率に大きな影響が出る。もちろん、入場者数にも影響が出る。
だが、それより何より、ショックを受けているのは日本のゴルフ雑誌かもしれない。この大会で出場選手たちの連続写真とクラブセッティングを競って撮影するのは日本のゴルフ雑誌の恒例行事。毎年、ゴルフ雑誌から派遣されたカメラマンやライターが、血眼になって奔走している。メルセデスと続くソニーオープンの2試合で撮影を完了できれば、新年早々の発売号で、「06年トッププロの連続写真と使用クラブはこれだ!」的な企画が成立するからだ。
しかし、メルセデスを欠場するタイガーは、例年、ソニーオープンにも出ておらず、こうなると、ゴルフ雑誌の企画は、掲載号をずらさない限り、タイガー抜きで企画を進めざるを得なくなる。これは、ゴルフ雑誌にとっては、結構ショッキングな出来事であろう。
それにしても、タイガーがメルセデスを欠場する理由というのが、先日の足首の負傷ではなく、「オフ(休養)が必要だから」というのだから、なんとも笑ってしまった。メルセデスの開催時期は以前からわかっているわけだから、どうしても休養が必要なのであれば、オフシーズンのテレビマッチなどの非公式イベントを休んで、キックオフのメルセデスには出たらいかがですかと言いたくなる。

今年はメジャー2勝の大活躍だったが、予選落ちも2回あり、不安定さが見えた。
Photo/JJ Tanabe
もちろん、タイガーほどのスーパースターともなれば、テレビマッチ出場がスポンサーやさまざまな利権と密接に関係するのは当然だが、テレビマッチを選んでメルセデスを捨てるということは、「芸能人であることを選んで、アスリートであることを捨てる」のと同義ではないだろうか。
まあ、しかし、こんな事態が起こるのは06年の開幕戦が最後になるだろう。なぜなら、07年からはツアーのスケジュールが大幅に変更され、タイガーがわざわざ試合を欠場して休養の時間を作らなくても、シーズンはほぼ9ヶ月以内に凝縮されるのだ。もちろん、PGAツアーが発表したこのスケジュール変更もまた、タイガーの意見を取り入れて決められたと言われている。どっちにしても、タイガーは休みたくて仕方がないということ。少ない試合数で効率よく稼げるタイガーだからこそ言える我がままだとすれば、やっぱりタイガーは「超」がつくスーパースターということだろう。
2005年12月10日
宮里藍ちゃん、諸見里しのぶちゃん、どちらも合格した米LPGAのQスクール。合格までの経緯は、すでに日本の新聞などで詳しく報じられていると思うので、ここでは、ちょっとした裏話をご紹介。
あれは何日目だったか、ラウンド後、バンカー練習をしようとショートゲームの練習エリアへやってきたしのぶちゃん。思わず叫んだ言葉は、「あー、大きいお姉ちゃんが、いっぱーい!」。彼女が口にした「大きいお姉ちゃん」とは、実を言うと、体格がよすぎるほどいい太った女性選手たちのこと。上背も170センチぐらいあるとは思うが、体重も失礼ながら70キロ、80キロ、いやもしかすると90キロは下らない?と思われるビッグな女性選手らが、先に練習バンカーの中で陣取っていたのである。

女性版“クレッグ・スタドラー”。3日目、宮里選手の前の組でプレーしていた。
PHOTO/JJ Tanabe
そう言えば、ラウンド中、藍ちゃんやしのぶちゃんの組の前後にも、「大きいお姉ちゃん」がたくさんいた。腕や胸回り、胴回り、腹部。あんなにお肉がいっぱいついていたら、スウィングは必然的にかなりフラットになる。というより、ボディーターンできるのかなあと思ってしまうほどの方々が、なぜだか妙にたくさんいた。

諸見里選手の正直なコメントには、日米の差を知るヒントがポロポロ、、、。
PHOTO/JJ Tanabe
取材していた日本の記者陣の中にも、そんな「大きいお姉ちゃん」たちを見て、驚きの声を上げる人が数人いた。「あれっ?この組は相撲部出身の選手ばかりを集めたんですかね?」なんて言葉を投げかけてくる人もいた。そう、どうしてなのか、同組で回る3人が3人とも「大きいお姉ちゃん」というケースが多かったのは何とも不思議だ。
それにしても、「大きいお姉ちゃん」たちは、当たるとさすがにかっ飛ばす。だが、そんな「大きいお姉ちゃん」がみんな好スコアだったかと言えば、そんなことは決してない。むしろ、合格者の「顔ぶれ」ならぬ「体格ぶれ」を眺めたら、どっちかと言うと「小さいお姉ちゃん」のほうが合格率は高かったと思う。
その筆頭が、藍ちゃんやしのぶちゃん。小柄だけど正確性に富み、小柄だからこそ小回りが効くのかショートゲームが巧み。そう言ってしまうと、大柄な人はゴルフが下手なように聞こえてしまうかもしれないが、今回のQスクールでは、概して小柄なゴルファーの成績のほうが良かったようだ。柔道ではないけれど、小さな体を駆使する藍ちゃんやしのぶちゃんが「剛を制す」姿は、壮観だ。
2005年12月08日
宮里藍ちゃんが米LPGAのQスクールを2位に12打差の断トツトップで合格した翌日、同じフロリダ州内で行われていた米PGAツアーのQスクールへ取材に行った。男女とも同じ日から始まり、女子は5日間、男子は6日間のため、この日は男子の最終ラウンド(第6ラウンド)だったのである。
行ってみると、日本のメディアは私を含めてたったの5名。藍ちゃん取材の現場には、初日あたりで60名強、最終日には100名近くの日本人メディアがいたのだから、その差はすごい。かつては、男子のQスクールを取材する日本人メディアはいても、女子のQスクールを取材する日本人メディアは本当に少ないものだった。もっとも、小林浩美、福嶋晃子、東尾理子らが挑戦する際は、それなりの人数が集まっていたものだが、いずれにしても、藍ちゃん取材だけは別格。そして、男子のQスクールに日本人選手としてはただ1人、挑戦していた丸山大輔のことを気にかける日本人メディアはほとんどいなかったというわけだ。
肝心の丸山の成績だが、初日から3日間は70-71-74と70台が続き、4日目から6日目までは68-65-68とすべて60台。3日目終了後は60位台まで順位を下げ、トップ30に食い込むのはちょっと難しそうに思えたのだが、5日目の65が功を奏し、最終的には7位タイという立派な成績で来季の出場権を獲得した。



大器晩成型、粘り強いプレーに期待!
Photo/JJ Tanabe
全ラウンド終了後、その丸山に話を聞いた。「(こっちに)来る前までは、まだ迷いがあって、飛行機に乗っているときも、嫌だなあなんて思っていたぐらいで、そういう意味ではノープレッシャーだったのがよかったのかも。でも、練習ラウンドをして回りの選手たちを見ているうちに、この中で自分がどれぐらいやれるか知りたいなという気になり、その思いが日に日に強まりました」という丸山。ゴルフの調子のほうも、最初はコースに戸惑い、「自分で自分に難しく感じさせていた」そうだが、後半3日間は「無理しなくても大丈夫」と思えるようになったという。そんな環境への「慣れ」が彼のスコアにも如実に表れた。
それにしても、同じ州内、車で2時間弱の距離に日本のメディアがわんさかいるというのに、最終日のこの日、大半のメディアは藍ちゃんがLPGAのオリエンテーションを受ける様子を取材していた。丸山が好成績で通過しようとしているのに、たったの5名しか取材に来ないこの現状を、彼自身はどう感じていたのか。聞きにくい質問だが、あえて本人にぶつけてみた。
「いやあ、藍ちゃんは国民的ヒーロー(ヒロインの意)ですからね。おまけに10何打差でトップでしょう?でも、これで男子が誰も通らなかったら格好悪いかなとは思っていました」
やっぱり、この現状、嫌でも意識はしていないのだろう。質問をぶつけたとき、丸山はニヤッと笑った。だが、大勢の日本人メディアから取材されるかどうかは、この際、本人にとっては大問題ではない。むしろ、ひっそりと米ツアーデビューを決め、来季が始まったら大活躍というほうが面白いかもしれない。
とはいえ、米ツアーはそんなに甘くはない。丸山は「英語は全然ダメだし‥‥」と、ちょっぴり尻込みしていたが、フロリダのグリーンを「優しいコーライみたいでした」と言ってのけたあたりは期待できる。技術的レベルは蓋を開けてみないとわからないが、大切なのは度胸であろう。
来季、PGAツアーは、丸山茂樹、田中秀道、今田竜二に丸山大輔が加わり、合計4人になる。藍ちゃん、しのぶちゃんも、そりゃがんばったけれど、男性陣もなかなかがんばっているということを、日本のゴルフファンのみなさんに忘れてほしくないと思う。
2005年12月05日
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http://sports.livedoor.com/magazine/detail?sid=208
2005年12月03日
宮里藍ちゃんが米LPGAのQスクール最終予選を独走している。今日で5日間のうちの第3ラウンドを終えたところ。現在、2位に7打差で断トツ首位。いやいや、彼女のパワーには恐れ入ってしまう。
藍ちゃんを追う日本人メディアは、今回の会場に62名も来ているのだが、アメリカ人メディアは、初日がせいぜい4~5人。その人数は徐々に増えつつあるものの、日本人メディアの数と比べれば、ホントにパラパラだ。
会場にやってきたアメリカ人メディアの最初の感想は、「一体、何が起こっているの?」。藍ちゃんの組につき、列をなして歩く日本人メディアの姿を見て、そう感じたのだそうだ。
初日、藍ちゃんはアメリカの注目新人であるモーガン・プレッセルと並んで首位タイだった。その日、アメリカ人記者3人が藍ちゃんにいくつか質問を浴びせたのだが、その内容は、やっぱり自分たちの驚きをそのまま彼女にぶつけるような内容ばかり。「こんなにすごい人数の日本人メディアに囲まれて、どんな気分ですか?」といったもの。藍ちゃんは苦笑しながらも、「それだけ注目されているってことは、うれしい」と、うまくかわしていた。
だが、2位に3打差で単独首位に立った第2ラウンド終了後は、彼らの質問内容が、日本人メディアの話から藍ちゃん自身の考え方へと変わっていった。「優勝(トップ通過)することと、上位24名に入ることと、どっちがあなたにとってより重要?」。彼女は、「トップ通過です」と答えた。
そして3日目。アメリカ人メディアの質問は、彼女のプレー内容に関するものへ。やっと、首位を走るプレーヤーに質問するような内容を質問し始めたわけだ。
それにしても、質疑応答は通訳を介して行われるため、とりあえず彼らは聞きたいことを聞くことができるし、知りたいことを知ることもできる。だが、彼らの観察日記となると、妙な誤解も生じるようだ。ギョッとしてしまったのは、Qスクール会場となっているデイトナビーチの地元紙の記事。
その記事を書いた記者は、日本人メディアに囲まれて質問に答える藍ちゃんの様子を傍から観察し、自分の印象めいたことを書いていたのだが、これが的外れもいいところ。「アイ・ミヤザトはとても礼儀正しくジャパニーズメディアのインタビューに答えていた。しかし、カメラクルーに向けたその表情、レポーターに答えるその表情は不快感に溢れていた‥‥」という内容。これを読んで、おいおい、冗談じゃないよと思った。なぜって、藍ちゃんは決して不快感をあらわにして日本のメディアに応対してはいないからだ。「礼儀正しく」はその通り。そして彼女は、「丁寧に」、そしてところどころ「笑顔も交えて」、きっちり対応していたわけで、そりゃ、はしゃいだり、大笑いして喜んだりはしていないけれど、それは彼女が不快だからではなく、彼女らしさ。そして、自分のテンションをイーブンに保つためでもあるのだろうと思う。

藍ちゃんに付く日本人メディアの多さを第一面で伝える地元紙『ニュースジャーナル』。アメリカには街の数だけ新聞がある。
Photo/JJ Tanabe
しかし、その地元紙の記者は、首位に立つ喜びを体やジェスチャー、表情などで大きく表現しない藍ちゃんは不快感を感じていると推察したようだ。日本語がわからないから、藍ちゃんと日本人メディアの会話の内容はわからない。だから、傍から見た印象と推測で、「藍ちゃんは不快そうだった」と書いてしまっている。こりゃ、とんでもない話だ。
国民性の違いが、感情表現の違い、あるいはメディアに対する応対姿勢の違いとなって表れるのは当たり前。喜怒哀楽の表現が派手なアメリカ人から見れば、この地元紙の記者のような誤解を生じることがあるのかもしれない。藍ちゃんが今回のQスクールに合格することは、まず間違いなさそうだが、藍ちゃんの素顔や性格、はたまた日本人らしさというものがアメリカ人メディアやアメリカのゴルフファンにきっちり理解してもらえるまでには、結構時間がかかりそうだ。
舩越園子
2005年12月01日
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米ゴルフ界のオフシーズンの恒例行事となっているスキンズゲームで、フレッド・ファンクがスカートを履いた映像が、しつこいほど何度もCNNヘッドラインニュースで流れた。あるホールでアニカ・ソレンスタムにオーバードライブされたらスカートを履くと約束し、本当にオーバードライブされた末のパフォーマンス。テレビ画面に映し出されたピンクの花柄スカート姿のファンクを眺めながら、いかにもファンクらしいと苦笑してしまった。
アニカは女子選手の中でもビッグヒッターの部類。対するファンクは米ツアーで最も飛距離が出ないことで知られている。2人の飛距離競争は最初から勝負がついていたようなものだから、ファンクはエンタテイメントのために、このパフォーマンスを「準備」してきたに違いない。なぜって、ファンクが履いたスカートは、ウエスト部分がすべてゴム製だった。伸縮自在のウエストだから、男性でも簡単に履けるわけで、そんな都合のよいものが、スキンズゲームの会場にたまたま売っていたわけはないのである。
ファンクという人物は、自分がショートヒッターであることをもちろん認識しているが、飛距離が出ないことを悲観するコメントを彼の口から聞いたことがない。彼は飛ばない代わりに曲がらない。いや、曲がらないというより、狙ったところへボールを確実に運べる正確性が米ツアーで最も高い男だ。まるでレーダーのように正確なショットコントロール術を備えているため、「レーダーマン」とも呼ばれている。一昔前、マイク・リードという選手のニックネームだった「レーダーマン」は、時代が推移した今、ファンクのものになった。
話がずれてしまった。ファンク自身の話に戻ろう。彼はなぜ飛ばないことを悲観しないですむのか。それは、飛距離が出なくても、高い正確性を武器に勝負できるという自負、自信があるから。飛距離よりスコアメイクにつなりうる何かがあれば、ショートヒッターであることを悲観する必要はないのであろう。
おまけにファンクは、ショートヒッターであることを活用して人々を楽しませる術も備えている。記者会見でも、プロアマのときでも、「こんな長いコース、オレは日が暮れてもグリーンまでたどり着けないよ。わかってんのか、キミたち?」といった類のジョークを頻発。人々が笑うと、満足気な表情で彼も笑う。スキンズゲームでのスカートプレーは、そんなファンクのご愛嬌の1つだったのだ。
それにしても、ゴルフは飛距離だけじゃないということを、ファンクはこの大会でも証明してくれた。一番飛距離が出ず、女性のアニカにもオーバードライブされてしまったというのに、彼は18ホールで15スキンズを獲得し、断トツで優勝したのだ。もっとも、スキンズゲームはタイミングが命。引き分けでスキンがキャリーオーバーされ、たまりにたまったところで勝つのがスキンズゲームの必勝法。グッドタイミングでこれをやってのけるためには、実力のみならず運も必要。ファンクは、レーダーのような正確なショット、タイミング、運、すべてを味方につけて優勝したわけだが、タイガー・ウッズやフレッド・カプルス、アニカらを押しのけて彼に勝利の女神が微笑んだ理由は、おそらく、彼のスカートパフォーマンスが勝利の女神をクスッと笑わせたからであろう。そんな気がしてならない。

一家総出でパッティング練習中。左がファンク。右は息子のテイラー。真ん中は娘のぺり。
Photo/JJ Tanabe