2005年12月01日
男の女化?
米ゴルフ界のオフシーズンの恒例行事となっているスキンズゲームで、フレッド・ファンクがスカートを履いた映像が、しつこいほど何度もCNNヘッドラインニュースで流れた。あるホールでアニカ・ソレンスタムにオーバードライブされたらスカートを履くと約束し、本当にオーバードライブされた末のパフォーマンス。テレビ画面に映し出されたピンクの花柄スカート姿のファンクを眺めながら、いかにもファンクらしいと苦笑してしまった。
アニカは女子選手の中でもビッグヒッターの部類。対するファンクは米ツアーで最も飛距離が出ないことで知られている。2人の飛距離競争は最初から勝負がついていたようなものだから、ファンクはエンタテイメントのために、このパフォーマンスを「準備」してきたに違いない。なぜって、ファンクが履いたスカートは、ウエスト部分がすべてゴム製だった。伸縮自在のウエストだから、男性でも簡単に履けるわけで、そんな都合のよいものが、スキンズゲームの会場にたまたま売っていたわけはないのである。
ファンクという人物は、自分がショートヒッターであることをもちろん認識しているが、飛距離が出ないことを悲観するコメントを彼の口から聞いたことがない。彼は飛ばない代わりに曲がらない。いや、曲がらないというより、狙ったところへボールを確実に運べる正確性が米ツアーで最も高い男だ。まるでレーダーのように正確なショットコントロール術を備えているため、「レーダーマン」とも呼ばれている。一昔前、マイク・リードという選手のニックネームだった「レーダーマン」は、時代が推移した今、ファンクのものになった。
話がずれてしまった。ファンク自身の話に戻ろう。彼はなぜ飛ばないことを悲観しないですむのか。それは、飛距離が出なくても、高い正確性を武器に勝負できるという自負、自信があるから。飛距離よりスコアメイクにつなりうる何かがあれば、ショートヒッターであることを悲観する必要はないのであろう。
おまけにファンクは、ショートヒッターであることを活用して人々を楽しませる術も備えている。記者会見でも、プロアマのときでも、「こんな長いコース、オレは日が暮れてもグリーンまでたどり着けないよ。わかってんのか、キミたち?」といった類のジョークを頻発。人々が笑うと、満足気な表情で彼も笑う。スキンズゲームでのスカートプレーは、そんなファンクのご愛嬌の1つだったのだ。
それにしても、ゴルフは飛距離だけじゃないということを、ファンクはこの大会でも証明してくれた。一番飛距離が出ず、女性のアニカにもオーバードライブされてしまったというのに、彼は18ホールで15スキンズを獲得し、断トツで優勝したのだ。もっとも、スキンズゲームはタイミングが命。引き分けでスキンがキャリーオーバーされ、たまりにたまったところで勝つのがスキンズゲームの必勝法。グッドタイミングでこれをやってのけるためには、実力のみならず運も必要。ファンクは、レーダーのような正確なショット、タイミング、運、すべてを味方につけて優勝したわけだが、タイガー・ウッズやフレッド・カプルス、アニカらを押しのけて彼に勝利の女神が微笑んだ理由は、おそらく、彼のスカートパフォーマンスが勝利の女神をクスッと笑わせたからであろう。そんな気がしてならない。

一家総出でパッティング練習中。左がファンク。右は息子のテイラー。真ん中は娘のぺり。
Photo/JJ Tanabe



