2005年12月03日
米メディアの「藍ちゃん観」
宮里藍ちゃんが米LPGAのQスクール最終予選を独走している。今日で5日間のうちの第3ラウンドを終えたところ。現在、2位に7打差で断トツ首位。いやいや、彼女のパワーには恐れ入ってしまう。
藍ちゃんを追う日本人メディアは、今回の会場に62名も来ているのだが、アメリカ人メディアは、初日がせいぜい4~5人。その人数は徐々に増えつつあるものの、日本人メディアの数と比べれば、ホントにパラパラだ。
会場にやってきたアメリカ人メディアの最初の感想は、「一体、何が起こっているの?」。藍ちゃんの組につき、列をなして歩く日本人メディアの姿を見て、そう感じたのだそうだ。
初日、藍ちゃんはアメリカの注目新人であるモーガン・プレッセルと並んで首位タイだった。その日、アメリカ人記者3人が藍ちゃんにいくつか質問を浴びせたのだが、その内容は、やっぱり自分たちの驚きをそのまま彼女にぶつけるような内容ばかり。「こんなにすごい人数の日本人メディアに囲まれて、どんな気分ですか?」といったもの。藍ちゃんは苦笑しながらも、「それだけ注目されているってことは、うれしい」と、うまくかわしていた。
だが、2位に3打差で単独首位に立った第2ラウンド終了後は、彼らの質問内容が、日本人メディアの話から藍ちゃん自身の考え方へと変わっていった。「優勝(トップ通過)することと、上位24名に入ることと、どっちがあなたにとってより重要?」。彼女は、「トップ通過です」と答えた。
そして3日目。アメリカ人メディアの質問は、彼女のプレー内容に関するものへ。やっと、首位を走るプレーヤーに質問するような内容を質問し始めたわけだ。
それにしても、質疑応答は通訳を介して行われるため、とりあえず彼らは聞きたいことを聞くことができるし、知りたいことを知ることもできる。だが、彼らの観察日記となると、妙な誤解も生じるようだ。ギョッとしてしまったのは、Qスクール会場となっているデイトナビーチの地元紙の記事。
その記事を書いた記者は、日本人メディアに囲まれて質問に答える藍ちゃんの様子を傍から観察し、自分の印象めいたことを書いていたのだが、これが的外れもいいところ。「アイ・ミヤザトはとても礼儀正しくジャパニーズメディアのインタビューに答えていた。しかし、カメラクルーに向けたその表情、レポーターに答えるその表情は不快感に溢れていた‥‥」という内容。これを読んで、おいおい、冗談じゃないよと思った。なぜって、藍ちゃんは決して不快感をあらわにして日本のメディアに応対してはいないからだ。「礼儀正しく」はその通り。そして彼女は、「丁寧に」、そしてところどころ「笑顔も交えて」、きっちり対応していたわけで、そりゃ、はしゃいだり、大笑いして喜んだりはしていないけれど、それは彼女が不快だからではなく、彼女らしさ。そして、自分のテンションをイーブンに保つためでもあるのだろうと思う。

藍ちゃんに付く日本人メディアの多さを第一面で伝える地元紙『ニュースジャーナル』。アメリカには街の数だけ新聞がある。
Photo/JJ Tanabe
しかし、その地元紙の記者は、首位に立つ喜びを体やジェスチャー、表情などで大きく表現しない藍ちゃんは不快感を感じていると推察したようだ。日本語がわからないから、藍ちゃんと日本人メディアの会話の内容はわからない。だから、傍から見た印象と推測で、「藍ちゃんは不快そうだった」と書いてしまっている。こりゃ、とんでもない話だ。
国民性の違いが、感情表現の違い、あるいはメディアに対する応対姿勢の違いとなって表れるのは当たり前。喜怒哀楽の表現が派手なアメリカ人から見れば、この地元紙の記者のような誤解を生じることがあるのかもしれない。藍ちゃんが今回のQスクールに合格することは、まず間違いなさそうだが、藍ちゃんの素顔や性格、はたまた日本人らしさというものがアメリカ人メディアやアメリカのゴルフファンにきっちり理解してもらえるまでには、結構時間がかかりそうだ。
舩越園子



