2005年12月17日
藍ちゃんの言葉に安堵
アジア・ジャパン沖縄オープンに出場した宮里藍が最下位で予選落ちした。今後も男子ツアーに挑戦するかと問われた藍ちゃんは、「(それは)ないです。そういう挑戦は無謀だと思った」と答えたそうだ。
その言葉を聞いて、私は正直、ほっと胸を撫で下ろした。なぜって、藍ちゃんが男子の試合に出る意義からして私は疑問を抱いていたし、そんなことをしても彼女にとってプラスになるものがあるのかどうかと、その部分にも首を傾げていたからだ。だから、彼女が今後も挑戦したいなんてことを考え始めないよう祈っていたのだ。
米PGAツアーに挑戦したアニカ・ソレンスタムやミッシェル・ウィーのケースは別だ。彼女たちは、自分が男子の試合に出る意義というものを当初から明確に抱いていた。アニカの場合は「自分を試したい」という挑戦意欲。ウィーの場合は、幼いころから男女の壁を越えることを目標にしているという彼女自身のスタンス。しかし、藍ちゃんの場合、どうして男子の試合に出なければいけないのかがはっきりしてはいなかった。
沖縄オープン出場は、周囲が先に決めたことだと聞いている。最終的な意志決定は藍ちゃん自身が下したのかもしれないが、あくまで故郷沖縄の人々への恩返し的なことが大義名分であって、自身の目標や向上のためではない。恩返しは大切だけれど、アスリートが第一に考えるべきことは、やっぱり自分のこと。せっかく米LPGAのQスクールで見事なゴルフを披露し、いわゆる「いい感じ」を得た藍ちゃんが、男子の試合に挑戦して最下位になったことで「いい感じ」を忘れてしまったら、それは彼女にとって大きなマイナスになってしまう。
だから、自分にとってのプラス要素が見つからない以上、男子の世界になんて、わざわざ挑戦してほしくはないと思っていた。だから、彼女が「そういう挑戦は無謀だ」と認識してくれて、本当にほっとしたのだ。
今後、日本のゴルフ界が注意すべきことは、せっかく才能やスター性に溢れている選手を、人寄せパンダに仕立ててつぶさないようにすることだろう。藍ちゃんが出ればギャラリーが増える、視聴率が伸びると考えるのは、ビジネス上、ごもっともだと頷ける。だが、そういう意図ばかりが先に立ち、パンダにされたスターの感性を低下させることがあったら、それは「周囲が才能をつぶす」ことになる。もちろん、今回の出来事で藍ちゃんがつぶされたわけではないけれど、もともとスターに欠如気味の日本のゴルフ界は、せっかく現われたスターをもっと本当の意味で大事にすべきだと思わずにはいられなかった。

日本でも海外でも、注目を集める藍ちゃん。対応の仕方は、すでに世界のトップクラスだ。

予選落ちも今後の糧と変えていく。その能力こそが天才の証。
Photo/JJ Tanabe(写真上下2点とも、米LPGA・QT最終予選会場での模様)



