2006年01月10日
アップルビーの優勝
スチュワート・アップルビーが開幕戦メルセデス選手権で優勝した。大会3連覇は50年ぶりの偉業。しかし、その偉業より、私にとってはうれしいことがある。
アップルビーの悲しい過去をご存知だろうか?前妻リネイを目前の交通事故で失ったのだ。事故から1年後、彼にその話を取材し、2人で一緒に泣いたことがある。あのとき彼は、「いつかは結婚すると思う。人生には伴侶が必要だから。でも、僕はリネイを生涯忘れない」と涙ながらに語ってくれた。
一昨年だったか、そんな彼の自宅を訪ねた。再婚した妻アシュリーとの愛の巣。すっかり元気を取り戻したアップルビーは、しかしその家にリネイとの約束だったワインセラーを作り、アシュリーを愛しながらも、亡くなったリネイを心の奥底で愛していた。
そんなアップルビーが昨年、メルセデスを2連覇した直後、長女のエラちゃんが生まれた。そして今年。3連覇を果たしたアップルビーを、アシュリーはエラを抱いて見守り、アシュリーのお腹の中には2番目の子供が宿されている。そんなこんなを考えながら優勝した彼の姿を眺めるのは感慨深かった。人は誰かを愛しながら生きる。だから強い。ゴルフの試合を取材しながら、そんなことを考えていた。

悲しみのあとには、大きな幸せが。
Photo/JJ Tanabe



