2006年02月08日
ギャラリースタンド
毎年、米ツアーの中の9~10試合が、TPCと冠されたコースで開催される。TPCとは、トーナメントプレーヤーズクラブのこと。PGAツアーが試合開催を目的に作ったコースである。そのため、観戦するギャラリーのことをあらかじめ思った設計が施されている。いわば、ギャラリーに優しいコース。どういうことかと言えば、たとえば、ギャラリーがいろいろな選手のプレーを見に行きやすいよう、入り口やクラブハウスからいろいろなホールへ行きやすいレイアウトになっていたりする。また、ギャラリースタンドのような人工的な観戦の場を設けるよりも、むしろ自然のままの土手などに座ったり立ったりしてティグラウンド上やグリーン上のプレーが見られるようになっているのだ。
TPCの中で最も有名なのは、プレーヤーズ選手権の舞台、TPCソーグラス。だが、最も多くのギャラリーに親しまれているのは、やはり1週間で延べ50万人以上のギャラリーを迎え入れるTPCスコッツデールである。
TPCスコッツデールは、先週開催されたFBRオープン(旧フェニックスオープン)の開催コース。あちらこちらの土手には美しい芝生が張りめぐらされており、子供から大人、ご老人まで、みんながピクニック気分、お祭り気分で、その「自然のギャラリースタンド」から観戦を楽しんでいる様子が目についた。
このコースの16番パー3は、ギャラリーが興奮する典型ホール。かつて、デビュー間もないタイガーがホールインワンを決めたときなどは、ホールを取り巻くギャラリー全員がエキサイトしすぎておかしくなってしまうのではないかと心配になるほど狂喜していた。

『TPCスコッツデール・スタジアムコース16番ホール』まさに“スタジアム”だ。
Photo/JJ Tanabe
しかし、年々、この16番の周辺が人工的になりつつある。かつては、ティグラウンドの周りまで入って観戦できたのに、去年あたりからはスタンドが作られて仕切られてしまい、ホールの両サイド、グリーン後方も、すべて人口のギャラリースタンドに囲まれてしまったのだ。いつだったか、パットしているタイガーめがけてギャラリーがオレンジ(みかん)を投げつける事件もあった。そんなこんなを防ぐため、ロープではなく人口のフェンスやスタンドで仕切ってしまったわけで、これは少しばかり淋しい。だが、スタンドにしたことで、16番の周辺で観戦できるギャラリー数は増加した。だから、どっちがよいのかといえば、どっこいどっこいということになる。
が、いずれにせよ、TPCスコッツデールやTPCソーグラスに行くと、ギャラリーが選手と一体化しながら試合を楽しんでいるなと実感できる。PGAツアーが考案し、設計しただけあって、ギャラリー導線を最もよく考慮したコースに仕上がっている。TPCスコッツデールが舞台ではなかったら、フェニックスの大観衆を収容することは難しかったかもしれないと思えるほどだ。ツアーを盛り上げるためには、まずギャラリーのことを考えて舞台作りをする--そんなPGAツアーは、今更ながら感心する。



