2006年02月20日
素人取材
宮里藍の米デビュー戦となったSBSオープンの2日目の出来事。日没サスペンデッドとなった初日の残り4ホールを消化後、第2ラウンドに入るまでの30分足らずの時間を、藍ちゃんはパッティング練習に当てていた。そのパッティンググリーンのロープ際に、突然現れたお相撲さんが3人。日本人メディアは最初はみんな遠巻きに眺めていたのだが、以前からお相撲さんに興味があった私は、思わず駆け寄り、いの一番に取材を始めてしまった。
ところが、だ。お相撲さんの世界に関しては完全なる無知で、無論、お相撲取材などしたこともなかった私の取材の仕方は、とんでもなく素人。その場では夢中だったから何も感じなかったが、あとで思い返して自分で笑ってしまったほどだ。
まず、一番自分に近い位置に立っていたお相撲さんに突撃した。で、こう声をかけてしまった。
「こんにちわ。あのー、お相撲さんですよね」
当たり前!おまけに、「関取り」とか「○○関」と言うのではなく「お相撲さん」と言ってしまったところが
素人くさい。
で、なぜハワイにいるのか、藍ちゃん観戦のためだけに来たのか、ゴルフは好きか、などなど思いつく限りの質問をそのお相撲さんに続けた。そのうち、「オレなんかより、あっちに聞いたほうがいいんじゃない」と、そのお相撲さんが言った。そのわけは、後からわかったのだが、私が質問攻めしていたのは、実は付き人で、残りの2人は関取りだったからだ。だが、その意味さえわからなかった私の反撃はこうだ。
「えっ、どうしてですか?あっちの2人のほうがゴルフ好きなんですか?ああ、もっとゴルフがうまいんですか?それとも、藍ちゃんの熱狂ファンだから?」
その後、以前、相撲担当記者だったという某新聞社の記者が、1人は高見盛、もう1人は潮丸で、元高見山が親方の東関部屋だと教えてくれた。そうした情報は、わかったらわかったで原稿を書くとき非常に助かる。しかし、私はそのとき自分の原稿のことより、めったにないお相撲さんとのコミュニケーションに夢中で、久々に興奮してしまっていた。
藍ちゃんのラウンド中、ロープ際で人々の後方に遠慮がちに立ち、黙って静かに藍ちゃんを眺める3人の姿は妙に可愛らしかった。そのうち、彼らがランチを食べる気配。思わず、付いていってしまったら、関取りらが着席しても、付き人だけはしばらく立ったまま。で、暇そうなので、またまた話しかけてしまった。ふと見ると、和風の巾着を持っていた。「やっぱりお相撲さんは、そういう小物も和風じゃないといけないんですか?」付き人のお相撲さんは、ちょっぴり笑って、「え、そんなことないです。潮丸なんて、あんなバッグ持ってるし……」。見れば、潮丸のバッグは、なにやら幾何学的な模様がぐちゃぐちゃと施されたビニール製みたいなバッグだった。
ともあれ、アロハシャツ姿で、どこで手に入れたのか、あんな巨体でも履けるジーンズなんか履いていた3人のお相撲さんの取材は、なんとも楽しく、そして素人くさかった。ちゃんとした相撲担当記者がやったら怒鳴りつけられるようなマナー知らずの取材の仕方だったと思うが、事実、お相撲取材は素人なので、まあ、みなさん、今回は大目に見てください。

ランチにハンバーガーを食べる高見盛関(右)と潮丸関(左)。ランチじゃなくって、おやつ?
Photo/JJ Tanabe



