2006年03月08日
鵜呑みにできないデータ
米PGAツアーがメディアのために用意しているメディアガイドというものがある。ツアーメンバーである選手たち個人個人のプロフィールやさまざまなデータなどが網羅されており、試合やツアーの過去の記録なども山ほど載っている。私たちメディアは、記事を書く際、このメディアガイドを参照することが多々ある。もちろん、そのために作成されたものなのだ。
今季、ルーキーの活躍が目覚しく、中でも、ババ・ワトソンという飛ばし屋は注目の新人だ。彼のことを何か書こうかなと思い、本人に取材する前に予備知識を頭に入れようと思って、メディアガイドを見た。ワトソンのページには、生年月日が1978年11月5日で、現在フロリダ在住で、妻の名はアンジーで……と彼に関するデータがたくさん書かれていた。その中で、「ゴルフを始めて以来、ずっと同じパターを現在も使用している」とあるではないか。
こりゃ面白い。ワトソンは現在27才。何歳からゴルフを始めたかは書かれていないが、ハイスクールのゴルフ部とは書かれているから、最低でも11年以上はたった1本のパターを使い続けていることになる。最新のハイテク技術を活かして作られたパターが世の中に出回っているというのに、いまだに10年以上も前のパターをずっと後生大事に使っているなんて、そこには何か隠されたストーリーがあるに違いない。
そう思って、さっそくワトソンを探し、声をかけた。「ずっと同じパターを使っているんですって?ツアーのメディアガイドにそう書いてあったんですけど、本当にホント?」と尋ねると、ワトソンは「えっ?ああ、メディアガイドは間違っているんです。今使っているパターは、すでに3本目です」と来て、ガクンと肩透かしを食らってしまった。
新人だけあって、メディアからの取材には緊張してしまうらしい。180センチの長身なのに、話している間、ずっと直立不動で話し方が固いのだ。そこがなんとも新人っぽくてかわいらしい。それにしても、メディアガイドなんてものは、参考にこそなれ、鵜呑みにはできないとつくづく思う。米メディアなんぞは、よくこのメディアガイドをそっくり写して記事を書いたりする人がいるけれど、やっぱり生取材で肉声を拾わないと、本当のことは伝えられないと、つくづく思った。

あくまでも「参考文献」のメディアガイド。縞模様のシャフトのことも載ってない。
Photo/JJ Tanabe



