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舩越園子のGOLF JOURNAL

2006年06月21日

哀れなアダム

全米オープンは優勝確実と思われたフィル・ミケルソンが18番でダブルボギーを叩き、ジェフ・オギルビーに勝利が転がり込むという大どんでん返しの結末だった。

オギルビーのメジャー初勝利が決まり、18番グリーンで表彰式が始まったころから、グリーンサイドにアダム・スコットがカジュアルシャツ姿でたたずんでいた。スコットとオギルビーは同じオーストラリア出身の親友。タイガーにそっくりなスウィングと甘いマスク、それにプレーヤーズ選手権というビッグタイトルを手に入れているスコットのほうがメジャー優勝に近いと目されてきたが、オギルビーに先を越され、ちょっとばかり心中穏やかではないはず。けれど、親友の快挙を讃え、「おめでとう」と直接声をかけたい一心で、スコットはわざわざグリーンサイドまでやってきて、表彰式が終わるのを待っていたのだ。

優勝カップを掲げ、大勢のカメラマンたちのリクエストに応えながらポーズを取るオギルビー。チャンピオンだけが味わえる「行事」もようやく終わり、オギルビーが18番グリーンからクラブハウスのほうへ歩き出した。けれど、オギルビーには「おめでとうコール」が殺到している様子で、彼は携帯電話を耳に当てたまま歩いている。

そして、悲劇は起こった。電話の会話に夢中のオギルビーは、長い間、ずっと立って待っていたスコットにまったく気が付かず、スコットの前を素通りして行ってしまったのだ。スコットは、「あー、行かないで~」と言わんばかりに手を伸ばしかけたが、ガードするポリスマンやら関係者やらに囲まれたオギルビーにリーチすることはできず、結局、スコットはただの待ちぼうけ。かわいそうすぎるではないか……。

傍で見ていたゴルフチャンネルのリポーターが、すかさずスコットをつかまえ、オーストラリア時代の話やオギルビーとの逸話などをインタビューし始めた。それで少しは救われた(?)のかもしれないが、人気面でははるかに上をいくスコットが、メジャーチャンプとなったオギルビーに「無視」されてしまったそのシーンは、実力社会の厳しさを物語るというよりは、スコットには気の毒だが、大いに笑えた。

待ちぼうけ.jpg
Photo・JJ Tanabe

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