2006年11月30日
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2006年11月29日
米LPGAがドラッグテストを開始するという意向を発表し、米ゴルフ界はもっぱらこの話題で持ちきりだ。ドラッグ--正式には英語で「パフォーマンス・エンハンシング・ドラッグ」。米PGAツアーでは、タイガー・ウッズがテストを実施するべきだと声を大にしたことで、目下、検討中だが、米LPGAはこれに先手を打つ形で実施を発表。米LPGAのキャロリン・ビーベンス会長は、なんとなく米PGAツアーに対抗意識を抱いている様子で、男子より先へ先へとアクションを焦っている感は否めない。プレーオフ・システムにおいても、米PGAツアーが07年から実施することになっているが、そのぎりぎり直前の今年、最終戦にプレーオフを採用し、話題をさらった。
プレーオフはさておき、ドラッグテストの話。選手たちの間では、さまざまな意見が出ている。アニカ・ソレンスタムは「何も隠すことがなければ、テストされても構わないはず。ツアーの誰かが使っているとは思わないけど、使っていない、ピュアだということが証明されれば、それはいいこと」と前向きな見解。クリスティ・カーは「ワインを飲んでいるかどうかがテストされるんじゃなければ、構わないわ」と冗談交じり。一方、男子選手はというと、表立って賛成論を唱えているのはタイガー。フレッド・カプルスは「テストがいいのかどうかはわからないけど、まあ、使っている人はいるだろうってことだよね」と思わせぶり。
米LPGAが実施するといっても、いきなり年明け早々にというわけではなく、07年後半に詳細が発表され、実際にテストが行なわれるのは08年から。とはいえ、アウトラインを作って発表したのは歴史的な出来事だ。だが、それは紳士のスポーツであるべきゴルフにドラッグテストが必要な世の中になってしまったことを認めざるを得ない歴史的な悲しい発表でもあった。
時代は変わり、ゴルフも変わり、選手の顔ぶれもファンも変わる。何でも変わる世の中なのだから、かつてはあり得なかったドラッグユースがゴルフにおいても行なわれているのかもしれないし、ゴルファーだけは誰一人、使っていないのかもしれない。あとは信じるか、信じないかの問題だ。米PGAツアーがテスト実施に戸惑いを見せているのは、その部分。ゴルフの真髄を冒涜するようなテストを実施して、ゴルフツアーの主催団体が大切に育んできたスピリッツが消えてしまうのではないか……。一方の米LPGAビーベンス会長は、そんなことを四の五の言うより、人間誰しもアクションを起こすべきよと言わんばかりのクイックアクション。どっちが評価されるべきか。答えは簡単には出そうもない。

左の白いスーツを着た女性が、ビーベンズ会長。
Photo/JJ Tanabe
2006年11月28日
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2006年11月26日
日本のカシオワールドオープンに挑戦したミッシェル・ウィー。今回も予選通過はならなかったどころか、またしても最下位の予選落ち。その結果は残念だが、まあ、今季終盤の過労による不調からすれば、やる前からわかっていた結果だったと思う。
彼女の男子ツアーへの挑戦に対して賛否両論があるのは確かで、否定的意見もうなずけるし、ウィー本人の主張もうなずける。
その是非はさておき、周囲からの批判を少しでも緩和するためには、やっぱりプライベートジェットはどうかなあと、どうしても思ってしまう。今回の来日は、ドーンとプライベートジェットで乗り付けてしまったウィー。そりゃまあ、昨年のプロ転向時に推定10ミリオンの契約金を手にしたのだから、プライベートジェットに乗るぐらい、金銭的にはどうってことはないのだろう。
だが、米ゴルフ界におけるプライベートジェットの実情を考えると、17歳のプロになりたてのウィーが乗るには、ちと早すぎる。米ツアー選手たちの移動手段の中で、プライベートジェットは徐々に普及し始めてはいる。しかし、実際にジェットを所有しているのは、アーノルド・パーマー、グレッグ・ノーマン、ニック・プライス、ハル・サットンといった超大物たちだけで、その他の選手は所有ではなくチャーターだ。そう、あのタイガー・ウッズでさえ、所有ではなくチャーター。丸山茂樹だって、スポンサー企業の協力を得た上でのチャーターである。
だったら、ウィーだってチャーターなのだから別に構わないだろうってことになるわけだが、そのチャーター代、どのぐらいかといえば、通常1時間のフライトで3000ドル前後が相場。となると、ハワイから日本への往復を考えると、おおよそ4万ドルというところだろうか。だが、こうしたチャーター代をポンと出せる選手は多くはない。米男子ツアーのそこそこの選手だって、何人かの選手とシェアしてチャーター代を半々にしたり、遠距離だけはプライベートジェット、近距離は一般の飛行機という具合に使い分けたり、そんなこんなで必死のやりくりの中、やっとの思いでプライベートジェットを利用しているのだ。
そんな現状を知ってか知らずか、いきなりプライベートジェットで日本へ飛んだウィー。これこそ、「勝ってからにしろよ!」の声を増大させてしまうだろう。
とはいえ、突き詰めれば、勝っていようと未勝利だろうと、お金があるならチャーターすればいいわけで、本当の本当は、他人からケチをつけられるいわれなどない話だ。しかし、ただでさえジェラシーの視線を向けられがちなウィーなのだから、男子の招待試合に出るときぐらいは、ちょっとだけ控えめな言動にしたほうが、彼女にとってラクな環境を作りやすいではないか。
「周囲の目なんて関係ないわ」とウィーに言い返されてしまうかもしれないけれど、いろんなことを考え合わせると、「普通の飛行機で行ったほうがいいよ。ファーストクラスに乗れば、それほど大変じゃないでしょ?」と、どうしても言いたくなってしまう。こういうのを老婆心というのだろう。あー、年は取りたくない。

ご購入なら、中古でも1機数億円は下りません。
Photo/ JJ Tanabe
2006年11月23日
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2006年11月22日
先日、バースデーガールにはミラクルパワーが味方するかもしれないと書いたら、それが現実になって、自分でもちょっぴり驚いた。ADT選手権の期間中に誕生日を迎えたジュリエッタ・グラナダが優勝し、ロレーナ・オチョアが2位。バースデーガールのワン・ツー・フィニッシュは、ちょっと「出来すぎ」のような不思議な現象だった。
ところで、グラナダのファーストネームは「Julieta」。アメリカ人はこれを元々「ジュリエッタ」と呼んでおり、私も今季ずっと「ハーイ、ジュリエッタ!」と呼びかけていた。だが、パラグアイというかスペイン語読みでは「フリエッタ」らしく、いつからか、それにならって「フリエッタ」と呼び始めている。そして大会期間中、記者会見などで対応する米LPGAの関係者たちも「フリエッタ」と呼ぶようになり、日本の新聞表記も、ふと気づけば「フリエタ」。これは「フリエッタ」ではなく「フリエタ」だから、話はもっとややこしい。私は通常、日本の新聞に記事やコラムを書く場合も、新聞表記というものをあんまり考えず、聞いたままの発音をカタカナ化して書いてしまうため、この大会期間中、最終日の前日になるまで原稿にも「ジュリエッタ」と書いていた。だが、よくよく見ると、自分の記事は紙面では「フリエタ」に直されていて、「あらまあ、しまった」と驚くやら反省するやら。

Photo/JJ Tanabe
まあ、表記はさておき、一番困るのは本人に直接話しかけるときだ。優勝したグラナダに「おめでとう」を言おうと思い、インタビュー等々が一通り終わるのを待ち受けた。で、いざ、グラナダと話し始め、最後に「良かったね。おめでとう、ジュ、フ……ジュリエタ」と、なんだか名前を知らないみたいなあやふやな発音になってしまって、彼女のほうが「あれっ?どうしちゃったの?」と驚き顔。
いやいや、いつも口にしている呼び名を突然変えるのは難しいものだ。そこで、自分なりにいい言い訳を思いついた。19歳までの未勝利のグラナダは「ジュリエッタ」。20歳の誕生日を迎え、ビッグタイトルを手に入れて賞金4位のトッププロの仲間入りをした彼女は「フリエッタ」ということにしよう。そうすれば私自身も納得できる。ということで、これからは新聞表記に近い「フリエッタ」と呼びかけることに決めた。
*「みるみる」さん、「うめこ」さん、コメントありがとうございました。ホント、私もびっくりです!
2006年11月18日
米女子ツアー最終戦、ADT選手権は混沌としている。2日目を終え、宮里藍が単独首位を守っているのはうれしい限りだが、アニカ・ソレンスタムが予選落ちしたり、ロレーナ・オチョアが3日目進出を決めるためのプレーオフを余儀なくされたりと、波乱続き。今日2日目で32人が16人に減らされ、明日は8人へ。そして最終日は8人がゼロからスタートして18ホールを競うという変則方式。だから、今のところ藍ちゃんが首位を守っていても、優勝がすぐそこにあるとは言えない状況だ。
藍ちゃんは明日、パラグアイ出身のジュリエッタ・グラナダと最終組で回る。グラナダは藍ちゃんと同じ今季のルーキーだが、今日17日に20歳のバースデーを迎えたばかり。実は藍ちゃんより年下なのだ。バースデーと言えば、オチョアも15日に25歳のバースデーを迎えた。32人の選手の中にバースデーガールが2人。この事実を知って、ウーンとうなってしまった。
グラナダは、巨大なぬいぐるみのようなヘッドカバーを愛用している。
バースデーや何かの記念日を迎えた選手が優勝した「うれしさ倍増」という現象は、過去のゴルフ界で結構よく起こっていた。なぜそうなるのかなんてことは、わからないけれど、特別な日を迎えて気分が良くなって精神状態が良くなって、それが好成績につながるのかもしれない。
オチョアやグラナダには、バースデーガールのミラクルパワーが備わっている!?いやいや、そんな冗談みたいな話で100万ドルの優勝賞金の行方が決まってしまったら、それこそ冗談じゃないってことになるのだが、こういう迷信めいた話は案外ばかにならないもの。バースデーガールたちの3日目と最終日のプレーの中に奇跡的なLUCKがもしも見て取れたら、「やっぱり、本当なんだ~」と密かに思ってください。
今週の水曜日が誕生日だったオチョア。プロアマ終了直後、コースでたくさんの人からお祝いされた。
Photo/JJ Tanabe
2006年11月17日
今週の米女子ツアー、ADT選手権に関する
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2006年11月16日
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2006年11月15日
今週は宮里藍が出場するADT選手権に来ている。米女子ツアーの試合は、メジャーなどのビッグ大会、あるいは、よほどの注目ポイントでもない限り、ビッグな米メディアは来ないことが多いのだが、このADT選手権は優勝賞金がなんと100万ドル!ロレーナ・オチョア、カーリー・ウエブ、アニカ・ソレンスタム、クリスティー・カーの4人が、ここで優勝すれば賞金女王になる可能性を秘めているだけに、それなりの米メディアが顔を揃え始めている。
その一人、ニューヨークタイムズのゴルフ担当記者デーモン・ハックは、米男子ツアーの取材でよく一緒になる仲良しだ。デーモンは顔を合わせた途端、「園子、ツアーチャンピオンシップに、いなかったね?どうしたの?」。そう私は実は今年のツアーチャンピオンシップに行くことができなかった。ちょっとしたスケジュール上の都合なのだが、何年間も欠かさず取材してシーズン締め括りの大会に足を運ばなかったのは、私としてはちょっとした珍現象。で、デーモンも、いつもいた私がいないのは妙だなと思ったらしい。

デーモン・ハック記者
質問された私は、スケジュール云々とは言わず、こう答えた。「ああ、ちょっとね、07年に向けてバッテリーの充電が必要だったのよ」。この答え、デーモンには馬鹿ウケで、彼は大きな目をくりくりさせながら大笑い。
何がそんなにおかしいか?おわかりの方もいると思うが、プロ入り以来初めてツアーチャンピオンシップを欠場したタイガー・ウッズの欠場理由の言葉が、「07年に向けてバッテリーの充電が必要だから」だったのである。それゆえ、私の答えは、タイガーのこのコメントを知っていなければ面白くも何ともないわけだが、デーモンはタイガー番と言えるほどタイガーにひっついている記者なので、知らないわけはないと確信した上で、ジョークのつもりで言ったのである。
大笑いのあと、デーモンいわく、「でもさあ、来年に向けて充電が必要だからツアーチャンピオンシップを休んだのに、すぐさま中国へ行き、そのあとは日本、そのあとはカリフォルニアでテレビマッチ。変だよね?」。まさに変。充電と言ったら、しばらく試合や周囲の喧騒から離れて、のんびりリラックスするってことだろう。ところが、タイガーはツアーチャンピオンシップだけ休んで、そのあとは世界を飛び回っているわけだから、「充電」が聞いて呆れちゃう話なのである。
タイガーを間近に見る機会が少ない中国や日本のタイガーファンにとっては、タイガーがやってくることはビッグニュースに違いないが、本家本元のアメリカ人にしてみれば、アピアレンスフィー(出場料)の高い海外には行くけど肝心のアメリカツアーの最終戦には出ないなんて、勘弁してくれよと思っても仕方がない。タイガーが出るかどうかは、アメリカ人にとっても、アメリカ人メディアにとっても大問題なのだ。

急速充電は、無理な相談?
Photo・JJ Tanabe
で、デーモンとの会話は来季の開幕戦の話へ発展。「フィル・ミケルソンは来年も開幕戦は出ないよね?」と私が言うと、デーモンは「ああ、出ない出ない。タイガーが出るかどうかも怪しいところだ」。「えっ?せっかく充電したのにタイガーも出ないかもしれないの?」「うん、まだわからないけど出ない可能性も結構高そうだ。もしタイガーが出ないなら、会社は僕をハワイへ派遣しないだろうね」。
うーん、この話を聞くと、藍ちゃんが出るかどうかで、記者やカメラマンを日本から派遣するかどうかを決める日本のメディアとそっくりの事情だなと、つくづく思った。メディアの動きを左右する重要人物。タイガーも藍ちゃんも、やっぱりナショナルスターなんだなと、いまさらながらに痛感してしまった。
2006年11月11日
「万歩計」なるものが世の中に登場したのは、何年前だったか。腰のあたりに付けて、一日に何歩歩いたかをカウントする小さな器械。今でも日本でポピュラーなのかどうかは、私には知るよしもないのだが、私がゴルフの初心者だった20数年前、自分の打数をカウントするための小さな器械をゴルフショップで購入したことがあった。なにしろ当時はスコアが120を越える数だったため、カウンターでもなければ、自分の打数がわからなくなってしまいそうだったからだ。
そんな話をしようとしたわけではない。なぜ突然、万歩計やスコアカウンターを思い出したかといえば、アメリカのゴルフ雑誌に面白い統計が発表されていたからだ。国内屈指の病院、マヨクリニックが、30歳から80歳までの男女ゴルファーを対象に行なった調査結果。あらゆるハンディキャップのゴルファーを集め、彼らにゴルフをさせて、何歩ぐらい歩くのかを調べたのである。もちろん、乗用カートは使わず、歩いてプレー。調査結果によれば、ゴルファーはハンディキャップに関わらず、18ホールのプレーで平均1万1948歩、歩くそうだ。
なるほど。ウォーキングプレーなら、1ラウンドで最低1万歩は歩くわけだ。ゴルフは最高の健康維持法。だが、アメリカのゴルフコースの大半は乗用カートでのプレーである。カートに乗ってすいすい走るだけでは、いくらラウンドしても、とても1万歩には及ばない。そのくせ、アメリカ人はジム通いが大好きで、高級ジムのメンバーになり、そこへ通ってフィットネスをしていることが、ちょっとしたステイタスシンボルにもなっている。だが、その「お気取りアメリカン」だって、高級ゴルフコースに行き、乗用カートにふんぞり返って
走り、ビールを飲みながら、「うーん、われながらグッドショットだ」なんて悦に入っている。なんだか妙な話だ。
日本でも最近はカート使用が増えてきている。が、健康維持に気を遣いたい方は、カートの運転はお仲間に任せ、ご自身はできる限り、歩いていただきたいと思う。万歩計など無くても、歩いてラウンドすれば、ちゃんと一万歩、歩けますから!で、スコアのカウンターはどうする?これは、ご自分には必要と思う方だけ買ってください。
走る!選手のマネジャーたち。複数コースを使用する試合の場合、練習日は選手にカート使用が認められていることがある。
Photo/JJ Tanabe
2006年11月09日
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2006年11月07日
昨日、NYシティマラソンが行なわれた。と言っても、マラソンの日だということを、まったく知らなかったのだが、朝起きて、なんとなく外が騒がしいと感じ、窓を開けて見ると、真下を走る1st アベニューの両サイドにフェンスが建てられていた。交通整理のポリスも立っており、フェンス越しには大勢の人々がコーヒーやら飲み物やら旗やらを手にしてランナーを待ちわびている。それで初めて、NYマラソンの日であることに気づいたというわけだ。
しばらくすると、まず走ってきたのは、身体障害者のランナー。ちょっと不思議な形をした車椅子レーシングカーのようなものに乗って、ビューン、ビューンと走り去る。普通の車椅子のようなものに乗ったご老人と、その後ろを息子と思われる2人の若者が一緒に走る姿には、一段と大きな拍手と歓声。すごいなあと感心させられた。
それから、さらにしばらくすると、ついにランナーたちがやってきた。最初は、かなり早い組の人々が1人、2人とまばらにやってきたのだが、30分も経たないうちに、ランナーの大群が押し寄せてきた。1stアベニューは北へ向かって走る一方通行4車線。その道路いっぱいに、何百人というランナーが大地を踏みしめ走り続ける……その様子は壮観だった。
実は私、NYCマラソンを見たのは初めて。面白くて窓辺から離れられない。飽きることもなく、1時間以上、じっと眺めていたら、1stアベニューが、どうしたわけだかフェアウエイに見えてきた。ゴルフなら目の前のフェアウエイを行くのは、多くて選手が3~4人。キャディやマーシャルなどを加えても、フェアウエイ内にいるのは、せいぜい12人ぐらいだ。人数的には、まるで異なる状況なのだけれど、長く続く1本の舞台があって、その舞台上で主役が必死に力を振り絞り、舞台の両サイドで大勢の観客たちが応援しているという点は、ゴルフもマラソンも同じ。スピード感はまるで違うし、種目も違うけど、私には1本の道がフェアウエイに見えて仕方がなかった。
このマラソン、私のNYでのお姉さんのような存在である日本人女性のぞみさんが、アメリカ人のご主人ジョシュと2人で毎年参加している。のぞみさん夫婦は、もう真下に見えるフェアウエイを通りすぎてしまったのだろうか。方々に電話をかけ情報収集してみると、おそらく30分後ぐらいに通るらしいとわかった。慌ててカメラを持ち出し、フェアウエイのロープ際ならぬ道路のフェンス際へ駆け寄った。
まだかな、まだかな……。30メートルほど先に、お揃いの白いトレーナーを来た2人が見えた。女性の胸に「NOZO」が見えた。あっ、来た!のぞみさんだ!走ってきた彼女も私を見つけた。「のーぞーみー!がんばれ~!イエー~!」信じられないほど大声で叫んだ。彼女は走っている最中だというのに、フェンス際の私のそばまで寄ってきてハグ。そして、また走り去っていった。
なんだか、ものすごくうれしくて楽しかった。フェアウエイをゆく選手の中に、お目当ての選手を見つけ、その選手が観衆の私のそばまでやってきて、ハグしてくれた。感激!
そして思った。ゴルフの試合を見に行ったギャラリーや子供たちは、選手にこんなふうにしてもらって、サインや握手をしてもらったら、こういう感激を得るものなんだ、と。その感激は、何にも変えがたい喜び。なんとなく自分もその競技に参加したような喜び。だからこそ、ゴルフでも選手とギャラリーの触れ合いは大切なのだ。そして、その大切さを、マラソン観戦を通して学んだことが、なんとの不思議な日曜日だった。

Photo/Sonoko Funakoshi
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2006年11月03日
いつだったか、日本の新聞記者がこんなことを言っていた。「アメリカの新聞や雑誌の記事は、ありゃ全部、記事じゃなくてコラムだね。日本の新聞記事には絶対に主観や記者の意見、考えを入れてはいけない。すべてデータで検証して書かなければいけない。でも、アメリカの記者は、自分の意見や考えをただ書けばいいから楽でいいよね。でも、彼らの書いているものは、日本式に言えば、記事じゃなくて、ただのコラムだ」
確かに、日本の新聞記事には書き手である記者の主観や意見をまじえるなという教えがあり、そういう方向にあると思うし、アメリカの記事には書き手の意見ががんがん盛り込まれている。しかし、それじゃあ、どっちがいいのってことになると、あとは読み手の好みもあるし、まあお国柄の違い、国が違う上でのジャーナリズムというものの捉えかたの違いということになる。
私自身は、どちらかといえば、アメリカ式が好きで、私が書くものは、大半がコラムということになる。あえて言えば、結局、人間が書くものだから、日本の新聞記事にも主観が入っていることは間違いない。なぜなら、方向性を決めずしてモノは書けないわけで、たとえば、ある事柄をポジティブに書くか、ネガティブに書くか。その時点で、すでに主観は入っているのだ。だから、あとはその主観を直接的に文字にするかしないかの差。そして、物事をはっきり言うアメリカの記者は、その主観をダイレクトに文字にして主張する。それが、アメリカのジャーナリズムなのだ。
で、アメリカのゴルフ雑誌の記者、ジョンはきわめて辛口なジャーナリスト。彼が最近、書いていたものの中で最も辛口だったのは、今週のツアー選手権をもう何年も欠場し続けているフィル・ミケルソンに対する批判記事だ。ジョンいわく、「フィルは、いまだに全米オープンの最終日、最終ホールのショックから立ち直れていない」「太りすぎだから暑い日のラウンドには、ことさら弱い」「シェイプアップしない限り、しまった体のタイガーには勝てるわけがない」なんてことを、ズバリ書いていた。
どれも、データ的に検証されてはいない。すべては、ミケルソンを取材し続けているジョンの考え、主観、意見、そして分析だ。日本式に言えば、記事ではなくコラムということになるのだが、とにかく読んでいて面白い。読者にしてみれば、記事だろうが、コラムだろうが、読んで面白いものが一番であろう。
それにしても、ミケルソンはどうしてすぐにメディアの攻撃対象になってしまうのだろう。ツアー選手権を欠場しているのは、今年の場合、タイガーとて同じこと。それなのに、タイガーは疲れているから仕方がないということで終わり。ミケルソンは、やれ太りすぎだの、メンタル面が弱いのと、取り沙汰されてしまう。しかし、見方を変えれば、ミケルソンはなんだかんだと言いたくなる可愛いやつ、気になるやつってことかもしれない。エイミーだって、そんな「放っておけない男」だから、フィルにあれほど首ったけなのだろう。そう、取材者は、取材対象に首ったけにならないと、なかなか素顔は見えてこない。批判を書くなら、まずはその選手を好きになり、よくよく眺めて、それからじゃないと書いてはいけないはず。そう、ジョンはミケルソンに実は首ったけの大ファンなのだから。

“憎らしい”ほど“かわいい”!?
Photo/JJ Tanabe
2006年11月02日
今回は、取材の際の完全なる裏話を紹介しようと思う。今、発売中のワッグルにミッシェル・ウィーの独占インタビューが掲載されている。あのインタビューを取るのは、正直、大変だった。ウィーが出場した米PGAツアーの84ランバークラシックで、毎日毎日、インタビューさせてくれとアプローチをかけた相手は父親のBJ。しかし彼は毎回、生返事だし、「ミッシェルは個別のインタビューは嫌がっているから」と言われるばかり。ウィーにはプロ転向した昨年10月以来、ウイリアム・モリス・エージェンシーという大手のエージェントがついている。ハリウッドスターなどを数多く抱えるウイリアム・モリスからウィーのマネージャーが来ていれば、その人物にアプローチすることもできるのだが、いくら探しても会場で見当たらない。だから仕方なく父親に頼んでいたのだが、まったく進展しなかった。
「あー、もう全然だめだあ~」とメディアセンターに戻った私はため息交じりに小声で独り言。それを、たまたま横で聞いたザ・ゴルフチャンネルのレポーター、マイク・リッツが「ロスには頼んだの?」。ロスとは、まさに私が探していたウイリアム・モリス所属のウィーのマネージャー、ロス・バーリン氏のことだ。「だって、ロスはこの会場に来てないでしょ?」「いや来てるよ。さっきオレは話をしたから。ついさっき、この辺にいたんだけどな……ほら、あそこ、あそこ」見ると、本当にロスがいた。

右がマイク・リッツ氏。日ごろのネットワークに助けられる。
見つけたからには逃さない。ロスに向かって突進し、「お願いだから、今日、ミッシェル・ウィーに単独でインタビューさせて!」と頼んだ。ロスは、「うーん、難しいと思うなあ。とにかく取材は殺到しているし。まあ、今日のラウンドの後の状況次第ということで、一応、心には留めておくよ」
ああ、出た出た。「心に留めておく」というのは、彼らマネージャー職の面々がよく使う逃げ口上である。スポーツマネジメントの最王手IMGのちょっと済ましたマネージャーたちは、とにかくこの言葉ではぐらかすことが多い。だめだろうなあ。半分、諦めていた。

いつでも、ウィーの周りは記者でいっぱい。(写真は今年のソニーオープン)
その日は予選カットの日。ウィーは、こともあろうに最下位で予選落ちとなった。「状況次第」というロスの言葉が頭に渦巻く。最下位なんて、状況は最悪である。ああ、絶対ダメだ……。
記者会見に現れたウィーは、思ったより明るかった。というより、明るく気丈に振舞っていたのだと思う。会見後、恒例化している米PGAツアーのインサイドロープというビデオ取材がおこなれる。私は無理を承知でその一段の後ろにとぼとぼ着いていき、ビデオ取材、地元テレビの取材などが終わるのを待った。ロスを無視して、直接ウィーに話しかけてしまおうかとも思ったが、それだとすぐに見つかって打ち切られる。それより何より、そんな横暴な取材の仕方はルール違反だし、ウィーだって、いい話はしてくれない。どうしよう……。
そのとき、ロスが登場。「まだ、取材する気はあるの?」どうやら彼は最下位予選落ちとなったウィーなら、もう取材する気はないと思ったようだ。「もちろん、やらせてもらえるのなら絶対やりたい!」「わかったよ」
アメリカ人記者たちのすべての取材が終わろうとしていたとき、ロスが「じゃあ、次に、インタビューやっていいよ!」「えーーーーーっ、ホント?サンキュー、サンキュー、アイ・ラブ・ユー、ロス!!!!」
こんな経緯で、ウィーの単独インタビューに成功した。はっきり言って、大物選手のマネージャーの中で、これほど親切で、気のいいやつはいなかった。たいていの場合は、「また次回」「あらためて日程を組みましょう」とか何とか言って逃げられてしまうのに、ロスはその場でOKを出してくれた。もちろん、時間はきっちり切られ、終わりの3分前には、近寄ってきて「終わり、終わり」とジェスチャーで終了を催促してきたが、そのぐらいは覚悟の上。とにかく、ロスはありがたかった。

無事、単独インタビューに成功(最新号『ワッグル』より)。マネージャーの協力のおかげだ。
Photo・JJ Tanabe
ウィーの取材は、今後は楽になりそうだな。そんなことを考えていた矢先、ロスがウィーのマネージャーをやめ、元々所属していた米PGAツアーに逆戻りするという報道があった。そんな……。あんないいマネージャーが、辞めちゃうなんて……。
まあ、ウイリアム・モリスは大手だから、後釜はいくらでもいるだろう。だが、マネージャーというのは、人気選手になればなるほど重要で、マネージャーの態度があまりにも悪いと、そのマネージャーと接するメディアは、マネージャーへの不快感が選手への不快感にいつしか変わってしまうこともある。マネージャーの横柄な態度が選手に伝染して、選手まで横柄になってしまうなんてこともある。その代表例は、デビュー当時のセルジオ・ガルシア。彼のマネージャーのとんでもない横柄さによって、ガルシアも人が変わったように横柄になり、最終的には、2人の態度が米メディアの反感を買った。
それほどマネージャーは重要な存在。ウィーの次なるマネージャーが、ロスと同じぐらいいい人なら、今回のマネージャー交代劇がウィー人気に悪影響を及ぼすことはないだろう。早く後釜マネージャーと会ってみたいと思う。