2006年11月07日
NYCマラソン
昨日、NYシティマラソンが行なわれた。と言っても、マラソンの日だということを、まったく知らなかったのだが、朝起きて、なんとなく外が騒がしいと感じ、窓を開けて見ると、真下を走る1st アベニューの両サイドにフェンスが建てられていた。交通整理のポリスも立っており、フェンス越しには大勢の人々がコーヒーやら飲み物やら旗やらを手にしてランナーを待ちわびている。それで初めて、NYマラソンの日であることに気づいたというわけだ。
しばらくすると、まず走ってきたのは、身体障害者のランナー。ちょっと不思議な形をした車椅子レーシングカーのようなものに乗って、ビューン、ビューンと走り去る。普通の車椅子のようなものに乗ったご老人と、その後ろを息子と思われる2人の若者が一緒に走る姿には、一段と大きな拍手と歓声。すごいなあと感心させられた。
それから、さらにしばらくすると、ついにランナーたちがやってきた。最初は、かなり早い組の人々が1人、2人とまばらにやってきたのだが、30分も経たないうちに、ランナーの大群が押し寄せてきた。1stアベニューは北へ向かって走る一方通行4車線。その道路いっぱいに、何百人というランナーが大地を踏みしめ走り続ける……その様子は壮観だった。
実は私、NYCマラソンを見たのは初めて。面白くて窓辺から離れられない。飽きることもなく、1時間以上、じっと眺めていたら、1stアベニューが、どうしたわけだかフェアウエイに見えてきた。ゴルフなら目の前のフェアウエイを行くのは、多くて選手が3~4人。キャディやマーシャルなどを加えても、フェアウエイ内にいるのは、せいぜい12人ぐらいだ。人数的には、まるで異なる状況なのだけれど、長く続く1本の舞台があって、その舞台上で主役が必死に力を振り絞り、舞台の両サイドで大勢の観客たちが応援しているという点は、ゴルフもマラソンも同じ。スピード感はまるで違うし、種目も違うけど、私には1本の道がフェアウエイに見えて仕方がなかった。
このマラソン、私のNYでのお姉さんのような存在である日本人女性のぞみさんが、アメリカ人のご主人ジョシュと2人で毎年参加している。のぞみさん夫婦は、もう真下に見えるフェアウエイを通りすぎてしまったのだろうか。方々に電話をかけ情報収集してみると、おそらく30分後ぐらいに通るらしいとわかった。慌ててカメラを持ち出し、フェアウエイのロープ際ならぬ道路のフェンス際へ駆け寄った。
まだかな、まだかな……。30メートルほど先に、お揃いの白いトレーナーを来た2人が見えた。女性の胸に「NOZO」が見えた。あっ、来た!のぞみさんだ!走ってきた彼女も私を見つけた。「のーぞーみー!がんばれ~!イエー~!」信じられないほど大声で叫んだ。彼女は走っている最中だというのに、フェンス際の私のそばまで寄ってきてハグ。そして、また走り去っていった。
なんだか、ものすごくうれしくて楽しかった。フェアウエイをゆく選手の中に、お目当ての選手を見つけ、その選手が観衆の私のそばまでやってきて、ハグしてくれた。感激!
そして思った。ゴルフの試合を見に行ったギャラリーや子供たちは、選手にこんなふうにしてもらって、サインや握手をしてもらったら、こういう感激を得るものなんだ、と。その感激は、何にも変えがたい喜び。なんとなく自分もその競技に参加したような喜び。だからこそ、ゴルフでも選手とギャラリーの触れ合いは大切なのだ。そして、その大切さを、マラソン観戦を通して学んだことが、なんとの不思議な日曜日だった。

Photo/Sonoko Funakoshi



