2007年02月05日
自信家
今週は米PGAツアーのFBRオープンがアリゾナ州フェニックスで開催されている。しかし、地元大学を卒業し、しばらくは「土地の人」だったフィル・ミケルソンがあえなく予選落ち。振り返れば、昨年の全米オープン72ホール目で大崩れの敗退を喫して以来、彼の成績はパッとしない。やっぱり、あのとき、フェアウエイ左サイドのビッグテントに打ち込んでしまったあのビッグミスショットと、その後のドタバタプレーで、すっかり自信を喪失してしまったのだろう。たった1ホールの出来事が、1人の人間の精神状態を乱し、こんなにも尾を引かせてしまうのだから、そう考えると、たかが1ホール、されど1ホール、である。
ところで、自信というものを失ったことがないのではないかと思える人物がいる。世界の不動産王ドナルド・トランプだ。昨年11月の米女子ツアー最終戦ADT選手権は、彼の所有コースで開催されたが、あのときも彼は、主催者でもないのに1ミリオンの高額賞金が山積みされた前で撮影された選手たちの集合写真のど真ん中に割って入ってきた。ひょっとして、1ミリオンはトランプ氏のふところから出されたものなのかと思ってしまったぐらいだが、調べてみたら、トランプ氏は賞金とは無関係。単なる開催コースの所有者に過ぎないのに、堂々と中央に立って「われこそは」なんて顔をしている彼が、図々しいというより滑稽だった。

06年ATD選手権3日目終了後の風景。真ん中にいるのがトランプ氏。
さて、そのトランプ氏、実は米男子ツアー、それもメジャーへの介入を以前から虎視眈々と狙っている。英国にも触手を伸ばし、全英オープンに絡もうとしていたのは周知の事実だが、今度は全米オープンを自らの支配下で開催しようとたくらんでいる。そして先ごろ、ニュージャージー州に全米オープンの舞台となることを前提にしたコースを完成させ、ご満悦だ。驚いたのは、完成に際し、トランプ氏が発したこの言葉だ。「うーん、このコースは、この私よりグレートだなあ」
トランプ氏のこの言葉、「この私」は言わずと知れたグレートな人物だが、「このコース」はそんなグレートな私よりもっとグレートだぞってことである。いやいや、どうですか、この自信。あっけに取られてしまうのだが、人間、このぐらい自信家になれたら、悩むこともなく楽しく人生を送れそうである。まあ、トランプ氏は常識の枠を超えた自信家だからこそ、不動産王と呼ばれる地位へ上りつめることができたのであって、この超ド級の自信家を抱くトランプ氏は、やっぱりグレートなのかもしれない。

Photo/JJ Tanabe



