2007年03月28日
ナイキのスクエアドライバー回収騒動
昨秋、米ツアーにセンセーショナルな登場を果たした2つのスクエアドライバーといえば、ナイキのSumo2
とキャラウエイのFt-i。しかし、ナイキのSumo2は、早くも回収騒ぎになった。
ナイキはもちろん、USGAの認可を昨年10月に取った上で、このドライバーをデビューさせたのが、最近になって、スプリング効果(Spring-like effect)が規定を超えているものがあるとわかり、3月16日に違反ドライバーが混じっていることを公けにした。
問題は、これによって何が起こるか、である。まず頭に浮かぶのは、すでにSumo2を使用して米ツアー優勝を果たしたチェ・キョンジュのあの勝利はどうなってしまうのか、である。だが、ナイキいわく、ツアープロ用のSumo2は、すべて規定範囲内の合法クラブだとのこと。つまり、チェの優勝には何ら問題がないということで、ひとまず安心した。

昨年10月にナイキSUMOを使用し優勝したチェ・キョンジュ。
Photo/JJ Tanabe
次に頭に浮かんだのは、すでにこのドライバーを購入した消費者はどうなるのか、である。が、これに対してもナイキの対応はなかなか親切で素早い。購入したショップあるいはナイキ社へ持っていくなり送るなりすれば、合法なSumo2と無料交換を約束。もし、購入後にシャフトを自分の好きなものに交換してあったりという場合は、そのシャフトと同じものを合法クラブに付けて送り返すという気の配りようだ。
ナイキが自ら負担する賠償、損害は膨大なものになるだろう。しかし、アメリカの小売り業界では、この騒ぎがナイキにネガティブなダメージを与えないと見ているから驚く。リテイラーは概して「正直な発表をして真摯に対応しようとする姿勢が逆に好印象を生む」と見ているのだそうで、この話を聞くと、うーん、世の中そういうものかと、頷けるような気もする。確かに、一度はUSGAからOKが出てものだし、それでも疑いの余地がわずかでもあるということで再テストをしたら、いくつか問題点が混じりこんでいるとわかってそれを正すわけだから、まあ、確かにナイキの対応や姿勢は、きわめて真面目だ。
だが、ゴルフ業界全体を見れば、今回の一件で、今後、奇抜な形やデザインが出るたびに、本当に違法クラブではないのだろうかという疑問や猜疑心がプロたちの間でも消費者の間でも、まず沸き起こる可能性が高まったことは事実。メーカー各社はしのぎを削り、我さきにと新技術を採用して商品化していくわけだが、それが合法違法の境界線すれすれを走るだけの競争になってしまったら、一体誰のための何のための商品開発なのかわからなくなる。要するに、消費者不在の競争、メーカー各社間の単なる争いになってしまう。
ゴルフクラブは、メーカーがその功績を競い合うより先に、ゴルファーの満足度を高め、ゴルファーが楽しくプレーできる道具であってほしい。新しいクラブが発表されたら、ゴルファーがその合法性に疑問を抱くのではなく、そのパフォーマンスに夢と希望を抱いてほしいではないか。
今回のSumo2回収騒動、ナイキの事後対策は決して悪くはないが、この騒ぎが意味するものは大きいのではないかと私は思う。



