2007年05月30日
今週は米PGAツアーのザ・メモリアルに来ている。メモリアルといえば、帝王ジャック・ニクラスのトーナメント。これは、ボビー・ジョーンズのマスターズに憧れてジャックが創設した大会で、そのせいか、いろいろなものがマスターズに似ているところがなんとも笑える。
たとえば、オフィシャルたちはみなグリーンのジャケットを着ているのだ。これはマスターズのグリーンジャケットとそっくり!ちなみに、このジャケット、大会期間中だけのレンタルだそうで、大会終了と同時に返却するらしい。そういえば、一昔前まで、メディアのバッヂはブリキのバッヂだったのだが、これまたマスターズのメディアバッヂとそっくりで、初めて見たときは大いに笑えたものだ。

それだけじゃない。この大会のロゴマークの真ん中には、どうしたわけか全英オープン覇者に与えられる優勝トロフィーのクラレットジャグが描かれているから面白い。そして、もさもさのラフは全米オープンのそれと、これまたそっくり。こうして見ると、メモリアルにはマスターズ色、全米オープン色、全英オープン色が含まれているのだが、どうしたわけか全米プロ色が見当たらない。ひょっとしてジャック様は、全米プロより我がメモリアルのほうが上だと思っているのだろうか?どうも、そんな気がしてならない。


ところで、今日、ギャラリーバッヂを見ていてふと気が付いたことがある。ギャラリーバッヂにはいくつか種類があるのだが、その一つに「パトロン」と書かれているのだ。パトロンとはお金を出してくれるスポンサーのような人のこと。これがゴルフの世界になると、どうしてだかマスターズのサポーター、つまりはオーガスタナショナルのメンバーという意味になる。もっとも、これは狭義の意味合いで、広義にはマスターズを観戦する人々=ギャラリー。いずれにせよ、マスターズのパトロンたちは、なかなか手ごわく頑固だ。私たちメディアは通常はロープ内を歩いて取材したり撮影したりさせてもらえるのだが、マスターズだけはロープ外のみ。それゆえ大勢のパトロンたちを掻き分けながらの取材になる。ところが、マスターズのパトロンたちは、メディアだろうが何だろうが「オレ様がここで見ているんだよ」という顔で、なかなかどいてくれず、私のように背の低いメディアとなると、パトロンの垣根を越えることは至難のワザとなるのだ。
で、このメモリアルのパトロンはどうだろう?ちょっと質問してみた。
私「このミュアフィールドビレッジのメンバーなのですか?」
パトロンおじさん「いいや。オレは単なるギャラリーさ。毎年来てるけどね」
私「そのパトロンのバッヂは、どういう意味?」
パトロンおじさん「これ?これはいくら入場料を払ったかの証明みたいなもんさ。オレは1週間155ドルのウィークリーバッヂを買ったけど、もうちっとだけ多く払えばクラブハウスバッヂがもらえたのさ」
私「えっ?パトロンバッヂはクラブハウスバッヂより格下なの?」
パトロンおじさん「そうさ。格下。オーガスタのパトロン様とは、ちょっと違うんだよ」
なるほど。同じ「パトロン」でも意味は大違い。どうりでメモリアルの会場で見かけるパトロンたちは気さくな人が多いはずだ。でも、マスターズの真似っこで「パトロン」というバッヂを作ったとしても、どうせなら気さくなほうがいい。世の中、ツンと気取っているよりも、気さくでちょっと引き気味ぐらいでドーンと構えている人のところに幸運は舞い込みやすいように思える。だから、いろんなメジャーの真似っこ部分が多いメモリアルとはいえ、気さくなパトロン気質だけは失わず、真似をしないでこのまま維持してほしいなあ。

Photo/JJ Tanabe
2007年05月26日
日本では15歳のハニカミ王子で話題が持ちきりだとか。確かに15歳でプロの試合を制するのは、すごい。だが、気になるのは、そんなジュニアの未来だ。すでに、ハンカチ王子ならぬハニカミ王子なんてニックネームでもてはやされ、追いかけまくられる日々を送っているはず。最初のうちは、それも楽しいのだろうけれど、あまりに注目が高まりすぎると、必ずや負担になる。それが、ちょっぴり恐ろしい。
その典型例はミッシェル・ウィーだ。現在、ウィーは両手首の故障のため、ずっと試合を欠場しており、その復帰が待たれている状態。ウィー本人は「友達と遊んだり家族とゆっくり過ごしたり、今までできなかったことができて楽しい」なんて子供らしい言葉を口にしているが、本人が休んでいる間にも、彼女の周辺人物は動いているわけで、本人は何もしていないのに渦中の人になってしまう。
ウィーのコーチ、デビッド・レッドベターの発言が騒動になったのである。レッドベターは「ミッシェルは今年は男子の試合には出ない」「ミッシェルは来年にはLPGAのメンバーになって女子ツアーに専念する」と発言。ついにウィーは男子への挑戦を諦めたのかと思いきや、その発言はウィーの意見を代弁したものではないと、追加報道されたのである。

実際、ウィーの次なる男子ツアー挑戦は7月のジョンディアクラシックと目されており、大会側は今月末までに彼女から確かな返答をもらうことになっているが、「欠場する」と言われてはおらず、みな彼女の出場を心待ちにしている。それなのに、レッドベター発言が先走り、ウィーはまたしても渦中の人へ……なんだか気の毒でならない。
ウィーを眺めていると、以前、まだアマチュアとしてソニーオープンのプロアマに出たころに比べると、子供らしいあどけなさが重苦しいプレッシャーに消されつつあるように思えてならない。世界から注目され、プロ転向して多額の契約金を得たのはいいが、それだって、そのお金を彼女が好き放題に使っているわけではないし、彼女がやりたいことは、ただただ思う存分ゴルフをしたいってことだろう。それなのに……と思うと、ハニカミ王子の将来までもが心配になる。
宮里藍も、マスコミや世間の注目の大きさによって少なからず自由が奪われ、いろいろ苦労している。スターの宿命と言えばそれまでだが、スターも人間。ましてやハニカミ王子は、たったの15歳。自制心ある大人たちが、しっかり守ってあげなきゃいけないということを、いま一度、自覚しようではありませんか、みなさん。

Photo/JJ Tanabe
2007年05月22日
今田竜二のプレーオフ惜敗は本当に残念だった。ジュニア時代から今田をウォッチしてきた私としては、昨日の優勝争いを眺めながら、ほとんど母親のような気持ちになってしまった。ジュニアの大会を制したときの今田、ジョージア大学時代の今田、ネイションワイドツアーで苦節5年を送ってきた今田、やっとのことでPGAツアー出場資格を得た今田……優勝争いを繰り広げる今田をロープの内側で応援しながら、頭の中にいろんな今田の姿が、それこそ走馬灯のように蘇ってきた

そんな今田を「妻」の立場から眺めていたのは、香苗夫人。「メディアの人たちに駆けつけてもらって勝てなかったから申し訳なくて……」と妙なことに気を回す香苗夫人の表情には、いつになく緊張が漂っていた。最終日の前夜、今田自身も「勝てなかったら、急遽来てくれるメディアの人たちの飛行機代ぐらい払わなくちゃいけないよね……」なんてことを口走っていたそうで、優勝そのものより、そんなことを会話していたこの夫婦、なんともかわいいではないか。
そう、その最終日の前夜。「竜二くん、緊張してたみたい?」と尋ねると、香苗夫人は「いや~、緊張してたんでしょうけど、そうでもないかな……よく寝てたし。でも、いつもよりイビキは少なかった」。ん?イビキが少なかったことは、いつもより緊張してという意味なのか、緊張してなかったという意味なのか、医学的な見解はわからないが、いつもとちょっとだけ違っていたのは、前夜のディナーのメニューだ。「昨日の夜は、ヒレカツなんか食べてました」。
それは、もちろん「勝つ=カツ、だよね?」「はい、そうだと思うんですけど」。

(プレーオフ前にはバナナで体力補給)
今田がPGAツアーで勝ちたいと願うその気持ちは、人々の想像以上に強いはずだ。華やかなジュニア時代、アマチュア時代。リュウジの名は全米に轟いていた。AJGA(米ジュニアゴルフ協会)のツアーでは、タイガーかリュウジか、というぐらいの勢いだった。だが、そんな天才ジュニアにも低迷期があった。一時はアメリカで戦うこと、プロゴルファーとして戦うことを諦めようかと思うほど低迷したこともあった。そんな苦労を経てたどり着いたPGAツアー、そして初めての優勝争いは、今田にとって万感あまりある状況だったのだ。
だからこそ、「ヒレカツ」。その「カツ」効果は一歩及ばなかったけれど、今度優勝争いを迎える前夜は、是非ともヒレカツを2枚、3枚食べてほしい。そうすれば、「カツ」効果も倍増!?……なんてことも、もしかしたら怒りうるかもしれない。ともあれ、惜敗したけどがんばった竜二君、香苗ちゃん、お疲れ様でした。

(本当によくやった。チャンスはまた、必ずやってくる!)
Photo/JJ Tanabe
2007年05月18日
先週のザ・プレーヤーズを振り返ると、一番印象的だったのは、あのタイガー・ウッズが2日に渡ってスロープレーの計測を受けたことだ。タイガーといえば、ペースの速いプレーで知られているし、今年7月に開催が決定したタイガーのトーナメント「AT&Tナショナル」は、ペースの速いプレーこそがグッドパフォーマンスを生むという理由で出場人数を少人数限定にしようとまで言われている。もちろん発案者はタイガー。そんなタイガーが、こともあろうにスロープレーの計測を受けて自らの集中力を失い、しかもそれが2日間に渡ったのだから、これはちょっとしたニュースだった。

ザ・プレーヤーズ初日、計測を受けるタイガーの組。
だが、今回のタイガーの計測の場合は、タイガー本人のプレーが遅かったのかどうかはなんともいえないのである。というのも、従来の規定では、ある組のペースが遅いと見なされた場合、その組の選手全員の連帯責任として計測が入ることになっているからだ。要するに、同じ組にスローな選手がいた場合、その煽りをくって計測されてしまうという事態が十分にありうるということなのだ。

2日目も計測された。年間10回計測されると罰金2万ドル!
Photo/JJ Tanabe
さて、同大会にはJGTOの山中氏がルール委員として任務についていらしたのだが、その山中氏から伝え聞いた話によると、この連帯責任制を改善したのは日本ツアーだというのだ。プロゴルフの世界となると、大抵の事柄は米ツアーが「先進」で日本ツアーは「後進」だ。だが、日本ツアーでは、明らかに「この人が遅い」とわかる場合に限り、スロープレーの連帯責任を解除し、明らかに遅い人だけを計測や罰則の対象とすることになっているのだそうだ。しかも、その「個別制度」が優れているということで、米ツアーは山中氏を招いてレクチャーを受け、米ツアーでも「個別制度」を導入した。
普通なら日本ツアーが米ツアーから「輸入」ばかりしているのに、このスロープレーの「個別制度」だけは米ツアーが日本ツアーから「逆輸入」。日本のゴルフ界に、そんな優れた制度があって、本当に良かったなあと、妙にうれしくなった。
2007年05月15日
ザ・プレーヤーズはフィル・ミケルソンの堂々たる勝利で幕を閉じた。ミケルソンはこれでメジャー3勝に「第5のメジャー」タイトルも加えたわけで、押しも押されもせぬビッグスターだ。
ところで、この大会が「第5のメジャー」と呼ばれているのは、ご存知の通り。呼ばれているというより、正確に言うと、主催していてPGAツアーが人々に「呼ばせている」ようなもの。そして、「メジャー」の仲間入りをしたいがために、ツアー側が尽くすあの手この手は涙ぐましい。
開催時期を従来の3月からこの5月に移したのは、3月の雨を避けるためだと言われているが、本当の目的は、4月のマスターズと6月の全米オープンの間にもってきて、「メジャーが続けざま」という状況を作りたかったからだ。初めて5月に開催された今年は、賞金総額が開催直前に1ミリオンも上乗せされ、金額だけは既存の4大メジャーより上を行く状況も作り上げた。

(前年度優勝者からのトロフィー授与は、「マスターズ」風?)
が、そんなことより、もっと涙ぐましい努力もある。全米オープン最終日が毎年「父の日」と重なり、選手と父親の家族愛の秘話が優勝秘話に加えられて話題になるのを参考にしたのだろう。ザ・プレーヤーズ最終日は「母の日」と重なるように設定されていたのだ!おかげで、最終日にはいろんな選手の母親があっちにもこっちにも。優勝したミケルソンのママの姿もあった。
我々メディアへのお土産は、大きな旅行かばん。キャディたちにもお土産パッケージが配られ、選手たちのクラブやボールの世話をするメーカーのツアーレップたちにも、休憩したり食事したりする場所が新たに設けられるなど、とにかくこの大会は、あらゆる関係者に「いい思い」をしてもらうことで、「メジャーっぽく、盛り上げてね!」という願いを切に訴えかけていた。

(表書式ではケニーGが生出演し、生演奏を披露。豪華演出は「全米プロ」風?)
そんなPGAツアーの努力を目の当たりにしながら過ごした1週間。毎朝、車でTPCソーグラスに通うとき、必ず出くわすチケット売りのダフ屋の姿を見て、ふと思った。この光景、マスターズのチケットを売るオーガスタのダフ屋たちの姿と似ているけど、ひょっとしてこれは、ザ・プレーヤーズをマスターズっぽく見せるための演出ではないか?ダフ屋はPGAツアーに雇われたサクラ?まさか……いや、本当かも?
そんなことまで想像してしまうほど、PGAツアーは一生懸命。いつしかこの大会が「メジャー」と認識され、4大メジャーが5大メジャーになる日が来る……かもしれない。でも、それは20年ぐらい先のような気がしてならない。

(18番グリーン上ではなく、クラブハウス前で表彰式を行うのは、昔の「全英オープン」風というところか?)
Photo/ JJ Tanabe
2007年05月12日
「こんなの初めて見たぞー!」と、選手やキャディもびっくり。もちろん、ギャラリーもびっくりしたのは、漫画ちっくなサメが描かれたゴルフバッグ。しかも、「第5のメジャー」と呼ばれ、選手たちのプレッシャーも増大しているザ・プレーヤーズの会場に、こんなコミカルタッチのバッグがいきなり登場したのだから、目を引いたことは言うまでもない。
このバッグは、スリクソンが同大会のために作った特別仕様。その目的を同社のツアーレップに尋ねてみると、こんな答えだった。「他のメーカーは全米オープンなどのメジャーに合わせて特別仕様のバッグを作っていますよね。でも、この大会用の特別仕様は作っていないので、ウチはそこを狙って作ったんです。スリクソンが大会に合わせて特別仕様のバッグを作ったのは今回が初めてです」

なるほど。他メーカーの間隙を縫い、4大メジャーではなく第5のメジャーを狙い目にしたというわけだ。だが、どうしてサメなのか?「ウチの会社の宣伝でサメのキャラクターを使っているし、サメはアメリカ国民にとっては、親しみやすいキャラクターですからね」とのこと。
サメが親しみやすいキャラ?これは初耳だ。映画「ジョーズ」に出てくるサメは、親しみやすいどころか怖いという印象だし、あの顔、どう贔屓目に見てもかわいいとは思えない。だが、言われてみれば、確かにサメっぽいキャラクターがアメリカの宣伝や広告のあちらこちらに出てくるのは事実かもしれないし、今回のスリクソンのバッグに描かれているサメは、結構キュートだ。アメリカ人にとってのサメは、日本人にとってのクマちゃん?ウサギちゃん?ってところだろうか。
ともあれ、この「サメバッグ」を従えてプレーしているスリクソン契約選手の成績はどうかといえば、2日目の途中の段階で、看板選手のジム・フューリックは現在9位タイ、ロバート・アレンビーとジョン・ローリンズは予選通過が危ういけれど、2人の選手がそこそこ上位なら、「サメバッグ」効果は、なかなかのものだ。

スリクソン契約選手のジョン・ローリンズ
Photo/JJ Tanabe
2007年05月09日
「第5のメジャー」と呼ばれるザ・プレーヤーズが今週開催される。今年の目玉は変化づくしのコースとクラブハウス。この13ヶ月間を費やし、コースもクラブハウスも大改修が行なわれ、装い新たに今週を迎えたのだが、果たしてこの改修が選手や関係者から褒められるのかどうかは、今のところなんとも言えない。
まず、クラブハウス。以前はフロリダらしい鬱蒼とした木々に囲まれたグレイ風の落ち着きのある建物だった。しかし、ベールを脱いだ新クラブハウスはオレンジ基調の妙に明るい建物。驚くなかれ、32ミリオン(3200万ドル=約38億円)をかけて改修され、7万7000平方フィートという巨大な建物になったのだが、なんとなくその明るい雰囲気が周囲から「浮いている」のだ。
TPCソーグラスといえば、米PGAツアーの本部がある場所。その意味でも、荘厳さや伝統の趣が感じられた以前のクラブハウスはムードがとってもマッチしていたのだが、新クラブハウスは、なんだかバブリーな感じで、どうも……。

(18番ホールのギャラリースタンドのむこうに、クラブハウスが見える)
コースのほうは12ミリオンをかけて改修され、全長が合計200ヤード伸ばされた上、かの有名な17番の浮島グリーンも芝をはりかえ、一層難しくなるよう手が加えられた。
その17番を終え、18番のティに立つと、左サイドに広がる池の向こう側に、オレンジ色のクラブハウスが望める。だが、その姿は「第5のメジャー」開催コースのクラブハウスというより、タイガー人気に乗じた米PGAツアーの成金趣味が溢れかえっているように感じてしまうのだ。
選手たちの評判はどうかといえば、とりあえずPGAツアーに気を遣っているのか、「でかいクラブハウスで迷子になりそうだ」なんて言葉しか聞こえてこない。
しかし一番問題なのは、新しいクラブハウスの好き嫌いより、改修されたコースが試合においてどんな展開を生むか、であろう。ちなみにタイガーは、「いいコースだけど、あの17番が、17番目にあること、あるいは試合の71ホール目にあることは、あんまり好ましくない。あまりにも(試合展開や優勝争いに)劇的な変化を与えすぎる。あのホールは、せめて8番ホールあたりに位置づけられるほうがよいかも」と、いきなり言ってしまった。
王者の言葉には、さすがのPGAツアーも何も反論はできないだろう。なぜって、これほどの大改修ができたのは、タイガー人気という牽引力によってゴルフ人気が高まり、PGAツアーが潤っているからだ。ともあれ、今週の試合展開が楽しみだ。

(トーナメントのロゴマークも一新された)
Photo/ JJ Tanabe
2007年05月05日
ジョン・デーリーと言えば、毎度毎度のお騒がせ男なのだが、そのデーリーが熱演したテレビCMをアメリカのキー局CBSが放送拒否するという騒ぎが起きている。
問題のCMは、マックスフライのゴルフボールの宣伝。マックスフライの契約選手として、そのロゴの入ったキャップを被っているデーリーは、CMの中で、ゴルフカートに乗り、自ら運転している。そこまでは何の問題もない。それじゃあ何がいけないのか?それは、デーリーが運転しながら手に持っているドリンクだそうだ。
このドリンク、マックスフライ側の説明は「中身はジンジャーエールだ!」ということなのだが、CBS側はこれがビールに見えると主張。アルコールを手にしながらカートを運転しているシーンは、CBSの放送ガイドラインに抵触するということで放送を拒んでいる。
うーん、ドリンクの中身がビールなのかジンジャーエールなのか。それは、撮影現場の人間にしか、もはやわからないこと。映像だけを見ている限り、確かめようがない。が、それより何より、もしこれがデーリーではなく他の選手だったら、こんな問題は起こらなかったのではないかと思えて仕方がないのだ。

Photo/JJ Tanabe
デーリーは、かつてアルコール依存症で施設に入ったこともある。そういえば、その施設から出て、ツアーに復帰したばかりのころ、彼が試合会場の練習場の裏に一人でいるところを発見し、何気なく近寄っていったことがある。デーリーはコーラの缶を手にしていたのだが、私が近寄ると、その缶をなぜだか隠すように背中側に回した。あのときも、ひょっとすると缶の中身はビールだったりして……なんて、ついつい勘ぐってしまったのだけれど、まあ、デーリーには、そんなふうにお酒が付きまとうイメージがある。
だからと言って、そんなデーリーを酒びたりだと非難する気にはまったくならないところが不思議。むしろ、そんなデーリーだからこそ、絶大なる人気を誇っているように思うし、実際、私も彼のキャラクターは大好きだ。
しかし、そんなイメージがあるがゆえに、今回の放送拒否なんぞが起こるのは気の毒だ。もちろん、「気の毒」というのは、中身がビールではなくジンジャーエールだった場合にのみ当てはまる言葉ではあるが、ともかくデーリーは、何をやっても「お騒がせ君」になってしまう。でも、お騒がせの出来事と無縁になったデーリーなんて、きっとつまらない……と思ってしまうのは不謹慎だろうか?私は、デーリーにはいつまでもデーリーらしくいてほしいなあと願っている。

Photo/JJ Tanabe
2007年05月03日
先週は久しぶりに日本へ一時帰国。昨日、NYに戻ったのだが、ちょっとお休みしていると、すぐさまゴルフ界に動きが出るから、うかうかしていられない。日本にいる間に、女子ゴルフ界の世界ランクは首位がアニカ・ソレンスタムからロレーナ・オチョアへ入れ替わり、新時代が到来しているのだ。

みんなが認めた“女王”ロレーナ・オチョア
世界ランクに関しては、男子も女子も、それぞれ問題がないわけではない。世界各国のプロツアーのレベルを同一基準で測ろうとするところに根本的な問題があり、選手や関係者の間では常に不公平感が渦めいている。中でも、女子のランクは06年2月に立ち上げられたばかりの新生ランクで、まだまだ改良の余地は多分にある。そして、当初からミッシェル・ウィーの位置づけなどが物議を醸した。
だが、オチョアの首位に関しては、誰も文句は言わないだろう。なんせ彼女は昨季年間6勝を挙げ、賞金女王の座を手に入れたのだし、対する旧女王アニカは不調と故障で欠場中。旧女王の陰りは明らかだし、新女王の躍進は目覚しいわけだし、これじゃ文句のつけようがない。オチョアの世界ナンバー1の座を報道する米ゴルフ雑誌には「コンセンサス No.1」という見出しが付いていた。そう、オチョアの首位は世界のコンセンサスなのだ。
それじゃあ、コンセンサスが得られていない順位は何か?問題のミッシェル・ウィーは、両手首の故障でこれまた欠場中。彼女のランクは現在20位まで下がっており、これでもまだ高すぎるという声もあるけれど、まあ、20位ぐらいまで下がれば妥当であろう。ウィーの次なる出場は5月末から6月初旬にかけてのギン・トリビュートの予定。そろそろ試合に出ないと、世界ランクのみならず、メインスポンサーのソニーにも見放されてしまう。決断の早いソニーは、なかなか勝てず、おまけに欠場となり、ふょっと太めになりつつあるウィーに、しびれを切らし始めている……なんて噂も囁かれていること、ご存知だろうか?

今年、メジャーのナビスコ選手権に出場した大山志保
Photo/JJ Tanabe
コンセンサスが得られていない順位の中には、日本人選手の位置づけも含まれている。宮里藍の8位にも批判の声はあるが、ほとんど世界の舞台に立っていない大山志保の11位はかなりおかしいと一部の選手や米メディアから首を傾げられている。日本ツアーの評価が高すぎるという問題は、男女双方において長年続いている「世界の不思議」。いやいや、別に不思議なことではなく、背景にある大国日本の経済力や政治力を考慮した結果なのだが、それが選手個人個人の評価に直結してしまうのでは、小国出身選手があまりにもかわいそう。
そんな中、経済力では大国とは決して言いがたいメキシコ出身のオチョアが世界ナンバー1になったことは、いろんな意味で喜ばしい。これぞ真の実力による世界一。だから彼女の首位は「世界のコンセンサス」なのだろう。やったね、ロレーナ!