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2007年09月28日

ヤングエリート?

最近、若手選手のビジネス進出が盛んになっている。とりわけオーストラリア出身選手にその傾向が見られる。すぐさま思い浮かぶのは、アロン・バデリー。彼はマグレガー社とクラブ契約を結んでおり、自らはマグレガー・オーストラリアの「プレジデント」だと言っている。もちろん、そう言っているのだから、そうなのだろう。

だが、つい先日、気になるニュースが報じられた。マグレガー社とバデリーが契約を解除するとのこと。バデリー側は「マグレガー社が契約にのっとった金額をフルに支払わないから」とその理由を説明しているのだが、果たしてどうなるのか。そういえば、バデリーのバッグには、ここ最近、ずっとテーラーメイドのウッドクラブが入っていた。となると、バデリーの同社に対する怒りは本物なのかもしれない。

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が、気になるのは、バデリーがマグレガー社とのクラブ契約を解除したとして、彼自らが率いるマグレガー・オーストラリアはどうなるのかということ。しばらくバデリー本人に会える機会がないのだが、フォールシリーズにも1試合ぐらいは出場予定だと彼は言っていた。なんとか本人に会って、真相を直接確かめたいものだ。

さて、そんな中、今度は超イケ面のアダム・スコットがマネジメント会社を変えると発表。2年間契約していたPRISMを離れ、アダム・スコット・ファウンデーションを擁する自らの会社アダム・スコット・カンパニーと契約するという奇妙な契約話が浮上した。スコットいわく、「いろいろなビジネスを自分のコントロール下でやりたい。ビジネスモデルはグレッグ・ノーマンだよ」。

なるほど。若手オージー選手のお手本は、やっぱりこの人、ノーマンなのだ。そう、ノーマンといえば、ホワイトシャークのロゴマークでビジネスを展開し、コース設計からワイン醸造と幅広くビジネスを展開していることで知られる。が、同時に、ものすごい借金を背負っているという噂もあり、プレーヤーとしては、すでに終わっている。

傍からみると、選手生命が終わり、ビジネスに精を出しているノーマンに、これから未来がある若手選手がそれほど憧れなくてもいいのになと思ってしまう。ましてやバデリーもスコットも、まだメジャータイトルも取っていないわけで、本業で頂点に達していないうちにサイドビジネスなんかに手を出したら、二兎を追って失敗する羽目になりそうで心配だ。ま、老婆心かもしれないけれど、オージーのヤングエリート諸君、どうぞ、お気をつけあそばせ。

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Photo/ JJ Tanabe

2007年09月26日

「何、それっ?」と感じたティアップ

米PGAツアーはお金の力にモノを言わせた派手なフェデックスカップが終了し、先週からはフォールシリーズに入った。賞金ランクで競い合う従来のレース。125位以内を目指し、シード獲得に必死の選手もいれば、それぞれの思惑で賞金ランクアップを狙う選手もいる。やっぱり、長年親しんできた賞金レースのほうが、見ていてもしっくり来るし、なんと言ってもわかりやすい。それに、この1打で賞金がいくら変わり、順位がいくつ変わり、シード争いがああなるこうなると思いながら眺めるほうが、やっぱりドキドキする。プレーオフの最中も、最終戦のツアー選手権でも、たとえ10ミリオンのボーナスがかかっていようと、そんなドキドキ感が皆無だったことを思えば、フォールシリーズは思いのほか楽しいという結論になる。

さて、楽しいと言えば、ビッグネームの姿がないフォールシリーズの試合では、日ごろ見落としがちな細かいことや、日ごろなかなか注目できない無名選手たちのことが、気になるというか、自然に目につく。

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(クリス・ストラウド)

特別、何を取材しようという目的もないまま、なんとなく1番ティでスタート風景を眺めていたときのこと。見慣れない帽子を被った選手がやってきた。クリス・ストラウドというアメリカ人だ。ボールとティペッグを一緒に手に持ってティペッグを地面に差し、ボールをティアップ。そこまでは当たり前の風景なのだが、その後の光景に思わずギョッとした。

ストラウド君、ティアップしたボールの飛球線後方に回り、いきなりしゃがみ込んだ。「えっ、何?何するの?」と思って見ていると、なんとなんと、しゃがんだ体勢のまま、ティアップしたボールをそっと動かしている。「何?何がしたいの?」。

ここ10年ほどの間、選手たちはパットの際にラインアップしやすいよう、ボールの赤道部分にラインを入れるようになった。パットの名手ブラッド・ファクソンらが最初に始めたこのライン描きは、ファクソンが使い始めたエッグスタンドのようなラインマーカーとともに流行し、アマチュアにも広まり、日本にも広まった。そして、このストラウド君も、ご他聞に漏れず、ボールにラインを描いているのだが、彼はなんとティアップしたときもボールのラインをターゲットラインに合わせており、そのライン合わせの作業を、ティアップした後にしゃがんだ体勢で丁寧に行なうというわけだ。

最初は、たまたま1番ティでだけ、そんな丁寧な作業を行なったのかと思ったのだが、彼はその後もずっと全ホールで毎回やっていた。

いやー、几帳面で丁寧なのはいいんだけど、しゃがんでボールをそっと動かすその姿は、どうしても初心者の女の子が「あーん、上手にティアップできな~い!」と言いながら、不器用そうにティアップしている姿と重なって見える。お世辞にも格好いいとは言えない男子プロのその姿。不恰好でも、強ければいいし、シードが取れればいい……のだろうか?ちなみに、ストラウド君の賞金ランクは160位前後を行ったり来たりが現状。「何、それっ?」と思わせる彼のティアップ流儀は、果たして報われるのかどうか。フォールシリーズ7試合が終了したとき、その答えが出るというわけで、楽しみが一つ増えた!

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(選手のルーティンは千差万別、十人十色)
Photo/ JJ Tanabe

2007年09月23日

がんばる演出に思わず苦笑

今週は米PGAツアーのフォールシリーズ第1戦、ターニングストーンリゾート選手権に来ている。この大会は今年から新規に創設されたもので、大会側も運営スタッフも、すべてにおいて不慣れだ。我々メディア用の駐車場も用意されておらず、びっくり仰天。撮影用のカメラ機材やパソコン、資料などが入ったヘビーなバッグをゴロゴロ転がしながら、毎日ギャラリーの長蛇の列に混じってギャラリーバスに乗り、そのバスが到着するのが、なんとクラブハウスとは正反対の13番ホールの裏。そこから再び重たいバッグをゴロゴロしながらコースの中を歩いてクラブハウス近くのメディアセンターまで行くのは、これはホントに至難のワザ。昔、根性物語のドラマに出てきたみたいに、重たいタイヤをロープで結んで腰で引っ張りながら2キロぐらい歩かされる特訓みたいなことになる。大会側のスタッフに何度も事情を説明し、3日目になってやっと、ギャラリーバスだけは回避できる駐車場のパスをもらうことができた。

米PGAツアーは世界一のゴルフツアーというイメージかもしれないが、彼らも大会側のスタッフも、やっぱり初めてのことには滅法弱い。メディアの駐車場に限らず、いろいろな面で、「えー、こんなの見たことも聞いたこともないよ~」と思えるような不手際があったのは事実。だが、彼らの偉いところは、「他の試合では、こういうふうにやってるよ」と助言すると、ちゃんと耳を傾けるところだ。おそらく来年のこの大会は、すっかり事情が変わり、取材もしやすい環境が整ってくれるのではないかと思う。

さて、ここでメディアとしての不満をぶちまけたかったわけではない。むしろ、今日、ここで書こうと思っていたのは、初開催とはいえ、大会側がギャラリーを喜ばせるためにがんばっているなあと感心させられたことだ。

ふと見ると、クラブハウスの前や、ギャラリーの入場ゲートの前に、なんか風変わりなコスチューム姿の人々が立っている。ただ立っているわけではなく、ギャラリーの道案内をしっかり行なう立派なガイド役を務めている。「あなたの衣装は何の衣装なの?」と尋ねると、「18世紀のオネイダ部族の衣装です」。

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伝統衣装で「いらっしゃ~い」とお出迎え

大会の冠スポンサー「ターニングストーンリゾート」は、いわゆるインディアンカジノのリゾートだ。インディアン居留地は安値で買い取れること、人手もあることなどに目をつけた企業が、近年は全米各地でカジノリゾート建設に走っている。この大会の開催地ニューヨーク州ベローナもネイティブアメリカン・オネイダ部族の居留地に建設された一大カジノリゾート。そして、カジノやホテルで働く人々も、試合会場でボランティアなどを務める人々も、大半がオネイダ部族の出身者なのだ。

民族衣装に身を包んでの演出は、正直言って、それを見たからうれしくてたまらないというものではない。すごいなあと思うほどのことではないのだが、彼らが真面目に演出しようとしている姿には、どうしてだか心を打たれるものがあった。

日本の試合会場でも、こんな演出をしてみたら、どうだろう。18世紀といえば、日本は江戸時代だったわけだから、試合会場にサムライ姿の演出があってもいい。地域性も考慮し、たとえば鹿児島あたりで開催される大会には西郷隆盛なんかが登場するというのは、どうだろう。

大切なのは、中途半端な演出ではダメだということ。やるなら、真面目に真剣に。私が声をかけた18世紀のオネイダ部族のお方は、当時のインディアンを知らない私から見ても、当時のインディアンになりきっているのだなあと、わかったぐらいだから。

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(クラブハウス前には昔の大砲も展示されている)
Photo/ JJ Tanabe

2007年09月17日

商魂たくましい!?

フェデックスカップのプレーオフ最終戦、ツアー選手権が幕を閉じた。予想通り、大会を制したのもフェデックスカップタイトルを手にしたのも王者タイガー・ウッズ。やっぱりなあという感じだが、そんな中で、ちょっと驚かされたのは、フェデックスチャンピオンに贈られたトロフィーにまつわる秘話だ。

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(フェデックスカップ・トロフィー)

このトロフィーは、あの有名なティファニー製。ニュージャージー州にある同社のクラフトショップで6ヶ月もの歳月をかけて作られたステアリングシルバー製だ。米PGAツアーのトロフィー製作がティファニー社に発注されたのは史上初めてのことだが、驚いたのは、その喜ばしい“受注”を、ちゃんと商業上のプロモーション活動に生かしているティファニー社の商魂たくましさである。

まず、プレーオフ4試合が開催された全米4箇所、つまりニューヨーク、ボストン、シカゴ、アトランタにあるティファニーのストアには、プレーオフ期間中、このトロフィーのレプリカがディスプレイされていた。ツアー選手権会場に最も近いアトランタのティファニーストアでは、大会ウィークの火曜日から土曜日までスペシャルイベントも開かれ、土曜日の朝のイベント後、本物のトロフィーが大会会場のイーストレイクへ運び込まれた。

ティファニーといえば、オープンハートとか、3連リングとか、女の子なら一度は手にしてみたいと思うような有名な品々が定番となっており、いまさらゴルフにちなんでイベントを開かなくても十分な人気を誇っているように思える。が、逆に言えば、米PGAツアーが新規に導入したフェデックスカップと初期段階から歩調を合わせながら、ティファニーとしてもゴルフという新たな分野へ手を広げていくビッグチャンスとも言えそうだ。もちろん、ティファニーがこんなプロモーションを行なうためには米PGAツアー側の協力がなければ難しい。が、ツアー側はちゃんと企業の“事情”を理解し、手を貸している。

こんな協力関係が成り立っているからこそ、チャンピオンに10ミリオンもボーナスが払える構造が出来上がっているのだろう。いやいや、うまくできたお金の流れに、脱帽!

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(第1回フェデックスカップ・ポイントレースの王者はタイガー・ウッズに決定)
Photo/ JJ TanabeRolling Eyes

2007年09月15日

王者でも「ラッキー!」

我々アマチュアなら、打った途端、ああ入らないと思ったパットがコロンとカップに沈んだとき、「オー、ラッキー!!」なんて言葉を口にすることがしばしばあるけれど、王者タイガー・ウッズでも、同じように「ラッキー!!」と感じることがあるらしい。というより、そんなことは、米PGAツアーの大会では起こるべきではなく、とりわけ今週のツアー選手権のように10ミリオンのタイトルがかかったビッグ大会では起こるべきではないのだが、今週のタイガーは昨日も今日もミスしたと思ったパットがなぜかカップに沈んで、「オー、ラッキー!!」と感じ続けている。

「オーガスタのような最高のグリーンではグッドパットだけが入り、バッドパットは絶対にカップに沈まない。でも、今週の(イーストレイクの)ようなバッドグリーンでは、きっちり狙ったグッドパットはもちろん入り、ダメだと思ったバッドパットもラッキーで入るんだ」

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2日目のタイガーは4番から8番まで5連続バーディの末、9番パー5では20メートルを沈めてイーグル。6ホールで7つスコアを伸ばした自らの快進撃を振り返り、「ラッキーなことが起こったんだ」と説明した。

とはいえ、2日目を終えてタイガーが2位に3打差で単独首位に立っているのは単なるラッキーであるはずはない。タイガーが言ったように「グッドパットとバッドパットの両方でスコアを伸ばせるのがラッキー」なのだとしたら、そのラッキー現象はタイガーのみならず誰のパットにも起こりえるはず。しかし、ラッキー現象をモノにできたのはタイガーだけ。「いつもはカップに寄せることを考えるけど、ここでは直接カップを狙ってアグレッシブにパットする。心構えも攻め方もちょいと変えているんだよ」。そうやって自力でラックを呼び寄せることができるからこそ、タイガーは王者なのだ。

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入れた?入っちゃった?
Photo/JJ Tanabe

2007年09月12日

すごい言い訳

今週は米PGAツアーのプレーオフ最終戦、ツアー選手権が開催される。だが、会場となるジョージア州アトランタのイーストレイクCCは、今夏の猛暑と日照りでベント芝のグリーンが大打撃を受け、芝が剥げ上がっている。そのため、月曜日は全グリーンで練習禁止。今日、火曜日は3つのグリーンで練習禁止。水曜日のプロアマは中止。ギャラリーは月火水の3日間、シャットアウト。

散々な状況となったツアー選手権だが、天候は誰にもコントロールできないことゆえ、仕方ないともいえる。だが、コンディションがここまで悪いということは大会前からすでにわかっていたことゆえ、開催コースを急遽変更するなどの処置が取れなかったのかとツアー側を批判する声もメディアの間から聞こえてくる。

選手はというと、表立ってツアーを批判することはできない立場ゆえ、「まだグリーンをちゃんと見てないから何ともコメントしようがない」(ザック・ジョンソン)とか、「みんな同じ条件だから」(スティーブ・ストリッカー)という具合に当たり障りない言葉しか口にしてくれない。

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(グリーン面の剥げた部分が目立つ)

だが、何にびっくりしたかと言えば、それはコースコンディションに対して最大の責任を負うべきスーパーインテンデントのこんな言葉だ。「200エーカー(コース面積)のうちの3.5エーカー(最悪の状態にある3つのグリーンの総合面積)だけを取り沙汰している(なんて、おかしな話だ)。コース全体のうちの95%は完璧な状態なんだ。それなのに、みんな(3つの)グリーンのことばかりを、あれやこれやと言っている」

それはないだろう、スーパーインテンデントさん。その3つのグリーンで、1メートルや50センチのショートパットが入らなくなる可能性だってあるのだ。そのパットが勝利の行方を左右するかもしれないし、10ミリオンの行方を変えるかもしれないのだ。パット・イズ・マネー。パットがスコアを決め、順位を動かし、勝利とフェデックスカップタイトルを動かすのだ。グリーンはコースの命ではないのか。それを、「たった3つのグリーンのことばかり言ってる」などと、どうして言い放てるのか。あまりにも無責任な発言に首を傾げてしまった。とんでもないエクスキューズじゃあ、ありませんか?

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(グリーン上の通気を良くし、芝の育成を促進するための大型換気扇)
Photo/ JJ Tanabe

2007年09月08日

ミケルソン一家は衣装持参?

今週は米PGAツアーのプレーオフ第3戦が行なわれている。先週のドイツバンク選手権で優勝したフィル・ミケルソンの姿はないが、ミケルソン優勝となると、いつも気になって仕方がないのが、彼の家族の派手な衣装だ。

愛妻エイミーと3人の子供たちは、パパが優勝しそうになると必ず舞台衣装のようなヒラヒラの服に身を包んで18番グリーン脇に現れる。そして、いざパパが優勝すると、妻のエイミーちゃんと子供たちは、まるでドラマか映画のワンシーンのように、「パパ~!」と駆け寄り、キスをしたり、抱っこをねだったり。もしかして、そのワンシーン、常々自宅で予行練習でもしているの?と思うぐらい、誰もがどう振る舞うかを心得ており、カメラマンがレンズを向けると、幼い子供たちはちゃんとポーズまで取る。それが、なんとも面白いのだ。

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だが、一番不思議なのは、やっぱり妻と子供たちのあの衣装だ。最終日の途中までは、エイミーは大抵、ロープ外を歩きながらミケルソンのプレーを観戦している。しかし、ほぼ間違いなくミケルソンが優勝するとわかったころになると、彼女はどこかへ急いで消え、子供たちとともに異なる出で立ちになって再び登場するのである。

つまり、ウイニングシーンに登場するための特別な衣装があるということ。しかも、たとえ最終日最終組でミケルソンが出るとしても、本当に優勝できるかどうかはわからないわけだし、突然、どんでん返しで優勝しちゃうこともあるわけだが、それでもエイミーと子供たちは、ヒラヒラ衣装で18番グリーンに現れる。となると、事前準備されているとしか思えない。いざというときのための「優勝シーン用の衣装」が、きっとエイミーちゃんのために用意された特別な場所かどこかに隠されているのだろう。

そんな愛妻の陰の努力も、ときには空しい結果に終わることがある。去年の全米オープン最終日、ミケルソンがちょうど18番ティにさしかかるころ、エイミーと子供たちはヒラヒラ衣装で18番グリーンに登場した。そして、ミケルソンがティショットを大きく左に曲げ、大トラブルに陥ったそのとき、そうとは知らないエイミーはヒラヒラ衣装のまま飛び跳ねながら、夫のウイニングウォークを待ちわびていた。そして、ミケルソンが惨敗し、18番グリーン上で崩れ落ちた後、ヒラヒラ衣装のまま夫に寄り添い、クラブハウスへと消えていった。あのときほど、彼女のヒラヒラ衣装が皮肉に見えたことはない。

だが、先週の優勝時は、今年の5月のザ・プレーヤーズ以来の勝利を特別衣装で祝うことができた。子供たちも、得意の演出(?)でパパの優勝を祝っていた。いやいや、こんなに夫孝行、親孝行の家族がいたら、ミケルソンが「僕は家族が第一」と言い続けるのも無理はない?しかし、そんなド派手なミケルソン一家だからこそ、ツアー仲間の視線は一層冷たくなっていくのだろう。世の中、すべてがうまくいくなんてことは、やっぱりなさそうだ。

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Photo/ JJ Tanabe

2007年09月04日

“らしさ”の主張

米PGAツアーのプレーオフ第2戦、ドイツバンク選手権はフィル・ミケルソンの優勝で幕を閉じた。タイガー・ウッズを押さえ込んでの優勝はミケルソンにとって大きな自信になったはず。昨年の全米オープンの土壇場で崩れたあのショックから、なかなか立ち直れないと言われ続けていたミケルソン。今年のメジャーはすべて勝ちそこない、おまけに雪辱をかけた今年の全米オープンでは両手首を痛めて実力発揮にいたらず、散々な結果に終わってしまっただけに、このプレーオフでの勝利は、彼の本格的なメジャー優勝狙いへのビッグステップになるはずだ。

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ところで、大会中、不思議な人物の姿があった。パットの名手ブラッド・ファクソンだ。大会の舞台となったTPCボストンは、元々はアーノルド・パーマーの設計だが、昨年からはファクソンが監修を務めての大改修が行なわれ、装い新たになった。ファクソン自身はプレーオフ進出にはいたらなかったのだが、コース改修の監修者として会場にやってきたのだそうだ。

で、コースがどう変わったかというと、まずコース全長が7400Yから7200Yへ短縮された。近年、全長が伸ばされるばかりのアメリカで、短縮されたというのはきわめて珍しい。バンカーの数も115個から52個へと減らされ、ビッググリーンが増える中で、ここはグリーンが小さく改造された。すべてが時代の流れに逆行する改造。しかし、そこが何ともファクソンらしい。

以前、ファクソンはこう言っていた。「ゴルフはパワーのみならずワザの勝負であるべき」。つまり、飛距離ばかりで勝負するようになりつつある近年のゴルフへの反発や抗議の意味を含め、ファクソン自身のゴルフに対する概念を主張する形で、彼はそんな逆行改造を行なったのである。いわば、新しいTPCボストンは、ファクソンらしさの主張なのだ。

偉いなと思うのは、そんなファクソンの改造方針を受け入れ、距離が短くなったコースを今季の「目玉」であるプレーオフシリーズの会場とした米PGAツアーの懐の深さだ。ただただ長いコースを選ぶのではなく、そういうコースもあっていいのではないかという考え方を尊重するからこそ、近代型から旧来型へ近づく方向で改造されたコースをもプレーオフ開催コースとして認めているのだ。

ところで、ファクソンの出で立ちが何とも痛々しい。右足にギブスをはめ、松葉杖。以前から故障で苦しんでいた右膝の手術をしたのだという。プロゴルファーに故障はつきもの。どこかで一度、オーバーホールが必要になることもある。ずっと手術のタイミングを探っていたファクソンは、コース改造の観衆で“らしさ”を主張した後に、自らの体の“改造”も図り、来季からは再びパットの名手らしさを生かして戦う道を今、選んだ。やっぱり“らしさ”というものは、その人の土台となる肉体がしっかりしていなければ発揮できない。来年は、自分らしい元気な体で得意なパットを次々に沈め、自らの主張を込めたTPCボストンで戦ってほしいものだ。

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Photo/ JJ Tanabe

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