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2008年01月31日

厳しい時代PART2

先日、フィル・ミケルソンのスポンサーがサブプライムローン問題のあおりで契約破棄してしまった話をお伝えしたが、もう1人、スポンサーを失って困りきっている選手がいる。それは、人気者で問題児の飛ばし屋ジョン・デーリーだ。


デーリーといえば、全米プロ、全英オープンを制したメジャーチャンプだが、そんな彼も近年は成績がすっかり低迷。賞金ランクによるシード権も失い、昨年も今年もスポンサー推薦に頼ってのツアー出場を余儀なくされている。どんなに成績が下がっても、彼の人気は絶大で、タイガーをしのぐほどのギャラリーを引き連れている。


しかし、サブプライムで揺れる米経済はとにかく厳しい。いくら人気があっても、シード落ちしている選手をいつまでもサポートできるほど余裕はないよということらしい。デーリーと長年の契約を結んでいたランバー84、フーターズの2社が今年から契約を降りてしまった。


さて、デーリーはどうしたか。ミケルソンのように契約先を訴えるのかと思いきや、彼は契約とは全然関係ない米PGAツアーのホンダクラシックという大会を訴えたのである。


なぜ?デーリー側によれば、彼は昨年の同大会中、スウィング途中にギャラリーが押したシャッター音で体を痛め、それが成績低迷・不調を招いたと訴えている。だが、デーリー側の要求は損害賠償などのお金ではない。なんとなんと、「今年のホンダクラシックに出場できるようスポンサー推薦を出せ」という要求。つまり「お金なんて要らないからオレを試合に出してくれ~」と訴えかけているのだ。


そうまでしても試合に出たい。そうまでしなきゃ試合に出られない。それが、かつてのメジャーチャンプの現在の状況。米ツアーに出るのは、それほど大変なこと。スポンサー推薦をもらうのは大変なこと。今の時代は、それほど厳しい時代なのである。


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(試合に出してもらえるなら、どこでも…)
Photo/JJ Tanabe

2008年01月26日

どうせなら……

昨日、石川遼の用具契約記者発表会に行ってきた。契約先がヨネックスになったことを、日本のメディアたちは、どう感じているのかどうか、興味があった。


会見場で顔見知りの新聞記者にそれとなく尋ねた。
「ヨネックスに決まったことは、結構、意外ですか?」
すると、2人の記者いわく、「落ち着くべきところに落ち着いたってことじゃないですか?」


その意味は何か。会見翌日の各紙の報道を見たら、諸説が飛び交っていた。
それらを総合すると、こういうことになるらしい。
国民的アイドルのハニカミ王子が、お金に目がくらんで契約先を選んだとなると
イメージも悪くなる。だから、幼いころからサポートしてもらい、クラブそのものにも慣れ親しんできた
ヨネックスに落ち着けば、恩返し的な美談が成立しやすい……とか。


契約金、契約年数は、会見では「守秘義務があるから明かせない」という理由で伏せられた。
が、これについても各紙で諸説が飛び交い、5年で4億、5年で6億、5年で10億、年間2億などなど
ずいぶんと格差のある「推論」だった。
その中で一番面白かったのは、夕刊フジのこんな説。史上最高と言われたジャンボ尾崎の契約金でさえ年間2億(5年間)だったのに、まだ実質的にプロデビューしていない石川がそれを越えるのはマズイだろうということで、ジャンボと同等の年間2億で終着した、と。


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だが、これらの考えは、石川を世界的スターに仕立てよう、仕立てたいという周囲の願いと逆行してしまうのではなかろうか。プロゴルファーは職業ゴルファーなのだから、契約先を金額で選んだとしても責められことではない。それなのに、そんなところだけ「恩返し」的な義理人情話が絡んでくるのだとすれば、それはいかにも日本的な小さな考えに留まってしまう。


契約金についても、「ジャンボ越え」がマズイなんてことを考える必要性はないのでは?すでに石川の人気や注目、報道陣の動員数は、ジャンボのそれをはるかに越えているのだから、契約金において石川がそれを越えたとしても、それは当然の成り行きだろう。何より、史上初、史上最年少といった「初」「一番」が石川の修飾語として定着しているのだから、それならいっそのこと16歳にしていきなり「ジャンボ越え」にしてしまったほうが、よっぽどすっきりするし、ニュースバリューも上がるはず。


そう考えると、なにやらプロ転向するあたりまではワイワイ持ち上げていたのに、いざプロになってビジネスが絡む段階になったら、突然、大人たちが尻込みを始めたように感じられて仕方がない。せっかく石川を担ぎ上げておきながら、いまさら尻込みしているのだとすれば、そりゃ石川くんが気の毒って話だ。

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2008年01月23日

厳しい時代

今、経済のホットニュースはサブプライムローン問題だ。この話、ゴルフ界にも影響が出ている。


真っ先の直撃を受けたのは米ツアーの超人気選手であるフィル・ミケルソン。彼がバイザーにロゴをつけていたベアリング・ポイント社が昨年の第3四半期に6800万ドルの赤字を計上。CEOのハリー・ユー氏は引責辞任し、同社はミケルソンとの契約を白紙に戻してしまったそうだ。


ミケルソンとベアリング・ポイント社との契約金は推定で年間600~800万ドルと言われている。これだけの大契約を突然打ち切られてしまったミケルソン側は、契約違反を理由にサンディエゴの連邦裁判所に訴訟を起こしており、今後は泥沼戦争が展開されそうな気配。

経済界、ビジネス界の問題が、ゴルフ界に波及するというのは、奇妙なようで実は当然の話である。プロゴルフが興行ビジネスとして成立し、一般ビジネスと密接な関係を築いているからこそ、一般ビジネスの影響がゴルフ界にすぐさま跳ね返ってきたというだけの話なのだ。


そう考えてみると、ん?果たして、この現象、ゴルフ界にとって、いいことなのか、それとも悪いことなのか?答えは……ミケルソンには、ちょっと気の毒だけど、やっぱり、いいことであろう。それだけプロゴルフの地位が社会の中で確立されていることの証明なのだから。


それにしても、ミケルソンは昨年、優勝したぺブルビーチでユーCEOと仲良く一緒にプレーしていた。たった1年足らずで、そのユー氏は引責辞任。ミケルソンは大金を受け取りそこなって訴訟へ。いやいや、誰にとっても厳しい時代である。

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(ことしも厳しい戦いが始まった)
Photo/JJ Tanabe

2008年01月20日

レッドネック

英語で「レッドネック」という言葉がある。「Red Neck=田舎者」の意。アメリカのいろいろな都市は、はっきり言って大半が結構な田舎。大草原やら大きな山や海があって、車でなければどこにも行けないような、そんな生活ゆえ、だったら一体、アメリカのどこにいる人は都会の人で、どこにいる人は田舎の人なのか、その線引きは決してはっきりはしていない。だからだろう。アメリカ人が「あの人はレッドネックだ」という場合は、出身地や居住地で判断するのではなく、その人の雰囲気や立ち居振る舞い、考え方やセンスなどで判断している場合が多い。


さて、問題。米PGAツアーきってのレッドネックだと言われている選手は誰でしょう?答えは2人。1人はブー・ウィークリー。もう1人はババ・ワトソンだ。昨年の全米オープンで日本の増田選手がこの2人と一緒に予選ラウンドを回り、米メディアから増田が取材を受けたという経緯があった。メディアの質問は「ブーとババ、どっちのほうが田舎臭いと思ったか?」などという、何とも下らない内容だったが、まあ、たまには、そんな田舎者度の比較も面白いのかな、と思わないでもない。


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(飛ばすわけではないが、しっかりツアー1勝のブー・ウィークリー)

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(飛ばしNo1だが、ツアー未勝利のババ・ワトソン)
Photo/JJ Tanabe


そして今年。開幕戦のメルセデスベンツ選手権に出場するためハワイへ向かったウィークリーは、なんと空港のセキュリティでつかまってしまったのだそうだ。原因は、彼が銃弾をかばんの中に入れていたから。そんなものを持っていたら、つかまるのは当たり前。それじゃあ、どうして銃弾なんぞを持っていたのか?「オフにイリノイ州でハンティングをしたんだ。そのときの余った銃弾をかばんの中に入れたみたいで、そのまま忘れて入れっぱなしにしていた」。


おいおい、そんなヘマをやらかすから、「ブーちゃんは田舎者」と言われてしまうんだぞ!セキュリティチェックが厳しい米国内の空港を銃弾保持で通過しようとしたとなると、もはや田舎者ではなく、こりゃもう間抜けだ。もうちょっと気をつけようよ、ブーちゃん。少なくともアナタは優勝者だけが出場できる大会に出るほどの選手になったのだから。子供たちのお手本になる行動を取らないと、いつまでも「田舎者」「間抜け」から脱することはできないぞ!

2008年01月17日

進化と退化?

米PGAツアーが今季から実施する新規定をいくつか定めたのだが、そのうちの1つ、予選カットに関する「78人ルール」が先週のソニーオープンでさっそく適用された。70位タイの選手が78人以上いた場合は、決勝ラウンドの進出人数が70人以内になるようカットラインを変動させるというもので、いきなり「被害」にあってしまった選手の中に今田竜二など日本人選手が2人も含まれてしまったが、決勝ラウンドそのものは日没サスペンデッドになることもなく、つづがなく進行。新規定をさっそくスムーズに適用するあたり、米PGAツアーはきっちり進化しているのだと思う。

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(試合が終わる前から夕闇が迫ることが多かった)


ドラッグテスト実施も今季からの新規定。アメリカのゴルフ雑誌「ゴルフウィーク」が行なった調査では、「ドーピング違反選手の名前を公表すべきか否か」という問いかけに対し、賛成69%、反対26%、どちらでもない5%という数字が出た。スロープレーやラウンド中の悪態などに対する罰金適用者の名前は公表されないが、ドーピングとなると、さすがにコトの重大性は増大する。だから、名前もきっちり公けにすべきというアメリカ人らしい反応だ。


米PGAツアーがこんなふうに進化している一方で、選手たちの暮らし向きはどうなっているのだろうか。賞金額高騰で全体的に収入が増えていることは容易に察しがつく。だが、成績は最悪なのに実質的な収入が増えている選手もおり、賞金と副収入の割合が「えっ、ホント?」というぐらい、おかしな人もいる。


米LPGAの女王ロレーナ・オチョアの収入源は69.67%が賞金によるもの。生真面目な彼女がゴルフそのものによる稼ぎに頼っているのは、いかにもと頷ける。しかし、成績低迷中のミッシェル・ウィーは、驚くなかれ、99.92%が賞金以外による収入。つまり、スポンサーとの契約料や広告出演等々、いわゆる副収入が彼女の稼ぎのほとんどを占めているということだ。それでも1250万ドルを手にしているのだから、そういう意味ではスーパー18歳。だが、プロゴルファーとしては、完全なる低迷で退化していると言わざるを得ない。


ウィーのごとく、副収入が稼ぎの大半を占める他の選手は誰かと言うと、1位がグレッグ・ノーマンで副収入の割合は99.97%。ウィーは2位で、続く3位はアーノルド・パーマーの99.83%。お騒がせジョン・デーリーは95.38%で8位だ。


こうして見ると、やっぱり副収入ランク上位者は、選手としては「退化中」の人ばかり。それでも、庶民からすれば夢のような大金を手に入れ続けているわけだが、彼らは果たしてスターなのか、どうか。
スターならずとも、凡人ではないことだけは確かだ。

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(“ゴルフ”で稼ぐのがプロなんですが…)
Photo/JJ Tanabe

2008年01月11日

どうなる?石川遼の未来

日本滞在中に、石川遼のプロ転向記者会見が開かれてくれたので、こりゃグッドタイミングということで、さっそく足を運んだ。300人超の報道陣が集まった会見場は、なにやらすごい熱気でムンムン。だが、質疑応答の内容は、決して「ムンムン」ではなかったところが、ちょっぴり不思議だった。


質問する側は「突っ込みが甘い」。返答する側は「プロとしての準備が甘い」。これが私の率直な感想だ。

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プロとしての最初の具体的な目標が「はっきり言ってほとんどない」とは、なにごと?日本史上では最年少プロ転向だが、海外志向が強いのであれば、海外での同年代選手のプロ転向は意識してしかるべき。だが、彼の返答は「特に参考にはしなかった」と、あっさり。彼の口からタッド・フジカワの名は出たが、ミッシェル・ウィーやタイ・トライオンの名は出ず、私から口にして聞き出したほどだ。


マスターズで優勝するのが夢--だが、どう聞いても、彼の頭の中にマスターズに出るための明確な道筋は描けていなかった。必死に考えながら「まずは日本のトッププレやーになりたい」と答えた姿勢は健気だったが、世界ランクに対する考えや米ツアー挑戦によるマスターズへの道は、彼の頭には、いまだに皆無のようだ。


心配なのは、今後のいわゆる「チーム石川」体制だ。当面は父親がコーチ役、マネージャー役を務めるそうだが、これだけの注目をすでに浴びている石川をプロゴルファーとしてサポートしていくためには、「餅は餅屋」という言葉をもっと強く意識すべきだと思えてならない。専門コーチ、専門マネジメントをつけるのは、今や世界においては当たり前の時代。家内工業のまま世界の舞台へ羽ばたくのは、かなり無理があるだろう。


とはいえ、石川の今回のプロ転向は、まだ初めの一歩にすぎないわけだから、これから体制固めをしっかり行なっていけばいいと言えばいい。だが、どんなふうに体制固めを行なえばいいのか。それを考える上でのアドバイザーすらいないのが現状だ。05年のウィーのプロ転向会見では、彼女のマネジメント会社がハリウッドスターを多数扱うウイリアムモリスになったという発表が大きな注目ポイントだった。それを思うと、やっぱり石川の今回の会見は、どうしても「?」と首を傾げる部分が私には多かった。しかし、そんなふうに首を傾げたのは、300人超の日本の報道陣の中で、一体どのぐらいいたのだろうか。ほんの数%?その数字のほうが、私には興味深い。

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2008年01月08日

開幕優勝は、こんな人

みなさん、新年のご挨拶が遅くなってすみません。
明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。


さて、米PGAツアーは、すでに開幕戦のメルセデスベンツ選手権が終了。タイガー・ウッズやフィル・ミケルソンらトップスターを欠いた会場は、いささか淋しげだったが、プレーオフを制して優勝を飾ったのは、あのダニエル・チョプラだった。

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(メルセデス選手権で優勝したダニエル・チョプラ)

「あのチョプラ」と言われても「そんな選手は知らないよ」という方が多いだろう。だが、私にとって、チョプラは大好きな「あの選手」。なぜなら、彼のスコアカードは、とってもカラフルできれいだからだ。


バーディなら赤、パーなら青、ボギーなら緑のペンでスコアを記入しりチョプラ。「一目見えればスコアがすぐにわかるんだ」と自慢げだ。それにしても、なぜ、わざわざ3色に色分けしながらスコアを記入するのだろうか。「気分転換になるんだ。一緒の組で回る選手のプレーをじっと眺めていると、僕はイライラしちゃう性格。でも、色分けしながらスコアを書いていれば、イライラしなくてすむ。まあ、要は暇つぶしかな」と、いたずらっ子みたいな顔で笑ったチョプラが、そのときから好きになった。

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(見にくいですが、3色ボールペンで色分けしてます。)


そういえば、チョプラはこうも言っていた。「(5年ほど前から)色分けを始めて以来、スコアを付け間違えたことは一度もないよ」。なるほど。わざわざペンの色を変えて書いていれば、確かにスコアの誤記や見間違えによる計算間違えを防げる確率は高まるだろう。そして、チョプラのカラフルスコアカードのことを知っているツアー仲間は多数いる。しかし、チョプラ以外の誰一人、彼の真似をしていないのは、なぜか。そりゃ、もちろん、面倒臭いからだろう。

それでも、ただ一人、カラフルスコアカードを貫き通してきたチョプラ。そんな彼が開幕早々にビッグタイトルを獲得したのだから、やっぱり個性や独自性は大事だってことだろう。おめでとう、ダニエル!

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(昨年は真っ赤なカウンタックに乗ってました!)
Photo/JJ Tanabe

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