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2008年03月29日

すごい、こだわり!?

日本に比べると、アメリカではスポーツマネジメントやスポーツエージェントといった分野のビジネスが格段に発達している。もう、ずいぶん前になるのだが、そうしたスポーツビジネスの最前線の人物ということで、フィル・ミケルソンのエージェントを取材し、日本のあるゴルフ雑誌に掲載したことがあった。


そのエージェント、TR・ラインマンという人物。新聞記者からエージェント業へ転身したそうで、今やミケルソンの「代理人」として、メディアセンターではおなじみである。


そのTRから、突然、呼び止められた。
「おいおい、ソノコ!」
「えっ?あら、TR。どうしたの?なーに?」
「あのさあ、カメラマンのJJは来ている?」
「来ているけど、何か用?伝言なら伝えるけど……」
「うーん、実はちょっと頼みがあって」
「なーに?」
「ずっと前に取材してもらったとき、撮ってもらった写真、欲しいんだけど」
「写真?まだあるとは思うけど。写真そのものが欲しいの?掲載誌?」
「いや、写真そのものが欲しいんだ」


TR1.JPG
(中央がラインマン氏。右がミケルソン)


なぜ、そんな昔の写真が欲しいのか、モジモジして、なかなか言わないTR。どうしたんだろうと思っていたら、その数時間後、JJがやってきた。


「ねえ、TRが昔の取材のときに撮った写真、欲しいんだって。ある?」
「ええ、さっき、TRが僕のところにも来ました。写真はあるけど」
「どうして、あの写真がほしいんだろうねえ?」
「それが……ID写真付きのクレジットカードを作るらしいんやけど、
そのカード用にあの写真を使いたいんやって」
「えー!だって、カードの写真なんて切手より小さいんだから、何だっていいじゃん」
「でも、どうしても、あの写真じゃなきゃ嫌なんやって」


結局、JJからTRへ、彼のお気に入り写真を電送した。飛ぶようにお礼のメールが返ってきた。
「あの写真は本当にお気に入りなんです。私の人生において、2歳のときから今にいたるまで
他人に見せられる写真は、たった4枚しかありません。あの写真は、その4枚のうちの1枚です」


他人に見せられる写真が50年以上の間に、たった4枚????
それは、自分の顔姿にあまりにも自信がないという意味なのか、それとも、あまりにもこだわりがありすぎて理想も高すぎるがゆえに、なかなか合格点に達しないという意味なのか……。
ともあれ、TRは、これで晴れてID写真付きクレジットカードに申し込みができたようだ。


ということで、アメリカのスポーツビジネス最前線を行くプロフェッショナルな男には、こういう大変ユニークな個性とこだわりがある……という話。このぐらいじゃなきゃ、やっぱり個性とこだわりの強いミケルソンのマネージャーは務まらん!という話でした。

TR2.jpg
(これが雑誌に掲載されたカット。男前?)
Photo/JJ Tanabe

2008年03月27日

火事だあ~!

Fire1.jpg

今日はNYにいる。夕方、6ブロックぐらい離れた場所までちょっと出かけた後、自宅に戻ろうとマンハッタンを歩いていたとき夕方6時半ごろのこと。黒い煙がもうもうと上がっているのに気付いた。が、その煙、どう見ても私のアパートのビルの方向だ。まさか……少しずつ小走りになりながら、煙の方向へ近づいていくと、けたたましいサイレンを鳴らす消防車やパトカー、救急車がとめどもなくやってきて、追い抜かしていく。なんだか、すごいことになっているぞと胸騒ぎ。


やっと煙の場所に到達したら、そこは私のアパートとたった1本路地を隔てた小さな5階建てのアパートだった。最上階の5階の1室から煙が噴出している。はしご車がクレーンを5階と屋上に上げ、何台もの消防車からホースがものすごい勢いで伸びてくる。大変だ……。出火している5階の部屋に人はいるのだろうか……。


30分も経たないうちに、煙は屋上から勢いを増して空へ上がり、あたり一帯が煙だらけ。大丈夫なのかな。逃げ遅れた人はいないのかな。気になって気になって、その場から離れられなくなってしまった。


それにしても、消防車の数は増える一方だ。ざっと20台はいるだろう。待機している救急車は5台ぐらいだろうか。いや、もうちょっといるようだが……。と思っているうちに、出火していた5階の窓ガラスが内側からガシャガシャと割られた。この瞬間が一番怖かった。しかし、その直後、窓から消防士たちの姿が見えた。部屋に彼らが入っているということは、逃げ遅れた人は救出されたか、あるいは元々、中にはいなかったということだろう。あー、良かった。胸をなでおろした。


Fire2.jpg
Photo/ Sonoko Funakoshi


日が落ちて、真っ暗になった。なんとか火は消えたようで、煙もおさまったが、一帯のけむけむしい臭いが消えない。クレーンに取り付けられた灯りだけを頼りに、午後8時半まで、消防士や警察官らは絶え間なく働いていた。何がどうなったのか、見ているだけだから、よくわからなかったけれど、逃げ遅れた人やけが人がいない様子であったことが何よりだった。


しかし……私がNYに引っ越してきて以来、どうも災難がすぐ近くで起こる。最初に入居したアパートでは、道を隔てた向かい側のビルにヤンキースのピッチャーが操縦していた小型飛行機が突っ込み、大惨事となった。現在のアパートは、その事故の直後に入居したのだが、今度は道1本隔てた裏手で大火事。まったく、もう、どうなっているんだか……。


かつての飛行機墜落事故のときは、丸山茂樹選手から「ニアミスで済んで良かったと思わなき」と慰められた。自分が部屋にいたとき、そこに飛行機が突っ込んでいたら、確かに私はどうなっていたかわからない。今回の火事も裏手のビルではなく自分のいるビルだったら……と思うと、そりゃぞっとする。もちろん、実際に惨事に巻き込まれた人は本当にお気の毒だと思う。そう思うからこそ、今日の火事現場からも、中に人がいないのかどうか、心配で心配で、他人事とは思えなくて、2時間近く、見守っていた。


本当に事故や惨事は、何の予告もなく突然に起こるものなんだなあと、つくづく。少なくとも自分が事故や惨事の原因を作ることだけはないよう、心して生活しなければならないと自戒の念を強めた。みなさんも、どうか火の元にはご用心を。そして、車に気をつけ、油断なきよう、心して生活してくださいませ!

Fire3.jpg
Photo/ Sonoko Funakoshi

2008年03月23日

王者の基本

今週はタイガー・ウッズが米ツアー6連勝を達成するかどうかに注目が集まっている。現在、3日目のラウンドを折り返した時点で、タイガーは若きオージー勢にやや突き放され、3打差で3位タイ。日本勢は、谷口徹も今田竜二もやや順位を落とし気味。片山晋呉は沈んだままだ。


現地入りする際、シカゴの乗り継ぎ便に預け、マイアミ空港で出てこなかった谷口のスーツケースは、結局、紛失となった。だから、谷口は試合に入ってからも、ずっとWGCのロゴ入りシャツを着ているが、そんなハプニングがあっても、結構、彼は落ち着いてプレーしているから、なかなか見上げたものだ。


さて、「見上げたもの」というより、見上げても見上げても誰も手が届かないところまで邁進している王者タイガー。だが、そんな王者のゴルフを支えるベーシックテクニックは、案外、シンプルだということをご存知だろうか。


「タイガー、キミは1本のクラブで、一体何種類のショットが打てるんだい?」と尋ねられたタイガー。みなさんは、この答え、想像できるだろうか?


Tigers9shots1.jpg
(「大雑把意に言うなら、こんな感じです」)


答えは、こんな感じだった。「基本は9種類だね。ストレート、右から左、左から右。そのそれぞれで、高い、普通、低いの3種類の弾道。だから(3×3で)9種類。でも、日により、ライにより、その9種類の間に無限の種類のショットがあるんだけど……」


となると、タイガーの基本は、9種類×13本=117種類。しかし、そこに無限の種類を加えると、最終的にその数は、1000種類ぐらいか、それとも、もっと???


しかし、考えてみれば、タイガーと同じように「1本のクラブで9種類を打つ」つもりのゴルファーは、それこそ無限にいるのではないかと思う。知識さえあれば、そりゃあ、口で言うのは簡単で、私だって、1本で3種類ぐらいは「打ち分けたいな」と思っている。だが、問題は、その「9種類」なり「3種類」なりを、いざというときに本当に打ち分けられるかどうか、である。


タイガーは間違いなく、9種類、いやそれ以上を打ち分けているのだろう。そうでなければ、他選手とあれだけの差がつくわけはない。


そう考えると、打倒タイガーの近道は、1本のクラブで打ち分けるショットの種類でタイガーを上回る「10種類」にするのではなく、たとえその数が「5種類」「6種類」だとしても、必ず思い通りのショットを打てる確実性を高めることなのだろう……たぶんね。

Tigers9shots2.jpg
(あらゆる場所からターゲットを狙うタイガーのショット)
Photo/JJ Tanabe

2008年03月19日

何が起こるかわからない!?

今週はWGC-CA選手権。フロリダ州マイアミのドラールリゾートが舞台だ。世界中からトップ選手79名が参加し、予選カットなしで行われる大会。さすがに会場内で見かける顔ぶれは精鋭ばかりだ。


先週のアーノルド・パーマー招待で失格になってしまった今田竜二に会った。顔が少し赤っぽく、強い日差しでものすごく日焼けしたばかりという感じである。思わぬ時間ができてしまった先週、こりゃかなりすごい量の練習をしたんだろうなあと、そう思える「できたてホヤホヤ」の日焼け顔だった。


今田の失格については、すでに報道ずみなのでご存知だと思うが、簡単に振り返ると、プロアマに出るべきだったジョン・デーリーがスタート時間に現れず、まず失格。そして、補欠だった今田竜二、ニック・オハーンがともに間に合わず失格となった。


SunTanImada.jpg
(新たな気持ちで次の試合に挑む今田)


今田自身は「デーリーに対してどうこういうつもりはまったくなし、そんな気もない。でも、ツアー側とは、こんなことが起こらないようにするためにはどうしたらいいかを話し合った」とのこと。プロアマの補欠は「午前用」「午後用」に分けられており、今田は元々自分が「午後用」だと思っていたが、前日に「午前用」に変わっていた。その変更に気が付かなかったこと、あるいは確認を怠ったことは「選手である自分の責任」と今田も認めている。だが、ツアー側もその変更をもっときちんと補欠選手に伝達すべきだったと感じているのは私だけではない。米メディアもこの出来事には興味津々で、今日も今田に長々とインタビューして、コトの真相を明らかにしようと試みていた。まあ、それぐらい珍しい「事件」だったのだ。


さて、久しぶりに谷口徹に会った。とっても元気そうで安心したのだが、いつものKENZOではないシャツを着ていた。しかも、そのシャツはドラールのプロショップで売っているようなもので、胸にはWGCイベント独特の地球儀みたいなロゴマーク。どうしたのかと思ったら、飛行機に預けた荷物が乗り換え空港で出てこず、いまだにフロリダの宿泊先にも届かないのだそうだ。だから、着るものがない!


アメリカの空港で荷物が遅れるのは日常茶飯事。紛失も、ままある。でも、谷口の場合、ゴルフバッグが無事だったのは何よりである。ウエアやシューズなら、紛失しても、なんとかなるが、クラブがなくなったら、その打撃は大きい。なんといってもマスターズを控えているのだから。


というわけで、荷物が出てこなかったのはもちろん大変だけど、ゴルフバッグじゃなかったのは不幸中の幸いと思うしかない……かな?めげるな~、谷口選手!

WGC-Taniguchi.jpg
(仕方なく、会場で購入したWGCのシャツを着て練習する谷口)
Photo/JJ Tanabe

2008年03月16日

ほっそりしちゃった人々

今季のビッグネームの合言葉は「減量」!……というわけではない。


アーノルド・パーマー招待で奮闘中のビジェイ・シン。2日目に首位に立ち、3日目は途中、ボギーとダボの連続で沈んでいったが、折り返し後はやや復活。16番でもチップインでパーセーブし、なんとか首位タイをキープ。浮き沈みの激しいゴルフを見せたが、そのシン、実は昨年より8キロ近くも体重が減っている。


だが、意図的に減量したわけではなく、2週前のジョニー・ウォーカー・クラシックの際、食中毒にかかり、トイレから離れられないほど下痢がひどかったそうだ。当然、満足に食べることもできず、その結果、すっかり痩せてしまったそうだ。「弱々しい球しか打てない感じだった」と語っていたシン。首位を守っているのは、彼の技術と精神力なのだろう。


SlimVJ.jpg
(それでも首位なら、体調は良い?)


さて、食中毒ではなく、必死に減量したわけでもないのに、妙にほっそりしているのは、フィル・ミケルソンだ。元々、ミケルソンは「僕は太りやすく痩せにくい体質だから、ブヨブヨしちゃうのは仕方ないことだとドクターから言われた」なんて言っていたはずなのに、今季はなぜすっきりしているのだろうか。


なんでもオフの間にフィットネスを一生懸命やったそうで、本人もマネージャーも「体重そのものの問題ではなく、筋肉がついてがっしりしたから姿勢が良くなってほっそり見えるんだ」と言っていた。


それならば、今まではかがんでくぐっていた高さのロープを、今日なんぞは軽々と足を上げて跨いでしまっていたのは、筋肉のおかげ?それとも、やっぱり贅肉が落ちたおかげ?


それにしても、あのミケちゃんが、こんなに高く足を上げる姿は、珍プレー以上に面白い珍芸だった!


SlimPhil.jpg
(からだがかる~い!)
Photo/JJ Tanabe

2008年03月13日

えっ、失格!?

先週の2位タイにより、フェデックスカップランク7位、賞金ランク9位、世界ランク68位へ上昇した絶好調の今田竜二。今週のアーノルド・パーマー招待と来週のCA選手権でがんばれば、あるいはその後のさらなる2試合で奮闘すれば、今年のマスターズ出場も夢ではない……というところで、失格事件が起きた。


NoShowImada.jpg
(あり得ないミスで失格となった今田。「ヘタこいた~っ!」)


今週、今田はプロアマの補欠の2番だった。プロアマの補欠選手というのは、あらかじめリストアップされており、それぞれ「午前用」「午後用」と分けられている。今田は、全体では補欠の2番だが、午前用補欠の1番だった。


そして、プロアマ当日。午前スタートのジョン・デーリーが会場に現れなかった。プロアマに出るべき選手がそれを欠場すると、自動的に本戦の失格となる。で、まずデーリーは失格になった。


さて、デーリー欠場となると、デーリーの代わりにプロアマに出るべきは、午前用補欠の1番の今田である。しかし、今田は自分が午後用の補欠だと思っていたそうで、大会側から連絡を受けたときは、まだコースに来ていなかった。それゆえ、スタートに間に合わず、今田も本戦失格。


さらに、午前用の補欠2番だったニック・オハーンも今田同様にスタートに間に合わず、オハーンも失格。大会側は、午後用の補欠なのになぜかたまたま練習場にいたイアン・ポールターを発見し、結局、ポールターが失格となったデーリー、今田、オハーンの代わりにプロアマに出た。「いやー、オレはたまたまいただけで、何がどうなっているのやら……」と、ポールターも当惑気味だった。


OKPouletr.jpg
(デーリーの代わりの今田の代わりのオハーンの代わりでプロアマ出場したポールター)
Photo/JJ Tanabe


PGAツアーに確認したところ「補欠選手が自分は午前用か午後用かを知っておくのは当然の義務」ということで、プロアマそのものに来なかったデーリーは論外だが、今田やオハーンに対しても同情の余地はないと、きっぱり。失格となった今田本人は仕方なく同じフロリダ州内のタンパの自宅へ帰っていった。


このタイミングでの今田の失格は、なんとも悔やまれる。せっかく、好調の波に乗っていたのに、この波がこの事件で途切れてしまわないかどうかが心配だ。それにしても、3人の選手が一気に失格なんて事態は、そうそう起こるものじゃない。選手の不注意が原因なのか。それともツアー側の補欠に対するアナウンスに説明不足はなかったのか。うーん、やっぱり選手の自己責任、なのかなあ?

2008年03月09日

マスターズを忘れてた?

今週は米PGAツアーのPODS選手権に来ている。この大会会場は、クラブハウスやその目の前の選手用駐車場とコース周辺が車道をはさんでいる。2日目終了後、アテストテントで丸山茂樹らと話をして、クラブハウスのメディアセンターに戻ろうと道を渡っていたら、駐車場の周囲にめぐらせてあるフェンスとフェンスの隙間から1台のバンが無理矢理出ようとしていた。隙間は、ちょうどバンがぎりぎり通れる程度に空いていたのだが、どうやらそこを通過しながら道へ出てはいけないことになっているらしい。


人々が道を横断するあたりには交通整理のためのセキュリティが数人立っていた。通ろうとしているバンの姿を発見したセキュリティは思い切り笛を鳴らし、「ダメだ!出るな!バックしろ!」と大声で怒鳴った。しかし、バンの運転手は「そんなの関係ねぇ!」という顔でどんどん車を前進させる。そのうち、その運転手は、横で見ていた私に手を振りながら、右折して走り抜けていった……あれっ?今の運転手、ジョン・デーリーじゃないの?そう。それはデーリーだった。きっと今日も大叩きしたんじゃないのかな?メディアセンターに戻り、スコアをチェックすると、思ったとおり。2日間で通算16オーバー。138人中137位の予選落ちをした彼は、そうやってコースから去っていったのだ。


いやあ、本当に米ツアーには変なヤツがいっぱいいるもんだが、もっと変なヤツもいる。マスターズがいつあるのかも忘れて、マスターズウィークをオフに当ててハンティングに行く予定を立てていたヤツがいたのだ。


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(ハンティングの予定を立てていたのは、この人)


ブー・ウィークリー。昨年、初優勝し、今年のマスターズに初出場する資格を得たウィークリー。しかし、「どんな試合も単なる1試合」と本気で思っている彼は、マスターズだからって特別に意識しないのだという。いつだったか、ハンティングの帰りに銃弾の残りをバッグに入れ、そのバッグをそのまま持って試合会場へ向かう飛行機に乗ろうとして、空港のセキュリティで取り調べを受けたのも彼だった。


誰かに言われて、ハンティングを予定している週がマスターズウィークだと知らされたウィークリー。さすがに予定を変更し、オーガスタへ向かうことにしたそうなのだが、それでも彼は「でもさあ、いくらマスターズが強豪揃いのすごい大会だと言っても、やっぱりマスターズもジャスト・ゴルフだよなあ」。


うーん、コイツは大物だ!

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(防寒用の長袖シャツは、ハンティング用の迷彩がお気に入り)
Photo/JJ Tanabe

2008年03月07日

新“チーム・ウィー”

不調に喘いでいるミッシェル・ウィーが、今季自らの初戦となったフィールズオープンで、久々の予選通過を果たしたことは、ご存知の通り。とはいえ、最終日には78を叩き、最下位で終わったが、それでも、まあ、前進は前進。その前進をもたらした一因は、彼女のサポート体制が新しくなったことにありそうだ。


専任コーチは、相変らずデビッド・レッドベターのままだが、ウィーのバッグを担いだのは、そのレッドベターのスクールでアシスタントインストラクターを務めるティム・ビッカーズなる人物だ。彼はフロリダ州立大学のゴルフ部出身で、卒業後は欧米のミニツアーなどを転戦していたらしい。


さらに、ウィーには、転戦中に彼女に寄り添うロードマネージャーが付けられた。こちらは、彼女のマネジメントを請け負うウイリアム・モリス・エージェンシーの社員。なぜ彼が選ばれたかといえば、現在、ウィーが通っているスタンフォード大学の出身だから。つまり、大学の先輩が後輩のマネージャーになったというわけで、これなら道中も話が合うだろうと、まあ、そういうことのようだ。


プロゴルファーにロードマネージャーが付くのは、米ツアーではきわめて珍しいことだ。日本人選手の場合は、大半がロードマネージャーを付けているけれど、欧米選手は通常、本人のみ、あるいは本人と家族が行動をともにするぐらいで、マネージャーはあくまでオフィスで待機しながら必要に応じて顔を出すというスタイル。しかし、ウィーの場合は、まだ未成年の女の子で、しかも注目が大きく、メディア対応も迫られるという特殊事情ゆえ、ロードマネージャーが付くのも頷ける。


さらに、ウィーの前進をもたらしたもう1つの要因は、レッドベターが「スイングのメカニカルなことを気にせず、スコアリングに集中しなさい」と強調し始めたことだろう。スイングコーチがスイングを気にするなと言うのは、考えてみれば面白いわけだが、教え子のゲーム全体の向上を考えたとき、ときにはそんな教えも必要。それが言えるレッドベターは、それはそれで、やっぱり優れたコーチなのだと思う。


さて、肝心のウィーご本人の意気込みはというと、昨年の秋までは「しばらく学業に打ち込みたい」と言っていたけれど、やっぱり前進が見られると、ゴルフのほうへ気持ちは動くのだろう。この春からは大学をお休みして試合出場に注力するつもりだそうだ。そんな「移り気」が、いいほうへ作用してくれるといいんだけど……。がんばれ!

TeamWie.jpg
(チームの力で復活なるか?)
Photo/JJ Tanabe

2008年03月02日

前途多難

米LPGAで、とうとう初のドラッグテストが行われたが、その様相は前途多難を物語っているようだ。


開幕第2戦のフィールズオープン。コンピューターでランダムに選ばれた選手たち、全部で何人が選ばれたのかは明かされていない。が、ラウンド前の午前中にテストを受けるよう言い渡された選手のうちの10人が、結局、3時間以上もの間、練習すらさせてもらえず待たされ続けた末に、「テスト作業が手間取っていて終わらないから、あなたたちは今日のラウンド後にもう1度、来てくれる?」と言われるお粗末な展開だった。


なぜ、そんなにテストが手間取ったのか。米ゴルフ界では初の試みゆえ、いろいろ予期せぬ事態が起こるのは、仕方ないといえば仕方ない。だが、一番の問題は「言葉の障壁」だったというから、これには驚いてしまった。


米LPGAには韓国人選手がたくさんいる。しかし、ドラッグテストの現場には韓国と英語の通訳が誰もおらず、現在、傷病を抱えて加療中の韓国人選手が使用中の薬や治療に関する説明をドラッグテストのテスターに正確に伝えることがなかなかできず、そんなこんなで手間取ってしまったらしい。


これまで米LPGAで韓国人選手との言語に関するコミュニケーション問題が表ざたにならなかった背景には、メディアオフィシャルに優秀な韓国人がいたからだ。しかし、英語と韓国語を自在に操っていたその人物は今季から姿を消してしまった。そういえば、英語と日本語を操っていた日本人のメディアオフィシャルも姿を消している。ま、後者のほうの女性は日本で新たな就職が決まったそうで意気揚々としているが、前者の彼は、なぜ忽然と姿を消したのか……その理由は容易に想像できる。ツアー体制に対する不満が爆発したに違いない。


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(テスト導入に力を入れたビーベンス現会長。さまざまな問題を解決できるか?)
Photo/JJ Tanabe


米LPGAの内部では、以前からスタッフ離れがはなはだしい。ビーベンス会長の強硬姿勢に反発しての動きで、米LPGAを辞めた後、そのまま米PGAツアーへ転職した人物も数人いるから、これまた驚かされたが、まあ、狭いゴルフ界を行ったり来たりというのは、アメリカも日本もさして事情は変わらない。


なんて話はさておき、ドラッグテストの行く末が気になる。ツアー側が「我々、米LPGAこそは、プロゴルフ界におけるドラッグテスト実施の先駆者」をアピールしたいのはわかるのだが、だからって、選手たちの本戦ラウンド前の練習までをもさえぎり、挙句の果てに「後にしてね」はないだろう。おまけに、その理由がテストそのもののプロセス上の問題ではなく、外国語問題と来たのでは、煽りを食う選手たちはたまったもんじゃない。


米LPGAは選手たちの国籍が多様化し、国際化の一途をたどっている。それはそれでいいことなのかもしれないけれど、現状に見合った対策を講じていかなければ、上層陣の理想だけが先走り、現場は混乱するばかり……てなことに、なりかねないのでは?ビーベンスさん、どうですか?

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