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2009年02月28日

嵐の後。思い出される衝撃。

WGCアクセンチュアマッチプレー会場の金曜日。やけに静かだ……。補欠3番からの繰り上げ出場を待っていた石川遼が出場叶わぬということで会場を去り、約8か月ぶりの復帰戦でいきなり優勝候補の筆頭に上がっていたタイガー・ウッズが2回戦敗退を喫し、一夜明けた今日、会場には嵐の後の静けさのような雰囲気が漂っている。


100名近かった日本メディアは、たったの8名に減った。米メディアもそれなりに減った。世界各国から来ていたメディアも、自国の選手が敗退したら、やっぱり去っていくようで、階段教室のような形状の広いメディアセンターはガランとしている。


思えば、このマッチプレー会場で私が受けた衝撃は3つほどあった。


1つは、石川遼を追いかける日本メディア全体の勢い。タイガーと石川の握手シーンには、とんでもない人数のカメラマンや記者が練習グリーン上に殺到し、誰かが一人でも転倒したら、将棋倒しになってケガ人も出ていただろうなあと思える混乱ぶりだった。米ツアーの試合会場で、あれほどすごい混乱と殺到を経験したのは、私のこの16年で初めてのことだった。

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(握手シーンの混乱風景。私もトライはしたが、あんまりすごくて、写真はこんな失敗作に……)
Photo / Sonoko Funakoshi


2つ目は、タイガーの復帰と久々の登場に備えた米ツアーと大会側の緊張ぶり。我々メディアが取材のために練習場などへ歩いていくルートさえもが、タイガーが会場入りするとわかった火曜日には突然変更されたほどだ。タイガー専用の駐車場には、テロや攻撃(?)を恐れて意図的に「タイガー・ウッズ」のネームプレートを張らないという警戒ぶり。タイガーが出入りする際は、必ずポリス数人の護衛付き。王者の待遇は、大統領並み?


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Photo / Nozomu Nakajima

そして3つ目は、日本の片山晋呉の練習ぶりだ。片山は以前から練習熱心で知られているし、彼が不思議な練習ギアをあれこれ使うことも有名だ。この大会の練習日にも、練習場でいろんな練習ギアを使っていた。打席の地面にはレールを平行に並べてクラブヘッドの軌道に見たてる……なんていうのは彼にとっては超当たり前の部類。両腕の間にプワプワしたボールを挟んだままスイングするのは、肩と両腕の三角形を保ったまま、ショルダーターンを体感するための練習で、これもまあ彼にとっては普通の部類。


さらに、この大会では、前週のノーザントラストで初めてツアー会場に持ち込まれた超スモールヘッドの練習用アイアンが目立っていた。「PSP GOLF」というメーカーが作ったこの練習用アイアン。とにかく小さいヘッドだから、芯で捉える練習にはもってこいというものなのだろう。石川遼のところにも、このPSPは持ち込まれていたが、ギア好きの片山は早々にこれを握り、しかもプワプワボールを両腕ではさんだまま、地面のレールの間を通して実際に球を打っていた。これは、なんとも衝撃的なシーン。

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(米ツアー新登場の練習ギア。PSP。ホントに、ちっちゃい!)
Photo / Sonoko Funakoshi


さらに驚いたのは、片山が練習ラウンドでもプワプワボールを挟んだままドライバーショットを打っていたことだ。「さすがにコースでそのボールを挟んだまま打つのって、ちょっと怖くないですかあ?」と尋ねてみたら、「えっ?全然?おんなじだよ」。「練習ラウンドで、そんなに打ちにくそうな状態で打っていれば、本番では、逆にノビノビ打てるってわけですかあ?」「うーん、いや、そんなこともないかな……」

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(練習ラウンドでは、このままドライバーで打っちゃう!)
Photo / Sonoko Funakoshi


片山にしてみれば、それほどすごい練習をしているつもりはなかったようだ。が、見ている私にしてみれば、「うわ、すごい!」。そんな片山の頑張りが、1回戦のトレバー・イメルマンに圧勝する快進撃につながったのだろう。2回戦も、その勢いのまま勝利してほしかったが、まあ、月並みな言い方をすれば、カート道にもサボテンにも嫌われ、運もなかった。でも、片山の努力がマスターズあたりで形になってくれればいいなと思う。

2009年02月25日

タイガー、契約は?

昨年6月の左ひざ手術以来、約8か月ぶりにツアー復帰してきたタイガー・ウッズ。今日、火曜日はWGCアクセンチュア・マッチプレー選手権の会場に夜明けとともに登場。ボスの車が到着する前から、キャディのスティーブ・ウイリアムスが駐車場で待ちうけていた。


待ち受けていたのは、スティーブだけはなく、ツアー関係者もポリスも、みな緊張した面持ちで王者の到着に備えていた。


薄暗い中、ヘッドライトを光らせながらタイガーが自ら運転する車で到着。その車が、どこのメーカーの車なんだろうかと、密かに思っていた。というのも、昨年いっぱいでタイガーとビュイックとの契約が打ち切りになったからだ。さすがにビュイック車には乗ってこないだろうなあ。だとしたら、オフィシャルカーのレクサスだろうか……。


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(アリゾナは砂漠ゆえ朝晩は寒い。早朝、震えるほどの冷気の中、
スティーブは半そで短パンでタイガーの到着をじっと待っていた)
Photo / 中島望 Nozomu Nakajima


いろいろ考えていたのが、タイガーが乗ってきたのはビュイックのエンクレイブ。あれれ、契約が無くなったこととは無関係にビュイック車に乗ってきたということは、どういうこと?契約が無くなっても乗りたいと思うほど、タイガーは実はこの車がお気に入り?


ところで、もう1つ、タイガーの契約絡みで気になっていたのは、ゴルフバッグに付されるロゴマークだ。こちらも、今までは「BUICK」の文字が入っていたのだが、契約が無くなったのだから、さすがにビュイックのロゴは無くなるはず。新しい契約が決まるまで、タイガーが黒無地バッグをもつなんて憶測話もはびこっていたほどだが、さて、何がついていたかといえば、「AT&T」。


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(やっぱり王者が黒無地バッグは、ありえな~い?)
Photo / Nozomu Nakajima 中島望


AT&Tもタイガーが契約しているスポンサーの1つ。そのロゴマークがバッグに付されたことは、別段、不思議でもなんでもない。これまでの契約内容(条項)にゴルフバッグのロゴ契約が足されただけのこと。「だけのこと」なんて簡単に言ってしまうと、「おい、一体いくら払ってると思ってるんだ!」なんて怒られてしまいそうなほど契約金額は破格のはず。でも、いくら聞いても、契約金額というのは明かされないから、推測や推定しかわれわれにはできないのだ。


ということで、契約金額の話はさておき、タイガーが試合会場に現れると、彼にまつわるほんの小さなことまでもが大きなニュースになる。その1つ1つに大金が絡んでいるところが、すごい。スーパースターとは、こういう人のことを言うのだなあと、つくづく思わされた1日だった。


2009年02月21日

デビュー戦の味

石川遼の米ツアーデビュー戦は、予選落ちで終わった。しかし、予選が通らなかったことを嘆く必要は、まったくないと私は思う。


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Photo / Nozomu Nakajima


初日のラウンドを終えた後、石川はこう言った。「こんな緊張を味わったのは初めてだった。今までに味わったことのない緊張だった。こんなに体が固いまま18ホールを回ったのは初めてだった」。


その言葉を聞いたとき、すぐさま思った。日本ではアグレッシブなプレーぶりを披露していて、晴れがましい舞台でも大人顔負けの堂々たる言葉で挨拶やスピーチをしている石川を、それほどまでに緊張させたものは、一体、何だったのか、と。


米PGAツアーという場の雰囲気だったのか。それとも、コース設定だったのか。レイアウトや芝などの日米の違いによって、求められる技術や攻め方は変わるが、その違いが大きすぎて、それが彼に信じ難いほどのプレッシャーをかけたのか。それとも、心の底では予選通過はもちろんのこと上位入りや優勝争いまでをもひっそりと想定していて、そんな好成績への渇望が必要以上に彼を緊張させたのか……。


石川を究極の緊張状態に陥れた「犯人」を、私はあれこれ想像してみた。そして、そういう事象的なものが「犯人」ではないだろうなと感じ、なんとなく、こういうことではないだろうかという仮定を頭の中で立てたけれど、やっぱりこの答えは石川本人の口から聞かなければいけない、聞いてみたい……そう思いながら、今日の彼の第2ラウンドを見守っていた。


2日目の石川のゴルフは、日本の記者たちから以前から教えてもらっていた「石川遼のゴルフって、こうだよ、ああだよ」という話とは、ずいぶん異なるゴルフだった。ドライバーショットのストレート性だけは、2日間キープされてはいたが、打ち出す打球そのものに物理的な勢いは感じられても、彼のゴルフそのものに、どことなく勢いがない。そう感じていた。


日没すれすれでホールアウトし、予選落ちとなった石川を日本メディアが取り囲んだとき、「究極の緊張状態に陥れたのは何だったのですか?」とストレートに尋ねてみた。彼の答えは、想像していた通りの内容だった。


「ずっと憧れていた夢の舞台。そこに立ったんだということを実感した証拠だと思います」


いい言葉だった。米ツアーデビュー戦は、ゴルフそのものにおいては、こてんぱんにやられた感がある。緊張して頭の中が何も考えられない状態になって、ショットもパットも思い通りにいかず、予選落ち。、この結果は、厳しい言い方をすれば、米ツアーから「もっと練習を積んで出直してこい」と言い渡されたようなものだ。

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Photo / Nozomu Nakajima


しかし、石川はそれを素直に感じ取った上で、あの緊張を「夢が実現したことを実感した証拠」だと言ってのけた。そんな感じ取り方ができたのだから、同じ「出直す」にしても、きっと次回は何かが大きく変わるはずだ。


デビュー戦の味は、かなりビターでショッキングだったのだと思う。けれど、これまで味わったことがないほど苦かったからこそ、これまで知り得なかったことを知ることができたはず。今回の苦い味わいは、最高の味わいに、いつか必ず変わるだろうと、そう思えた。

2009年02月17日

異様な雰囲気?

ついに、石川遼くんが米ツアー登場!ノーザントラストオープン会場のリビエラに石川が姿を現したのは、正午を回ったころだった。未明から降り続いた大雨の影響で、コースはクローズだったが、「午後から回れるだろうと聞いていたので」ということで、遅めにコース入りしたのである。


すぐさま練習場へ向かい、球を打ち始めた石川。その周囲には、50名弱の日本メディアが取り巻いていた。その後、雨がほぼ上がり、コースがオープンしたと聞いた石川は、10番からのバック9を練習ラウンドした。

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(メディア申請者は400名弱。そのうち100名強が日本人。今日はその約半数が取材に訪れた)
Photo / Jun Hiraoka


ラウンド後、取り囲んだ日本メディアの質問に答えた石川が、「練習場は異様な雰囲気でした」という感想をもらした。


異様な雰囲気?これを最初に聞いたとき、てっきり日本のメディアの人数の多さのことを「異様な雰囲気」と言ったのだと思ったのだが、石川の言葉には別の意味が込められていた。「こんな球しか打てない選手に、こんなに大勢のメディアがどうしてついているんだろうって、他の選手たちは思ったと思います。いやあ、あれは異様な雰囲気でした」


調整不足を自認しながら米ツアーデビューを迎えている石川は、日本からの長旅の疲れもあったのか、練習場で打ち始めたショットは、明らかに精彩を欠いていた。得意のドライバーを手にしたときは、私も「どれどれ?どのぐらいすごいショットを打つのか、早く見せて見せて!」と気が流行ったのだが、彼が打ち出した数発を眺めながら、思わず「?」。それほど、練習場で見た彼のドライバーショットは不調だった。だから石川は「こんな球しか打てない……」と言ったのだ。


しかし、10番からの9ホールのラウンドでは、打ってかわって素晴らしいショットを披露した。「自分でも不思議なぐらいドライバーが良かった」と、こちらは手放しで自画自賛した石川。確かに、普通ならドライバーでは球を置きに行くのが難しいホールでも、彼の打ち出すドライバーショットは、きわめてストレートで、勢いもあった。うーん、これが噂の遼くんショットか……。ちょっと、ガツンとやられた感覚。それほど彼のショットは素晴らしかった。


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(ドライバーのストレートボールは超一級だった。これが試合でも出せれば……いける?)
Photo / Jun Hiraoka


しかし、練習と試合はまったく別物であることも確か。とにかく木曜の開幕が待ち遠しくてたまらない。


さて、話は変わるが、もう1つ「異様な雰囲気」がアメリカ人関係者の間で、ちょっとした話題になっていた。それは、ロスの空港に到着した石川御一行を乗せた車をポリスの白バイが先導していったというのが「ええっ?白バイ?」ということで、「異様な雰囲気だろう?」という具合に話題になっていたのだ。


聞けば、アメリカのポリスは、Off Duty、つまり日本的に言う非番の際、アルバイトで民間の人々の警護
を請け負うことが「普通」に行われているそうだ。映画などのロケが街中で行われるときなども、ポリスが警護したりしているが、あれも映画の制作会社からアルバイト料をもらった非番のポリスたちなのだそうで、石川らの車を先導したのも「オフ・デューティーのポリスを雇ったんだな、きっと」とのこと。日本のスーパースターがやってくるから、混乱を避けてポリス側から自ら「出張った」可能性は絶対にないだろうかと尋ねてみたら、アメリカ人関係者いわく、「そりゃ絶対ない。だって、リョウ・イシカワは、アメリカのtax payer(納税者)じゃないから、納税していない人間をポリスがわざわざ警護するわけはない」。
うーん、なるほど。これは説得力が大。アメリカとは、そういう国だ。


2009年02月14日

アロ~ハ~!

今週は米女子ツアー開幕戦、SBSオープン。「アローハー!」で迎えてくれたハワイの地は、相変わらず、のんびりムードが漂う素敵な場所だが、試合会場となっているタートルベイには、例年とはちょっぴり異なるムードが漂っている。

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(ワイキキビーチは美しい。近郊のショッピングセンターには選手たちの姿もちらほら)

Photo / Sonoko Funakoshi


一番の変化は、あのアニカ・ソレンスタムがいないこと。アニカはこの大会のディフェンディングチャンピオン。しかし、昨季いっぱいで引退し、再婚したため、もう試合会場には姿がないわけだ。そして、現在、世界ランクでダントツトップの女王ロレーナ・オチョアの姿もない。オチョアはメキシコ航空の重役との婚約がすっぱ抜かれ、今年末には結婚かと言われている。もともと、30歳ぐらいで引退すると以前から口にしていただけに、婚約が明るみになったことで早期引退説も出回った。本人は否定し、当面はツアーに出続けると答えたけれど、そう遠くない将来に、おそらくはオチョアも引退してしまうだろう。だから今回の開幕戦は、アニカもオチョアもいない女子ツアーの姿をいきなり見せられたような感覚を覚えた。

そして、2人の新旧女王に代わって会場を賑わわせているのは、今季から正式メンバーとしてデビューしたミッシェル・ウィー。そして、同じくルーキーとしてデビューした申智愛だ。2人ともルーキーで、2人とも若い。しかし、2人ともすでに世界でお馴染みの存在……というところが、なんとんもルーキーらしからないから面白い。


アマ時代から男子ツアーにも挑戦し、女子ツアーでも大活躍。センセーショナルにプロ転向し、メジャーでも何度も優勝争いに絡んだウィー。そして、その後のスランプ。昨年末のQスクールでの出場権自力獲得などなど、ルーキーなのにストーリーは満載だ。


申も、アマのうちから韓国ツアーでトップの座に上り詰め、プロ転向したと思った途端、昨年の全英女子でメジャータイトル獲得。なんせ昨年は、世界11勝。これだけ勝って、世界ランクは現在5位。それでルーキーなのだから、ルーキーって言葉の意味は何だったっけ?と思ってしまう。


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(メジャーチャンプになっても熱心にサイン。新スポンサーも付きました!)

Photo / Sonoko Funakoshi


だが、この現象が、現代のプロゴルフ界の象徴なのかもしれない。昔は、ルーキーといえば、何もかもが「初」ばかりの初々しい存在で、デビュー戦の1番ティに上がったら手足が震えるあたりが「ルーキーらしくて、かわいい」なんて言われたものだ。が、現代のルーキーは、ツアーメンバーとしては「初参戦」というぐらいのもので、本人はすでに百戦錬磨。「手足が震える?いやーだー、ありえな~いで~す!」と笑い飛ばすぐらいの経験を積んでいる。

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(新人らしからぬ豪快なショットです!)

Photo / Sonoko Funakoshi


日本のルーキー、宮里美香も、そういう意味では百戦錬磨。ジュニア時代、アマ時代、数々の大会に出場し、海外経験も豊富。そんな彼女は口では「ドキドキしてます」と言っていたけど、実質的には「いけるぞ!」という自信をしっかり抱いている。


いやー、時代は変わり、ツアーも変わる。ルーキーの在り方も変わる。そういえば、不況にあえぐ米国経済の煽りを受け、スポンサー離れにあえぐ米LPGAは、今年はついにメディアガイドを作らないことを決めたそうだ。メディアガイドというのは、メディア向けに毎年更新される選手名鑑のような資料で、分厚い本のようになったもの。これが配布されないなんてことは、私がアメリカにきてからの16年間で「初」だ。もっとも、ツアー側は「オンラインで見ればわかることだから、本の形式はもはや不要」と、これまた「時代の変化」を言い訳にしていたが、原稿を書くとき、やっぱり選手の資料は手元ですぐに照合できるほうが便利で、男子のPGAツアーは、ちゃんと今年も09年バージョンを配布している。こういうところは、インターネットが発達しても、あんまり変えてほしくないのだけれど、そう感じるのは、時代の変化についていけなくなっている証拠だったりして?

2009年02月09日

ノーザントラスト対策?

米PGAツアーはビュイック招待が終了。本当はタイガーの5連覇が期待されていた大会だが、王者なき今年、優勝したのはニック・ワトニーだった。


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Photo / Nozomu Nakajima


来週のぺブルビーチが終わると、次が石川遼の米ツアーデビューとなるノーザントラストだ。そのノーザントラストを控え、いろんなところでノーザントラスト対策なるものが取られ始めている。たとえば、日本の媒体各社は、特別チームを編成するなど大わらわ。そして、迎え入れる米PGAツアーと大会本部も、なんだかんだと対策を練っている。


同大会のメディア申請は、すでに350名を超えているそうだ。すごい人数。通常の大会に取材に来る米メディアは、少ないときで15名ぐらい。ちょっと大きめの大会で100名前後。メジャーは世界各国からくるから、2000人とか、そういう数になるが、正直なところ、ノーザントラストという大会は、かつてのニッサンオープンの時代から、それほどメディアは多くはなく、タイガーが出たときでも100名はいなかった。その大会に、いきなり350名超となるわけだから、混乱も起こる。すでに、メディアの駐車場のチケットが誤って配布されたりもしている。

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(「350名」はすでに選手の間にも知れ渡り、今田竜二にも「知ってる?」と尋ねたら即答した!)

Photo / Nozomu Nakajima

が、ノーザントラスト対策に一番慌てているのは、実は米メディアたち。なんせ情報が少なすぎて、事前に記事を書きたくても書けない状況。私のところには彼らからの質問が殺到し、毎日、同じことを何度も繰り返し答えている。


一体、どんな問答なのか、ちょっとだけ紹介すると……


米メディア「Ryoは、リオだよね?」
私「違うの。リョウ」
米メディア「えっ?ヨー?Rは発音しないの?」
私「えっ、発音するのよ。ヨーじゃなくてリョウ」
米メディア「だから、リオだろ。Or(じゃなければ)、ライオだな」
私「Orって、勝手に決めないでよ。違う違う。ライオは絶対にありえないの。リョウ。でも、あなたがたはリョウとは発音しにくいでしょ?だから、リオのほうが、まだリョウに近い。違うけど近い。ホントはね、リュウジもリウジじゃなくてリュウジなのよ」
米メディア「えっ?リウジじゃないの?だって、今まで1度もリウジから直されなかったぜ」
私「それはね、きっと発音できないだろうってわかっていたからリュウジは何も言わなかっただけ」
米メディア「そうなんだあ……。で、リオはIMGと契約したんだろ?だったらコーチはレッドベターあたりになるの?今までは誰?」
私「スイングとか、メンタルとかも、ずっとお父さんが見てるのよ」
米メディア「そのダディの名前は?」
私「カツミ」
米メディア「おー、カツミ。こっちは発音しやすいな。うん、マッチ・ベターだな。ハッハッハッ」


という具合。だから説明する私も、結構、疲れる(笑)。日米では、名前ひとつ、発音ひとつでも、いざ知ろうとすると、結構、大変なのである。


ところで、そんな中、一人のアメリカ人記者が、こんな質問を寄せてきた。

米メディア「リオの取材のために、日本のメディアが試合会場の上空に無断でヘリを飛ばしたってホント?」
私「そんなことまで、よく調べたね。びっくりした~」
米メディア「ああ、やっぱり本当なんだ。で、同伴競技者にマイクをつけてラウンドさせたっていうのも耳にしたんだけど……」
私「そんなことまで、どうやって調べたの?誰かに聞いたの?」
米メディア「ん?情報ソースは明かせない(笑)」
私「うん、まあ、そりゃいいけど……」
米メディア「要するに、ジャパニーズのメディアの狂想曲だな」
私「そうねえ、でも最近は、そういう極端な暴走の話は聞いてないのよ。全体的に慣れてきたというか、ある程度のルールを守りながら取材するみたいな方向に行きつつあるようなことを日本の媒体から聞いたけど……」
米メディア「でも、すごい大軍が来るんだろ?それは、みんなゴルフメディア?」
私「いやいや、ゴルフだけじゃない。総合誌とか女性誌、ファッション誌、テレビ、ラジオ、新聞、ウエブ媒体……ありとあらゆる種類の会社から来るんじゃないの?」
米メディア「そうすると、また誰かがマイクをこっそり仕込んだり、そういうのも起こりうる?」
私「さあ、どうかなあ。それは無いんじゃないの?だって、ここはアメリカ。日本から見れば外国でしょ?さすがに、外国でそこまでやるほど無謀でもないだろうし、だいたい日本人はシャイなんだし……」
米メディア「おー、だから、シャイなリオは、シャイな日本人のヒーローになったんだね?」
私「ええっ?うーん、それはちょっと飛躍しすぎだなあ……。でも、もしかして、そうとも言うかな?」
米メディア「いや、絶対にそうだ。ソノコも結構シャイだし、日本人はどこかシャイで、話しかけても、やたらと笑って、すぐ去っていくし、そういうシャイな国民の憧れがシャイ・プリンス。そうだよ、きっと」
私「うーん。まあ、外国人から見た日本観に基づくと、そうとも言う……かな?まあ、あとは、ご自由にお書きください。結論づけはアナタの仕事」
米メディア「そりゃそうだな。よーし、この線で行こうっと。サンキュー、ソノコ!」


どうです、この結論付け?確かに、一理ありだと思うが……それが石川人気のすべてではないだろう。ま、とにかく、米メディアはノーザントラスト対策に追われています。

2009年02月05日

カールスバッド

カールスバッドという名前、耳にしたことがある方は多いだろう。簡単に言うと、ロサンゼルスから車で2時間ぐらい南下したあたり。サンディエゴの手前あたり。一年中、気候が良く、さまざまな素材が得やすいこと、かねてから航空関連の開発技術者がたくさんおり、そうした人材を活用しやすいことなどから、カールスバッドはいつしかゴルフメーカーが集まる用具開発の総本山になった。


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Photo / Jun Hiraoka


私はこの数日間、ここで某取材をしていた。やっぱり不況の波が、この総本山にも襲いかかっているのだろうかというのが最大の興味だったのだが、さて、その答えはというと……詳細は申し訳ないけれど、ここで明かすわけにはいきません(ごめんなさい!)。が、1つだけ言えることは、金融危機や不況といった暗い状況も、受け取り方や考え方次第で、明るい方向へ持っていけると彼らが信じていること。もちろん、不況というこの経済現象を彼らも肌で感じているのだが、落ち込んでばかりはいられないという気風が総本山に溢れていたのがうれしかった。


今週は米ツアーのビュイック招待が、この総本山のすぐそばにあるトーリーパインズで開催される。そのため、総本山にも選手たちの姿がちらほら。選手もメーカー頼みで用具を調整し、メーカーも契約選手頼みで開発や宣伝をする。そんな相互の信頼関係が間近に感じられるのも総本山ならではだ。


ところで、今回は1つ、大きな発見があった。なんとなんと、このカールスバッドはサーフィンのメッカでもあるそうなのだ。確かに海はすぐそばに広がっており、サーファーに言わせると、「すばらしい波が来る」のだそうだ。だが、カールスバッドは、波がいいからサーファーが集まるというだけではなく、サーフィン関連の会社や工場も集まっているそうで、いわばサーフィン総本山でもあるそうなのだ。


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Photo / Jun Hiraoka


で、ついでに聞いてみたところ、ゴルフクラブがパーシモンからチタンへ、複合素材へという変遷を経てきたように、サーフボードも木製から、なんとかいうプラスチックのような素材へと変化し、その開発競争は、重さと耐久度の兼ね合いの中でのアイディア比べなのだとか。


うーん、ゴルフ界の人間は、カールスバッドといえばゴルフメーカーが集結する場所としか認識しないものだが、ちょっと視界を広げてみると、実はサーフィンのメッカでもあったなんて……すごい発見。


となると、このカールスバッドがまさに天国と感じられるのは、ゴルフ界ではサーファー&ゴルファーのアダム・スコットやスチュワート・アップルビー、アロン・バデリーらだろう。サーフィン界にもきっと、優れたサーファーでありながら大のゴルフ好きなんて人がいるに違いない。


……なんてことは、さておき、明日からはビュイック招待。もしもサーファー&ゴルファーが優勝したら、それはやっぱりカールスバッドにほど近い場所による恩恵かな?


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(このちびっ子サーファーは未来のプロサーファーか、それともプロゴルファーか???)
Photo / Jun Hiraoka


2009年02月03日

リアクションはさまざま

先日、2月1日の午後3時半ごろ、ロサンゼルス郊外のゴルフ場のすぐ隣で山火事があった。たまたま、そのコースに居合わせたカメラマンが、「うわっ、大変だ!」と写真を撮ったそうで、送ってくれたのだが、一連の写真を見て、思わず、うーん、なるほどなあと思えたことが1つ。


それは、同じ「火事」の至近距離に居合わせても、そのリアクションは人によって、実にさまざまだなあということ。


消火のための水を汲むために、そのゴルフ場に降りてきたヘリコプターが、頭の真上やら、すぐそばやらに飛んできたとき。まず、この写真のゴルファーたちは、プレーの手を止めて、「何?火事?山火事?たいへんだ~」と見守っている。まあ、そりゃあ、当たり前のリアクションだ。


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Photo / Akira Morinaga


しかし、こっちの写真のこのオバサマは、そんな状況下でも、プレーする手を止めていない。それほどプレーに対する集中力が高いと褒めるべきか、それとも、あまりにも無関心すぎると批難すべきか。それは、どっちとも言い難いけれど、人間のリアクションというものは、これぐらい多様だという1つの表れのように思える。


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Photo / Akira Morinaga


そういえば、アメリカのゴルフ雑誌に、マスターズ出場が決まった石川遼に関する記事がまたまた出ていたのだが、その記事を書いたアメリカ人記者は「石川遼のストーリーを耳にするにつけ、タイ・トライオンを思い出さずにはいられない」と綴っていた。


トライオンとは、かつて15歳でPGAツアーの大会に推薦出場し、見事に予選通過して、一時は上位に食い込んだりの大活躍。「こりゃ、すごい逸材」「第2のタイガー登場」などと、米国内では、そりゃあ大騒ぎになり、米メディアは追いかけるは、あのIMGがすぐさまついて押し寄せるメディアをコントロールするは……確かに、あのときは大変だった。しかし、そんなプレッシャーに押しつぶされたのか、トライオンはあっという間にゴルフの表舞台から消えてしまったのだ。


もっとも、トライオンは、ツアーでちょこっと活躍しただけで終わってしまったのに対し、石川はすでに日本ツアーで優勝もしているわけだし、世界ランクでトップ100をブレイクした最年少という記録も世界において樹立しているわけだし、日本側から眺めれば、石川とトライオンを一緒にしないでくれよってことになる。


しかし、それでもなおリアクションというものはさまざまなわけで、まだ石川を直に眺めていないアメリカ側から眺めると、米ゴルフ誌のその記事の見出しが言うように「本当にリョウ・イシカワはマスターズ出場の1スポット(特別招待枠のこと)を得るに値するんだろうか?」という疑問につながることもあるわけだ。


リアクションはさまざま。それまで見知ってきた世界、眺めてきた世界、それぞれの体験やゴルフに関する知識レベル。そういうバックグランドはそれぞれが異なるわけだから、それぞれの感じ方や考え方は異なって当然。とにかく今、石川に対するリアクションは、世界においては千差万別、十人十色。


だが、逆に言えば、選手の能力、活躍の仕方、プレッシャーの感じ方と対処法もさまざまなわけで、トライオンがつぶれたから石川も同じようにつぶれるわけではないだろうし、石川は石川で、思うところもあるはずだ。


いずれにしても、ひとたび石川本人と彼のプレーを間近に眺めれば、彼に対する日米の違いすぎるリアクションは、おそらくは、ある程度、同じ方向に集約されていくのだと思う。それが、いい方向を向いてくれることを祈りたい。


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    名も無きダッファー [02/24 01:39]
    やまけん [02/25 04:55]
    norida [02/26 09:27]
    なるさ [02/27 01:07]
    カメちゃん@LA [02/28 02:03]
  • 異様な雰囲気?
    camel [02/17 17:18]
    Nick [02/18 01:07]
    なるさ [02/18 23:20]
    ふう [02/19 07:36]
    ご意見番 [02/22 16:44]
  • アロ~ハ~!
    TON [02/14 08:07]
  • ノーザントラスト対策?
    Nick [02/09 22:36]
    サンディエガン [02/10 02:29]
    camel [02/10 07:50]
    DAX [02/10 08:06]
    きゃぶ [02/10 19:17]
    norida [02/11 10:58]
    やまけん [02/11 13:21]
    AONE [02/11 21:14]
    なるさ [02/11 22:29]
  • カールスバッド
    TON [02/05 10:49]
    サンディエガン [02/05 11:44]
    ZAKKY [02/05 21:21]
    ノリダー [02/06 11:41]
  • リアクションはさまざま
    AONE [02/04 10:59]
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