2009年03月29日
アーノルド・パーマー招待の3日目の朝。あと2時間もすると、今田竜二がティオフする。2日目を終え、3位タイへ急浮上した今田。ムービングデーと呼ばれる今日3日目、どんなプレーを見せてくれるのだろうか。楽しみでたまらない。

Photo / Nozomu Nakajima
先日、今田と食事をした。彼はマスターズに出ることを夢見て、14歳で1人で太平洋を渡り、フロリダ州のタンパにやってきて、それからこの17年間、ずっとその夢を見続けながら腕を磨いてきた。昨年のAT&Tクラシックでの初優勝で、やっとその夢が叶うことになり、彼の胸の中はうれしさでいっぱいなのだ。
だが、うれしいとか、気持ちが逸るとか、興奮するとか、そういうエモーションを抱いたままでは、あのオーガスタを戦うことはできないということを今田自身、よくわかっている。ゴルフは特殊なスポーツ。「よーし、行くぞ!やるぞ!勝つぞ!」というような勢いをつけすぎてしまうと、逆に本領発揮からは離れていってしまう。だからと言って、どうでもいいやという具合にやる気がない、モチベーションがないのでは、もちろん好プレーは望めない。だから、気持ちや感情をどうやってコントロールするか、逸る気持ちをどうやって抱きながら抑えるか、そこが一番難しいのである。
今田は、だからこそ、逸る気持ちを「自信」というものへ置き換えようとしている。そのために、十分な準備と練習を積み、マスターズに臨もうとしている。日本のゴルフファンやメディアの期待と関心は、このところずっと石川遼に集中しているが、その状況を今田は冷静に受け止め、「自分は自分」というスタンスをしっかりと維持したまま、ひっそりと夢のマスターズ出場に向かっている。
このアーノルド・パーマー招待は、多くの選手たちがマスターズへのウォーミングアップ的意味合いを含めて出場している。グリーンが固く速く、出場選手の顔ぶれも良く、マスターズ直前の試合勘や高速グリーンのタッチを味わうには最高の場。しかし今田は「この試合はこの試合。マスターズはマスターズ」と、あえて割り切っている。
3位タイの好位置からスタートする今日の第3ラウンドも、米ツアー2勝目をまだ意識しようとはせず、あえて「3日目は3日目。最終日は最終日」。目指すスコアも「イーブンパーならOK」。そんなふうに一歩一歩、目標を定めながらクリアしていく。それが今田流であり、それが彼のエモーションコントロール術でもある。

(ショットが乱れても得意のショートゲームでカバーできるところが強み)
Photo / Nozomu Nakajima
昨年はプロアマ戦を突然欠場したジョン・デーリーの影響を受け、補欠1番だった今田がプロアマ欠場による本戦失格という事態になった。あのとき、憮然とした表情で腹立たしさをこらえていた今田のことが、今、鮮明に思い出される。「去年は去年。今年は今年」。今田はやっぱりそう言った。
そうだよ、「割り切り」こそは今田流。3日目も好位置で終わってほしい。最終日はタイガー・ウッズと最終組で一騎打ち?そんな展開を是非とも見てみたい。
2009年03月26日
アーノルド・パーマーと初めて「ご対面」した石川遼が「パーマーさんは僕が思っていた以上に優しい人でした」と言っていた。しきりに「優しい」「優しい」を繰り返す石川を眺めながら、そう言っているこの17歳の少年も優しいなあと心から思った。

(「優勝したらこのポーズをしなさい」とパーマーからサムアップを教えられた石川遼)
Photo / Nozomu Nakajima (中島望)
スイング改造に着手したのはいいけれど、どうも何かが違うぞという経緯を辿り、結局、元のスイングとマイク小西氏の理論の折衷型のような形で試合に臨むことになった石川。どう考えても、改造に取り組んだ初期段階で、石川の父・勝見氏の考え方と小西理論との間に、相違点があったことは確か。しかし、そのあたりのことを報道陣から尋ねられた石川は「お父さんの言うことだけが絶対ってわけじゃないし、マイクさんの言うことが100%ってことでもない」という具合に、どちらも傷つかないよう、しきりに彼は気を遣いながら言葉を選んでいた。それでも「僕も今はどう打ったらいいのかわからない」と、自分自身のことになると、ついつい本音や本心が口をつく。だが、自分以外の人、つまりは父親や小西氏が関わる話は、すべて気遣いの連続だった。圧巻は父・勝見氏と小西氏の夜の話し合いにおいて「2人ともお互いの意見を尊重しあってましたよ」と言った石川の言葉。
そんな気遣いができるのは、石川が心優しい何よりの証拠なのだが、パーマーの優しさをすぐさま感じ取る彼の感性を知るにつけ、ひょっとしたら、カリスマ性というものは、こういう優しさを備えた人間に備わるものではなかろうかと思えてきた。
ゴルフ界のカリスマと言えば、現代はもちろんタイガー・ウッズだが、そのタイガーも、旧来のコーチだったブッチ・ハーモンと決別したのかどうかと米メディアから問い詰められたとき、ずいぶん言葉を選びながら、かつて世話になったハーモンの人間性や人格、コーチとしての資質を絶対に傷つけないような言い方で決別の事実を語っていた。もしもタイガーがそこらへんにいるチンピラみたいなやつだったら、長らく世話になったコーチのことをボロクソに言ったりもするのだろうけれど、人間として大物のタイガーは間違ってもハーモンのことを「あんなやつ……」などとは言わなかった。自分の発言の重さを知っているからこそ、誰かのことを語るときは慎重になる。それがちゃんとできるのは、タイガーが自分の大物ぶりを自覚しているからであり、タイガーが心優しいからでもあり、だからこそ彼はカリスマ性を醸し出しているのだ。
だから、パーマー、タイガーには優しい心遣いができるゴルフィングスターという点で共通項があり、それが彼らをカリスマにした所以だろうと思え、石川にも通じるところが感じられる。つまり、カリスマ性の正体は優しさではなかろうか。
そんなことを考えていた矢先、キングと呼ばれるカリスマ、パーマーが妙な姿でベイヒルの9番ホールに登場した。なんとなんと、キング様がカートに箱乗り?日頃、パーマーは車でもカートでも、自分でハンドルを握らないと気がすまないらしく、いつ見ても運転席に座っている。しかし、今日はどうしてだか、運転席でも助手席でもなく、後方に立ち乗り状態。珍しいシーンだったが、きっと運転好きのパーマーが後方に立って乗った背景には、何かワケがあったはず。心優しいパーマーは、誰かの何かのためにと考えたら、結果的に自分が後ろに立ち乗りすることになってしまったんだろうなあ……きっと。

(これは珍しいシーンです!)
Photo / Nozomu Nakajima (中島望)
2009年03月21日
石川遼が米ツアー挑戦2戦目のトランジションズ選手権で予選通過を果たした。2日間通算イーブンパー、39位タイでの堂々通過。ちなみに、石川の17歳6か月での予選通過は、米ツアー史上5番目の若さであり、ノンアメリカンでは2番目の若さだ。

(クラブハウスのシェフから祝・予選通過で贈られたハンバーガーを前に笑顔!)
Photo / Sonoko Funakoshi
今日の2日目終盤は、ちょっとひやひやさせられた。10番スタートの石川は後半6番でボギーを喫し、この時点でイーブンパー。カットラインは1オーバーだったため、7番からの上がり3ホールを少なくとも1ボギーまでで抑えなければ予選落ちとなるところだった。そして、その上がり3ホールは、いずれもパーパットが短いけれどきわどいライン。見ているほうも手に汗握らされる展開だったが、石川本人も「入れる瞬間、ドキッとしました」。
さて、そんな展開を父・勝見氏はどう見ていたか。「いい勉強になったと思いますよ。6、7、8、9番と冷や冷やするのを味わって」と、ニンマリ。父親から見れば、今日の展開はまさに「かわいい子には旅をさせろ」を地で行く展開だったのだろう。
今日は初日に比べ、風が強まった。単に強まったというより、いわゆる「風が巻いている」状態で、その巻き方も場所によって、あるいは空中の高さによってマチマチ。今田竜二のキャディのケイシーは「なんか小さなトルネードがあっちこっちに出現してたって感じかなあ」と表現していた。
そんな中、石川は「グリーンを狙うショットのとき、風の読みは合ってたけど、ピンまでの距離がしっかり打てていなかった」。距離がしっかり合わなかったのは、改造中のスイングのせい?それとも?
その答えを父・勝見氏は、こう表現した。「風の影響を(物理的に)受けてたんじゃないんですよ。風が吹いているなと思うことで、あれこれ考えてしまって、ハートで負けてるんですよ。昔っから、遼は風に弱い。ゴルファーが風に弱いんじゃ、話にならない!」
うーん、手厳しい。父親にしか言えない言葉であり、父親だから言う言葉なのだろう。史上5番目の若さでの予選通過そのものは、もちろん高い評価に値するのだが、そこにうかれることなく、あるいは今後のために、あえて今日のラウンドで見られた悪い点を指摘し、「そんなことじゃ、いかん!」と緒を締める。勝見氏自身、「ここでうかれたらいけない」と自戒の念を強めるための言葉でもあったように思う。
しかし……石川は実は風に弱いというのは初耳。石川自身は風に対する判断や反応を、どう自己評価しているのだろうか。石川はちゃんと読めてると感じているわけだが、読んだあと、読み過ぎ考え過ぎになってしまっているのだろうか。父と息子、このあたりの意見は一致しているのだろうか。それとも、これはひょっとしたら親子喧嘩の元になる話?ともあれ、明日からの決勝ラウンドでは「石川と風」というテーマに秘かに注目しながら見てみようと思う。
2009年03月19日
明日、石川遼が米ツアー2戦目となるトランジションズ選手権でティオフする。すでにスポーツ紙などの報道を通じて、みなさんもご存じのことと思うが、石川遼は先日のWGCアクセンチュアマッププレー選手権で出場がかなわず、そのまま帰国し、今回の再渡米に至るまでの間、秘かにスイング改造に取り組み始めていた。新スイングを見た人々から「一目でわかるほど変わってるよ」とすぐさま連絡をもらい、一体、どのぐらい変わっているのだろうかと、ドキドキしながら会場へ向かった。
そして今日の水曜日、私はそのスイングを初めて見てびっくり。確かに、先のノーザントラストやマッチプレー会場で見た石川のスイングと今回のスイングは驚くほど異なっている。

一番異なるのはアドレスの形。右肩を下げて、背中からお尻にかけてかなりの角度をつけている。つまり、お尻を突き出すような形にしているのだ。右肩を下げた形は、高い弾道を生み出す際、高いポイントにターゲットを設定し、そのあたりを顔を左上方へ向けながら眺めると自然にできるやや右肩下がりの状態というものを、そのままアドレスへ取り入れたとでも言うべきだろうか。そして、その理論は、かつてマイク小西氏から私が教わった理論そのものだ。
小西氏とは、もう8年か9年ほど前、全米オープンなどのメジャー取材の際にご一緒し、そのときに小西氏のスイング理論を繰り返し説明したもらったことがあった。小西氏は、骨格とりわけ骨盤の向きや角度を重視しており、石川の右肩下がりの構えは、むしろ理想的な骨盤の向きを実現するためには肩のラインが右下がりになるべきという具合に「骨盤→肩」という順序で指導されたのだと思う。

小西氏は来週、会場入りするとのことなので、彼の持論については、ご本人に直接尋ねるべきだが、今、気になるのは、これほどドラスティックにスイングを変えようとしている石川の今の心境だ。初挑戦のノーザントラストで、あれほどの緊張を味わった石川。今回は2戦目ゆえ、あのときほど「夢の米ツアーだ」という感じでドキドキすることはないのだろうと予想される。けれど、まだ新スイングで球を捉えられない状態のまま明日の初日を迎える心境は、辛いだろうなあと偲ばれる。たとえ練習の段階で「万全だ」と思っていても、やっぱり緊張するのが初日の1番ティの常だ。だが、石川は今日の1日、6時間前後も練習をし続け、日暮れ近くまで球を打ち続け、なんとか「最後の30分が一番疲れていたけど、いいスイングができるようになった」と言ってはみたものの、やっぱり「全然、スイングの安定感は(試合には)間に合わなかった」と感じているのだ。それで初日のティオフを迎えるのは、選手にとっては、とりわけ注目度が高い石川にとっては、ものすごく辛い試練となる。
それでも彼は「マイナスのことばかりが思い浮かんだりするけど、試合では試合に集中しようと思う。それで結果が悪ければ、あとで(悪かった点に再び)集中しよう」と、どこまでも前向き。ああ、健気だなあ……。でも、これが今までになかったほどの試練となりつつあることは、すでに石川本人が一番痛切に感じ取っている。
唯一の拠り所は、ショートゲームに対して少し自信を高めつつある点だ。今回、アメリカ入りしてからはかなりアプローチも練習し、「ノーザントラストのときより、いい手ごたえを得ている」とのこと。「花道あたりからの寄せでもちょっと左足上がりだったり、ラフからのロブショットだったり、そういうところからは僕はショートしやすい。僕にはミスしやすいアングルがあるってことも自覚できてきた」と、そのあたりは冷静な分析ができている。試合になったら、本来は一番得意だったドライバーショットも今の不安定な新スイングでは、おそらく乱れるだろう。アイアンショット然り。そうなると、拠り所はショートゲームしかないのだが、そこに冷静さと自信の高まりが見られることが、現状では最大で唯一の拠り所である。
もう1つ、ほんの少しだけ希望を見出せるとしたら、それは今田竜二の言葉だ。「PGAツアーの中でも、このコースはドライバーを使わないホールが多いほうのコースです。マネジメントとショートゲームがキーになる」。この言葉を、石川にできるだけ有利になるように解釈するとしたら、今までのような快心のドライバーショットを放つことができず、距離を稼ぐことができなかったとしても、セカンドショット以降にチャンスがまあまあ残されると考えることが、なんとかできる。もちろん、そのセカンドショットも、そこそこ距離が残っていたら、やっぱり精度が落ちることが予想される。となると、やっぱり石川に残される唯一のチャンスはショートゲームだけという結論になってしまうのだが、とにかく今は、スイング改造の是非やマイク小西理論の是非はさておき、まず明日からの予選2日間をどう戦うか、である。
今日、あれほど練習しても「間に合わなかった」と石川が感じているのだから、スイングは今更、突然、どうこうできるものではない。もう、今の状態でティオフするしかない。初挑戦のときより、さらなる勇気を絞り出し、「ダメモトだあ」ぐらいの開き直りで臨む以外に道はない。
おそらくスコアには期待できないと思う。改造し始めたスイングがそれほど早く定着することは不可能に近いのだから。しかし、この試合ではなく、ずっとずっと先々のために、より良いスイングを身につけたいということで着手した改造なのだから、たとえ今週のスコアや順位が悪くても、新スイングに対する手ごたえを試合で少しでも感じ取れたら、石川にとっては「それなりに」満足感が得られるのだろう。
とはいえ、やっぱり出るからには、スコアや順位は当然気になるわけで、その気持ちを抑えつつ、すでに着手している新スイングでプレーするしかないという試練を乗り越えるのは並大抵のことではない。「どうして、今?」という疑問は、やっぱり残るが、ある意味、今週は最大の精神力が要求されることになる。さらなる勇気が、どこまで出るか。忍耐がどこまでできるか。まだ17歳の、しかしビッグなスター選手にとっては、本気で辛いティオフが待ち受けている。
2009年03月14日
WGC-CA選手権は、復活第2戦での優勝が期待されていたタイガー・ウッズが初日も2日目も低迷。世界ランク1位の座の入れ替わりが期待されていたセルジオ・ガルシアも低迷中。そんな中、優勝の期待を背負っているのは、第2ラウンドを終えて3位タイにつけているローリー・マキロイだ。
まだ19歳の若さだが、すでに今年2月のドバイデザートクラシックでプロ初優勝を果たし、先のWGCアクセンチュア・マッチプレー選手権ではベスト8進出を果たした。その実力は、もはや戦績によって実証されており、マキロイに対する注目度はウナギ登りに上昇している。
そういえば、マッチプレー開幕前はたいして取材も受けておらず、練習場でも黙々と球を打つ姿が印象的だった。しかし、そのマッチプレーでベスト8まで残ったため、今回のCA選手権では、練習日に黙々と球を打つことができないほど取材攻勢にあっていた。
火曜日はテレビを含めたインタビューが5件。水曜日もテレビが3つ、紙媒体が2つ。練習ラウンドをしているときも、欧州メディアのビデオ取材を受けたりしていたが、マキロイは慌てることなく、ティグラウンドの脇でほんの1、2分、うまく話をまとめ、先に歩いていった先輩プロたちを待たせてはいけないと猛スピードでダッシュ。そんな様子を眺めていると、すでにスター選手として何年も取材をそつなくこなす生活を経験してきたように見えた。

Photo / 中島望 Nozomu Nakajima
だが、それもそのはず。よくよく聞いてみれば、彼は6歳のころからインタビューに応える日々を送り続けてきたのだそうで、プロ転向発表前には、すでについていたマネージャーが、いわゆる「メディア対応の講習会」受講を予約していたにも関わらず、マキロイはそれを受けることなく、スムーズにテレビ取材をこなし、あっけにとられたマネージャーは講習会の予約をキャンセルしたのだそうだ。
セットアップからフィニッシュにいたる一連の動きは、すべてが教科書通りで、きわめてスタンダード。何一つ、主流と言われるテクニックから脱線しているものが見当たらず、おまけにスムーズでダイナミック。飛距離は軽々300Y超。ショートゲームもパットも欠点の探しようがない。

Photo / 中島望 Nozomu Nakajima
こりゃ、すごいな。そう思っているのは、すでにマキロイと同組でプレーした経験者の先輩プロたち。マッチプレーでマキロイを下したジェフ・オギルビーも「ローリーは本物だよ」と舌を巻いている。
なんだかティーンエイジャーとは思えないなあ……そう思って眺めていたら、英国のマネジメント会社からやってきた若いマネージャーが、どこまでも絶えない取材攻勢をピシッと打ち切り、不満顔の記者たちに、こう告げた。「もう、終わりにしてくれ。そろそろローリーをホテルに連れて帰って、テレビの前に座らせてあげる時間なんだ!」
「疲れている」とか、「明日の大事なラウンドが控えている」とか、そういう理由ではなく、「テレビの前に座らせてあげる時間だ」という理由が、面白すぎてクスッと笑ってしまった。そんな言葉がマネージャーの口から出るということは、きっとマネージャーに見せるローリーの素顔はかなり子供っぽくて、そんな素顔を日頃から眺めているマネージャーは、ついついローリーを子供扱いした言葉を発してしまったのだろう。うーん、やっぱりテレビを観て楽しむ時間がなくなると、がっかりしちゃうのかなあ、マキロイ少年は……?でも、そんな一面がありそうなことが、ふとしたところでわかって、少しばかりほっとした。
2009年03月11日
今週はWGC-CA選手権。フロリダ州マイアミのドラールがすでに大賑わいだ。先日のWGCアクセンチュア・マッチプレー選手権でわずか2回戦敗退となったタイガー・ウッズも出場するとあって、大会への注目度は一層高まっている。
そんな中、タイガーへの注目とはちょっと異なる注目を浴びているのは、セルジオ・ガルシアとカミロ・ビジェガスだ。2人とも母国語はスペイン語。そして、ドラールのあるマイアミあたりは、アメリカなのだが英語よりスペイン語のほうがメインなのかと感じるほどスペイン語が飛び交う一帯だ。いつだったか、マイアミのホテルにチェックインしようとしたら、ホテルのフロントにいたおばあちゃんが英語が一切話せず、スペイン語だけしか解さなくて難儀だったこともあった。
ああ、話がちょっとそれたが、そういう場所柄、土地柄ゆえ、スペイン語を母国語とするガルシアやビジェガスは、スペイン語を話す人々にとって憧れの存在。それに、テレビ局もスペイン語放送を重視しているし、報道関係者の中にもスペイン語が母国語だという人が多い。
そんなこんなの事情を鑑み、米PGAツアーが考えだしたのが、「スペイン語オンリーの記者会見」を開くというアイディアだった。とはいえ、逆にスペイン語がわからないメディアももちろんいるわけだから、英語による会見を行った上で、さらにスペイン語による会見も行うという2段階だった。

(ビジェガスもガルシアも神妙な顔。母国語なのに、いつもより固くなっていたような……)
Photo / 中島望 Nozomu Nakajima
メディアの集まり具合は……まあまあ?スペイン語での質問は、ほんの15分ぐらいで終わってしまい、そのやり取りは、スペイン語がわからない私にはもちろん内容が全然わからなかった。普段は英語で出てくる速記によるスクリプトも、速記屋さんがスペイン語がわからないから出ては来ず、結局、スペイン語がわからないメディアにとっては、すべてがわからない会見だった。しかし、母国語でやり取りできたメディアは「やっぱり質疑応答は母国語に限る」と喜んでいた。
米PGAツアーに確認したところ、「英語以外の言語を限定して会見を行ったのは、去年のバークレーズ選手権でKJチョイの会見を韓国語オンリーで行ったのに次いで2回目。バークレーズはNYに近く、韓国系メディアも多かったし、KJに対する注目度も高かったので、韓国語会見を開いた」とのこと。

(スペイン語どうしのやりとりは、私には理解不可能だったけど、喜んでいた記者もたくさんいた)
Photo / 中島望 Nozomu Nakajima
それならば、日本人選手の会見、たとえば過去では丸山茂樹や田中秀道、それにスポット参戦の際の片山晋呉等々、あるいは先日の石川遼の会見なども「ジャパニーズ・オンリーの会見」という具合に限定することはできなかったのかと尋ねると、「日本のメディアは通常、会見の場ではなくアウトサイド(屋外)で選手を直に囲んで取材しているし、言語を指定してこういう会見を行うとしたら、やっぱり選手が世界ランクやフェデックスカップランクでトップ10とかトップ20とか、そのぐらいに入ってこないと対外的にもちょっと難しいかなあ」と言っていた。
まあ、それはごもっとも。確かに、日本メディアの取材方式は世界から見ても独特なところがあるから、わざわざ日本語指定の会見をセッティングするより、「日本の取材陣は、あのあたりで囲んでね」という具合に場所を指定するほうが、双方にとって便利なのかも。
それにしても、こんな具合に英語以外の言語が記者会見の条件指定に加わってきたのは、間違いなく米ツアーの国際化が進んだ証拠だ。選手の国際色が増し、取材するメディアの国際色も増し、米ツアー選手を応援するファンの国際色も増してきたからこそ、こういう会見が組まれるようになったのだ。
韓国語、スペイン語に次ぐ第3の外国語は何語になるだろう。米ツアーのオフィシャルいわく、「うーん……北欧あたりのどこかの言葉か、アフリカあたりの言葉か……うーん、全然わからないなあ」。私にも想像がつかない。英語でも韓国語でもスペイン語でも日本語でもない次なる言語は、何語だあ?
2009年03月07日
タイガー・ウッズの復帰第2戦が再来週のWGC-CA選手権になることが今日、発表された。これが、なぜビッグニュースかというと、復帰第1戦となった先日のWGCアクセンチュア・マッチプレー選手権で早々に敗退した際、タイガーが次なる出場予定を「まだ決めてない」と言葉を濁していたからだ。
なぜ、タイガーは「次はCAに出る」と言わなかったのか?なぜ、タイガーは「ベイヒル(アーノルド・パーマー招待)になるかも」と言わなかったのか?そんな疑問が沸き起こり、次に沸き起こったのは彼の左足が実はまだ本当に大丈夫な状態に至っていないのではないかという疑問だった。
マッチプレーでは練習日も初日も「左足はすっかりOK。手術前より強くなっている」を繰り返していたタイガーだが、実を言えば、1回戦でも2回戦でも、結構、左足をかばうような仕草をしばしば見せていた。だから、わずか2回戦での敗退を喫する結果になったのではないか。そんな見方が蔓延したのは当然だった。
それと、もう1つ、気になることがあった。あれっ、タイガー、痩せちゃった???この写真を見てもおわかりのように、タイガーの上半身が以前よりもほっそりしている。そりゃあ、8か月もツアーから離れていたのだし、手術直後からしばらくの間は筋トレなどもできなかったわけだから、多少の筋肉が落ちるのは、これまた当然だ。しかし、それにしたって、なにやら細く見えるではないか……。

(なーんか、ほっそりしてるんですよねえ~)
Photo / 平岡純 Jun Hiraoka
タイガーという選手は、見た目だけでは判断がつかないことが多く、だから彼は凡人には理解しがたい面をたくさん備えたスーパースターなんだろうけれど、とりわけ弱った肉体に関しては、そうそう人には明かさないというところがある。昨年の全米オープンのときだって、あれほど左足が悪くなっていたことをずっと明かさなかった。あれほど痛みに顔を歪めながらも「どこがどうなっている」なんて一言も言わず、黙って戦い続け、91ホールの死闘を制した後、ドクターストップを無視してまで戦い続けていたことを初めて発表した。
さすがは王者だなあ――あのときほど、そう感じたことはなかった。王者は黙々と戦う。泣き言は決して言わず、弱みは決して明かさない、見せない。
そんなタイガーだからこそ、今、左足はホントに大丈夫なのだろうかと気になって仕方がない。CAに出ると決めたのだから、大丈夫と踏んだのだろう。けれど、マッチプレーのときも、まだ夜な夜なアイシングをしていた様子だった。どう見ても完治はしていない。なんとか戦えるレベルまで回復したという段階なのだろう。

(ラウンド中の待ち時間。思わず座っちゃう。左足のシューズの紐も緩めちゃう……大丈夫?)
Photo / 平岡純 Jun Hiraoka
本当の完治を待たずして、マッチプレーに出て、CAに出る。その理由は、もちろんマスターズまでに試合勘を取り戻し、マスターズに勝つため。タイガーの照準がマスターズに絞られていることだけは確かだが、それまでに無理をしすぎて、かえって悪化させることになりはしないだろうか。うーん、気になる。
2009年03月05日
みなさん、この写真、何だと思いますか?

(夜空に浮かぶ月と星。きれいでした。)
Photo / 平岡純 Jun Hiraoka
先週のWGCアクセンチュアマッチプレーを取材していた木曜日の夜、アリゾナの夜空に浮かんだ月と星を写したもの。ヘトヘトになって、やっと夕食にありつき、お店を出た途端、同行していた2人のカメラマンが夜空を見上げ、「ああっ!これって何年かに1回しか見られない現象ですよ。月と、あの星が、あんなに接近しているなんて……」。あんまり「すごい、すごい!」と言うので、思わず手持ちの小さなデジカメで「じゃあ、撮って、撮って!」と頼み、撮ってもらったのだが、暗闇の中、そこらへんの車の屋根を借りて、どうにかこうにか写した感じゆえ、どうも星が☆ではなく〇になっている!?
それにしても、そんなに珍しい現象だとすれば、月は月なのだが、あの寄り添うような星は、なんという星なのだろう?それを尋ねると、2人のカメラマンは「えっ?????」。わからない!
そこで、皆さんに質問です。この星の正体、ご存じの方がいたら、ぜひ、教えてください。ついでに、月が三日月を横にした状態になっているのは、なぜ?すみません。天体関連、ものすごく苦手です……。
さて、答えは、天文学や天体に詳しいどなたかが、きっと教えてくれるだろうと信じた上で、それはさておき、この寄り添うような月と星を見て、何と何だと感じるか?……と考えてみた。
織姫と彦星?ロマンチックすぎる?七夕には、ちと早い。
それでは、もっと今風に、なかなか会えない遠距離恋愛の2人が、やっと会えたシーン。これは、結構、現実的では?どっちの場合も、なんとなくだが、月=男、星=女 のような気がする。つまり、月が主体で、そこに星が寄り添うような、そんなイメージを受けるのだ。(男女差別に聞こえますか?あくまで私が受けたイメージの話。どっちがどうという話ではありません。念のため)
次に、ゴルフ界における「月と星」という具合に考えなおしてみると、
「月=夢」「星=石川遼」とすれば、この夜空の絵は、ついにアメリカで夢の第一歩を実現した石川遼の絵?
あるいは、世界が注目する若手ホープ2人を月と星になぞらえ、ローリー・マキロイと石川遼の接近図?
そうそう、マッチプレー会場の練習場で、マキロイと石川が前後の打席で打っていた時間というのがあった。お互い、時おり手を止めて、相手のスイングやショットを見ていたりもしていて、なにやら静かに火花が散っていたような、そうでもないような……。

(これも「月と星」の絵?)
Photo / Sonoko Funakoshi
お互いがお互いの存在を意識していることは確かだし、気になるのは当たり前だし、気にならないはずはない。すでに米国のゴルフ雑誌では「A teen sensation to rival Rory and Ryo」なんて見出しの記事も出している。しかし、見出しにはマキロイと石川の2人しか出ていないのだが、記事の中身には、もう1人、ニュージーランドのダニー・リーも登場。年齢は、石川が17歳、リーが18歳、マキロイが19歳。まさに、ティーンセンセーションだ。
このティーンセンセーションを夜空に描くとしたら、誰が「月」だか、誰が「星」だか、今はわからないけれど、まあ、いつの日か、誰かが「月」になり、残りの2人が寄り添う2つの「星」になる?その幕開けは、おそらくはマスターズになる。
オーガスタの夜空には、どんな月とどんな星が見られるのか。今から楽しみでたまらない。