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2009年04月26日

これも「我が道」?

石川遼、ダニー・リーとともにティーンエイジャートリオとして注目を集めている北アイルランドのローリー・マキロイが「びっくり決断」を下し、ちょっとした物議を醸している。


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Photo / Nozomu Nakajima (中島望)



今季、米ツアー6試合に出場し、そのうちの5試合ですべてトップ20入りを果たしてきたマキロイ。マスターズでもトリオの中では唯一、予選通過を果たし、20位タイでフィニッシュ。その実力は世界が認めることころだ。


そして、マキロイがそれら6試合で獲得した賞金総額は、すでに58万8691ドル。この金額は昨年の賞金ランク150位の獲得賞金を超えたことになり、それゆえ彼には米PGAツアーのスペシャルテンポラリーメンバーシップが与えられることになった。


だが、そこでマキロイが出したのが「びっくり決断」。驚いたことに彼はその権利を拒否!理由は「米ツアーメンバーになると、規定の15試合に出なければならない。でも、それは僕のもともとのプランより4つも多い試合数なんだ。今年は欧州ツアーに専念したいんだよね」とのこと。つまり、計画より4つも多く米ツアーに出ると、計画していた欧州ツアーの試合に出ることができなくなる、だから米ツアーメンバーにはならないということなのだ。


もちろん、出場スケジュールというものは選手本人が考え、決めることだから、こう言われてしまったら米PGAツアーはもはや「あっ、そうですか。じゃあ、仕方がないね」と言わざるを得ないわけで、マキロイのメンバーシップの話は、その時点で流れてしまった。


理屈としては、まあ、そういうことなのだが、気になるのは、やっぱりアメリカサイドが抱いた印象だ。せっかくの米ツアーメンバーシップと出場権を突き返した???となってしまっているのは当然と言えば当然の成り行き。


が、その成り行きにはさらなる伏線がある。マスターズ2日目の18番でバンカーからの脱出に失敗したマキロイが、思わず怒りに任せてバンカー内の砂を蹴ったという嫌疑がアテスト後の夜になって浮上。まだボールがハザード内にあったところで砂を蹴ったとなれば、ハザード内の状態テストとみなされ、ペナルティ。アテスト後ゆえ、失格……という危機にさらされたのが、結局、マキロイは「蹴ったんじゃない。(最初のバンカーショットの際にできた自分の)足跡をシューズの底でなぞって直しただけ」と主張。その主張が認められ、おとがめなしになった。しかし、マキロイの「なぞった」という主張に世界のメディアの多くが疑問を抱いていたのは確か。


そんなことがあった直後の米ツアーメンバーシップ拒否だったため、「ゲッ、何~?生意気~!」的な印象がついたのも確かだ。


しかし、歴史を振り返れば、あのタイガー・ウッズも、デビューしたばかりのころ、「出る試合にはすべて勝つ!」と言ってのけ、父アール氏も「息子にはその実力がある!」と公言。それを聞いた米メディアたちが「生意気~!」と書き立てたころがあった。


最終的には、メディアに何と書かれようと、人々に何と言われようと、どんな印象が付こうが付くまいが、実力を示し、好プレーを披露し、がんばってくれさえすれば、外野席からのゴチャゴチャ話はどこかへ消えてしまうはず。


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(生意気~なんて言われても、気にするなよ、若者!)
Photo / Nakajima (中島望)



これはマキロイなりの「我が道」なのだろうから、自分で選んだ我が道を突き進んでくれれば、よいのではないか。でも、正直なところ、「もったいない!」と思っている人はたくさんいるけど……。

2009年04月23日

ダウンサイズ?

ああ、どうしたらいいのか……私の頭は今もマスターズが終わらない。どの原稿を書くにあたっても、必ずマスターズに絡んでくるため、仕事場がマスターズの山のような資料でいっぱいで、しかも、書きながらすぐに確認できるよう、資料が「練習日」「初日」「2日目」……という具合に、それぞれの山になっていて、このマスターズづくし状態は一体いつまで続くのか。


なーんて心配を本気でしているわけじゃない。書きたいことがたくさんあるから好きで書いているわけで、本当に話題が豊富だった今年のマスターズは、きっと来年も再来年も、いや、もしかしたら一生、忘れられない大会になるかもしれない。そんな忘れがたきマスターズに身を置けたことは、本当に幸せなことである。


ところで、あまりにも話題が豊富だったせいか、結構、重要ですごいことだと思うのだけど案外、取り沙汰されていないことがある。お気づきの方は、どのぐらいいるだろう?


ちなみに、日本のメディアの間で、この重要事項に確実に気づいていたのは、おそらくあと2人?いや、他にも気づいていた人がいたのかもしれないが、今のところ、私がこのことで会話をかわしたのは、2人しかいないのだ。


最初はトランジションズ選手権のときだった。某スポーツ紙のT記者と、こんな会話になった。
T記者「タイガーのドライバーって、なんか……」
私「小さいよね」
T記者「だよねえ。そうですよねえ」
私「うん、絶対そうでしょ」
T記者「そうなんだよねえ、アクセンチュアのときから、なんか小さいなあって思って周りにも言ったんだけど、『そう?』みたいに流されちゃって……」
私「情報によると、どうも380ccぐらいらしくて……」


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(マッチプレーのときから、タイガーのヘッドはどうも小さく見えたんだけど……)
Photo / Jun Hiraoka (平岡純)



ちょうどそこに某メーカーのレップが偶然登場。そのレップに聞いてみたところ、やっぱりタイガーが使っているプロトタイプは、たったの380ccしかないらしいってことが、ほぼ確実になった。


そういえば、フィル・ミケルソンのドライバーもどうも小さく見えるぞ。そういえば、大半のメーカーの市販ドライバーは最大容量の460ccだが、テーラーメイドのR9は確か、420ccのはず。もっとも日本向けには460ccのR9MAXというのが出る(出ている?)らしいが、460ccが主流の中、420ccの新製品が出たということは、タイガーの例も考慮すると、うーん、どうやらドライバーがダウンサイズ化していく兆候なのでは???


そうだとしたら、こりゃあ結構重要な話。だが、この話をしたのは、前述のT記者と、もう1人、某新聞社のW記者だけ。そのW記者は、実際にマスターズでこの話を記事に入れ込んでいた。「タイガーの秘密兵器」という具合に。


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(「タイガー、ヘッドは何cc?」「それは秘密だよ」ってな会話?そんなわけないだろ!?)
Photo / Jun Hiraoka (平岡純)



しかし、その秘密兵器は、結局、オーガスタでは不発に終わってしまったのだけれど、今後はパワーヒッターの選手が「もう少しコントロール性がほしいんだよね」ってことで、やや小型のヘッドを手にすることになりそうな気配。だが、アマチュアの世界では「やっぱりマックスの飛距離が欲しいから460ccだあ!」となるのだろうか。でも、プロの世界は絶対にダウンサイズ時代が始まろうとしている……と私は秘かに思っている。ああ、ここに書いてしまったら「秘かに」ではなくなっちゃいますね。ま、いいか。

2009年04月18日

とうとう、終わり?

とうとう来たなあ……と思った。何が?ミッシェル・ウィーとソニーの関係終焉の報だ。まだ正式発表ではなく、あくまでも「ある情報筋によれば」という段階だが、米メディアの間では、すでに9割方、間違いないというところまで来ている話。


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Photo / Nozomu Nakajima



思えば、ウィーが鳴り物入りでプロ転向したとき、一番光輝いていたのがソニーとの高額契約だった。年間5ミリオンと推定される契約。これが、ついに終わるということは、ソニーが広告塔としてのウィーのバリューを見限ったということだろう。もちろん、ソニーにはソニーの内情があってのことだろうし、世界的大不況のご時勢、「プロゴルファーのスポンサードに使うお金があるのなら、もっと別の……」という事情もあるに違いない。あのタイガー・ウッズとビュイック(GM社)の契約だって流れてしまったのだから、まあ、契約を打ち切るソニーを責めることはできないし、だからと言って、やっと米LPGAメンバーになって心機一転がんばろうとしているウィーを責めることもできない。そういう世の中なんだから……と、今はそう割り切るしかないだろう。


それにしても、昨年末のQスクールを自力で突破し、やっと米LPGA参戦を開始したウィーの周辺には、あれこれ変化が続いている。プロ転向と同時に発表されたビッグ契約の中には、ソニーのみならず、マネジメント会社ウイリアムモリスエージェンシーとの契約もあった。ハリウッドスターをメインにマネジメント手腕を発揮している同社との契約は、ウィーがプロゴルファーとしてのみならず、芸能人的なスターとしても活動していきたい意志の表れとも見られていた。だが、今年になって、このウイリアムモリスとの契約もなくなり、ウィーのマネジメントはあのIMGに託された。


IMGといえば、ご存じのように、大物アスリートを数多く抱える会社。石川遼も海外参戦時はIMGにマネジメントを託し、今回の一連の米国挑戦を終えたばかり。そのIMGとウィーが手を組んだ矢先に、ソニーとの契約終焉の報。その裏側には、一体、どんな事情があったのだろう。


今のところ、そのあたりのことは一切明かされていない。だが、さらに不思議なのは、契約がなくなってからも、ウィーは従来通り、ソニーのロゴマークが入ったゴルフバッグを使うと見られていること。こうなると、ますます謎めいてしまって、なかなか真相がつかめそうもない。


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(SONYのロゴ入りバッグは、今後も見られるらしいけれど……)
Photo / Nozomu Nakajima


謎めく不思議の数々……それだけ、現在の米ゴルフ界が混沌としているってことだろうか。Ummmm.....

2009年04月16日

祭りのあとの……

マスターズが終わった。今年のマスターズは本当に本当に目まぐるしかった。何が目まぐるしいって、先日もこのコーナーで書いたように、とにかく「スペシャル」が目白押しだったのがまず1つ。そして、そのスペシャルに加え、片山晋呉の4位フィニッシュという予期していなかった「臨時スペシャル」も起こり、それらの「スペシャル」がどうしてだか、すべて同じ進行みたいなタイミングで次々に起こったもんだから、現場はとにかく目が回りそうだった。


おまけに、私自身の内情をちょっとだけ明かすと、取材と原稿書きの合間、マスターズウィークだけでラジオ出演が6局10本。オーガスタでは携帯電話の使用が「メディアセンターの建物内のみ」に厳しく限定されているため、国際電話でつなぐラジオに出るために、毎回、メディアセンターに必死で戻ってくる必要があり、その時間に合わせてコースの途中から走って戻ったり、選手のインタビューの直後に猛ダッシュしたり。しかし、オーガスタでは「走るな!」という厳しい規定もあるため、「見た目は走ってはおらず、猛スピードで歩く」という究極の技も身につけてしまった。


最終日の展開は、これまた目まぐるしかった。もともと上位を行っていたカブレラ、ペリー、キャンベルらの戦いに、タイガーとミケルソンが浮上して消え、そして上位3人の戦いに戻ったのはいいけれど、プレーオフまでもつれ込む大混戦……本当に目が離せない戦いだったが、そのぶんだけ、ゴルフの祭典は興奮に包まれた。


そして、祭りのあと。最終日の翌朝、オーガスタのホテルをチェックアウトし、アトランタの空港までレンタカーで走ろうとしたら、車のタイヤがパンクしてペチャンコ。あわててレスキューを呼び、レスキューが到着するまで近くのスタバで原稿書き。雨の中、レスキューが来て、ものすごい手際の良さで小さなスペアタイヤを付けてくれた。なんとか急場をしのぎ、アトランタ空港にやっと到着。さあロスへ飛び、久々に自宅に戻ろうとしたら飛行機が2時間以上も遅延……いやいや、なんやかんやと大変だった。


そして自宅に戻った今、もろもろの原稿と格闘中。そういえば、TBSラジオに出たとき、パーソナリティの荒川強啓さんが「いやあ、舩越さん、日本でこれほどマスターズが注目されたのは初めてじゃないでしょうかあ?」と呼びかけてきたのだが、きっとそうなのだろうなあと思いながら、「はい、そうですねえ……」と相槌を打った。そうなのだろうなあ。本当に、私自身も、ここまで目まぐるしく、ここまで忙しいマスターズは経験したことがない。石川遼効果で日本全体がマスターズに注目したのは間違いない。そこに、片山の大健闘、今田竜二の初出場、タイガー・ウッズの復帰初メジャーという話題が加わり、さらに注目は高まった。


思えば、これはひょっとすると14年前のマスターズを迎えたときのアメリカに似ている?


あれは95年。全米アマを制したスタンフォード大学のタイガーが初めてマスターズに出場した年。当時、私は渡米してわずか2年と日が浅く、タイガーに対する米ゴルフ界の注目や期待の大きさが、あまり理解できていなかった。だから、あのとき、インタビュールームを出て屋外に出ようとしていたタイガーの背中を気軽にポンポンと叩き、コメントの一つ二つでも取ろうかななんて行動に出たのだが、その場でセキュリティに制され、タイガーを連れ去られてしまった。


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(有名なマグノリアレーン。今田竜二は自分で車を運転して通り抜け、長年の夢を達成!)
Photo / Sonoko Funakoshi



私がタイガーに何を聞きたかったかというと、マグノリアレーンの感想を尋ねられたタイガーが「思ったより短かった」なんて気のない返事をしたので、そのあたりのことをもう少し詳しく話してもらおうかなあ、などと思ったわけだ。まだアマチュアだし、取材するのにそんなに気負う必要もないんだろうなあと思った私がバカだった。あのとき、タイガーはすでにアメリカのスターであり、現在の日本のスターである石川遼にどこかの国の1人の不慣れな記者がいきなり寄ってきてポンポンと石川の背中を叩いたようなものだった。うーん、知らないってことは恐ろしい。逆に言えば、怖さを知らないってことは、すごい行動力を生むってことだ。


まあ、無知だった私の奇行はさておき、あの95年大会のとき、アメリカのメディアたちは、今回の私や日本のメディアと同様、とんでもなく忙しいマスターズを迎えたのだと思う。米ゴルフ界は明らかにタイガー出現と同時に急成長を始めた。その始まりが、あの年だったわけで、14年もの歳月を隔ててはいるけれど、日本のゴルフ界もこれからやっとアメリカのゴルフ界のような成長を期待できるところに立ったのかもしれない。もちろん、石川の存在に期待し、依存するばかりではなく、日本のゴルフ界そのものが本気で「その気」になって動かなければ起こらない話だ。


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(あれから14年が経った今、タイガーもすっかり大人になったなあ。えっ、オヤジになった?)



しかし、今回のマスターズで、あの95年大会のときのタイガーをよーく覚えている日本人がもう1人、いらしたことがわかって、ちょっぴりうれしかった。日経新聞の大ベテラン記者の吉良さん。私が「あの大会の予選ラウンドって、タイガーはジャンボと一緒に回ったんですよね」と言うと、吉良さんが「そう、そうです!」とすぐさま相槌。あの大会は私にとってのマスターズデビューだったのだが、実は吉良さんにとってもマスターズデビューだったのだそうで、こんな古い思い出話ができるのは楽しい。楽しいのだけれど、ずいぶん歳月が流れたのだなあと思うにつけ、ちょっぴりセンチメンタルの気分にもなる。


とはいえ、今年のマスターズは日本のゴルフ界にとっても、初出場した今田や石川にとっても、初のトップ5に食い込んだ片山にとっても、記念すべき大会だったわけで、それは私にとっても、非常にうれしいことだった。


今年のマスターズは忘れえぬ出来事が山盛りだった。祭りのあと、今、すべてを思い出しながら、みなさんに伝えたいことを原稿に記している真っ最中。その一部をちょっとお伝えしようと思ってこのブログを書き始めたのだが、ちょっとのつもりが長くなった。


2009年04月12日

生きてる限り

今、マスターズ3日目の朝。予選2日間が終わった昨夜のオーガスタは、午後10時ごろから大雨に見舞われ、雷まで鳴り始めて、メディアセンターから出られなくなったほどだった。あの大雨は、予選落ちしてオーガスタを去った選手たちの涙や想いを慰めたり洗い流したりするために降ったのではないか。そんな気持ちになりながら、雨がこぶりになるのをひっそりとしたメディアセンターで待っていた。


2日間、いろんなことがあった。石川遼は15番のバーディで予選通過に大きく望みをつなげたが、その直後の16番で望みは消えた。「気持ちが弱い」と繰り返し言った石川の言葉と、訴えかけるような彼の視線が忘れられない。このマスターズを石川は生涯忘れないだろう。

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Photo / Sonoko Funakoshi



同じティーンエイジャーとして注目されていた18歳のダニー・リーは2日目の10番で6パットを喫し、大会史上ワースト記録の「9」を叩いた。74-81の通算11オーバーで予選落ち。彼の胸の中に残ったものは、あまりにも苦い初出場の思い出だ。


19歳のローリー・マキロイはティーンエイジャートリオの中で唯一、1オーバーのぎりぎりで予選通過を果たしたが、そこにもまたひと波乱があった。アテスト後、2日目の18番で彼が取った行動がルール違反に当たる嫌疑が浮上したのだ。終盤にスコアを崩し、フラストレーションがたまっていたマキロイはバンカー内で砂を思わず蹴ってしまった。ルール違反となればスコアの過少申告による失格。この話を最初に聞かされたときのマキロイの胸中を想像すると、一体どれほどのショックを受けたことか。心臓が飛び出そうなほどの想いで大会側の判断を待っていたのだろう、きっと。最終的には「おとがめなし」となり、無事に3日目を迎えられるマキロイ。だが彼はこの出来事を生涯忘れないだろう。


生涯忘れない――そう感じたのは若手選手ばかりではない。今回を自らの最後のマスターズとした73歳のげーりー・プレーヤー、57歳のファジー・ゼラー。みんないろんな想いを抱きながら、2日間を戦った。グリーンサイドで感謝と祈りをささげたプレーヤーの言葉が胸に残る。
I'll never forget that as long as I live.

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Photo / Sonoko Funakoshi



生きてる限り、忘れない。そんな思い出をオーガスタで得られた選手たちは幸せだが、そんな選手たちのプレーぶりをこの目で見ている私も、かなりの幸せ者だ。

2009年04月08日

ちょっぴり切ない想い

オーガスタに来た。寒い!とにかく寒い。張り切って早朝にホテルを出たとき、もっと厚着できる用意をしてくれば良かったと後悔した。コースに到着したら、やっぱり寒い!風も強い。こりゃ、今年の優勝スコアも、とんでもないものになるのではないか……そんな気になった。


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スコアといえば、この2年ほど、マスターズの優勝争いのスコアはマスターズとは思えないものだった。07年の優勝スコアは1オーバー。昨年はイーブンパーやオーバーパーの争いにはならなかったものの、チャンピオンとなったトレバー・イメルマンの最終日のスコアは75。数字を見ると、全米オープンか何かのようだった。


そんな展開を解消する意味合いもあって、今年のオーガスタはこの28年間で初めてコースが短くされている。とはいえ、極端に短くしたわけではなく、スコアカード上の変化を見たのは1番だけ。455ヤードから445ヤードへ短縮された。


こうなると、フェアウエイバンカーがちょうどドライバーショットの落とし所あたりに来て、去年まではあんまり関係なかったこのバンカーがいきなりインプレーになる。つまり、距離が短くなっても、そのぶんワナはきつくなるというところがミソ。


だが、やはり強風が吹いた昨日の月曜日の練習ラウンドで、このフェアウエイバンカーを悠々超えていったのは、超飛ばし屋のアルバロ・キロスだけだったという目撃談。そして今日の火曜日、朝のうちは寒すぎて、選手たちが練習ラウンドを控えてしまい、このバンカーをどのぐらいの選手が超えていけるのかいけないのか、それを確かめることもできないうちに、観念してメディアセンターへ戻ってしまった。


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(無類の飛ばし屋アルバロ・キロスはスペイン出身。マスターズ初出場)
Photo / Sonoko Funakoshi


こんなに寒くて強風が吹いてしまったら、たとえコースがちょっぴり短縮されても、やっぱりスコアは悪くなりそうだと心配になるのだが、天気予報によれば、明日以降はもう少し気温も上がり、風も弱まる気配で安心した。


ところで、そんな寒い中、元気に飛び出していった少人数の選手たちの中に、今年でマスターズからの撤退を決意したゲーリー・プレーヤーの姿があった。同じ南ア出身のアーニー・エルス、レティーフ・グーセン、リチャード・スターンらと練習ラウンド。プレーヤーは相変わらず元気そうにしていたが、記者会見では「もう私には無理だ」という気弱な言葉を吐いた。


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「73歳のこの老体に(オーガスタの)コースは長すぎる。大半のホールをウッドで攻めなきゃいけないんだからなあ……」


かつてプレーヤーの単独インタビューを何度かやったことがある。プレーヤーは毎回、食べ物に関して口うるさい(?)ほどに私を叱り、「アイスクリームなんか食べてるんじゃないだろうなあ?あれはドク(毒)だ。ドク!」という具合だった。そして「トレーニングをしているか?人間、鍛えなくなったら終わりだ。鍛えて鍛えて、心も肉体も若々しく保つ。それがゴルファーとしても人間としても大切なんだぞ」と、まるで私のおじいちゃんのような口調だった。


そんなプレーヤーが肉体的な限界を感じたと聞いてしまうと、ものすごく淋しい気がする。「もちろん今でもトレーニングはしているけどね……」とプレーヤー。それでも、やっぱりモノゴトには限界というものがあり、潮時というものがあるのかもしれない。そんなことを感じさせ、考えさせる今年のマスターズは、わくわくドキドキ感に加え、ちょっぴり切ないものを感じそうだ。

2009年04月04日

今年のマスターズはスペシャル!

ああ、もうマスターズ開幕まで秒読みだ。いやいや、秒読みというのは、ちと大袈裟?だとしたら、何て表現するのが最適だろう?もういくつ寝ると……いや、これではお正月のムードになってしまって、なんか、まったりしてしまいそう。


なんて話はどうでもいい。とにかく、あと数日でマスターズウィークが到来するわけで、私の頭の中はマスターズが充満している。あー、わくわく、どきどき。こんなにマスターズが待ち遠しいと思ったのは、もしかしたら初めてかもしれない。


なぜ、そんなにもわくわくしているのかと言えば、今年の大会は「スペシャル」がたくさん待っているからだ。


スペシャル、その1。アーノルド・パーマー招待で復活優勝を遂げたばかりのタイガー・ウッズが、とうとう本当の意味での復活を目指す。本当の意味での復活?つまり、タイガーがプレーする最大最高の目的、メジャー勝利を彼が本気で狙ってくるという意味だ。いやいや、楽しみ。


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(王者も笑顔。優勝へ向かってワクワクしてる?)
Photo / Nozomu Nakajima (中島望)


スペシャル、その2は、今田竜二が夢にまで見たマスターズに初出場すること。これまで今田がアメリカで歩んできた道程、そこでの苦労や喜びを垣間見てきた私にとって、彼のマスターズ出場は、ことさらにうれしい。がんばってほしい。いいプレーをしてほしい。今田の初マスターズ。記念すべき大会になる。


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(竜二くんも笑顔。初出場にドキドキ?)
Photo / Nozomu Nakajima (中島望)


スペシャル、その3。やっぱり石川遼の初出場は日本のファンにとってスペシャルゆえに、私にとってもスペシャルだ。今田のみならず石川にとっても、オーガスタの舞台に立つことは夢にまで見た出来事。しかし、トランジションズ選手権以降はスイング改造と試合におけるプレーの狭間で戦っており、そんな不安を抱きながら彼の地でティオフするのは、大変な勇気と苦労の連続になる。だが、その大変さをどうやって乗り越えていくのか。そこが一番の見どころになる。


スペシャル、その4。昨年の全英オープンで、突然、優勝争いを演じたあのグレッグ・ノーマンがオーガスタに帰ってくる。現役時代、あんなに強かったノーマンはグリーンジャケットに何度も手が届きそうになったけれど、手は届かなかった。タイガーも「グレッグがチャンピオンズロッカールームに入れないなんて信じられない」と言っていたが、どんなに惜しくても、どんなに好プレーを見せていたとしても、優勝しない限りはチャンピオンにはなれない。優勝しない限りは、優勝者だけの世界=チャンピオンズロッカールームには入れない。それが、オーガスタのルールであり、勝負の世界なのだ。しかし、そのオーガスタに戻ってくるノーマンは、シニアになり、クリス・エバートとの幸せな私生活を味わいながら人間味を増しているはず。そんな変化が、もしかしたらノーマンのゴルフにも変化をもたらし、まさかのシニア優勝を今年のマスターズで達成してしまうかも……とはいえ、その可能性はかなり低い。そりゃそうだ。しかし、そんな奇跡の物語を、ついつい期待してしまう。そこが、今年の大会の「スペシャル」なのだ。


わくわくするスペシャルイベントは実は他にもあるのだけれど、まあ今はそれは私の胸の中だけにしまっておこうと思う。マスターズが幕を閉じ、「ああ、お祭りが1つ終わったね」とみなさんがしみじみ思うころ、私なりに捉えたいろんなスペシャルを、いろんなところで記事やコラムにしますので、とりあえず「乞う、ご期待!」です。

2009年04月01日

マスターズ勝利に自信?

タイガー・ウッズが復活優勝!久しぶりに見るタイガーの勝ちっぷりとガッツポーズは、やっぱり凄かった。何が凄いかと言うと、一番凄いのは、決めどころで決めるあの度胸。そして、見せ場で見せるあのタイミング。そして、見せ場を盛り上げるあのガッツポーズ。


今、思い返せば、タイガーはアーノルド・パーマー招待が開幕する前から、この大会を制する自信があったように思う。なぜか?勝つためだけにプレーするタイガーは、記者会見で「勝つまではキミの完全復活はお預けと考えるべきか?」と尋ねられたとき、「いや、僕はすでに復活している」と断言していたことが、彼の自信の表れだったように思える。「すでに復活している」という言葉の背後には「だから僕はすぐに勝つ。このベイヒルで勝つつもりだよ」という自信が隠されていたのではないか、と。


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Photo / Nozomu Nakajima (中島望)



そんなふうに考えると、来週のマスターズに対しても、タイガーは勝利への自信をすでに抱いていると思えてくる。パーマー招待の表彰式では、タイガーはパーマーから黒いチャンピオンジャケットを着せてもらい、うれしそうにしていたのだが、実を言うとタイガーは、大会の2日目3日目あたりから、マスターズのグリーンジャケットの話を結構細かく語っていたのだ。


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Photo / Nozomu Nakajima (中島望)



過去に手に入れた4着のグリーンジャケットは自宅のクローゼットにぶら下げてあるとか、サイズは44Lだとか、クローゼットの前で服を着るとき、いつもグリーンジャケットを眺めるとか、今まで聞かせてはくれなかったようなグリーンジャケット物語をすごぶる饒舌に語っていた。今年、5着目のグリーンジャケットを持ち帰り、「それも自宅のクローゼットにぶら下げるつもりさ」という意志を暗に伝えようとしていたように思えて仕方がない。


そういえば、グリーンジャケット物語を語っていたとき、タイガーはこんなことも言っていた。「グリーンジャケットをもらった人たち(過去のチャンピオン)の多くが『あのジャケットは年々縮む』って言ってるんだけど、そんなわけないよね。ジャケットが縮むんじゃなくて、彼らが太ってるんだよね。だって僕のジャケットは(元々ちょい大きめをもらっているんだけど)4着とも、いまだにちょい大きめのままだから」。


他のパストチャンプたちの多くは、グリーンジャケットをもらって以後、さらなるグリーンジャケットを手に入れる可能性からすでに遠のき、その肉体は鈍るか太るか老いるかのどれか。だからジャケットサイズがどんどん合わなくなっていく。しかし、何着手に入れても、さらにさらにとジャケット枚数を増やしつつあるタイガーは、ずっと肉体の鍛錬を続けているからサイズは変わらない……つまり「僕は今年も狙っているぜ」と言いたかったのかもしれない。やっぱりタイガーは今年のマスターズ制覇にかなりの自信を抱いているのではなかろうか。もっとも、復帰後のタイガーは以前よりちょっとばかり痩せているから、手持ちのグリーンジャケットは、かなりダブダブのはず。今年、ジャケットをもらうとしたら、1サイズ下にするんだろうか……なんて心配は、ちと早すぎる?


約8か月の欠場から復帰し、わずか3戦目で勝利。それだけでも普通じゃないが、これでマスターズも制してしまったら、タイガーの呼称は「王者」を超越し、「鉄人王者」とか「不死身王者」とか、異なるものへ変わりそうな気配だ。

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