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2009年05月30日

懐かしの……

日本の知り合いの、そのまた知り合いで、私の記事やコラムを愛読してくださっているというゴルフショップのオジサマから粋なプレゼントを頂いた。とってもうれしかったので、ちょっと書かせてもらっちゃおう。


粋なプレゼントとは、懐かしのパーシモン。と言っても、ドライバーを頂いたわけじゃない。パーシモンのヘッドを頂いたのだ。一目見て、「ああ、パーシモンだ!ええっ、懐かしい!」と感激。だって、私は大学時代、パーシモンを握ってゴルフを始めたわけで、柿ノ木はいわば私のゴルフの原点なのだ。


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(うわっ、パーシモンヘッド!)
Photo / Sonoko Funakoshi



今の時代の人々の中には、パーシモンなんて見たこともないなんて人もいるだろう。そりゃそうだ。プロだって若手はパーシモンを打ったことがないぐらいで、極端な場合、パーシモンはガタパーチャボールの時代と同じでアンティークぐらいに思っている人だって。


だから、そういう人々のために、この写真をアップした。よーく眺めていると、柿ノ木の温かさや木目の美しさ、そしてスコアラインの美しさが伝わってきませんか?


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(フェースとソール、見えますか?)
Photo / Sonoko Funakoshi



そうそう、これはドライバーではなく3Wのヘッドなのだが、それにしても小さい。ドライバーはもちろん、これより一回り大きいわけだけれど、それだって現代の大型ヘッドと比べたら、あまりにも小さい。「こんなに小さなヘッドで、よく球が打ててたなあ、あのころは……。まだ初心者だったのに……」と、つくづく思う。


そう言えば、このヘッドの贈り主であるオジサマは、なんでも、あらゆるスポーツ界の大物と親交が深いとのこと。で、その不思議なオジサマいわく、「これはね、ここにペンを差すと、ほら、ペン立てになるよ!」


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(ペン立てに変身!)
Photo / Sonoko Funakoshi



あっ、ホントだ!すごい、小粋なペン立て!これが机の上にあれば、ゴルフの記事やコラムを書くとき、筆が進むってモンだ。とはいえ、実際に書くのはパソコンだけど(笑)。


懐かしいパーシモンヘッドを眺めていたら、いつだったか、大のゴルフ好きのある人と交わしたこんな会話が懐かしく思い出された。便宜上、彼の名を「ゴルフ好きクン」としよう。


ゴルフ好きクン 「学生時代って、どこでクラブとか買ってたの?」
私 「大学が高田馬場だったから、駅前のビッグボックスっていうビルの中の72っていうショップとか」
ゴルフ好きクン 「ああ、72ねえ。はいはい、知ってる知ってる、懐かしいなあ。で、どんなクラブ使ってたの?」
私 「一番最初はジャック・ニクラスのゴールデンベアっていう初心者女の子用のシリーズ」
ゴルフ好きクン 「ヘッドが赤だったり、グリップがピンクだったりしなかった?」
私 「そうそう(笑)。レディス=赤、ピンク、みたいな感じだったもんねえ。超単純デザインで」
ゴルフ好きクン 「ウッドは3本?」
私 「いやあ、なんか最初に買ったセットには、1Wと3Wしか入ってなくて、あとからクリークだけ買い足したの」
ゴルフ好きクン 「どんなクリーク?」
私 「それがねえ、何を買ったらいいのかわからないから、ゴルフ部の先輩にお店に一緒に行ってもらったりして……」
ゴルフ好きクン 「そしたら?」
私 「先輩がね、『うーん、園子ちゃんは、やっぱり、このローラ・ボー・モデルとかが合うと思うよ』なんて。すごい、というか、ひどいアドバイスだよね?」
ゴルフ好きクン 「それって、全然、アドバイスになってないじゃん!」


こうして2人は大爆笑したのだった。


えっ?何がおかしいか、わからない?なーるほど。ローラ・ボーを知らないと、おかしくない、か。女子ゴルフ界に彗星のごとく現れたボーは、当時、「フェアウエイの妖精」なんて呼ばれて大人気だった。で、私の先輩は私のクリークを選ぶ際、私のスイングや軌道がどうだからとか、ヘッドスピードや筋力、日頃の球筋がどうだからとか、そういうことは一切考えもせず、単にボーが人気女子プロで、かわいくて、たぶんファンだったから、私にも「きっと、これがいいよ」と言っただけ。つまり、ゴルフ部の先輩らしいマニャックなアドバイス要素はゼロだったってわけ。


……って、どうでもいいけど、昔はそんな時代で、ホントに懐かしい。パーシモンヘッドを眺めているだけで、昔話がどんどん頭に浮かんでくるのは、柿ノ木の威力?魔力?

2009年05月28日

歩け、歩け!

先週のHPバイロン・ネルソン選手権で、ギャラリーたちがやたらと歩いていた。えっ?ギャラリーが歩いているのは当たり前?そりゃあ、そうなのだが、この大会でギャラリーたちがやたらと必死に歩いていたのは、あるイベントに参加していたからだ。


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(歩くことは、脳にも骨にも、いいらしい……)



Humana(ヒューマナ)という会社が主催していた「ウォーク・イット・ティートゥーグリーン」というイベントはバイロンネルソンなど米PGAツアーの3試合で開かれるそうで、健康促進のため人々に歩くことの大切さを認識してもらうのが目的。会場内に設置されたブースに立ち寄って参加申し込みをすると、無料で万歩計がもらえる。その万歩計をつけてコースを歩き回り、最終日の夕方5時までに万歩計を返却する。そして、一番たくさん歩いた人がWinnnerとなり、賞品がもらえるという仕掛けだ。


一番になるほど歩けないという人でも、得るものはある。参加者は自動的に「くじ引き」の対象となり、これで当選すると、これまた豪華賞品が当たる。さらに、毎日、E-メールでニュースレターが届き、健康促進に関するちょっとしたアドバイス等々、歩くことをキーにした貴重な情報ももらえるのだそうだ。


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(この足型に沿って歩け!……ってなわけではありません)



そのニュースレターをちょっと覗いてみたら……ゴルフ観戦の際のマナーやエチケット、ゴルフのワンポイントアドバイスなども書かれていたが、ゴルフでケガを避けるための方法、ゴルファーの正しい食事法、正しいエクササイズの仕方なんていうのも書かれていた。


だが、やっぱり一番興味深かったのは、歩くことが、いかに「いいこと」か、だった。なんでも歩くことは心臓強化になり、糖尿病(後天性)の予防や、がんの予防、骨粗鬆症の予防にも効果があるそうだ。おまけに、毎日のちょっとしたウォーキングは知覚向上にもつながるらしい。


そして、世知辛い世の中、ストレス社会に生きる私たちは、とかく心が落ち込みやすいものだが、30分ウォーキングを週に3~5回、これを12週間以上続けると、「何があっても、私、落ち込みませ~ん!」という心持ちになれる……らしい。これ、なかなかいいですよね?結構、ちょっとしたことですぐ落ち込む私も試してみようかな?でも、立ち直りも早いんだけど……。


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(カメちゃんも、ゆっくりだけど、がんばって歩いてました。きっと長生きするだろうなあ?)

2009年05月23日

一生懸命、がんばろう

とてもショックを受けた。フィル・ミケルソンの愛妻エイミーが乳がんと診断されたそうだ。この私も2年前の秋、がんと宣告され、手術を受けた身。とはいえ、エイミーとは事情も状況もおそらく異なるようで、その受け止め方や感じ方は、きっと異なると思う。けれど、女性が女性特有のがんだと告げられたときのショックや、そのとき頭の中にめぐるものなどは、ものすごくよくわかる。だから、エイミーの報は、とても他人ごととは思えない。


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Photo / Nozomu Nakajima 中島望



近いうちにエイミーは比較的大きな手術を受け、化学療法を併用することになるようだ。妻であり3人の子供たちの母であり、米ツアー選手の妻たちで組織するワイブズアソシエーションのアクティブメンバーでもあるエイミーが、そんな辛い時期に突入していくという知らせは、本当に残念だ。


ただ、エイミーには愛する夫、ミケルソンがいる。そして、ミケルソンは当面、ツアーを欠場してエイミーに付き添うという。それは、この悲しい知らせの中で、唯一、「ああ、良かったね」と思える知らせだ。


ミケルソンとエイミー。この2人のツーショットを、これまでいろいろな場面で目撃してきた。エイミーと一緒に優勝争いしているミケルソンのラウンドを歩いて観戦したこともあった。そんなときエイミーは、とにかく夫の一打一打を必死に眺め、しかし、時折り、「あらっ?このホールはパー5だったの?だったら、今のはボギーじゃなくてパー?」なんて、ちょっぴりトンマなリアクションで大笑いしたりしていた。


あんなに明るいエイミーが、しばらくは明るくなれない表情になってしまうと思うと、たまらなくなる。しかし、がんの中でも、種類や進行レベルは様々だし、医学の進歩で、手術や治療をすれば完治できる場合もたくさんある。どうか、どうか、エイミーが1日も早く回復してくれることを、ただ祈ることしかできないけれど、私にできることは他にないので、ただただ祈りたいと、そう思う。


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Photo / Nozomu Nakajima 中島望



きわめて私ごとだが、私の父は、私ががんを告知されたのと同じ年に治療法のない難病と診断された。当初は、とにかく運命を恨んだ。しかし、恨むことで何かが変わるなら恨むけれど、恨んだところで変わらないものは変わらないのだと思い知り、今は私にできることは何だろうかと、そう考えるようになった。私は手術を受けてすっかり回復できたけれど、父の病状は進行している。しかし、父は必死に生きている。母も必死に介護している。そんな両親を眺めていると、一生懸命に生きることの大切さを痛感させられる。この世の中には、そんなふうに病気やケガと戦いながら、必死に生きている人がたくさんいるのだと思う。今、がんや難病、重い病気、ケガで苦しんでいる人々が少しでも回復し、心の平和が得られるよう、ただただ祈りたいと、そう思う。

2009年05月20日

素晴らしい旅

読者の方からのリクエストにお応えして、先日、ザ・プレーヤーズ選手権で優勝したヘンリック・ステンソンのキャディの話をご紹介!


ステンソンのバッグを担いでいる女性。一見しただけで「ただものではない!」と感じた方は多いと思う。もちろん、彼女のことを昔からご存じの方も結構いるはず。


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Photo / Nozomu Nakajima 中島望


そう、彼女は大ベテランの女性キャディ。その名は、ファニー・サニソン。かつては、あのニック・ファルドのキャディだった。最強時代のファルドを支えてきたファニーの存在は、ファルドにとっても命綱だった。しかし、ファルドが年齢を重ね、徐々に調子が落ちていったころ、ファニーはそろそろキャディ業から引退して結婚しようと思い始めていた。だが、調子が下降していたファルドは、ただでさえ力が弱っているときに命綱のファニーに辞められてしまったら、こりゃもう泣きっ面にハチだ~ということで、あれやこれやの引き留め策を講じたのだ。あるときなどは、自宅にファニーを読んで説得し、自分のガレージにファニーへのプレゼントとして新車を用意していたこともあったそうだ。けれど、ファニーは新車の誘惑にもメゲず、結局、辞めてしまった……。


その後……どのぐらいのブランクがあったかは覚えていないのだが、あるときからファニーがステンソンのキャディになっていた。、ファニーは予定通りに結婚していたが、いわゆる兼業主婦状態でステンソンのキャディを引き受けたわけは、同じスウエーデン出身だからだろう。


というわけで、以後、ステンソン&ファニーの二人三脚は、きわめて好調。今回の優勝の陰にもファニソンの貢献は大きかったとステンソンは語っていた。「ファニーと組んで2年半。素晴らしいジャーニーだよ」


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(2人で歩むジャーニーです)
Photo / Nozomu Nakajima 中島望



二人三脚を「ジャーニー=旅」になぞらえるなんて、ステンソンはなかなかのロマンチスト。だが、この2人、ロマンチストなんて甘いものではなく、なかなかの策略家?優勝争いのラウンド中、「スウエーデン語で話をしている。そうすれば、僕らが何を話しているのかは誰にも知られなくてすむ」


まあ、聞かれちゃ困ることがどのぐらいあるのかはわからないが、スウエーデン語で内緒話することが勝利につながるのなら、どんどんやっておくれなさい!ってところ。だとしたら、日本語で「内緒話」ができる日本人選手&日本人キャディの二人三脚も、勝利は間近????とは、いかないか……。

2009年05月15日

第2のタイガー?

ザ・プレーヤーズ選手権の会場は、「第5のメジャー」にふさわしくなるようにという米PGAツアーの配慮と努力によって、盛りだくさんの「見せ場」が作られている。TPCソーグラスのクラブハウスが数年前に大改装されたこともあり、以後はバグパイプの演奏が行われたり、あれやこれやの「人寄せ」が行われている。あれだけ人気があるツアーであっても、気を抜くことなく、そんな涙ぐましい努力をしているのだから、そのあたりの姿勢は本当に立派。


そんな中、「プロと一緒に記念写真を撮ろう」というコーナーが設けられていた。まあ、これは、たぶん日本でも、どこぞにはあるのかもしれないが、日本事情にうとい私には、この記念写真のシステムがどのぐらい日本でポピュラーなのかはわからないが、アメリカの試合会場では、時おり見かける。しかし、大抵の場合は「タイガーと一緒」ってやつだ。要はタイガー部分が等身大の人形みたいな形で置いてあったり、あらかじめ壁のようなところに写真で映し出されていたりして、その横に自分が立ち、まるでツーショット写真を撮ったかのような写真が出来上がるというもの。


だが、プレーヤーズでは、そのタイガー部分がセルジオ・ガルシアになっていて、自分がその横で、まるでガルシアのキャディのように一緒にラインを読んでいる写真が出来上がるようになっていた。


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(ガルシアのキャディやっちゃった~!という絵だけれど、この人、なんかキャディというより……?)
Photo / Nozomu Nakajima 中島望



なんて話は、まあ、どうでもよくて、問題はガルシアだ。どうも調子が悪い。かつては「第2のタイガー」とか、「タイガーの最大のライバルになりうる若手」とか、いろいろ持ち上げられ、注目されていたのだけれど、今季はなかなか調子が出ない。なんとなく、このままメジャー優勝できずに、「第2のタイガー」ではなく「第2のコリン・モンゴメリー」になってしまいそうな予感までしてくる。


「第2のタイガー」とか、「タイガーの最大のライバル」と呼ばれた選手は、どうも調子が下がる傾向がある。デビッド・デュバルもそうだし、デビュー後、あっという間に消えていったタイ・トライオンもそうだ。どうして、そうなってしまうのだろう。


そう言えば、先日、ここで書いたヘンリック・ステンソンへの注目の話を、またまた思い出した。ステンソンは最終日にタイガーと同組でなかったことの利点はあったかどうかに対して、「アウトサイドロープの動き(ギャラリーの動き)が気にならなかった分、タイガーと同組でなくて良かった」と言っていた。つまり、タイガーと同組だと王者のオーラにやられてしまうとか、そういうことではなくて、周囲の動きに邪魔されずに済んだと言ったわけだ。


「第2のタイガー」と呼ばれた選手が落ちていきやすいのは、もしかしたら、そういう「周囲の動き」が気になり過ぎるからかもしれないなあと、ふと思った。その場合の「周囲」には、ファンのみならず、もちろんメディアも含まれるだろうし、大会やツアーの関係者、スポンサーなども含まれるのだろう。言ってみれば「外野」の動き。これに左右されてしまうかどうか。そこが、分かれ目?


となると、外野の動きを気にせず、外野に左右されず、生き残れるかどうかは、精神力の強さ、集中力の強さ、あるいは、どこまで無頓着になれるか、どこまで鈍感でいられるかというあたりが求められるわけで、そう考えると、神経質なガルシアは……あー、弱そう……となってしまう。だから余計に、ガルシアの昨今の不調が気になる。


ああ、そうだ。あのモンティも、赤鬼みたいに怒る激昂型で気は強いけど神経質。ガルシア然り。こういう性格って、王者には向かないんだろうなあ。必要なのは、性格改造、人間改造????これって、スイング改造より難しいよなあ……。


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(顔つきは、だいぶオッサン化してきたけど……)
Photo / Nozomu Nakajima 中島望

2009年05月13日

成長の糧

「第5のメジャー」ザ・プレーヤーズ選手権はヘンリック・ステンソンの堂々たる優勝で幕を閉じた。うーん、なるほどなあ……。何が「なるほど」なのかと言えば、ビッグタイトルが無かった選手が何をきっかけにビッグになるかと考えたとき、ステンソンの動向を振り返ると、「なるほど」と思ってしまうのだ。


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(このトロフィーの陰には、1枚の?があった……)
Photo / Nozomu Nakajima 中島望



あれは今年の3月。WGC-CA選手権で「パンツ1枚事件」というのがあった。事件を起こしたのが、このステンソン。ウォーターショット、と言っても、ものすごく深い池ではなく、足場とボールが浅い水の中というぐらいの、要するに何とか打てる状況だったからウォーターショットを選択したわけだが、そのウォーターショットに挑もうとしていたステンソンが、その場でいきなり服を脱ぎ、パンツ1枚という姿になってしまったのだ。


なぜ脱いだか。もちろん、SMAPの誰かみたいに酔っぱらっていたわけじゃない。まだ5ホールぐらいを残していたステンソンは、ウォーターショットをして跳ね上がる水や泥でウエアがドロドロになってしまうと思い、そのドロドロウエアのまま残りホールをプレーするのは嫌だと咄嗟に思ったそうだ。で、それだったら裸で打ってしまえという判断を下したのだ。


この事件、米メディアは「Mr.CK(カルバイン・クライン)」なんて見出しで報道した。ステンソンの下着は実際はCKではなかったのだが、なんとなく、アメリカでメンズ下着の代表というとCKのようなイメージがあるため、こんな見出しになったようだ。


当の本人、ステンソンは、その後、自らの行動を「恥ずかしい」と感じていたのだが、とにかくこの珍事件は世界中へ報道され、ステンソンは世界的注目を浴びてしまった。


だが、大切なのは、この「世界的注目」という点。犯罪のようなものは別として、何かの理由でこれまで受けたことがないほど大きな注目を浴びると、その後、選手というものは急成長する傾向がある。たとえば、ショーン・オヘアも、タイガー・ウッズに大逆転されて敗北し、大きな注目を浴びた1ヶ月後に優勝した。ステンソンも、あのパンツ1枚事件の1ヶ月半後に優勝した。そこに何らかの関連性がないとは思えないのだ。


もちろん、どちらにとっても最初の注目は決してうれしいものじゃない。けれど、大きな注目を浴びるという体験がアスリートを強くするという効果はあると思う。「次こそは、勝って注目を浴びてやるぞ」と思うのではないだろうか。


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(あの事件以来、ステンソンは燃えていた!)
Photo / Nozomu Nakajima 中島望



もっとも、そういう気概が芽生えない選手だったら、そんな効果も期待できないのだが、そこでナニクソと思える選手には効果がある。きっと、そうだ。

だから、何かで注目を集めた選手には、その後、近いうちにビッグな優勝を達成する可能性があると思って眺めていると、なかなか面白い。さて、次は誰が何をしでかしてくれるのだろう。ちょっとワクワク……してきませんか?

2009年05月08日

苦しいときほど優しく

今週は米PGAツアーが「第5のメジャー」へ格上げしたくてたまらないザ・プレーヤーズ選手権だ。思い出されるのは、2年前の最終日。首位を走っていたショーン・オヘアがあの浮き島グリーンの17番で2発も池ポチャ……。しかし、オヘアは先週のクエールホロー選手権で優勝したばかりだから、今年こそは勢いに乗ってザ・プレーヤーズでも優勝!といきたいところだが、そううまくはいかないようで、とりあえず初日は出遅れた。そりゃ、気も抜けるってもんだろうけれど、しかしオヘアは「ベストフィールドで勝つことが僕のゴール。次はメジャー優勝だ!」と語っていただけに、第5のメジャーでも勝利を目指してほしい。だが、2日目も気が抜けたままだと予選落ちだ。そういえば、今田竜二もほぼ同じポジションにいる。がんばれ、がんばれ。


ところで、金融危機、不景気、新型インフルエンザ……世の中、大変な騒動ばかりが続いている。PGAツアーもスポンサー離れ等々、先行きは険しいわけだが、しかし「苦しいときほど、がんばろう」という姿勢をティム・フィンチェム会長が発表した。素晴らしい姿勢ではないか!


元々、PGAツアーは社会貢献、社会還元をポリシーにしてきたけれど、こういうご時世だからこそ、もっとチャリティを推奨し、社会に尽くして、その結果、ファンやツアーを支えてくれる人が増えてくれたらいい。そういう考え方で、この苦しい時期を乗り越えていきたいというのがフィンエチェム会長の考えだそうだ。


今週の大会でもチャリティが目白押し。その1つ、練習日とプロアマデーで、何人かの選手のバッグを担ぐキャディの役割をネットオークションにかけ、競り落とした人が実際にキャディをやるという企画が行われていた。この企画は、この大会のみで実施というわけではないのだが、名コースのソーグラスでツアープレーヤーのキャディを経験できるというのは、ファンにとってはプライスレスの魅力らしい。


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(最初のうちは、うれしいなあ~と笑顔なんだけど……)



いやいや、実際は競り値がついたわけで、5000ドルだとか。す、すごい。本当に不景気?と首を傾げてしまいそうにもなる。もっとも、突然のキャディ役はなかなか重労働のようで、「あー、腰が痛え~」なんて光景も……。


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(いざ、やってみると……こ、腰が……う~う~)


まあ、一時的な筋肉痛や腰痛は、ちょっと耐えていただくとして、いろんなことがオークションにかけられるもんだ。それが社会貢献に活かされるのだから、こりゃあ、なかなかのアイディア企画。次は、一体、何がオークションにかけられるのだろう?何がチャリティの対象になるのだろう?そんなことを想像するだけでも楽しくなるのだから、PGAツアーって、ホントに頭がいいなあ。でも、何よりも素晴らしいのは、苦しいときほど人助けという姿勢だ。私も、みなさんも(?)、反省反省!

2009年05月05日

敗者。ルーザー。

クエールハロー選手権の最終ラウンドは結末がちょっと盛り上がりに欠けた。ショーン・オヘアが優勝したのはいいんだけれど、上がり2ホール連続ボギーというのは、なんとも締まらなかった。しかし、ルーカス・グローバーも17番でボギーを喫してくれたこと、タイガー・ウッズのチャージがかからなかったことが幸いし、オヘアが「無事に」優勝できたという印象だった。


だが、ホールアウト後、タイガーは「(オヘアを)勝たせてしまった?それともキミが負けたってこと?」というテレビのインタビュアの質問に対し、「僕がルーザー」と笑顔で答えていた。


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(勝たせたか、負けたか?って、負けたんだよ……あーあ。)



うーん、試合展開そのものと選手本人の感じ方というものは、必ずしも合致はしないようで、傍目には「タイガーがチャージをかけず、オヘア逃げ切り」に見えても、タイガー本人は「僕が負けたんだ」と感じていたってことだ。


もちろん、オヘアだって、そうだ。傍目には他選手が伸びなかったことや他選手がスコアを落としたことで逃げ切れたように見えたけれど、オヘア本人は「ああ、本当にいい気分!」となるわけだ。


もっとも、彼らのそんな感じ方には伏線がある。タイガーにしてみれば、かつての最強の時代のように、狙った獲物をすべて捕るぐらいのことができなければ、他の誰がどうやって勝とうが、自分は「ダメだ。負けた~」と思うのだろう。つまり、これまでのタイガーに強き歴史があるがゆえに、今回の結末に対しても「負けた~」と感じるのだ。


そして、オヘアのほうは、勝利に王手をかけて負けた苦い経験を3月のアーノルド・パーマー招待で味わったばかり。そういえば、07年のプレーヤーズ選手権でも、あの浮島グリーンの17番パー3で池ポチャを2度も続け、勝利を逃した。そんなビターの味わいに比べれば、とにかく勝ったという事実は「いい気分」。もしも、最終日のオヘアの立場にタイガーがいたならば、タイガーはきっと「勝たせてもらっちゃった」と苦笑いしていだろう。


思い出されるのは、アーノルド・パーマー招待の最終日、タイガーに逆転されて負けたオヘアに、大会ホストのパーマーが優しく声をかけていたこと。メディアの大群を避けるようにパーマーはオヘアの肩を抱きながら2人して背中を向けてしまったため、パーマーがオヘアに何て声をかけたのかはわからなかった。しかし、そんなこんなの経緯があったからこそ、オヘアのツアー3勝目が巡ってきたのだと思う。


自らを敗者だと言ったタイガーが、勝者のオヘアに爽やかな笑顔で「おめでとう」を言っていたシーンがやけに素敵だった。さて今週は、第5のメジャーと呼ばれるザ・プレーヤーズ選手権だ。タイガーが完全復活をアピールするのか、それともオヘアが2年前の雪辱を晴らすのか。うーん、楽しみ。

2009年05月01日

噂?作り話?

マスターズで勝ちたかったけど勝てなかったタイガー・ウッズが姿を現した今週のクエールハロー選手権。一番の話題は「タイガーのコーチは果たしてクビなのか?」という話だった。


そもそも、どうしてこんな話が持ちあがったのかと言えば、マスターズの最終ラウンド終了後、タイガーが口にした「バンドエイド・スイング」という言葉が原因だった。練習場にいたときからショットが曲がりに曲がっていたタイガーは、出だしの1番でいきなりドライバーショットを大きく左に曲げ、ボールは1番も9番も越えて8番のラフまで飛んでいった。その後も、とにかくあの日は、最初から最後までドライバーショットが曲がりっぱなし。で、ラウンドを終えたタイガーは、それでもどうにかこうにか応急処置的にスイングを調整しながら、それでも優勝争いには絡んだんだぞという意味合いを込めて、自らのスイングを「バンドエイド・スイング」と言ったのだった。


しかし、タイガーのこの言葉を受けた米メディアの一部が、意味合いを曲解し、コーチのハンク・ヘイニーの指導によるスイングはどうしようもなかったから、仕方なく応急処置的にスイングを自力で調整しながらプレーしたという具合に解釈。つまり、バンドエイドのごとく応急処置しなければならないスイングを指導してきたヘイニーは「もうクビだ!」という意味でタイガーがこの言葉を発したと捉えた。


で、その曲解がインターネットを通じて報道されたため、「ハンク・ヘイニーはクビになるの?」「もうクビになったの?」という話が広まったわけだ。


だが、会場に現れたタイガーは「ヘイニー・クビ説」をきっぱり否定。マスターズで勝てなかったのは自分のパットが悪かったのと、自分が理想通りにショットを打てなかったせいだと説明した。そして、この大会前にはヘイニーとスイング調整を行ったことも付け加え、奇妙な噂はその時点で消え去った。


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(噂?そんなの関係ねえ!?)
Photo / Nozomu Nakajima (中島望)



それにしても、「火のないところに煙は立たない」なんて言葉があるけれど、世の中の噂というものは、こんなふうに火がなくても煙を立てちゃうことが結構あるものだ。ヘイニー・クビ説は以前にも広まったことがあったけれど、あのときもタイガーが優勝しそこなった直後だった。勝つべき人間が勝てなかったとなると、そこからどんどん推測や憶測が生まれ、作り話や噂が歩きだしてしまうのだ。


勝手な作り話といえば、もう1つ。マスターズで優勝したアンヘル・カブレラがうれしさのあまり、ハンバーガーをワインで流し込むように9つも平らげたという話がスポーツイラストレイテッド誌に掲載されたそうだが、それを聞いたカブレラは「ウソだ!オレはハンバーガーは嫌いなんだ!」となったそうだ。


これまた、どうしてそんな事実に違う記事があの一流スポーツ誌に掲載されてしまったのだろう?カブレラは英語が話せないため、通訳を介しての取材の途上、どこかで誰かの勘違いか意味の取り違えか、訳し間違えか、何かが起こったのだろう。まさか、まったくの作り話をあの雑誌がいきなり掲載するとは思えないのだけれど……今度、こっそりスポーツイラストレイテッドの記者に聞いてみよう。

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