2009年07月04日
激変、激動!?
今週のAT&Tナショナルは「タイガー・ウッズの大会」として注目されているのだが、実を言うと、選手や関係者の間では、それ以外の興味関心事もいっぱいある。
その1つは、グルーブ問題。グルーブとは、言うまでもなくアイアンやウエッジのフェースの溝のことだ。この溝が「ラフなどから打ったときにボールにスピンをかけすぎて、ゴルフを面白くなくしている」「ラフからでも容易にコントロールできてしまうから、フェアウエイをキープするという重要性が軽んじられる傾向になりつつある」等々、いろんな物議を醸し続け、規制をかけようという提案が以前から出ていた。現在、大半の選手が使っているウエッジの溝は、いわば「深いU型」なのだが、それを「違法」ということにして、深さや彫り方をあらためようということになりつつあった。問題は「いつから」その規制を開始するかに絞られ、ついに今週、米PGAツアーのティム・フィンチェム会長が「2010年の1月から」と発表した。
選手たちもクラブメーカーも、これに対応しなければいけないわけだから、今年のうちに「いつから」を決定するにしても、「さすがに来年からという決定をしてしまったら、あまりにも急すぎて対応が大変すぎる」とか、「だからせめて2011年開始にすべきではないのか?」とか、これまた物議を醸していたのだが、フィンチェム会長は「討議を重ねた結果、来年1月からになった」と言い切った。
これを受けて、USGAもPGAツアーにならう見込み。2週間後の全英オープンではR&Aをはじめ各国ツアーとも話し合い、おそらく世界中のプロゴルフ界が今回の米PGAツアーの決定と足並みをそろえることになるだろう。
……と、難しい話はこのぐらいにして、気になるのは選手の反応だ。もっとも、「決まったことには従うしかない」というのが大半の反応。今田竜二もそうだった。今田いわく、「ウエッジを変えることになると、それに応じてボールも変えることになるだろうし、中にはボールを変えるとドライバーも変えなきゃいけないって選手もいるだろうし……」と、深刻な顔。ツアープレーヤーは全員、あと半年以内にこの変更をやってのけなければ出場できなくなってしまうわけだから、それはそれは大変。シーズン後半は来季に向けてゴルフ用全体が激変、激動を迎えそうだ。

(竜二くんにとって、ウエッジ変更は重要問題だが、新ウエッジを握ってもショートゲームの名手であり続けてほしい……)
Photo / Nozomu Nakajima 中島望
さて、AT&Tナショナルで見られるもう1つの「激変、激動」は、全英オープン出場権をかけた最後の争いだ。これは、日本のミズノオープンで見られたもののアメリカバージョンと考えてもらえばわかりやすいだろう。石川遼が劇的優勝でターンベリーへの切符をつかんだのと同じことを、アメリカのこの大会で夢見ている選手がたくさんいる。
そんな「夢見る選手」たちが、ちゃんと上位に食い込んでいるのは、やっぱり彼らの執念だろうか。18歳のダニー・リーもその1人。そのほかにもブライス・モルダー、ロッド・パンプリング、DAポインツらが激しい争いを展開中だ。彼らは今週、最低でもトップ5に残らなければ、権利はめぐってこない。あるいはザ・プレーヤーズ以降の6試合における「全英用の賞金ランク」でトップ2に入るしかない。

(08年全米アマ優勝で得た09年全英オープン出場権を投げうって、あえて今年4月にプロ転向したダニー・リー。だからこそ自力でターンベリーへの切符をつかもうと必死なのだ)
Photo / Nozomu Nakajima 中島望
この状況で、もしもダニー・リーがミラクル・チップインイーグルでも決めて優勝したら、まさに石川のアメリカバージョンとなるのだが、リーは3日目を終えて8位タイ、首位にはタイガー・ウッズとディフェンディングのアンソニー・キムが並んでいるから、ちょっとリーの優勝は難しそうだ。そうそう、忘れてはいけない。リーと同じ8位タイに今田竜二も浮上。ゴルフは最後まで何が起こるかわからない。こうなったら、タイガーが勝つか、キムが勝つか、はたまた今田かリーか。誰が勝ってもおかしくないし、誰が勝ってもうれしいが、やっぱり気持ちとしては竜二くんに一番勝ってほしいなあ……でも、みんな、がんばって!



