2009年07月25日
居場所がない……?
全英オープンのこぼれ話を1つ。ターンベリーには、コースと道を隔てたところに立派なホテルが建っている。ターンベリーのホテルだ。大会期間中、このホテルでパーティなんかも開かれており、一部の選手たちも、このホテルに宿泊していた。なんと言っても、コースへ徒歩で行けるのが魅力。言うまでもなく、いろんなタイプの部屋があり、わりとスタンダードな部屋で1泊800ポンド前後とか。なかなか高い!

(向こう側にあるのがターンベリーホテル。手前の陸橋を渡ってコースへ行けるから近い!でも我々は、機材や重い荷物を持ってこの陸橋を朝晩渡るのが、とっても大変だった……)
Photo / 平岡純 Jun Hiraoka
さて、このホテルにはスイートルームがいくつかあり、その中には77年にこのターンベリーでの全英で優勝したトム・ワトソンの名をつけた「ワトソン・スイート」というのがある。もちろん中はゆったりと広く、それはそれはゴージャスらしい。それ相応の値段なのだろうけれど、残念ながら値段まではわからず。
そして今回の全英期間中、このワトソン・スイートには、なぜかビジェイ・シンが泊まっていた。シンにしてみれば、チャンピオンのワトソンの名が冠されたスイートに泊まって英気をもらおうぐらいの考えだったのかもしれない。だが、シン自身は38位タイどまり。
一方、ワトソンは、自らの名が冠されたスイートがありながら、このターンベリーホテルには泊まらず、隣町のホテルに宿泊していた。
そんな中、ワトソンが初日から2位発進し、最後の最後まで大健闘しちゃったものだから、ワトソン・スイートに泊まっていたシンは「ああ、居場所がない……」と肩身の狭い思いをしていたのだそうだ。メディアからもワトソン・スイートのことを何度も尋ねられ、そのたびにシンは、あー、妙なところに妙なタイミングで泊まってしまったと思ったに違いない。

(オレがあの部屋に泊まってちゃいけないのかあ~~と言いたくなった?)
Photo / 平岡純Jun Hiraoka
それにしても、なぜワトソンはワトソン・スイートに泊まらなかったのだろう。一説では、宿泊費の節約。もはやシニアのチャンピオンズツアーでの賞金しか稼いでいなかったワトソンにとって、あのホテルのスイートの料金は高すぎた……との説。かつての新帝王の黄金時代を知る人には信じられない話かもしれないが、「もはやアメリカでは私のことを知っている人もたいしておらず、声もかけられないし……」とワトソンが言っていた。だから「ターンベリーにきて、トム、トムと地元の人々がやたらと声をかけてくれるのが、すごくうれしくて……」。あれだけゴルフ界をきわめても、名声や稼ぎは歳月が流れると、やっぱり落ちていくものなのだなあ。少し淋しい話だ。でも、今回の2位の45万ポンドをもってすれば、来年のセントアンドリュースでは高いホテルも、なんのその?

(経費節減の折り……隣町に泊まった?)
Photo / 平岡純 Jun Hiraoka
しかし、そういうときに限って、成績は悪くなったりするもんだろうなあ、きっと。ゆったり贅沢気分を味わうと戦意は落ちるものなのかもしれない。となると、やっぱり、贅沢は敵だ!?



