2009年09月05日
噂って……コワッ!
人の口に戸は建てられないなんて言葉があるけれど、噂というものは本当に怖いと、つくづく思う。なぜって、今頃になって、全米プロでY.E.ヤンに敗北したタイガーが「ヤンの勝利を讃えなかった。スポーツマンらしからぬ態度だった」なんて噂が米ゴルフ界の「どこぞ」で蔓延しているのだから……。
あのとき、72ホール目でヤンがバーディパットを沈めたとき、タイガーはまだ自分のパットを残していた。ヤンが「精一杯のタイガーの真似だった」と言ったフィストパンプ風ガッツポーズを1度2度と取っていたあのとき、タイガーは自分のボールを見つめるふりをしながら視線を落とし、下を向いていた。
そりゃあ、悔しかっただろうと思う。しかし、すべてが終了した瞬間、タイガーは潔く帽子を取り、ニコッと笑顔を見せながらヤンに握手を求めていった。自分からヤンににじり寄り、彼の勝利を讃えていた。その様子は今でも私の脳裏に焼き付いている。
それなのに、そんな噂が、一体どこからどうやって沸きだし、広まったのだろう。だいたい、広まるほうがおかしいではないか?だって、最後のシーンを見ていた人なら、そんな噂を信じるはずがないのだから。ああ、そうか。見ていなかった人ももちろんいるわけで、見ていなかった人が憶測で作り話を口にして、見ていなかった人がそれを聞いて信じてしまい、そうやって次々に伝言ゲームのように広まっていったのだろうか。
なんとも下らない話だが、噂は実在するから厄介だ。さすがにこんな下らない話に対する取材をタイガー本人にぶつける身の程知らずの米メディアはいないのだが、「だったら、キャディのスティーブに聞いてみよう」ってことになったらしい。そのやり取りが米ゴルフ雑誌に掲載された。

(キャディのスティーブ・ウイリアムス。タイガーのキャディになる前はシニアのレイ・フロイドのバッグを担いでいた)
写真/中島望 Nozomu Nakajima
ほんの一部を紹介すると……
Q:タイガーのスポーツマンシップが問われているけど。ヤンを祝福しなかったっていう……
スティーブ:その話、一体どこから出てきたのかオレにはわからない。ツアーの誰に聞いたって、タイガーはすばらしいスポーツマンシップの持ち主だと答えるはずだ。実際、あのときタイガーはちゃんとキャップオフして(帽子を取って)、ヤンと握手をした。もちろんオレだって、そうしたよ。
そうだよねえ、その通り。結局、スーパースターは、とかく「面白おかしい話」のネタにされてしまうと思うしかないのだろうか。辛いね、タイガー。もちろん、スティーブも。
ところで、スティーブは、そんな大変な職業をいつまで続けるつもりなのかというと、タイガーの目標がジャック・ニクラスのメジャー18勝を抜くことであるように、スティーブもその日を一緒に迎えることが夢なのだそうだ。「タイガーのメジャー19勝目に立ち会うことが今のオレの夢。その後?さあ、どうするかなあ。そりゃ、わからないなあ」

(コースでは密な関係。しかしコース外では食事もなにもかも別行動)
写真/中島望 Nozomu Nakajima
私の予想。タイガーは19勝目を達成したら引退して政治の道へ、つまりは大統領への道へ歩み行くように思う。そして、スティーブは、タイガーのキャディ歴を生かしてテレビ中継のスーパー解説者になるのが1つの選択。そして、もう1つは、政治家タイガーの最も信頼しうる秘書になる……どうだろう、これ?



