2009年10月14日
おばさんキラー
プレジデンツカップ終了後、米PGAツアーのウエブサイト上で「今大会の注目選手」投票というのをやっていた。結果は1位がタイガー・ウッズ、そして2位が石川遼。そりゃあまあ、タイガーは5戦全勝を誇った唯一の選手だったし、最終日の個人戦でタイガーがY.E.ヤンを負かした瞬間、米国チームの優勝が決まったわけだし、なんといってもタイガーは世界のスターなわけだから、1位がタイガーなのは当然の結果だ。

(注目選手投票で堂々2位になった遼くん)
写真/平岡純 Jun Hiraoka
しかし、2位に石川が入ったのはすごい。石川に対する注目度は本当にこの大会で劇的に高まったと私も思う。欧米を中心とするメディアも誰もが石川情報の収集に余念がなかったし、「ホーム」であるアメリカのギャラリーたちが「アウエイ」の国際チームの一員である石川には「Ryo!」を繰り返していたのが印象的だった。国際チームの他の選手にはブーイングもしていたというのに、なぜ石川にはあれほど大きく温かい声援が飛び続けたのか。18歳という年齢であれだけ堂々とプレーできるということがその最大の要因であることは間違いないが、「He is so cute.」という声が何度も聞こえたことを考えると、遼くん人気を呼び起こしているものは、彼のあの雰囲気だ。
「あの子、キュートね」と言っていたのは、もちろん女性ギャラリー。しかも、どうしてだか中年女性なのだ。10代、20代の若い女の子より、30代以上、いや40代ぐらいの女性ギャラリーから「かわいい」を連発されていた。
そういえば、カメラマンの平岡純も、こんなことを言っていた。「アメリカ人の女性カメラマンと隣り合わせで撮っていたら、その女性カメラマンが『He is fun to shoot.(撮影するのが楽しくなる子ね)』って、うっとり顔で言ってたんですよ」。ちなみに、その女性カメラマンは40代ぐらい。平岡いわく、「遼くんって日本でも中年のおばさんに人気があるんですよね?でも、アメリカでもすでにおばさんの心をつかみ始めているって感じですよ」

(遼くんに熱い視線を送るおばさんギャラリー)
写真/平岡純 Jun Hiraoka
おばさんキラー。どうして、おばさんに受けるのだろう。最近は結構「年下の男」流行りだけれど、おばさん側にも選ぶ権利があるわけで、年下の男ならどんなのでもいいってわけじゃない。ましてや、おばさんから見れば、遼くんは「あまりにも年下の男」なわけで、年上とか年下とかいうより、むしろ「息子」だ。
ああ、そうそう、最終日の個人マッチの対戦相手だったケニー・ペリーの妻サンディも「自分の息子が自分の夫と対戦しているみたいな気分」なんて言っていた。ひょっとしてサンディは、夫より、かわいい息子のような遼くんを応援していたりして?だからペリーは負けたかって?いや、まさか、そりゃないだろうけど、そんなことがあってもおかしくないなと思えるぐらい石川に対する注目や人気は本当に上がっている。
石川がかわいい1つの理由は、たぶん正直だからだと思う。たとえば、アメリカのテレビ局からカメラとマイクを向けられ、そのインタビューに果敢に自力の英語で答えたときも、そうだった。「この大会の一番の思い出は何?」と聞かれた遼くん、「うーん、やっぱりタイガーと対戦したこと」と英語で答えた。その直後、日本メディアの囲みになり、「やっぱりタイガーと戦ったのが一番の思い出なんだ?」と聞いてみたら、遼くんはハニカミながら「いや、あれは、ああ答えるのが英語で一番簡単だったから……」と告白。この正直さは、私から見ても、確かに「か~わいい!」だった。
が、本人は、「まだ18歳」「かわいい」よりも、「強い選手」と言われたいのだ。以前、彼はそう言っていた。もちろん、すでに「18歳なのに、強い、うまい」とも言われ始めている。残る課題は「タイガーより強い」「世界一、強い」と言われるだけの実績を上げること。デビュー当時は夢物語だったことが、今では現実味を帯び始めている……日本のスターは、本当に世界のスターへと歩み出したのだと思う。




