2009年12月06日
日本の感動!
久し振りに日本の大会を間近に見て、新鮮な驚きを覚えた。何年前とはっきり言えるわけではないけれど、かつては米ツアーを見て日本ツアーを見ると、正直なところ、面白いとは思えなかった。おそらくそれはコース設定の差、技術レベルの差、ギャラリーの差等々が、あまりにも大きかったからだと思う。しかし、日本ツアーの最終戦、「ゴルフ日本シリーズJTカップ」の最終日は、たくさんの感動が溢れていた。

(おめでとう。丸ちゃん!)
最年少賞金王に輝いた石川遼が「感無量です」と言った瞬間の笑顔には、単なる喜びなんて言葉では言い尽くせないものを感じた。「誰に見せるわけじゃないけど、自分が大逆転優勝とかする漫画を家で描くのが楽しかった」という幼かった少年が、夢にまで見たプロになり、夢にまで見た勝利をつかみ、夢にまで見たマスターズに出場し、そして「夢のまた夢」だった日本の賞金王になった。その歩みはきわめてスピーディではあるけれど、そのスピードの中で走っている石川本人は、ちょっとでもハンドルを切り損なえば大きく躓くような恐怖と背中合わせの日々とも言える。しかし、彼の若さとゴルフへの情熱、そして謙虚な性格や向上心が、そんな恐怖の日々を逆に楽しいと感じさせているのだと思う。
(おめでとう、遼くん!)
そう、リスキーな走行に本気で恐怖を感じてしまうと、突如としてスピードを落とさざるを得なくなる。一旦、スピードを落とすと、再びスピードアップするのが以前以上に怖くなる。その怖さをアメリカで思い知らされたのが丸山茂樹だったのだと思う。
米ツアーで3勝を挙げ、メジャー優勝に限りなく近づいたこともある丸山だというのに、彼はドライバーを握ったときに恐怖を感じるようになったときから自らの歩みのスピードを落とさざるを得なくなった。「2005、2006、2007、2008年と、なんとか凌いでいたけど、なかなか思うようにならなくて……」。彼が苦しんでいた時期を米ツアーで間近に見てきただけに、あれから6年ぶり、日本では10年ぶりの優勝には、涙が出そうになった。
米ツアーで毎年勝利を挙げた2001年から2003年ごろを振り返り、「日本に来れば勝てるなんて、上から目線で思う時期もあった」。こんな言葉を口にする丸山を私はアメリカで見たことがなかった。強がり発言が多かった分、根は優しいのだと感じてはいたけれど、口から出る言葉は常に強気だった。不調になってからは愚痴ばかりが口をついた。だが、日本へ戻り、「勝てる自分」や「勝ち方」を徐々に思い出し、再び勝利をつかんだ今日の日まで、丸山は丸山なりに、いろんなことを乗り越えてきたのだろう。
「日本で強い自分を取り戻したい」――もう、ずいぶん取り戻せてきたと思う。かつて丸山は「米ツアーでやっていくってことは、常に川の流れの中に足を突っ込んでいるようなもの。ちょっと油断すれば流される」と言っていた。
丸山は、一度は流されそうになった。その恐怖を味わったからこそ、日本の地にしっかりと足を付けることができた。石川は若いエネルギーとパワーを武器にして、その恐怖を吹き飛ばしながら、とにかく猛スピードで走り続けてほしい。石川が賞金王に輝き、丸山が10年ぶり10勝目を挙げた瞬間を、この目で見ることができて、本当に良かった。



