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舩越園子のGOLF JOURNAL

2007年12月28日

園越ふなこ??

思い返せば、あれは入院した日のことだった。たくさんのメールが入ってきて、「フナコが登場しているよ。しかも、すごい変なキャラクター」。何のこと?聞けば、ビッグコミックの連載ゴルフ漫画「黄金のラフ」に、
舩越園子ならぬ「園越ふなこ」という女性ライターが登場したとのこと。慌ててビッグコミックを買ってきてもらい、ページを開いて、ぎょっとした。何だ、これ!!!!


顔が似ていない。私は人前でメガネはかけない。たこやきの絵柄がついたTシャツなんて趣味じゃない。関西弁はしゃべれない。これだけ私と異なるのに、髪形だけが微妙に似ていて、漫画の中に描かれた名刺には「FUNAKO SONOKOSHI」。どうせなら、すべてを異なるものにしてくれれば、私じゃないと思えるのだが、どこかだけ似ていて、どこかは違う。これじゃ、「園越ふなこ」キャラクターが私とそっくりだと勘違いする人も出るだろう……えー、ひどすぎる!

Funako1.jpg
(登場する人物はすべてフィクションです=JJ)

これには、いろんな人のいろんな意見がある。「まあまあ、そんなに怒らなくても。だって、これは舩越さんじゃなくて、園越ふなこっていう別人なんだから」「あくまで漫画の世界なんだから、面と向かって怒るのは大人げないよ」「うーん、これは失礼すぎるよね。抗議したら?」


確かに、そうかもしれないが、やっぱり、あの絵は本人にとっては大ショックだ。だが、こんなユニークな意見もあった。「あのキャラクターはそのままでもいいじゃない。その代わり、アメリカゴルフ界のビッグスターとロマンスに陥るみたいなストーリー展開を要求してみたら?」


これは、面白い!原作者のなかいま強先生、小学館編集部の方々。お願いします。園越ふなこのキャラクター、いまさら顔姿を変えるわけにはいかないのでしょうから、せめて夢のあるストーリー展開にしてください!


しかし、まあ、この絵柄が登場したことで、入院中、主治医の先生も思わず大笑い。私の周囲で「話題」になったのだから、この際、目くじらを立てることもない。


話題と言えば、日本滞在中の現在も、来季へ向けて、いろんな話題が飛び込んでくる。日本ツアーは男女とも来年は史上初の海外試合開催が決定。ゴルフ大国である日本で、海外での試合開催が「史上初」だと騒いでいるあたりは、正直、首を傾げるところだが、もちろん前進には違いない。ツアーという機構そのものが少しずつ国際化していけば、そのツアーメンバーである日本人選手たちも真の国際化へと進めるはず。


そういう意味で、08年は「日本人の国際化」が一つのテーマになりそうな気配……なんてことを考えながら、間もなく07年が終わろうとしている。今年1年、いろんなことがあったけれど、08年が誰にとっても明るく楽しい年になってくれたらいい。


みなさん、お世話になりました。来年も、どうぞよろしくお願いします。
良いお年をお迎えください。

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(C=ビックコミック/小学館)
写真・舩越園子

2007年12月07日

米男子ツアーも韓国勢が台頭

丸山大輔選手のシード獲得が実現しなかった今年の米PGAツアー・Qスクール。フランク・リクライターがトップ合格となったわけだが、結果を見てちょっぴり気になったのは、韓国勢の台頭だ。ジン・パークが4位、YE・ヤンが6位タイでフルシードを獲得。これで来年は、KJ・チョイ、ケビン・ナ、アンソニー・キムと合わせて合計5名の韓国人選手が米ツアーで戦うことになる。さらに、DH・リーが33位でネイションワイドツアー入り。このリー選手は、これまで東京在住。日本語も堪能だそうだ。

韓国勢というと、これまでは米女子ツアーでその勢力が目立っていたが、米男子ツアーで奮闘していたのは、長い間、KJ・チョイただ一人だった。そこにケビン・ナが加わり、アンソニー・キムが加わり、来年はとうとう5人。一方、日本人のフルシード選手は3名から2名へ減少。この傾向、気にならないわけがない。

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(左がジン・パーク、右がYE・ヤン)

かつて、KJチョイは、「母国では女子ツアーが盛り上がっているけど、男子はまだまだ」と言っていた。しかし、数年後には「男子もすごいことになってきた」。そうやって母国の男子ツアーを盛り上げた立役者は、もちろんKJチョイ本人だ。母国の男子プロたち、あるいはその予備軍たちが「KJのようにアメリカで活躍したい」と憧れ、その夢を一歩ずつ実現し始めているからこそ、来季は5名というレベルまで到達したのだ。

同様に、米女子ツアーにあれだけ大人数の韓国人選手が集っているのは、あの朴セリのおかげ。彼女がアメリカでメジャー優勝を重ねた姿を見て、母国の女子選手や予備軍たちが「セリのようになりたい」と憧れた。

アジアのゴルフを盛り上げる立役者は、やっぱり本場アメリカで活躍する母国の選手。まだ韓国ほどの効果は出ていないが、たとえばインドのJMシンなども、インドのゴルフ活性化の立役者になることは必至であろう。

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(ネイションワイドツアーのフルシードを獲得したDH・リー)

そんな周辺の国々のゴルフの現象を眺めてみると、日本の場合は「?」と思ってしまう。アメリカで活躍していて日本の若い男の子たちの憧れの的になりうる選手は、かつては丸山茂樹だったが、今後はどうなっていくのか。今、日本で最も注目されているのは、まだ日本国内でも成績的に大活躍とは決して言えないアマチュアの石川遼。まだ高校生で、米ツアーに出たことすらない彼に、あたかも日本の男子ゴルフ界の未来を担わせようとさえしている大人たちの現状が恐ろしく感じられるほどだ。

牽引力には、世界で通用する経験と実力が必要。カリスマ性が必要。牽引力が世界レベルでなければ、牽引されて引き出されるレベルも世界レベルにはなりえない。日本国内だけで大騒ぎして、日本国内だけで終わってしまったら、それは狭い空間の中だけで「起こって」「消える」一時的なブームに過ぎない……なんてことを、Qスクールの結果を眺めながら、真面目に考え、憂いを覚えた。

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(丸山茂樹もチェ・キョンジュを“ツアーのお兄さん”と慕う)
Photo/JJ Tanabe

2007年12月04日

大ちゃん、お疲れさま!

米PGAツアーのQスクール最終ステージに挑んでいた丸山大輔。残念ながら結果は129位タイとなり、上位25名に与えられる来季フルシード権の獲得はならなかった。

敗因は「疲労」。つまり、スケジュール調整の失敗だった。シーズン終盤のフォールシリーズは7試合全戦に連戦し、終わった直後に帰国して日本の2試合に連戦。そして再びアメリカに戻り、Qスクール会場に入ったのだが、体はボロボロだったようだ。「疲れました。スケジュールは失敗です。こっちに備えるべきだった」と、後悔の念を語った丸山。

なぜ、Qスクールを控えた大事な時期に、わざわざ帰国して日本2連戦を敢行したのか。大ちゃんは、VISA太平洋とダンロップフェニックスに出たのだが、彼には、こうした日本の秋のビッグ大会に出続けたいという思いがあったのだ。すでに今年の夏ごろまでに、彼は日本の3試合(+1試合WD)に出場していたわけだから、海外参戦者への特例である特別シードは確保していた。しかし、特別シードは賞金ランク70位以内の枠の下に位置づけられるカテゴリーゆえ、特別シードだけしかないと来年は秋のビッグ大会に出られないと読み、そのために、あえて強行スケジュールを選んだのだそうだ。

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(日本人選手の新たな戦い方を見せてくれた。参考にすべきことがとても多かったと思う。)

その結果、日本の賞金ランクは58位までアップさせることができた。だが、そのために体がボロボロになり、米ツアーQスクールには失敗してしまった……いずれにしても、もう後の祭りである。

最終ラウンド終了後は、取材に入っていたNHKのスタッフや私の相棒カメラマンのJJ田辺らと、みんなで夕食に出かけたのだという。大ちゃんは、すでに残念な結果を割り切り、明るい表情を見せていたそうだ。

米ツアーの今季賞金ランクは149位。米ツアーでは準シード資格で、数試合には出られるし、日本の開幕前の春先は、可能な限り、米ツアーの試合に挑戦するつもりだ。ソニーオープン、AT&Tぺブルビーチあたりは出場できそうな気配。米ツアーがダメでも、フルシードとなっている二軍のネイションワイドツアーには「出られる試合は、なるべく出たい」と、意欲を見せている。

これまで、「米ツアーにフル参戦後、シードを落とし、翌年のネイションワイドの出場資格はある」という状況になった日本人選手で、「ネイションでも、出られるなら出る」と答えた人は、いなかった。「ネイションなら日本に帰る」が定番だった。だが、過去には孤独にアジアツアーを転戦し、この2年間の米ツアー参戦でも孤独な戦いを続けてきた丸山は、チャンスはすべて生かすという心意気。これは、なかなか見上げたものだと感心させられる。

Qスクールはダメだったけど、大ちゃんのアメリカ参戦の道が完全に途絶えてしまったわけじゃない。気持ちさえ強く前向きなら、道は必ず開けるはず。大ちゃんには今後もがんばってほしい。でも、とりあえず、疲れた体と心を癒してほしい。大ちゃん、お疲れさまでした。

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(QT以外にもPGAツアーにカムバックできる道はたくさん残されている。
来年も期待してますよ!)Very Happy
Photo/JJ田辺

2007年12月01日

大ちゃん、がんばれ!

今季の賞金ランク149位で来季のフルシード獲得に失敗した丸山大輔選手が、現在、Qスクールに挑戦中だ。最終ステージは6日間。初日に71で、やや出遅れた丸山だが、2日目は68で38位タイまで巻き返した大ちゃん。だが、3日目は72で、順位は再び65位タイへ下降。そして間もなく4日目のラウンドが始まろうとしている。日本時間は今、土曜日の夜8時半すぎ。大ちゃんの4日目はアメリカ東部時間で午前8時のトップスタートだから、日本の夜10時が彼のティタイムだ。

今頃、どんな気持ちで4日目のラウンドを迎えようとしているのだろう。今回は私は日本滞在を余儀なくされている身なので、現地へ駆けつけることができず、それが何とも苛立たしくてたまらない。これまでにもお伝えしたが、今年の大ちゃんには本当にいろんな出来事が起こった。それをすべて黙って受け入れ、静かに笑顔を讃えていた大ちゃんには、何が何でもQスクールを突破してほしい。

今回のQスクール会場は、フロリダ州オーランドにあるオレンジカウンティナショナル。このコースは2年前、大ちゃんが初挑戦して見事合格した際のQスクールと同じ場所だ。終盤に猛チャージをかけて追い上げたあのときの好感触が大ちゃんにはきっと残っていると思う。あのときも、ダメもとで受けて合格したのだから、2年間の米ツアー経験を得た上で受けている今年は、あのときよりは経験値だって高い。フォールシリーズだって終盤に向かって調子が上向いていたのだ。そうしたことを加味すれば、今回だって合格できる可能性は高いと思う。

間もなく、私の相棒カメラマンJJ田辺が現地へ到着するはず。私自身がこの目で大ちゃんの奮闘を見届けられないのが残念だが、取材はJJ田辺に任せ、私の分まで応援してもらおう。

大ちゃん、応援に行けなくて、ごめんなさいね。でも、日本で合格を祈りながら、来年またアメリカで会えると信じています。だから、がんばれ、大ちゃん!

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(第4ラウンドは+1で大きく後退。最後の2日間で一気に追い上げたい)
Photo/JJ Tanabe

2007年11月28日

少しだけ安心

少し前にお伝えしたエリック・コンプトン選手の話、覚えているだろうか?15歳で心臓移植手術を受け、その後は元気にゴルフに精を出していたコンプトンは、プロゴルファーになり、米PGAツアーの大会にも推薦で何度か出場。今年はネイションワイドツアーで戦っていた。しかし、27歳になった今、突然の心臓発作で倒れ、緊急手術を受けたものの危篤状態に陥っていた。

そのコンプトンが手術から3週間後、かなりの回復を見せ、退院したという朗報が舞い込んだ。あー、良かった。少しだけ安心した。

コンプトンは少年時代の移植手術後、合併症や感染症を抑えるための薬を飲まざるを得ず、そのために顔や体が膨れ上がるほど腫れたりと、いろんな苦労を乗り越えてきた。当時の様子を「ホントに僕が僕じゃないほど、すごい顔だったんだ」と明るく話してくれた彼の少しばかりあどけない表情を思い出しながら、なんとか命を取り留めてくれたらいい、回復してくれたらいい、と祈っていた。退院したと聞いて、ホントにほっとした。

退院の際、コンプトンはこう言ったのだそうだ。「今は人生で初めて、忍耐強くならなければいけない時を迎えているのだと思う」。

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私から見れば、少年時代にも苦労したのに、今回、同じ心臓病で再び苦難の日々に陥った彼が「人生で初めて」と言ったことが、少し不思議に思えた。だが、「まただよ」とか、「どうして僕だけが何度もこんな目に?」とか、そういう恨み言すら言わず、「今を耐えよう」と決意しているのだと、そう想像している。彼がそんなふうに考えているのだとすれば、それは彼が治そう、治ろうと前向きになっている証拠。それが何より良かったと思う。

そして、彼の言葉は私の励みにもなっている。12月半ばに入院、手術を受ける身となっている今の私にとって、しかもこれまで病気らしい病気を経験せずに済んできた私にとって、それこそ今は「人生で初めて、忍耐強くならなければならないとき」なのだが、命に直接影響する心臓病であっても明るく生きようとしているコンプトンを思えば、私の病気などは格段に軽いと思わなければいけない。

そんな事情もあるせいか、コンプトン退院は本当に朗報だった。ゆっくり焦らず、これからも回復に努めてほしい。そして、再びクラブを握り、あどけない笑顔を見せてくれる日が来ることを祈っていよう。

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(コンプトンとは何度か話したことがあるが、性格はとても明るい)
Photo/ JJ Tanabe

2007年11月24日

桃子ちゃんも「幸せもの」?

今回の帰国が日本の男女ツアーの終盤戦真っ盛りと重なっているのはラッキーだ。例年なら映像を見ることができない日本選手の熱戦を今年は味わえる。米ツアーとは、いろんな面で違いはあるものの、やっぱり母国のゴルフには米国にはない何かが感じられる。

史上最年少賞金女王に上田桃子選手が輝き、彼女のうれしそうな表情を眺めるにつけ、思い出されるのは彼女が師事している江連忠コーチとの初めての出会いだ。

あれは、諸見里しのぶがまだ高校生のときだった。米LPGAの大会にアマチュアながらスポンサー推薦を受けた諸見里の取材に行ったら、彼女のバッグを担いでいたのが江連コーチだった。練習ラウンド後のインタビューで、2人とあれこれ話をしていたら、江連コーチがこう言ったのだ。

「しのぶは幸せものだよ。まだ高校生なのに、このオレと出会っているんだから」

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一瞬、目が点になった。すごい自信!江連忠って何者だよと思ったのだが、その驚きは、すぐさま納得に変わった。これほど自分のコーチングに自信を持っていれば、生徒であるプロゴルファーだってコーチの指導を信じることができるだろう。自信を持ってこそ、プロだ、と。

実際、江連コーチはアメリカの本格的なゴルフコーチング法を身を持って学び、しっかりした裏づけのある指導法を日本のゴルフ界に持ち込んだ先駆者的存在だ。いわゆる我流の押し付けではないわけだから、その効果はいずれ形になって現れるだろうと思った。

今年の諸見里の日本女子オープン優勝やミズノクラシック優勝による上田の米ツアー初勝利、賞金女王タイトル獲得は、その証なのだと思う。

あのとき江連コーチが言った「しのぶは幸せもの」という言葉を思い浮かべると、次に思うのは、「だったら、桃子ちゃんも幸せもの?」という疑問だ。私が彼女と彼女のゴルフを直接取材したのは今年の全英女子オープン。はっきりモノを言うタイプの上田と江連コーチの関係は、盲目的に江連コーチを「先生」と慕う諸見里と江連コーチの関係とは、少しばかり様子が異なって見えた。それに、江連コーチの口から「桃子は幸せものだよ。このオレと出会ったんだから」という言葉は、まだ聞いていない。が、いずれにしても賞金女王になった背景に江連コーチの力が大きく作用したことは間違いない。コーチの存在は、それほど偉大だ。

来季は日米半々ぐらいで参戦予定だと聞いている。アメリカで上田に会ったら、まず最初に尋ねてみようと思う。「桃子ちゃんは江連コーチと出会えて、幸せもの?」

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(来年はアメリカが主戦場に?)
Photo/JJ Tanabe

2007年11月21日

08年は予選通過が難しくなる!?

米PGAツアーの08年概要が発表された。気になることがいろいろ発表されたのだが、中でも「大変になるなあ」と感じたのは、予選通過に関する変更点だ。

今季まで予選通過ラインは2日目を終えて上位70位タイまでだった。同スコアが何人もいれば予選通過者は80名とか90名とか、そんな人数になることもあった。そのため、大人数での決勝は、ちょっとでも雨天や雷雨によるサスペンデッドなどが起これば、全員がホールアウトできず、日没サスペンデッドで翌日へ持ち越しとなった。

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(丸山茂樹がシードを決めた試合は、最終日が日没サスペンデッドとなり、月曜朝まで持ち越しとなったのは記憶に新しい)

そこで来季からは、上位70位タイまでの人数が78名を越える場合、70名に近いスコアをカットラインとすることになった。つまり、どんなときも決勝進出人数が70名前後になるように設定するというわけだ。この人数なら、ちょっとぐらい中断しても決勝ラウンドがだいたいその日のうちに終わるだろうという計算なのである。

しかし、選手にしてみれば、この差は大きい。それでなくても米ツアーの場合は予選通過そのものが大変なのに、カットラインが1打変わってくると、選手たちの明暗も大きく変わってしまう。

それにしても、日本に比べアメリカでは、どうして日没サスペンデッドが多いのだろうと思われる方もいるかもしれない。その原因は、米ツアーがテレビ放映を第一に考えてスタート時間を設定するからだ。アメリカの場合、東海岸時間で午後6時にテレビ中継が終了するよう、すべてを組む。最終組が6時にフィニッシュするところから逆算して、最終組のスタート時間を午後1時半ごろに設定。そこから遡って前の組、前の組と時間を設定していき、トップスタートは午前9時とか、10時とか、決めるわけだ。もちろん、あらかじめ雷雨接近などの予報が出ていれば、スタートを早め、テレビは録画で放映となるのだが、予報が外れた場合に日没サスペンデッドとなることが多い。

一方、日本の場合は、テレビ放映の時間も早めのため、最終組のラウンド終了時間もアメリカに比べると滅法早い。また、日本にはアメリカのような激しいストームなどの悪天候になりにくいこともあり、それほど試合進行が乱れないのである。

日米の天候の違い、テレビ放映時間の違い、テレビ放映を重視する度合いの違い、いろんな要素が組み合わさった結果、日米のツアーでは諸々の違いが出ているわけだが、今回の米ツアーの予選通過規定変更は、来季の日本人選手にとっても重大なチェンジ。せっかくシードを獲得した今田竜二や丸山茂樹、準シードの丸山大輔らは、一層厳しい戦いを強いられる。大変だなあと思うけれど、決まってしまったことは仕方がない。とにかく、がんばれ!

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(これまで以上に1打の重要性が増す)
Photo/JJ Tanabe

2007年11月15日

プレーオフ中にピン位置チェンジ!?

先日の日本の女子ツアーの大会、伊藤園レディス最終日をテレビで観戦していた。北田瑠衣、茂木宏美、佐伯三貴の3人によるプレーオフは、18番ホールだけを繰り返して行なわれたのだが、これを見ていて、ちょっとビックリ。というのも、プレーオフ3ホール目に入るとき、ピン位置を変えていたからだ。

えっ、プレーオフの最中にピン位置をチェンジするの!?

この光景、アメリカでは男子ツアーでも女子ツアーでも、目撃した記憶がなかったため、ちょっと驚いてしまったのだ。すぐに米PGAツアーと米LPGA双方に問い合わせをし、やっと返事が得られたのだが、やっぱり両ツアーとも「プレーオフ中にピン位置を変えることはないし、過去にも変えたことはない」ということだった。

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なぜ、日米では、このような違いがあるのか。

まず一つは、米ツアーの場合は、とにかくテレビ放映が最優先。というより、テレビ写り、つまりテレビ観戦している人々が一番喜ぶ進行方法を採用するからだ。そのため、単調に18番を繰り返すより、どんでん返しが起こりやすいホールを含めて「18番→1番→18番」とか、「18番→1番→17番→18番→1番」とか、「18番→16番→17番→18番」とか、「18番→10番→18番」とか、上がりの18番を含めた数ホールの組み合わせ(の繰り返し)を採用することが多く、その使用ホールを開幕前からあらかじめルールオフィシャルによって決められている。となると、18番の繰り返しに比べれば使用ホールそのものにバリエーションが出てくるため、プレーオフ中にピン位置を変えなくても、エキサイティングな展開が可能になるわけだ。

もっとも、この方法だと、現場で見ているギャラリーにとっては、あんまりうれしくない場合もある。各ホールのレイアウトによっては、1番のあとに18番まで歩いていくのが大変だったりすることもあるわけだし、その場合、選手たちはカートのお迎えが来て移動してしまうため、全速力で走っても追いつかないことになる。もちろん、取材する我々メディア、特にカメラマンにとっても、こういったケースだと、どうやって動いたらいいのかが非常に悩ましいわけだが、「きっとあそこで決着するだろう」という具合に、山勘で動く以外に方法がない。だが、テレビ観戦に盛り上がりを持っていこうとするツアー側の意志は固く、そうなれば現場の観戦や取材の不都合は二の次となる。

一方、今回の日本の方法は、18番のみの繰り返しだから、現場のギャラリーもメディアも関係者も、そのホールだけに注目することができ、簡単便利。同一ホールばかりを複数回プレーすることになったら、途中でピン位置を変えるというのも、確かに一つの手だなと、ちょっぴり感心させられた。

ただし、「レギュレーションのプレーではああやって攻めたけどプレーオフではこうやって攻めた」という攻略法の違いなども含めて勝敗を決するのがプレーオフのあるべき姿だという考え方もある。たとえ、同一ホールの単調な繰り返しであろうとも、ピン位置はずっと最終ラウンドのときのまま維持し、何度も繰り返す中で、「あの選手は、3度目も4度目も、攻め方を変えなかったから勝った」とか、「そのときどきのわずかな風の違いを的確に読んで、攻め方を柔軟に変えたから勝った」とか、そんなストーリー性を味わえるプレーオフにするためには、ピン位置は変えないほうがいい。

日本と米国、その方法は、まあ、どっちもどっち。どちらかに軍配を上げるべき問題ではなさそうだ。

ちなみに、米PGAツアーでの最多プレーオフは1949年の11ホール。近代では、1965年、78年、81年、83年の8ホールが最多。米LPGAでは72年の10ホール、04年の7ホールが最多。こんなにたくさんのホール数を同一ピン位置で戦ったのだから、これぞまさしく我慢と忍耐の戦いだったはずだ。ゴルフは、やっぱり我慢、我慢!

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(ピン位置の変化は、選手の戦略に大きな影響を与える。)
Photo/JJ Tanabe

2007年11月12日

日本人選手に朗報!?

日本滞在、数日が経った。実家でくつろぐのは、なんとも天国。今朝はレギュラー出演しているラジオの生放送の日で、早起きしてしゃべりまくっていたのだが、知らないうちに部屋の外の廊下に両親が座り込み、聴衆となって聞き入っていたから思わず笑ってしまった。

とりあえず日本滞在中は取材には行かないため、普段よりずっと時間がある。こんなときほど、じっくり資料やデータに目を通すことができるわけだが、その中に、「オー、やったじゃん!」と思えるデータがあった。

米PGAツアーの平均飛距離が93年以来、初めてダウンしたというのだ。ご存知の通り、米ツアー選手たちの飛距離は、用具の進化とあいまって飛躍的に伸び、ずっと伸び続けてきた。しかし、昨年の平均飛距離が289.3ヤードだったのに対し、今年は289.1ヤードと0.2ヤードのダウン。たった0.2ヤードとも言えるけど、平均値の0.2ヤードは、個人別に見ると、結構大きかったりするものだ。実際、昨年も今年も飛ばし屋ナンバー1に輝いたババ・ワトソンの飛距離は、昨年319.6ヤードから今年は315.2ヤードへと4ヤードもダウン。4ヤードの差は、なかなかの差だ。

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(平均飛距離、堂々1位のババ・ワトソン)

周囲の選手たちの飛距離の伸び、それにともなうコースの伸長は、米ツアーで戦うショートヒッターたちにとっては、どうしようもない悩み。丸山茂樹や今田竜二、丸山大輔、そしてメジャー等を中心にアメリカへやってくる片山晋呉など、誰もが飛距離差に苦しんでいる。そんな中で、平均飛距離がダウンしたという事実は、彼らの好成績をいきなり導き出すほどの即効性こそないが、いずれにしても朗報ではある。

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(日本人のなかで飛距離1位は丸山大輔。288.6ヤードで98位。)

それにしても、平均飛距離がダウンした理由は何だろう?想像するに、用具開発のテクノロジーがそろそろ限界に達したということではなかろうか。これまでは新開発されたドライバーを握るたびに、その効果で飛距離が伸び続けてきたが、テクノロジーの進化が限界となって去年も今年も同レベルのテクノロジーによるドライバーを選手たちが握っていたとすれば、方向性アップのためのスウィングに変えたり、難しい設定の中で振りきりが少しでも悪くなれば、これまで伸び続けてきた平均飛距離はどうしたって下がるわけだ。

今後もテクノロジーがさほど進化しなくなるとすれば、ワザ勝負、パット勝負という面がより重要性を増してくる。つまり、全体的な飛距離レベルは高いながら旧来のゴルフの戦いに戻るのではないか。そうなれば、ショートゲームがうまい丸山や今田の優勝のチャンスも増大する。うーん、やっぱりこれは朗報だ。
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(シーズンを通して不調だった丸山茂樹は277.7ヤードで180位。)
Photo/JJ Tanabe

2007年11月09日

過去の人?

日本の病院で再検査と、おそらくはちょっとした手術を受けるため、昨日、帰国した。NYから成田への飛行機の機内。日本人乗客2人のゴルフの話が耳に入ってきた。どちらもビジネスマン風。一人は日本在住、もう一人はNY在住のようだったが、この会話についつい聞き入ってしまった。

「宮里藍って、今、どこで何してるんだ?」
「なんか調子悪くて、日本に戻ってるって話だよ」
「もうアメリカから撤退したの?」
「それは知らないけど、日本のスターは、もう藍ちゃんじゃなくて、ハニカミ王子だからね」
「ハニカミ王子?」
「知らないの?石川遼っていう高校生。ゴルフのニュースはハニカミ王子のことしかやらないよ」
「そうかあ。藍ちゃんも気の毒だね。もう過去の人ってわけか……」

過去の人--というわけじゃない。調子が戻せず、喘いでいるのは確かだが、宮里のプロゴルファーとしてのキャリアが終わってしまったわけじゃない。まだまだ彼女に未来はある。それなのに、一般の人々が彼女のことを「過去の人」と言い放つ背景には、やっぱり日本のメディアの報道姿勢に問題があるのだろう。

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(05年9月のLPGAのQT第1ステージの様子。練習日から多数の日本人メディアがいた。)

藍ちゃんブームを作り出したのは日本のメディア。明けても暮れても「藍ちゃん、藍ちゃん」と報道し、彼女を一気に「時の人」へ。米ツアーデビューとなれば、どこまでも追いかけ、「初優勝は今週か、来週か?」と追い掛け回した。「初優勝」という言葉を、そんなに早く投げかけるのは彼女に必要以上のプレッシャーを与えるから残酷だと、いつも思っていたが、案の定、その残酷取材の果てに、彼女は追い込まれていった。もちろん、取材の仕方のせいだけで彼女が不調に陥ったわけでは決してない。だが、一因が日本のメディアの取材姿勢にあったことは否めない。

そして、一旦不調となると、あっという間に宮里から離れ、今度も明けても暮れても「ハニカミ王子」。たとえ予選落ちしても、初日と2日目のラウンドを振り返る映像がテレビで流されるなんて現象は、アメリカでは「ありえな~い!」ってものだ。そんな報道姿勢だから、人々が「石川遼=時の人、宮里藍=過去の人」と思ってしまうわけだ。

その時々の旬の情報を迅速に伝えるのが報道の使命。スポーツ報道においても「旬の情報=石川遼情報」をつぶさに伝えるのは、確かにその使命を遂行しているということなのだろう。だが、問題は偏りだ。ゴルフ報道がハニカミ王子一色になってしまったら、旬は捉えていても、全体をカバーしてはいないということになる。つまり、ほんの一部の報道に過ぎないということになる。

そういえば、先日、丸山茂樹が首位タイで2ホールを残し、優勝争いとシード獲得の行方が翌日に持ち越されたとき、明日はどこかの新聞か雑誌の記者やカメラマンが駆けつけるかもしれないと思った。過去に丸山の優勝の可能性が高まったときは、少なくとも5人前後の日本メディアがぎりぎりで駆けつけた。今年、今田竜二がAT&Tクラシックで優勝に王手をかけたときも、最終日には私を含めた数人が現場へ駆けつけた。だが、今回の丸山の元へは誰も来なかった。その意味では、丸山も日本のメディアから「過去の人」の烙印を押されてしまったのかもしれない。それは、あまりにも淋しいことだ。

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(丸山が優勝争いを演じた『ギンクラシック』。私たちのほかにいたメディアは放送局のNHKのみだった。)
Photo/JJ Tanabe

「過去の人」なんて表現は、少なくともゴルフには当たらない。いつ、何がどうなるか、まるでわからないのがゴルフだ。丸山が再び米ツアーで優勝するかもしれないし、藍ちゃんが突如、絶好調に戻ることもあるかもしれない。逆に、石川遼のゴルフが何をどうやっても80を切れない状態に陥ることだってないとは言えない。「時の人」の未来も「過去の人」の今後も、誰にも予測はできないはずだ。

そんなこんなを考えると、今の日本のハニカミ王子ブームが恐ろしくてたまらない。いつか、メディアの餌食になってしまうのではないか。今度、飛行機に乗ったら、「ハニカミ王子?あれは、もう過去の人だね」なんて会話が当たり前のように聞こえてくるのではないか……。

こんなことを続けていたら、いつまでたっても、タイガー・ウッズのような本物のスターは育たない。日本のスターを短命に終わらせないためには、もう少し、メディアの姿勢を変えなければダメだと思う。

2007年11月07日

ハッピーエンド

米PGAツアーの07シーズンが先週、終了した。いろいろなことがあった1年だったが、3人の日本人選手にとっては、ある意味、ハッピーエンドとなって本当にほっとした。

フォールシリーズに出てトップ30を目指していた今田竜二は最終ランク65位となり、マスターズ出場権は得られなかったものの、トップ70入りを達成。ずっと念願だったアーノルド・パーマー招待などのインビテーショナルにも出場できることとなったため、その表情は明るかった。

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来季シードが危うかった丸山茂樹も終盤ぎりぎりで2位タイになり、最終ランク105位で08年も米ツアー出場が決定。暗い顔ばかりしていたマルちゃんにあのスマイルが戻ってきたことはなんともうれしい限り。

そして、最後の最後まで、みんなで心配していたのが丸山大輔だ。125位に入れなかった場合、Qスクールを受けるという覚悟は固かったが、問題は150位までに食い込んでQスクール最終ステージから挑戦できるのか、それとも151位以下に終わってセカンドステージからの挑戦を強いられるのか、という点だった。最終戦では前半7、8、9番で連続バーディを奪い、なんとか予選通過はできそうな位置まで上がったというのに、折り返した直後の10番でプロアマに出場していたアマの付き添いできていた日本人2人が運転する乗用カートがなぜかカート道を逆行してきて、急ブレーキ。ティショットを左にひっかけ、ダブルボギーとなった大ちゃんは、それ以後、立ち直れず、予選落ちとなった。

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それでも「僕がスウィングをやめて仕切りなおせばよかったんですけど……」と、アマチュアを責める言葉も発せず、去っていった大ちゃん。日本の取材陣(いつもの少人数)と決勝に残った今田は、最後まで大ちゃんのランクが気になって仕方がなかった。

メディアセンターに設置されたコンピューターは、予想ランクを刻一刻、表示する。大ちゃんのランクは150位になったり151位になったりで、気が気ではなかったが、どうにか149位で終了。これでQスクール最終ステージに直接いけることとなり、会場にいた日本人はみんなで大喜びした。

Qスクールは水もの。何が起こるかわからない。セカンドステージからの挑戦となれば、大ちゃんが通る確率は格段に下がる。だが、最終ステージからなら6日間の長丁場とはいえ、なんとかなりそうに思える。来季も今年と同じ3人が顔を揃えてくれたら、これほどうれしいことはない。

それにしても、今年から始まったフェデックスカップシリーズの効果もあって、トッププロとそうではないプロのシーズンの長さには大きな差ができてしまった。トッププロたちは9月のツアー選手権で早々にシーズンを終了。その後は休暇を取ったり、海外遠征に行ってエクストラマネーを稼いだり。アピアレンスフィも出て、賞金も稼げるわけだから、彼らにとって海外遠征は、お金をもらって楽しめる海外旅行のようなものだ。一方、シード争いの選手たちは先週まで必死の戦いを繰り広げていたわけだし、大ちゃんのように来季シードが決まってない選手たちは11月末から12月初旬までQスクールという修羅場に身を置くことになる。そうなれば、オフなんてものは1ヶ月もないことになる。

うーん、プロゴルフ界も我々の社会も、貧乏暇なしということだろうか?

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(07年の丸山茂樹はずっと沈んでいた。しかし、最後まで頑張った結果として、シードをキープできた。頑張っても結果が伴わない時もあるが、頑張っていなければ決して良い結果は生まれない。丸山大輔の最後まであきらめずにトライし続ける態度に大きく期待したい。)
Photo/JJ Tanabe

2007年11月04日

スポンサードの仕掛け

米PGAツアーの最終戦はフロリダ州オーランドのウォルトディズニーワールド内で開催されている。この大会、昨年までは「フナイクラシック」と呼ばれており、古くは「ディズニークラシック」の名で親しまれていた。ディズニーワールド内のゴルフコースが舞台だから、ディズニーの名で人々から覚えられるのは当然だが、今年から大会名は「チルドレンズ・ミラクルネットワーク・クラシック・プリゼンテッド・バイ・ウォルマート」に変わり、もうどんな愛称で呼んだらいいのか、わからないほどその名は長い。だから、結局、選手や関係者は「ディズニー」という名前を通してしまうことになり、今年からのスポンサーにとっては頭の痛い話だ。

ところで、この新しい大会名、一体何なのと思われることだろう。チルドレンズ・ミラクルネットワークというのは、いわゆる慈善団体。未熟児など乳幼児を専門とする病院と提携しながら、子供たちを助ける活動を主体としているチャリティ団体である。今大会に推薦出場している16歳のタッド・フジカワは、この団体の提携先病院で超未熟児として生まれ、生存確率50%の危険を乗り越えた経緯があるため、今回、晴れて出場がかなった。

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(初日、フジカワと同組でプレーしたのは15歳のマッケンジー・クライン。心臓疾患の手術したばかりで、久々に16ホールを歩いた。「18ホール歩くのが目標」とか。)

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Photo/JJ Tanabe

この団体が冠スポンサーであることは、大会名からもすぐわかる。だが、大会名の最後にくっついているウォルマートは、スポンサーなのか何なのか。聞けば、これはなんと便宜上、くっつけられた付帯スポンサーなのだそうだ。大会スポンサーになると、莫大なスポンサー料を払う代わりに、入場料等々からの収益を得ることになる。しかし、チルドレンズ・ミラクルネットワークは慈善団体ゆえ、表向きは収益を得てはいけない立場。だったら、どうしたらいいのだろうということで、出てきたアイディアが「プリゼンテッド・バイ・○○」という形で付帯スポンサーをくっつけること。つまり、表向きの書類上は収益をウォルマートが得て、ミラクルネットワークはスポンサー料を払うだけで収益は得ないということにすれば、お金の流れの問題は丸く収まるということなのだそうだ。

ということは、ウォルマートは名前と口座を貸しているだけ?大会関係者によれば、「そういうこと。だから来年はウォルマートがKマートに変わるかもしれないし、マクドナルドやケンタッキーフライドチキンに変わってもおかしくはない」ということだ。

それでは、会場となっているディズニーの立場は?「今年からは単にコースをPGAツアーへ貸しているだけの立場になった」ということで、みんなから「ディズニー」と呼ばれ続けているわりには、大会への経済的貢献度は低くなった。

ウォルトディズニーワールド内には、この大会の使用コースであるマグノリア、パームのほかにも、すばらしいコースがあるのだが、近いうちにそのうちの2つが大手ホテルチェーンへ売却されるという話を耳にした。なんとなくディズニーはゴルフビジネスから少しずつ手を引きつつあるようで、そんな動きがちょっぴり気になる。

しかし、それでも会場内には、あちらこちらにミッキーマウスの人形やらなにやらが置かれているし、「お静かに!」のボードには「ネズミみたいに静かにしてね」のフレーズ。「ネズミはチューチュー鳴いてうるさいんじゃないの?」と思うのだが、これはまあディズニー流のジョークらしい。ともあれ、スポンサー名がどう変わろうとも、開催場所がディズニー内である限り、人々がこの大会を「ディズニー」と呼ぶ習慣は変わらないだろう。

2007年11月01日

正直者

ラスベガスで開催されたフォールシリーズ第4戦の最終日。丸山大輔がパー3で「9」を叩いて終わった。
丸山茂樹と今田竜二のラウンドについていた私は、丸山(大)のホールアウトに間に合わず、大叩きの事実をあとから知ったが、すでに丸山(大)はコースを去った後で詳細がわからずじまい。米PGAツアーのルールオフィシャルにも問い合わせたが、真相はわからなかった。

先週は丸山(茂)の優勝争いの取材に終われ、またまた丸山(大)と接触するチャンスを逃してしまったのだが、今週の最終戦会場で、やっと大ちゃんに会えた。

あの大叩き、ドロップミスによるペナルティだったということだけは、なんとかわかったのだが、一体、何がどうなったのかと尋ねようとしていたら、大ちゃんのキャディを務めるリック・アドコックスが、質問の気配を感じ取ったのか、自ら近寄ってきて、こう言った。
「あのペナルティはオレのせいだったんだ……」

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ティショットを池に落とした大ちゃん。ルールにのっとってドロップしたのだが、そこは地面が傾斜しており、ドロップしたボールは転がって池に落ちそうになった。そういう場合、赤杭(ラテラルウォーターハザード)の有効範囲を示す赤い線をボールが転がって越えてからならキャディはキャッチして止めてもよいことになっている。リックは、ボールが赤い線を越えたか越えないかのぎりぎりのところでキャッチしたという。同組だったティム・ヘロンのキャディはその様子を目撃しており、そのキャディも「問題ないよ」と言ったそうだ。

しかし、リックは「やっぱり、赤い線を越える手前でキャッチしてしまったような気がして仕方がなかった。たとえ、同組の選手やキャディがOKだと言ってくれたとしても、もしも自分のキャッチの仕方がルールに抵触していて、そのままダイスケがスコアカードを提出してしまったら、後から違反だったと判明した場合、もちろんダイスケはDQ(失格)になる。が、それより何より、ルール違反をしたかもしれないと思う以上、自己申告するのは当然だ。ゴルフってものは、そういうものだと思ったんだ」。だから、アテストテントでリックはその事実をダイスケとツアー側に伝え、大ちゃんはリックの行為をルール違反だったと認めて、4打罰を加えたスコアを提出したのだそうだ。

大ちゃんは、来季シード権を獲得するため、賞金ランク125位を目指している立場。1ドルでも多く稼ぎたい、1つでも賞金ランクをアップしたいという必死の思いで戦っている。そんな状況にあっても、同組の面々が「OKだよ」と言ってくれても、それでも自己申告したリックとそれを認めて自ら4打のペナルティを加えた大ちゃんは、ゴルフに携わる人間として立派だ。

そういえば、昨年の同大会では、大ちゃんのバッグを担いでいたキャディがラウンド中に誤球し、大ちゃんは2打罰を食らった。どうしてだかラスベガスでは何かが起こる大ちゃん。だが、泣いても笑っても、今週が今季最終戦。賞金ランク125位に入るためには、今大会で少なくとも単独3位以上に食い込まなくてはならない。「ダメならQスクールに行きます。最後の最後まで悪あがきします」。

がんばれ、大ちゃん。立派な心がけ、立派な行為は、必ず報われると信じたい。

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最後まで可能性を信じて、、。
Photo/JJ Tanabe

2007年10月29日

やったね、マルちゃん!

丸山茂樹が、とうとう来季シードをモノにした。フォールシリーズ7戦の最後の2試合に望みをつないでいた丸山は、6戦目に当たるギン・サー・メール・クラシックで優勝争いに絡み、2位タイ。賞金ランクを103位へアップさせ、胸を撫で下ろした。

「今年はどうやって自分の気持ちを盛り上げたらいいのか、わからなかった。何をどうしたらいいのか理解できない1年だった……」。優勝を逃したとはいえ、丸山は饒舌だった。

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考えてみれば、丸山とじっくり話ができたのは今年の5月のメモリアル以来のことだ。メモリアルで「ドライバーを打つのが怖い」と言った言葉を最後に、それ以降は話もできない状態が続いてきた。聞いてもしゃべらず、いや、しゃべれず、「お話できることはありません」。今、やっと聞くことができた彼の胸中は、想像以上に苦しいものだったようだ。

そして、勝負師ならではの真剣な表情やガッツポーズ、輝くスマイルを見たのは、いつ以来なのか思い出せないほど久しぶりだった。

「アメリカで10年がんばりたい」--昨年の末、この言葉を丸山の口から聞いたとき、「それじゃあ、一緒に2010年までがんばりましょう」と答えた。私は真剣にそう思って、そう言った。しかし、今年の丸山は、彼のアメリカ生活が今年限りになるかもしれないという状況続き。あの約束を密かに真剣に受け取っていた私にとって、そんな丸山を眺めるのは辛いことだった。

そして、この数週間、私は自分の体調や状況と丸山の未来を、勝手に重ね合わせていた。先日も書いた通り、検査結果が悪く、一度は命の限界を身近に感じてしまった私は、「マルがアメリカを去るとき私もアメリカを去ることになるのかな」と密かに思った。だから、丸山が来季シードを決め、「やっぱりここで10年はやりたかった」と満面の笑顔で語る姿を目の前にしながら、「うん、そうそう、私もここでもっとがんばりたい」と強く思った。

諦めずにがんばっていれば、ちゃんと前を向いていれば、道は開ける--ちょっと哲学めいた言い方だが、そんなことを肌で感じた丸山と私は、こんな記念写真まで撮ってしまいました。どう見ても、選手とメディアには見えないこのツーショット、恥ずかしながら公開します!

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Photo/ JJ Tanabe

2007年10月26日

世の中、捨てたもんじゃない!

故障と不調で散々の1年を過ごしてきたミッシェル・ウィーは、現在、スタンフォード大学に入学し、寮生活を始めている。プロ転向と同時にマネジメント契約したウイリアム・モリス・エージェンシーのマネージャーは、すでに1人目が辞職し、つい最近、引き継いだ2人目も辞職。その2人目のマネージャーの辞職の理由は「私自身の将来を考え、一番いい決断をした」というものだった。つまり、成績が落ちる一方のウィーのマネージャーをこれ以上続けていてもマネージャーとしての自分の将来はないという意味だ。

人間の本性、本質というものは、こういうときにわかるんだということを、おそらくウィーも学び取ったことだと思う。何もかもがいいときは誰だって近寄ってくるけれど、何かが落ちかかったとき、傾きかかったとき、「こいつには、もう用がない」という感じで、そっぽを向く者は世の中には結構多い。

しかし、逆も結構多いから、この世の中は捨てたもんじゃない。

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私ごとで恐縮だが、この数週間、私は生きた心地がしないほどの不安の中にあった。何気なく病院へ行ってちょっとした検査を受けたら思わぬ結果を聞かされ、精密検査になった。
もしかしたら、私はもうそんなに長く生きられないのだろうか……。
生まれて初めて、本気で死を身近に意識した。

精密検査の結果を待つこの1週間は、毎日、一刻一刻がそれはそれは長く、何をやっても手につかず、結局、原稿も書いても全然まとまらずじまい。仕方がなくマンハッタンをふらふらと歩いて気をまぎらわせたり、いろんなことを考えながら、いろんなことをした。自分で選択し、自分の意志でアメリカで一人暮らしをしているのだから、淋しいとか辛いとか、そんなことは言っていられない。こういうことがあっても乗り越えなければと自分に言い聞かせれば言い聞かせるほど、よけいに辛くなった。

そんなときに電話をもらったりすると、ついつい不安が口をつき、涙も溢れた。
すると、大半の人は、本当に心のこもった言葉や気遣いで元気の出る激励をしてくれた。
食事に連れ出してくれた人、おしゃべりに付き合ってくれた人、
何度も何度もメールをくれた人、
途中途中、どうしているかと心配して電話をくれた人、
こういうときほど笑え、歌えと導いてくれた人、
自分の友人知人にはこんな例もあったと言って励ましてくれた人、
こんな本を読むといいよ、こんな自然食品を採るといいよ、
こんなふうに考えれば何も怖くないよ……いろんなものを、いろんな人がくれた。
うれしかった。

昨日、検査結果が出た。
幸い、密かに覚悟していた最悪のシナリオは免れた。
近々に小さな手術を受けさえすれば、元通りの元気な体に戻れるとのこと。
ドクターのその言葉を聞いて、やっと長い長い1週間が終わってくれた。

私自身の話が長くなってしまった。私が言いたかったことは、世の中には苦境に陥った人間を見限る人や見捨てる人がいる反面、どんなときも見守ってくれる人だっているということ。そして、そういう人々の温かさや大切さを知っていれば、苦境から脱することもきっとできるだろうということだ。そして、このことは、ウィーのみならず丸山茂樹にも伝えたいし、実感してもらえたらいいなと思う。

ウィーのゴルフは、今後いつごろ回復するのか、それは彼女自身にもわからないはず。華々しくデビューしたときはチヤホヤしていた人々が、今では彼女から離れていっている。しかし、そんな中でも、激励やサポートを続けていく味方は必ずいるはず。その温かさ、ありがたさを噛み締め、感謝し、謙虚にゴルフに臨めば、「強いウィー」は必ずいつか戻ってくるはずだ。

折りしも、米LPGAのビーベンス会長が来季はQスクールを受けなくてもウィーにシード権を与える可能性
が大だというニュースが報じられたばかり。この話が本格的に表面化したら、またまたウィーに対する世間や他選手からの風当たりが強くなり、あることないこと、あれこれ言われることになるだろう。

だが、それでもウィーの味方をしてくれる人、ウィーの将来性や才能を信じてくれる人、最後まで見放すことなく助け続けてくれる人はいるはずだ。

まだ17歳で常に渦中の人となっているウィーの「心」が心配だが、諦めずにがんばっていれば、信じていれば、きっとどこかから何かしらの「助け」が来る--。

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今年の全米女子オープンで、手首故障のため棄権するウィー。
Photo/JJ Tanabe

2007年10月20日

ゴルフに失礼!

米PGAツアーは、フォールシリーズが終盤戦を迎えつつある。フェデックスカップが終了した後のフォールシリーズは、ビッグネームたちが姿を消し、メディアも激減し、何もかもが小規模で地味になった。しかし、来季シード権をめぐって必死の選手もいれば、今田竜二のようにシードは確定していてもマスターズ出場権など別の目標を達成しようと一生懸命の選手もいる。

だが、どうしてもムードが「だれる」のだろう。プレーの進行が遅れ、ティグラウンドに到着するたびに待たされていたときのこと。ふと見ると、あっちでもこっちでも待ちくたびれた選手たちがバッグの上に座ったり、挙句の果てには寝っ転がったり。

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座るまではよしとしても、さすがに寝っ転がるのはやめたほうがいい。フォールシリーズと言っても、それは出場選手の顔ぶれが下位選手中心になったというだけで、あくまでも米PGAツアーの試合。そして、PGAツアーはあくまでも子供たち、ゴルフファンたちの憧れのツアー、世界一のツアーなのだ。フォールシリーズであっても、地元で開催されるその大会を心待ちにして会場にやってきたギャラリーだって大勢いる。そんな人たちに、これほどだれた姿を見せてはいけないだろう。

素行の悪さで悪評高きジョン・デーリーだけは、みんなが寝そべったりしているときも、一人だけ立って待っていた。デーリーは、酒乱になったり、暴力沙汰を起こしたり、いろいろな問題を起こしたけれど、ゴルフそのものを尊敬する心は忘れていないのだろう。ちゃんと立っているデーリーだけが立派に見えるというのは、なんとも奇妙な感じだが、やっぱりゴロゴロしているより、格段に格好良かった。

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Photo/JJ Tanabe

そんな折り、驚きのニュースを耳にした。エリック・コンプトンという選手をご存知だろうか。15歳のとき心臓移植の手術を受けて奇跡的に回復し、以後、ゴルフだけを生きがいに生きてきた。体を鍛え、腕を磨き、プロにまでなり、PGAツアーの試合にも出たことがあるし、昨今はネイションワイドツアーで戦っていた。かつて、彼に会い、インタビューをしたことがあるが、とても明るく、トッププロになることを夢見ながら球を打っていた。心臓移植を受けたなんて、まったく感じられないほど健康そのものに見えた。

そのコンプトンが27歳の今になって、釣りをしていた最中に突然の心臓発作に見舞われた。呼吸も切れ切れになりながら、必死に車を運転。病院までたどり着いたが、入り口で意識を失った。緊急手術で一命を取り留めてはいるが、危篤に近い状態だそうだ。それでも彼は、ゴルフがしたい、ゴルフを続けたいという一念で命の灯を保とうとしている。

ゴルフがしたい--そのために、生きようとしているプロがいる一方で、PGAツアーの舞台に立てているのにダレた姿をさらすプロたちがいる。それは、ゴルフに対して、あまりにも失礼だと思う。

2007年10月17日

悲しい批判

フォールシリーズ第4戦のフライズドットコムオープンを取材して、悲しくなった。なぜなら、1ドルでも多く稼いで、賞金ランクを1つでも2つでもアップさせなければいけない状況だというのに、丸山茂樹のプレーぶりが、あまりにも投げやりだったからである。それも1つのミスや1日だけというのではなく、4日間、全ホールでその態度が見られたのだ。

タイガー・ウッズだって、あまりにも不本意なラウンドを終えた後は記者たちを振り払い、無言で去ることがある。他選手も同様だ。ラウンド中だって、不本意なショットやパットをしてしまったときは、クラブを叩きつけたりすることはある。激しい優勝争いの最中でそんな姿を見ると、マナー違反とはいえ、むしろそんな態度は見ていて面白いと感じることさえある。

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(タイガーだって、クラブを投げたりすることはいくらでもある。)

だが、今の丸山は、そういう状況下にあるわけではなく、賞金ランク125位以内に食い込んで来季シードを死守しなければいけない立場だ。そして自らのランクは135位。残り4試合でランクを10アップするためには、1打1打が本当に大切になってくるわけで、ふて腐れている場合ではないのだ。

それなのに……気に入らないショットを打つたびにクラブを放り投げたり、叩きつけたり。前の組が詰まっていたパー3のティグラウンドでは、自分のゴルフバッグをすごい勢いで蹴り倒し、その上に座り込んだ。蹴り倒したときの「ガシャン」という大きな音が、ものすごく悲しい響きだった。

丸山の周囲の人間は、そんな彼を止めることができない。心情を知りすぎるがゆえに、やめろと言いたくても言い出せないのだろう。誰も止めないし、誰もとがめないから、丸山本人も、ひっこみもつかないのか、悪態をどこまでも通す。

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(待たされるティグランドで寝そべるのは、米ツアー選手では見慣れた光景なのだが、、。)

最終ラウンド終了後、なぜそこまで悪態をつく必要があるのか、そんなことをしている場合ではないのではなかろうか、といったことを話そうと思った。ひょっとして、好成績がなかなか出ないことや賞金ランクがここまで低迷していることへの苛立ち以外に、何か理由や原因があるのか。あるのなら、それは何かを聞いてみようと思った。しかし、足早に立ち去ろうとするばかり。意を決して走って丸山を追いかけ、声をかけたが、振り向くこともなく、頭の上で手を横に振られてしまった。

もう、ここまで来たら、私ができることは、今の丸山の姿が見るに耐えないものであることを記事で伝える以外にはないと思った。米ツアーで8年間も踏ん張ってきて、3勝も挙げて、世界の丸山と言われたアナタが、そんな態度を取り続けていたら、過去の栄光に自ら泥を塗るだけだということを、ペンによって伝えるのがジャーナリストである私に残された唯一の「できること」だと思った。

8年間、同じアメリカに身を置きながら取材を続けてきた丸山には、他選手とは異なる親近感を感じている。もちろん、「なあなあ」の関係になるのは嫌だったから、取材する側とされる側という距離感は保ったまま、それでもやっぱり応援には力が入った。彼の一面だけを見て書かれた批判記事が出れば、彼の素顔を知る者として擁護する記事も書いてきた。

だが、今回だけは、あえて批判記事を書くしかないと思った。丸山が好きだからこそ、がんばってほしいからこそ、あと残り3試合をしっかり戦ってもらうためにも、書くしかないと心を決めた。

2つの媒体向けに、とうとう書いた。スポーツ新聞とウエブ。新聞の見出しは書き手ではなく社内の見出し専門の担当者がつけるため、私の意志とは異なる見出しがつけられてしまっていたが、ウエブのほうはまったく手を入れられずにアップされるため、一字一句たがわず私の原稿通り。

これらを丸山本人が見てくれるかどうかは、わからない。見たら、とりあえずいい気分はしないだろう。だが、それで激怒しっぱなしになるか、それとも心を入れ替えて残り3試合を必死に戦ってくれるのか、それは丸山次第だ。

長い付き合いの丸山に関して、批判記事を書くのは、正直なところ、悲しいことだった。書かないでおくことは、もちろんできた。現場にいた日本のメディアは、NHKのレポーターと私と私の相棒カメラマンの3人だけ。誰もが何も言わずにいれば、テレビ中継にも映らなかった丸山のプレーぶりが世の知るところとなることはない。「イライラしているんだから仕方ないよ」で済ませることは、もちろんできた。

だが、あえて書いた。自分に気づき、乗り越え、125位に繰り込めるかどうか。たとえ繰り込めなかったとしても、必死にやってダメだったのと、投げやりにやってダメだったのとでは、今後に与える意味合いが全然違う。だから、今こそは丸山が迎えている最大の試練。克服しない限り、丸山はいろんな意味でダメになってしまう。だから、批判を書いたことを私は後悔していない。たとえ、そのことで丸山から嫌われようと疎まれようと、丸山のためになるのでもあれば、それでいい。

絶対に誤解してほしくないのは、「あえて批判を書いた」ということ。辛いなあと思いつつ、「あえて書いた」ということ。批判したいのではなく、態度と姿勢を変えてがんばってほしいから書いたということ。

それは、直接言葉を交わすことを拒んでいる丸山に対して、ペンを握る私が「がんばってほしいのよ、丸山茂樹!」と伝えることができる唯一のエールだったと、丸山自身に気づいてほしい。

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Photo/JJ Tanabe

2007年10月14日

座右の銘

ラスベガスで開催されているフライズドットコムオープンの会場で、犬が寄ってきた。動物は、目の前の人間が動物好きかどうかを感じ取る能力があると聞いており、私は幼いころ飼い犬に噛まれて痛い思いをした経験があるせいか、普段はあんまり犬や猫が好きではない。別に嫌いなわけではないが、たとえばスターバックスの外のパティオで誰かの飼い犬や飼い猫が近くにいたとしても、ナデナデなんかは、まずしない。実際、先日、ある場所で、ある人の飼い猫をナデナデしてみようと手を伸ばしたら、すごい勢いで逃げられ、やっぱりなあと思ったばかり。だが、この犬は不思議なことに全然私を怖がらず、嫌がらず、じっと良い子のままだった。

なぜって、そりゃあ訓練されつくしているからだろう。この犬はK9(警察犬)。任務は爆発物探知だ。試合会場内に爆弾が仕掛けられていないかどうか、ギャラリーに紛れて爆発物を持ち込んでいる人物がいないかどうかを探知するという任務を背負ってやってきていたのだが、ふと見かけたときは、ちょうどお昼休み中で、芝の上に体を伸ばしながら「あー、疲れた~」と座っていた。

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名前は「Joe(ジョー)」。7歳。うわ~、この子は逃げないぞと思いながらナデナデしていたら、変なことに気が付いた。こいつ、生意気にも「オールアクセス」のクレデンシャルを首から下げているではないか!

大会関係者には、選手用、キャディ用、メーカー用、メディア用という具合に、クレデンシャル(入場証)がツアーから発行されており、それぞれ用途に応じて、入れる場所の表記が異なっている。私のクレデンシャルは「パーマネント・メディア」用。写真のオレンジ色っぽいのが、それだ。常にPGAツアーの大会を取材しているメディアに発行される取材証で、クラブハウス、ロッカールーム、練習場、メディアセンターに入ることができるし、取材申し込みをしなくても、すべての試合の取材をすることができるというものだ。だが、いつも羨ましく思っていたのは、ツアー関係者に発行されている「オールアクセス」。このクレデンシャルを持っていると、ほとんどの場所に入ることができ、「入る」ことに関しては一切不自由がないのだ。だから、ジョーが「オールアクセス」を持っていたのが、驚きであり、妬ましい!

「おい、ズルイぞ、ジョー!どうしてオマエがオールアクセスなの?」
「だって、オレには特殊な鼻があるんだぜ。園子、キミにはそんな鼻、ないだろう?」

そうかあ……。特殊なほど優れたゴルフ技能を持っているから選手には選手証が発行され、特殊な鼻を持っているからジョーにはオールアクセスが発行される。なるほど、そりゃ納得できる。

「ところで、ジョー、働かなくていいの?こんなところで油を売っていると、オールアクセスは取り消しになっちゃうよ」と吹っかけると、ジョーは「オレの座右の銘を知ってるか?Work hard and dream big. コースでは鼻を効かせて一生懸命に働き、休み時間は鼻を休めながらビッグな夢を見る。どっちも、人生においては大切なことなんだ」

「で、今はどんなビッグな夢を見ていたの?」
「ん?テロのない平和な世界の到来。そうなったらオレは、お役御免で引退するよ」

……長いフィクションで、すみません。爆発物探知犬、麻薬探知犬といった警察犬は、PGAツアーの試合会場では必ずと言っていいほど働いている。全米オープンなどのメジャーになると、3~5匹ぐらいが会場入りする。行動は担当ポリスと2人(1人&1匹)1組。日本ではゴルフの試合会場にこういう警察犬が入ることはないだろう。もちろん、お国柄とお国事情の違いだ。

警察犬が働いてくれることで人々が安心してゴルフ観戦できるのは、ありがたいこと。選手たちは警察犬がいることに馴れっこになっているのか、最近は警察犬を見ても誰も反応しないけれど、きっと彼らも警察犬に感謝しているはず。だから、キミはみんなから「ありがとう」って思われているんだよ~、ジョー君!

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Photo/JJ Tanabe

2007年10月11日

ちっちゃなタッド

今週は米PGAツアーのフォールシリーズ第4戦、フライズドットコムオープンに来ている。会場はラスベガス。カジノの街で開催される大会には、必ずと言っていいほどジョン・デーリーが出る。もちろん、この大会にもデーリーは出場するのだが、カジノとは無縁で出場している注目のこの人といえば、16歳のタッド・フジカワだ。

ハワイ出身のフジカワは、今年のソニーオープンで史上2番目の若さで予選通過を果たし、その直後にパールオープンで優勝。そして今年7月にプロ転向した。今週は、プロ入り後、2試合目のPGAツアーの大会になるのだが、そうした記録より何より、話題になっているのは彼の背丈である。

メディアセンターの前で、丸山大輔のバッグを担ぐキャディのリックに出会った。リックは「タッドを見た?」。「うん、たった今、そこでちょっと話をしたけど」と答えると、「どのぐらい小さいの?」。やっぱり興味があるらしい。

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フジカワの身長は153センチ。ちょうど、宮里藍と同じ身長ということになる。私は159センチ。そう、これまで選手と話をするときは必ずと言っていいほど見上げながら話していたが、フジカワは私が初めて見下ろしながら話をしたPGAツアー選手だ。リックに「私より小さいのよ」と伝えると、「オー、マイ、ゴッド!そんなに小さいの?今、レンジで打ってるのかい?」と遠くに目をやった。すると、相棒カメラマンのJJ田辺はすかさず、「ダメダメ、そうやって見てもタッドは見えないよ。みんなの陰に隠れちゃうから」。

フジカワは3ヶ月も早くお母さんのお腹から出てきてしまったため、生まれたときは超未熟児だったそうだ。体重は2キロもないほどだったという。しかし、その後は柔道で鍛え、背は低いけどがっちり体型。

そして、背は低いけれど、ハキハキした素直なかわいい男の子だ。「うん、いいよ。OK!」と笑顔で答えるフジカワは、なんだか弟にしたくなる。将来は高額賞金を稼いできてくれる弟?うーん、こんな弟がいたら、きっと私の誕生日に「お姉ちゃん、この前、優勝したから、好きなものを買ってあげるよ」なんて言うんだろう……あんまりかわいくて、ついついそんな妄想をめぐらしてしまった。

ともあれ、今大会の目標は「もちろん、優勝!」だそうだ。がんばれ、タッド!優勝しても年齢規定があるから、すぐさまツアーメンバーにはなれないが、日本がハニカミ王子なら、アメリカはスモール王子といこうじゃないか。お姉ちゃんが応援してあげるから……と、ここまで書いて、ふと思った。あれれ、もしかすると私の年齢は、フジカワのお姉ちゃんというより、フジカワに付き添っていた彼の母親に近いものがあるのかもしれない。うーん、さしずめ私は、フジカワのおばさんってことだろうか?ちと悲しい。

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(アイアンはONOFF、ドライバーはアダムスのインサイトを使用中。)
Photo/JJ Tanabe

2007年10月06日

選手の呼称

日本の東海クラシックでカミロ・ビジェガスが優勝した。ビジェガスといえば、米PGAツアーにデビューし、あのパットのラインを読むポーズを初めてこの目で見たときの驚きが今でも懐かしく思い出される。そう、あのグリーンに這うような姿と七色に変わるかのごとき派手なファッションをかけて、私は日本の新聞や雑誌に「カメレオンのような男」と表現した。

その後、日本の新聞や雑誌上で「カメレオン男」という呼称が勝手に一人歩きしていて、これまたビックリ。私独自の印象で表現した呼び名がビジェガスという一人の選手の当然の修飾語のようになっていたことを知り、いや~、活字の威力はすごいもんだと今更ながらに痛感していた。

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さて、その後。日本のある雑誌から、ビジェガスの紹介記事をあらためて書いてほしいという依頼が来た。しかし、その依頼は「カエル男ってことで、書いてください」。えっ?カメレオンじゃなくてカエル?うーん、彼のポーズは、どう見ても、ガニマタのカエルちゃんではありませんよと説明したら、結局、「カエル男」は世に出ずじまい。

さてさて、その後。アメリカのどこぞでは、時折り、ビジェガスのことを「スパイダーマン」と表する記事が出たようで、その表現を日本の誰かが拝借し、以後、日本では「ビジェガス=スパイダーマン」となったようだ。今年の優勝の際も、日本の新聞や雑誌には「スパイダーマン」ばかりが踊っていた。しかし、アメリカでは、ビジェガスをスパイダーマンと呼ぶことはほとんどなく、なんか奇妙な感じがしてしまう。

そんな折り、偶然にもビジェガス優勝と同週に日本女子オープンが開催された。優勝は諸見里しのぶだったわけだが、ディフェンディングチャンプで出場した韓国出身の張晶の呼称というかカタカナ表記が去年に続いて今年も変更されていた。

元々、日本では漢字で「張晶」と書くか、あるいはカタカナで「ジョン・ジャン」だった。しかし、昨年大会から、放送局が「チャン・チョン」に突然変更。右へ倣えということで、通信社→新聞→雑誌と、ほぼ全媒体が「チャン・チョン」に変えた。姓と名を日本式に入れ替えるなら「ジャン・ジョン」でいいはずだが、「ジ」を「チ」へ変えてしまった理由は不明。

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そして今年の大会パンフに掲載するディフェンディングチャンプインタビューを行なった際、本人に発音を確かめたら「チではなくジです」。それを大会主催者側にも伝えたところ、主催者が放送局へ伝え、放送局が「だったら元へ戻そう」となり、そこからまた日本のほぼ全媒体が「ジャン・ジョン」へ。こんな経緯で彼女の名前はコロコロと表記が変わる運命を辿った。

それにしても、選手の名前や表記が、あれこれ変わってしまったらファンや読者は混乱するばかりだ。おまけに本人の了解も取らず、確認もせずに、妙な方向へ変更してしまったら目も当てられない。

逆に、選手の修飾語やニックネームというものは、誰かの表現をそのまま受け継ぐのではなく、それぞれの媒体が独自の視点と独自のアイディアで「クリエイトする」「名づける」べきもののではないだろうか。

もちろん、あるニックネームがナショナルレベル、世界レベルまで到達してしまったら、それはもう名前の一部みたいなものと化すが、そうではないレベルで、ただ単に右へ倣えするのでは面白みがないではないか。

そういえば、セルジオ・ガルシアを日本の雑誌で初めて紹介したとき、「ニックネームはエルニーニョ」と書いたのに、なぜか掲載時には「ニックネームは神の子」に変えられていた。そして、あっという間に日本では「神の子」が彼の呼称のように広まってしまった。

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Photo/JJ Tanabe

メディアの力は、どうしたって強いし、怖い。だからこそ、表現には細心の注意が必要だし、逆に言えば、だからこそクリエイティビティが求められるわけだし、だからこそメディアに携わる人間は面白みを感じることができるのだと思う。私も、その一人として、醍醐味を感じながらも気を引き締めていこう!

2007年10月03日

言葉のナイフ

フォールシリーズ第2戦が終了。バイキングクラシックには丸山茂樹、丸山大輔が出場していたが、丸山(茂)は2週連続予選落ちで賞金ランクは145位へ後退。丸山大輔は奮闘し、賞金ランク176位へ前進した。この2週間で少しずつ2人の丸山の差が縮まってきている。フォールシリーズを192位からスタートした丸山(大)に、「1試合で平均10位ずつ賞金ランクを上げれば、7試合終了後に122位になるからシードが取れる計算ですよ。目指すは1試合10位ずつアップ!」と声をかけたら、大ちゃんいわく、「そういう作戦がありましたよね」。で、その大ちゃん、現在2試合を終えて16位アップだから、計算より若干遅れ気味。だが、いい感じである。

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ところで、第1戦が行なわれたターニングストーンリゾートでの話。選手の大半はターニングストーンのカジノホテルに宿泊しており、毎晩、カジノには選手やキャディ、メディアが現れていた。

大会2日目の夜。私は地味にスロットマシーンをやっていたのだが、私の相棒カメラマンのJJ田辺はルーレットをやりに行った。ちょうどそのとき、予選落ちした今田と香苗夫人、それに決勝進出した丸山(大)と出くわし、同じ台でルーレットをやったのだそうだ。

今田と丸山(大)が選手だと知ったルーレットのディーラーが丸山(大)に「明日は誰と一緒にラウンドするんですか?」と尋ねた。すると、ちょっと口の悪いJJ田辺はすかさず今田に「ところで、リュウちゃん(今田選手)は明日、何時にスタート?」。予選落ちとなり、「明日」がない今田は「あっ、傷ついた。今のは言葉のナイフだ!」と、胸をさすったのだそうだ。

今田にしては、うまいことを言うなあと、ちょっぴり感心。このやり取り、突然聞いたら、びっくりするかもしれないが、もちろんこれは仲良しだからこそできるジョークだ。お互いにそのつもりだから、こんな会話が成立するけれど、これをジョークが通じない相手に言ってしまったら、あるいは、ジョークが通じない状況で言ってしまったら、本当の「言葉のナイフ」になる。

刃物で傷ついた肉体は、程度にもよるけれど、小さな傷なら時間が経てば癒える。しかし、言葉のナイフで傷ついた心は、いつまでも癒えないし、ときにはその傷が肉体や人間性、仕事や社会生活まで脅かすことにもなりかねない。そう、心のナイフは、とんでもなく鋭利だ……なんてことを今田が考えながら口にしたわけではない。今田が考えていたのは、どうやってルーレットで勝とうか、ということだけ。いつも真剣な今田は、どこかカワイイ。

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(*ちゃんとすぐに「ゴメンねえ~」と謝りました=田辺)

そして、ギャンブルなんか到底やらないだろうと思っていた丸山(大)がカジノにいたのは驚きだったが、もう少しやろうかどうしようか迷っていた丸山(大)に、「ここでもう少し儲けるより、明日のラウンドで1打でもスコアを伸ばして賞金を稼いだほうがいいですよ」とJJ田辺が声をかけたら、大ちゃんは素直に部屋へ帰っていった。大ちゃんは、ホントに素直で憎めないやつだ。

とうとう一度も丸山(茂)の姿をカジノで見ることはなかった。元々、マルちゃんはギャンブルが嫌いだと聞いていた。だから、カジノに来なくても不思議ではないのだが、心配なのは、マルちゃんの心だ。もしかしたら、マルちゃんも、誰かの「言葉のナイフ」で傷ついたなんて出来事があったのではないだろうか。それでなくても彼の心は、実はデリケートなのだ。「言葉のナイフ」じゃなくても、「何かのナイフ」で傷つき、その傷がなかなか癒えないのではないか。そんな気がしてならないのだ。

最近、私は自分自身のゴルフにちょっと精を出し始めた。忙しいことを言い訳にして、しばらくラウンドから遠ざかっていたが、そろそろオフも近づいたことだし、真冬になる前にNY近郊でクラブを振ろうと決心。久々のゴルフは楽しいが、ゴルフは心の生き写しであることを痛感させられる。元気なときはショットも元気だし、スコアもそこそこ。しょげているときは、ショットもしょげるし、スコアもボロボロ。そう、だから、ゴルフはメンタルなスポーツなのだ。

そう思うにつけ、心配なのは、やっぱり丸山(茂)だ。今田と丸山(大)はとりあえず元気だ。だが、笑顔を忘れた丸山(茂)は、元気がないからスコアも順位も悪い。がんばれ、マルちゃん。まずは笑おうよ。苦しくても辛くても、無理にでも笑顔を作れば、1つぐらいはいいことがあるよ。アナタの胸の内、アナタの現在の立場を理解しようとしている人間は少なくとも1人、ここにいるから。

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Photo/ JJ Tanabe

2007年09月28日

ヤングエリート?

最近、若手選手のビジネス進出が盛んになっている。とりわけオーストラリア出身選手にその傾向が見られる。すぐさま思い浮かぶのは、アロン・バデリー。彼はマグレガー社とクラブ契約を結んでおり、自らはマグレガー・オーストラリアの「プレジデント」だと言っている。もちろん、そう言っているのだから、そうなのだろう。

だが、つい先日、気になるニュースが報じられた。マグレガー社とバデリーが契約を解除するとのこと。バデリー側は「マグレガー社が契約にのっとった金額をフルに支払わないから」とその理由を説明しているのだが、果たしてどうなるのか。そういえば、バデリーのバッグには、ここ最近、ずっとテーラーメイドのウッドクラブが入っていた。となると、バデリーの同社に対する怒りは本物なのかもしれない。

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が、気になるのは、バデリーがマグレガー社とのクラブ契約を解除したとして、彼自らが率いるマグレガー・オーストラリアはどうなるのかということ。しばらくバデリー本人に会える機会がないのだが、フォールシリーズにも1試合ぐらいは出場予定だと彼は言っていた。なんとか本人に会って、真相を直接確かめたいものだ。

さて、そんな中、今度は超イケ面のアダム・スコットがマネジメント会社を変えると発表。2年間契約していたPRISMを離れ、アダム・スコット・ファウンデーションを擁する自らの会社アダム・スコット・カンパニーと契約するという奇妙な契約話が浮上した。スコットいわく、「いろいろなビジネスを自分のコントロール下でやりたい。ビジネスモデルはグレッグ・ノーマンだよ」。

なるほど。若手オージー選手のお手本は、やっぱりこの人、ノーマンなのだ。そう、ノーマンといえば、ホワイトシャークのロゴマークでビジネスを展開し、コース設計からワイン醸造と幅広くビジネスを展開していることで知られる。が、同時に、ものすごい借金を背負っているという噂もあり、プレーヤーとしては、すでに終わっている。

傍からみると、選手生命が終わり、ビジネスに精を出しているノーマンに、これから未来がある若手選手がそれほど憧れなくてもいいのになと思ってしまう。ましてやバデリーもスコットも、まだメジャータイトルも取っていないわけで、本業で頂点に達していないうちにサイドビジネスなんかに手を出したら、二兎を追って失敗する羽目になりそうで心配だ。ま、老婆心かもしれないけれど、オージーのヤングエリート諸君、どうぞ、お気をつけあそばせ。

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Photo/ JJ Tanabe

2007年09月26日

「何、それっ?」と感じたティアップ

米PGAツアーはお金の力にモノを言わせた派手なフェデックスカップが終了し、先週からはフォールシリーズに入った。賞金ランクで競い合う従来のレース。125位以内を目指し、シード獲得に必死の選手もいれば、それぞれの思惑で賞金ランクアップを狙う選手もいる。やっぱり、長年親しんできた賞金レースのほうが、見ていてもしっくり来るし、なんと言ってもわかりやすい。それに、この1打で賞金がいくら変わり、順位がいくつ変わり、シード争いがああなるこうなると思いながら眺めるほうが、やっぱりドキドキする。プレーオフの最中も、最終戦のツアー選手権でも、たとえ10ミリオンのボーナスがかかっていようと、そんなドキドキ感が皆無だったことを思えば、フォールシリーズは思いのほか楽しいという結論になる。

さて、楽しいと言えば、ビッグネームの姿がないフォールシリーズの試合では、日ごろ見落としがちな細かいことや、日ごろなかなか注目できない無名選手たちのことが、気になるというか、自然に目につく。

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(クリス・ストラウド)

特別、何を取材しようという目的もないまま、なんとなく1番ティでスタート風景を眺めていたときのこと。見慣れない帽子を被った選手がやってきた。クリス・ストラウドというアメリカ人だ。ボールとティペッグを一緒に手に持ってティペッグを地面に差し、ボールをティアップ。そこまでは当たり前の風景なのだが、その後の光景に思わずギョッとした。

ストラウド君、ティアップしたボールの飛球線後方に回り、いきなりしゃがみ込んだ。「えっ、何?何するの?」と思って見ていると、なんとなんと、しゃがんだ体勢のまま、ティアップしたボールをそっと動かしている。「何?何がしたいの?」。

ここ10年ほどの間、選手たちはパットの際にラインアップしやすいよう、ボールの赤道部分にラインを入れるようになった。パットの名手ブラッド・ファクソンらが最初に始めたこのライン描きは、ファクソンが使い始めたエッグスタンドのようなラインマーカーとともに流行し、アマチュアにも広まり、日本にも広まった。そして、このストラウド君も、ご他聞に漏れず、ボールにラインを描いているのだが、彼はなんとティアップしたときもボールのラインをターゲットラインに合わせており、そのライン合わせの作業を、ティアップした後にしゃがんだ体勢で丁寧に行なうというわけだ。

最初は、たまたま1番ティでだけ、そんな丁寧な作業を行なったのかと思ったのだが、彼はその後もずっと全ホールで毎回やっていた。

いやー、几帳面で丁寧なのはいいんだけど、しゃがんでボールをそっと動かすその姿は、どうしても初心者の女の子が「あーん、上手にティアップできな~い!」と言いながら、不器用そうにティアップしている姿と重なって見える。お世辞にも格好いいとは言えない男子プロのその姿。不恰好でも、強ければいいし、シードが取れればいい……のだろうか?ちなみに、ストラウド君の賞金ランクは160位前後を行ったり来たりが現状。「何、それっ?」と思わせる彼のティアップ流儀は、果たして報われるのかどうか。フォールシリーズ7試合が終了したとき、その答えが出るというわけで、楽しみが一つ増えた!

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(選手のルーティンは千差万別、十人十色)
Photo/ JJ Tanabe

2007年09月23日

がんばる演出に思わず苦笑

今週は米PGAツアーのフォールシリーズ第1戦、ターニングストーンリゾート選手権に来ている。この大会は今年から新規に創設されたもので、大会側も運営スタッフも、すべてにおいて不慣れだ。我々メディア用の駐車場も用意されておらず、びっくり仰天。撮影用のカメラ機材やパソコン、資料などが入ったヘビーなバッグをゴロゴロ転がしながら、毎日ギャラリーの長蛇の列に混じってギャラリーバスに乗り、そのバスが到着するのが、なんとクラブハウスとは正反対の13番ホールの裏。そこから再び重たいバッグをゴロゴロしながらコースの中を歩いてクラブハウス近くのメディアセンターまで行くのは、これはホントに至難のワザ。昔、根性物語のドラマに出てきたみたいに、重たいタイヤをロープで結んで腰で引っ張りながら2キロぐらい歩かされる特訓みたいなことになる。大会側のスタッフに何度も事情を説明し、3日目になってやっと、ギャラリーバスだけは回避できる駐車場のパスをもらうことができた。

米PGAツアーは世界一のゴルフツアーというイメージかもしれないが、彼らも大会側のスタッフも、やっぱり初めてのことには滅法弱い。メディアの駐車場に限らず、いろいろな面で、「えー、こんなの見たことも聞いたこともないよ~」と思えるような不手際があったのは事実。だが、彼らの偉いところは、「他の試合では、こういうふうにやってるよ」と助言すると、ちゃんと耳を傾けるところだ。おそらく来年のこの大会は、すっかり事情が変わり、取材もしやすい環境が整ってくれるのではないかと思う。

さて、ここでメディアとしての不満をぶちまけたかったわけではない。むしろ、今日、ここで書こうと思っていたのは、初開催とはいえ、大会側がギャラリーを喜ばせるためにがんばっているなあと感心させられたことだ。

ふと見ると、クラブハウスの前や、ギャラリーの入場ゲートの前に、なんか風変わりなコスチューム姿の人々が立っている。ただ立っているわけではなく、ギャラリーの道案内をしっかり行なう立派なガイド役を務めている。「あなたの衣装は何の衣装なの?」と尋ねると、「18世紀のオネイダ部族の衣装です」。

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伝統衣装で「いらっしゃ~い」とお出迎え

大会の冠スポンサー「ターニングストーンリゾート」は、いわゆるインディアンカジノのリゾートだ。インディアン居留地は安値で買い取れること、人手もあることなどに目をつけた企業が、近年は全米各地でカジノリゾート建設に走っている。この大会の開催地ニューヨーク州ベローナもネイティブアメリカン・オネイダ部族の居留地に建設された一大カジノリゾート。そして、カジノやホテルで働く人々も、試合会場でボランティアなどを務める人々も、大半がオネイダ部族の出身者なのだ。

民族衣装に身を包んでの演出は、正直言って、それを見たからうれしくてたまらないというものではない。すごいなあと思うほどのことではないのだが、彼らが真面目に演出しようとしている姿には、どうしてだか心を打たれるものがあった。

日本の試合会場でも、こんな演出をしてみたら、どうだろう。18世紀といえば、日本は江戸時代だったわけだから、試合会場にサムライ姿の演出があってもいい。地域性も考慮し、たとえば鹿児島あたりで開催される大会には西郷隆盛なんかが登場するというのは、どうだろう。

大切なのは、中途半端な演出ではダメだということ。やるなら、真面目に真剣に。私が声をかけた18世紀のオネイダ部族のお方は、当時のインディアンを知らない私から見ても、当時のインディアンになりきっているのだなあと、わかったぐらいだから。

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(クラブハウス前には昔の大砲も展示されている)
Photo/ JJ Tanabe

2007年09月17日

商魂たくましい!?

フェデックスカップのプレーオフ最終戦、ツアー選手権が幕を閉じた。予想通り、大会を制したのもフェデックスカップタイトルを手にしたのも王者タイガー・ウッズ。やっぱりなあという感じだが、そんな中で、ちょっと驚かされたのは、フェデックスチャンピオンに贈られたトロフィーにまつわる秘話だ。

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(フェデックスカップ・トロフィー)

このトロフィーは、あの有名なティファニー製。ニュージャージー州にある同社のクラフトショップで6ヶ月もの歳月をかけて作られたステアリングシルバー製だ。米PGAツアーのトロフィー製作がティファニー社に発注されたのは史上初めてのことだが、驚いたのは、その喜ばしい“受注”を、ちゃんと商業上のプロモーション活動に生かしているティファニー社の商魂たくましさである。

まず、プレーオフ4試合が開催された全米4箇所、つまりニューヨーク、ボストン、シカゴ、アトランタにあるティファニーのストアには、プレーオフ期間中、このトロフィーのレプリカがディスプレイされていた。ツアー選手権会場に最も近いアトランタのティファニーストアでは、大会ウィークの火曜日から土曜日までスペシャルイベントも開かれ、土曜日の朝のイベント後、本物のトロフィーが大会会場のイーストレイクへ運び込まれた。

ティファニーといえば、オープンハートとか、3連リングとか、女の子なら一度は手にしてみたいと思うような有名な品々が定番となっており、いまさらゴルフにちなんでイベントを開かなくても十分な人気を誇っているように思える。が、逆に言えば、米PGAツアーが新規に導入したフェデックスカップと初期段階から歩調を合わせながら、ティファニーとしてもゴルフという新たな分野へ手を広げていくビッグチャンスとも言えそうだ。もちろん、ティファニーがこんなプロモーションを行なうためには米PGAツアー側の協力がなければ難しい。が、ツアー側はちゃんと企業の“事情”を理解し、手を貸している。

こんな協力関係が成り立っているからこそ、チャンピオンに10ミリオンもボーナスが払える構造が出来上がっているのだろう。いやいや、うまくできたお金の流れに、脱帽!

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(第1回フェデックスカップ・ポイントレースの王者はタイガー・ウッズに決定)
Photo/ JJ TanabeRolling Eyes

2007年09月15日

王者でも「ラッキー!」

我々アマチュアなら、打った途端、ああ入らないと思ったパットがコロンとカップに沈んだとき、「オー、ラッキー!!」なんて言葉を口にすることがしばしばあるけれど、王者タイガー・ウッズでも、同じように「ラッキー!!」と感じることがあるらしい。というより、そんなことは、米PGAツアーの大会では起こるべきではなく、とりわけ今週のツアー選手権のように10ミリオンのタイトルがかかったビッグ大会では起こるべきではないのだが、今週のタイガーは昨日も今日もミスしたと思ったパットがなぜかカップに沈んで、「オー、ラッキー!!」と感じ続けている。

「オーガスタのような最高のグリーンではグッドパットだけが入り、バッドパットは絶対にカップに沈まない。でも、今週の(イーストレイクの)ようなバッドグリーンでは、きっちり狙ったグッドパットはもちろん入り、ダメだと思ったバッドパットもラッキーで入るんだ」

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2日目のタイガーは4番から8番まで5連続バーディの末、9番パー5では20メートルを沈めてイーグル。6ホールで7つスコアを伸ばした自らの快進撃を振り返り、「ラッキーなことが起こったんだ」と説明した。

とはいえ、2日目を終えてタイガーが2位に3打差で単独首位に立っているのは単なるラッキーであるはずはない。タイガーが言ったように「グッドパットとバッドパットの両方でスコアを伸ばせるのがラッキー」なのだとしたら、そのラッキー現象はタイガーのみならず誰のパットにも起こりえるはず。しかし、ラッキー現象をモノにできたのはタイガーだけ。「いつもはカップに寄せることを考えるけど、ここでは直接カップを狙ってアグレッシブにパットする。心構えも攻め方もちょいと変えているんだよ」。そうやって自力でラックを呼び寄せることができるからこそ、タイガーは王者なのだ。

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入れた?入っちゃった?
Photo/JJ Tanabe

2007年09月12日

すごい言い訳

今週は米PGAツアーのプレーオフ最終戦、ツアー選手権が開催される。だが、会場となるジョージア州アトランタのイーストレイクCCは、今夏の猛暑と日照りでベント芝のグリーンが大打撃を受け、芝が剥げ上がっている。そのため、月曜日は全グリーンで練習禁止。今日、火曜日は3つのグリーンで練習禁止。水曜日のプロアマは中止。ギャラリーは月火水の3日間、シャットアウト。

散々な状況となったツアー選手権だが、天候は誰にもコントロールできないことゆえ、仕方ないともいえる。だが、コンディションがここまで悪いということは大会前からすでにわかっていたことゆえ、開催コースを急遽変更するなどの処置が取れなかったのかとツアー側を批判する声もメディアの間から聞こえてくる。

選手はというと、表立ってツアーを批判することはできない立場ゆえ、「まだグリーンをちゃんと見てないから何ともコメントしようがない」(ザック・ジョンソン)とか、「みんな同じ条件だから」(スティーブ・ストリッカー)という具合に当たり障りない言葉しか口にしてくれない。

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(グリーン面の剥げた部分が目立つ)

だが、何にびっくりしたかと言えば、それはコースコンディションに対して最大の責任を負うべきスーパーインテンデントのこんな言葉だ。「200エーカー(コース面積)のうちの3.5エーカー(最悪の状態にある3つのグリーンの総合面積)だけを取り沙汰している(なんて、おかしな話だ)。コース全体のうちの95%は完璧な状態なんだ。それなのに、みんな(3つの)グリーンのことばかりを、あれやこれやと言っている」

それはないだろう、スーパーインテンデントさん。その3つのグリーンで、1メートルや50センチのショートパットが入らなくなる可能性だってあるのだ。そのパットが勝利の行方を左右するかもしれないし、10ミリオンの行方を変えるかもしれないのだ。パット・イズ・マネー。パットがスコアを決め、順位を動かし、勝利とフェデックスカップタイトルを動かすのだ。グリーンはコースの命ではないのか。それを、「たった3つのグリーンのことばかり言ってる」などと、どうして言い放てるのか。あまりにも無責任な発言に首を傾げてしまった。とんでもないエクスキューズじゃあ、ありませんか?

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(グリーン上の通気を良くし、芝の育成を促進するための大型換気扇)
Photo/ JJ Tanabe

2007年09月08日

ミケルソン一家は衣装持参?

今週は米PGAツアーのプレーオフ第3戦が行なわれている。先週のドイツバンク選手権で優勝したフィル・ミケルソンの姿はないが、ミケルソン優勝となると、いつも気になって仕方がないのが、彼の家族の派手な衣装だ。

愛妻エイミーと3人の子供たちは、パパが優勝しそうになると必ず舞台衣装のようなヒラヒラの服に身を包んで18番グリーン脇に現れる。そして、いざパパが優勝すると、妻のエイミーちゃんと子供たちは、まるでドラマか映画のワンシーンのように、「パパ~!」と駆け寄り、キスをしたり、抱っこをねだったり。もしかして、そのワンシーン、常々自宅で予行練習でもしているの?と思うぐらい、誰もがどう振る舞うかを心得ており、カメラマンがレンズを向けると、幼い子供たちはちゃんとポーズまで取る。それが、なんとも面白いのだ。

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だが、一番不思議なのは、やっぱり妻と子供たちのあの衣装だ。最終日の途中までは、エイミーは大抵、ロープ外を歩きながらミケルソンのプレーを観戦している。しかし、ほぼ間違いなくミケルソンが優勝するとわかったころになると、彼女はどこかへ急いで消え、子供たちとともに異なる出で立ちになって再び登場するのである。

つまり、ウイニングシーンに登場するための特別な衣装があるということ。しかも、たとえ最終日最終組でミケルソンが出るとしても、本当に優勝できるかどうかはわからないわけだし、突然、どんでん返しで優勝しちゃうこともあるわけだが、それでもエイミーと子供たちは、ヒラヒラ衣装で18番グリーンに現れる。となると、事前準備されているとしか思えない。いざというときのための「優勝シーン用の衣装」が、きっとエイミーちゃんのために用意された特別な場所かどこかに隠されているのだろう。

そんな愛妻の陰の努力も、ときには空しい結果に終わることがある。去年の全米オープン最終日、ミケルソンがちょうど18番ティにさしかかるころ、エイミーと子供たちはヒラヒラ衣装で18番グリーンに登場した。そして、ミケルソンがティショットを大きく左に曲げ、大トラブルに陥ったそのとき、そうとは知らないエイミーはヒラヒラ衣装のまま飛び跳ねながら、夫のウイニングウォークを待ちわびていた。そして、ミケルソンが惨敗し、18番グリーン上で崩れ落ちた後、ヒラヒラ衣装のまま夫に寄り添い、クラブハウスへと消えていった。あのときほど、彼女のヒラヒラ衣装が皮肉に見えたことはない。

だが、先週の優勝時は、今年の5月のザ・プレーヤーズ以来の勝利を特別衣装で祝うことができた。子供たちも、得意の演出(?)でパパの優勝を祝っていた。いやいや、こんなに夫孝行、親孝行の家族がいたら、ミケルソンが「僕は家族が第一」と言い続けるのも無理はない?しかし、そんなド派手なミケルソン一家だからこそ、ツアー仲間の視線は一層冷たくなっていくのだろう。世の中、すべてがうまくいくなんてことは、やっぱりなさそうだ。

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Photo/ JJ Tanabe

2007年09月04日

“らしさ”の主張

米PGAツアーのプレーオフ第2戦、ドイツバンク選手権はフィル・ミケルソンの優勝で幕を閉じた。タイガー・ウッズを押さえ込んでの優勝はミケルソンにとって大きな自信になったはず。昨年の全米オープンの土壇場で崩れたあのショックから、なかなか立ち直れないと言われ続けていたミケルソン。今年のメジャーはすべて勝ちそこない、おまけに雪辱をかけた今年の全米オープンでは両手首を痛めて実力発揮にいたらず、散々な結果に終わってしまっただけに、このプレーオフでの勝利は、彼の本格的なメジャー優勝狙いへのビッグステップになるはずだ。

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ところで、大会中、不思議な人物の姿があった。パットの名手ブラッド・ファクソンだ。大会の舞台となったTPCボストンは、元々はアーノルド・パーマーの設計だが、昨年からはファクソンが監修を務めての大改修が行なわれ、装い新たになった。ファクソン自身はプレーオフ進出にはいたらなかったのだが、コース改修の監修者として会場にやってきたのだそうだ。

で、コースがどう変わったかというと、まずコース全長が7400Yから7200Yへ短縮された。近年、全長が伸ばされるばかりのアメリカで、短縮されたというのはきわめて珍しい。バンカーの数も115個から52個へと減らされ、ビッググリーンが増える中で、ここはグリーンが小さく改造された。すべてが時代の流れに逆行する改造。しかし、そこが何ともファクソンらしい。

以前、ファクソンはこう言っていた。「ゴルフはパワーのみならずワザの勝負であるべき」。つまり、飛距離ばかりで勝負するようになりつつある近年のゴルフへの反発や抗議の意味を含め、ファクソン自身のゴルフに対する概念を主張する形で、彼はそんな逆行改造を行なったのである。いわば、新しいTPCボストンは、ファクソンらしさの主張なのだ。

偉いなと思うのは、そんなファクソンの改造方針を受け入れ、距離が短くなったコースを今季の「目玉」であるプレーオフシリーズの会場とした米PGAツアーの懐の深さだ。ただただ長いコースを選ぶのではなく、そういうコースもあっていいのではないかという考え方を尊重するからこそ、近代型から旧来型へ近づく方向で改造されたコースをもプレーオフ開催コースとして認めているのだ。

ところで、ファクソンの出で立ちが何とも痛々しい。右足にギブスをはめ、松葉杖。以前から故障で苦しんでいた右膝の手術をしたのだという。プロゴルファーに故障はつきもの。どこかで一度、オーバーホールが必要になることもある。ずっと手術のタイミングを探っていたファクソンは、コース改造の観衆で“らしさ”を主張した後に、自らの体の“改造”も図り、来季からは再びパットの名手らしさを生かして戦う道を今、選んだ。やっぱり“らしさ”というものは、その人の土台となる肉体がしっかりしていなければ発揮できない。来年は、自分らしい元気な体で得意なパットを次々に沈め、自らの主張を込めたTPCボストンで戦ってほしいものだ。

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Photo/ JJ Tanabe

2007年08月31日

問題児が生きる場所

まだ日本に滞在中。毎日、テレビのニュースでは相撲の朝青龍問題が報道されている。角界の問題児扱いで、引退勧告云々とも言われているが、このニュースを見るにつけ、私の頭に浮かぶのは米ゴルフ界の問題児ジョン・デーリーだ。

かつて、デーリーはアルコール依存症、暴力沙汰、ギャンブルによる借金、女性遍歴と問題を繰り返した。そのとき、米PGAツアーはどう対応したのかと言えば、一度はツアーに出られないという処分、つまり謹慎処分を下した。それに対し、デーリーは、アルコール依存症から立ち直るための施設に入り、借金の肩代わりを申し出たキャロウエイと契約し、当分の間はキャロウエイの指示で、禁酒したり素行を良くしようと努力したり。そうやってツアー復帰も許された。つまり、本人に改心の意志が見られたため、ツアーに戻ることができたのだ。

朝青龍の場合、相撲協会の対応は、米PGAツアーの対応と同様、2場所出場停止という「謹慎処分」。それに対し、本人の改心の意思がいまだに見られないところが、朝青龍とデーリーの違いだ。

で、問題なのは、今後であろう。デーリーに救いの手を差し伸べたキャロウエイのように、今後、誰かが朝青龍の救世主になりえるのだろうか?そんなことができる立場の人や団体というものが存在しえるのだろうか?相撲の世界にうとい私には、そのあたりの詳しい事情がよくわからないのだが、ここまで問題が大きくなってこじれてしまったとなると、もはや朝青龍と部屋、相撲協会という3者の間を取り持つ然るべき存在なくして解決は難しいと思う。

しかし、そういう救世主が現れたとしても、それが朝青龍にとって幸せなことなのかどうか。というのも、デーリーは禁酒して、好きなギャンブルも辞めさせられて、良い子を演じているうちに精神面が辛くなり、成績はガタ落ちになった。その後、キャロウエイもついに見放し、デーリーは自分流の生活スタイルに戻ったのだが、好きなお酒を好きに飲み、カジノへ堂々と通うようになってからのほうが、デーリーらしいゴルフができるようになった。そして、そんなデーリーを結局はツアーも受け入れ、ファンも「荒くれジョンだからこそ好き」と言っている。ゴルフ界きっての問題児は、最終的には問題児だからこそ面白いという話で落ち着いたのだ。

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Photo/ JJ Tanabe

仮に朝青龍が救世主の導きで良い子になり、相撲界に戻ってきたとしよう。しばらくは良い子を演じていても、そのうちに素に戻ることは目に見えている。そのとき、周囲はどうするだろう。米PGAツアーのように、「それでも人気があるから」「それでも強いから」ということで受け入れるだろうか。ファンはどうだろうか。

デーリーは米ゴルフ界でデーリーらしく生きていくことができるようになったけれど、日米の土壌の違い、あるいはゴルフ界と相撲界という土壌の違いを考えると、朝青龍が朝青龍らしく生きるためには母国モンゴルで生きるほうが幸せなのかもしれないなあ……そんなことを考えながらニュースを見ていると、朝青龍がジョン・デーリーに見えてきてしまうから不思議だ。

2007年08月29日

ラジオは楽しい!

急遽、一時帰国した。今回は家族の体調がちょっと優れないので、そのための帰国。だが、それでも仕事は休みなく動いているのは、大変だけど、ありがたいことだ。

その一つ、ここ最近、名古屋のFMラジオ局、ZIP-FMに隔週月曜にレギュラー出演させてもらっているのだが、ちょうどその出番の日が帰国と重なったため、せっかくだからということで名古屋まで行き、スタジオで生出演という体験をした。

TOYOTAが提供しているTOTOTA WORLD WIDERSというコーナー。パーソナリティの落合健太郎さんと向かい合い、マイクの前でお話するのは、楽しい体験だった。普段は国際電話でつないで出演しているのだが、スタジオ生となると、やっぱりちょっと勝手が違う。だが、実を言えば私は大学時代、アナウンス研究会というサークルにも籍を置いていたせいか、人前でしゃべることは苦にならないどころか好きなようだ。あらかじめ、しゃべろうと思っていたことをメモ書きしたりもしておいたけれど、いざ会話が始まると、メモとはまるで異なる方向へ行ってしまい、それでも話したいことが不思議と頭に浮かんできて、ペラペラとよくしゃべってしまう。いつも書くばかりの私にとって、しゃべるということは、新鮮なんだと思う。

落合さんはじめラジオ局の方々は、ゴルフの専門ではもちろんないわけだが、事前準備は手を抜かないし、とりわけ落合さんはゴルフをするのが大好きということで、話は弾む。

そんな中で、ふと思った。私はゴルフジャーナリストという肩書きを世の中からいただいており、専門的な視点から専門的なことを書いたりしゃべったりしてナンボというつもりで仕事をしているが、私がやるべき仕事のベースは、ただただゴルフが好きだという人々に「へーっ!」「ふーん!」「ほーっ!」と言ってもらえる情報を提供することなのだ。小難しいデータやら分析やらも時には必要だが、一番大事なのは、とにかく頷いたりびっくりしたり、何かしら心を動かしてもらうこと。心に留めてもらうこと。で、そのために重要なのは、やっぱりユニークな視点なのだと思う。

落合さんに「これからのゴルフの見どころ」を尋ねられたとき、私は「人に注目したい」と答えた。「人」とは「人柄」「性格」「個性」。つまりはゴルファーの人となりだ。「我々がゴルフをするときも、一緒に回ると相手の人柄や人間性ってわかりますよね。人間性がゴルフに反映されるのは、アマもプロも同じ。全英チャンプのハリントンは、開幕前に『ナイスガイが優勝する』と言っていて自分が勝っちゃったわけですが、ナイスガイが勝つというのは、かなり当たっている。途中で試合を投げちゃう、諦めちゃう、自暴自棄になる、なんていうのも性格の表われで、そういうゴルファーはやっぱり勝てない。だから、いい人が勝つ、いい人が強い、というのは当たっているんです。タイガー、オチョアの強さだって、彼らの人間性の表れでしょうね。だから、人に注目すると、誰がなぜ強いかが自ずとわかってきます」。

落合さんが「オー、なるほど。面白いなあ」と唸った。そのリアクションが私にはうれしかった。

ラジオという媒体は、近年、ウエブに押されているとか、時代遅れだとか、そういう説もあるが、米PGAツアーに一昨年あたりから登場したXMラジオは、むしろ今、上り調子だ。ハンディなラジオにはインターネット機能の一部が搭載されているため、コース上でも全米中のどこにいても、スコアや順位はすぐにわかる。そこに、オンサイトからの実況中継を音声で加えるという手法で展開しており、利用者はどんどん増えているそうだ。そのXMラジオも登場した当初は片隅でひっそりとやっていたが、今年あたりからはきっちり実況ブースも設営されるようになり、以前は許可されなかったカートの利用も許され、実況役の解説者の人数も増えている。人々から指示を得れば、時代や流行とは無関係に、その媒体は立派な人気媒体となりえるという証拠だ。

ラジオは速報性という面ではテレビと同じ効力があるわけだし、テレビよりハンディだし、読むという作業を要する紙媒体とは違う利便性がある。いや~、ラジオって、なかなかの媒体だ。

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(写真提供:ZIP-FMさま https://zip-fm.co.jp/program/morning_jack/)

2007年08月25日

余りモノ?

チャーリー・ホフマンという選手をご存知だろうか?ちょっと長髪のユニークな選手。今、プレーオフシリーズ第1戦にも出場している。

そのホフマンが緑色の変なグローブをしている。どうして緑??「チャーリーのために契約会社がマスターズ仕様の緑色のグローブを大量に用意したんだけど、結局、今年のマスターズに出られず、余っちゃったから、今になって使っているんだよ」という“余りモノ説”が耳に入った。

えーっ??米PGAツアー選手ともあろうものが、よりによって大切なグローブが余りモノ??

怪訝に思って本人を直撃。すると、こんな答え。
「いやいや、余りモノじゃないよ。これは、リサイクル会社が緑や環境を大切にしようということで、そのスローガンをアピールするために作ったんだ。だから、緑色なんだ」

やっぱりねえ。いくらなんでも余りモノはないですよね~。それにしても、噂っていい加減だ。それも、余りモノを今頃使っているんだ、なんて……。
真相というものは、確かめるまでわからないものだと、つくづく思った。

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Phpto/JJ Tanabe

2007年08月22日

ちょっぴり複雑。丸山との再会。

今週から米PGAツアーのプレーオフが始まる。第1戦となるバークレーズクラシックは私の自宅があるNYのマンハッタンから車で小1時間のウエストチェスターCCが会場だ。

今日、火曜日は練習日。朝から大雨だったため、コースに出て練習している選手はほとんどいないだろうと思ったが、ゴルフ雑誌用の取材で、あるオーストラリア人選手の単独インタビューを行なうアポが入っていたため、とにもかくにも朝から会場へ出かけていった。ところが、その選手探しが難航。天気が良くてみんなが練習ラウンドをしていれば、特定の選手を探し出すのはそんなに難しくないのだが、雨となると、ラウンドせずに選手登録だけを済ませてホテルへ帰ってしまう選手も多いし、他の選手やキャディから目撃情報を集めることも難しくなる。クラブハウスの中にこもってしまう場合もある。

うーん、どこへ行ったんだろう……クラブハウスの中でロッカールーム近辺や選手用のダイニングエリア近辺を、うろうろしながら1時間ぐらい探していたときのこと。そのクラブハウスへ入ってきたのは、丸山茂樹だった。

今季の丸山は春先から腰や膝の故障で調子が出ず、つい最近までは来年のシード獲得がほとんど見えない状態だった。「プレーオフまでにシードが決まらなかったら、もう日本へ帰るらしい」という情報も耳に入っていた。しかし、なかなか丸山に会ってその意志を確かめる機会がなかった。というのも、今季の丸山はメジャーなどのビッグ大会への出場資格もなかったため、私が取材に行った試合に丸山が出ていないという状況が続いていたのだ。

だが、丸山は先週のウインダム選手権で7位タイに食い込み、ポイントランクを一気に140位まで上げて、プレーオフ進出資格(144位まで)をぎりぎりで獲得。だから今週、会場へやってきたのである。私はアポのある選手の捜索をしばしやめ、丸山一行の近くへ行ってみた。そのとき丸山本人はたまたまいなかったのだが、奥さんと息子、そして元キャディの杉ちゃんと現キャディのカツキくん。

杉ちゃんが「元キャディ」という過去形になり、その杉ちゃんから「現キャディ」のカツキくんを紹介されたり。丸山の成績が落ち込んだり伸びなかったり急浮上したりした背景には、それ以上にいろんな出来事もあったようだ。そんなこんなをひっくるめ、久々に顔を合わせたからだろう。どこかから戻ってきた丸山は私とカメラマンのJJ田辺の顔を見るなり、一瞬、ためらったような複雑な表情になった。「どうも。こんちわ」と小声で言ってくれたと思うが、複雑な表情は複雑な心境をそのまま映し出したものだったと思う。

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Photo/ JJ Tanabe

で、そうなるとこちらも何て声をかけたらいいのか、かなり複雑だ。どうでもいい相手なら、お構いなしに取材顔で何だって聞けるものだが、長年、アメリカツアーでずっと顔を合わせ、いいときも悪いときも、少なからず一緒に時を過ごしてきた間柄だ。選手とメディアという関係以上に、思うものがある。だから、相手の複雑な心境が伝わってくると、こちらも複雑な心境になってしまって、いわゆる「取材」ができない。

そんなときは、やっぱりそっとしておいてあげるほうがいいと思い、「じゃ、また」とだけ言って、再びアポのある選手の捜索活動を再開した。丸山もそのときは、こっちを見ながら「また」と返答してくれた。

丸山は今、ポイントランクも賞金ランクも140位。ちょっとがんばれば、来季シードは取れるはず。プレーオフ4試合を最後まで戦うのは、現実的には難しいと思うが、プレーオフ後のフォールシリーズでがんばればシードはきっと取れるというところまで、這い上がってきたのだ。日本ツアーはすでに丸山受け入れ態勢を整え始めているというう話も海の向こうから聞こえてきているが、丸山にはなんとか来年もアメリカツアーに留まってがんばってほしい。なぜなら、彼には「アメリカで10年がんばる」という目標があるから。その目標達成を待たずして日本に戻ってしまったら、それはあまりにも残念だ。「僕は00年からアメリカだから厳密に言えば10年は09年で達成できるけど、まあ、ざっくり2010年までがんばるってことかな」と丸山が言ったとき、私は「そうですよねえ。じゃあ、2010年まで一緒にアメリカでがんばりましょう」と私も言った。だから、そのお互いの言葉を達成できるようお互いにがんばりたいと思うのだ。

だから、マルちゃん、がんばれ!一生懸命にがんばっている姿は必ず誰かが見ているから!その姿に励まされ、勇気づけられる人もいるのだから!そして、アナタ自身の目標と私の目標、達成しようじゃありませんか、ご一緒に!

2007年08月18日

もう1つの珍事

全米プロで起こったもう1つの珍事がある。珍事というより、世の中の皮肉というか、やっぱりなあとでもいうか……。

コトが起こったのは3日目。74で回り、通算9オーバーとなったはずのセルヒオ・ガルシアが「DQした(失格になった)」という一報がメディアセンターに流れた。周囲の米メディアから、まず聞こえてきたのは、こんな声。「やっぱりなあ。全英で優勝争いしたのに、今回このスコアじゃあ、暑い中、4日間プレーする気が失せたんだろうなあ」。これは明らかにガルシアがわざと失格になったことを意味している。さすがに、それはないだろうと思ったが、米メディアの一部には、ガルシアならやりかねないという見方があった。

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さて、コトの真相はというと、そうではなかった。この日、ガルシアはブー・ウィークリーと同組で回っており、ガルシアのマーカーはウィークリーだった。そして、ウィークリーはこの日のベストスコアである65をマークする快進撃で一気に6位タイへ浮上。一方のガルシアは17番、18番をどちらもボギーとして、フラストレーションのたまるフィニッシュだった。

アテストテントの中。ウィークリーはガルシアの17番のスコアを「5」と書くべきなのに間違えて「4」と書いてしまった。そのスコアカードを渡されたガルシアはチェックもせずにサインし、提出。そそくさとクラブハウスへ消えてしまった。残ったウィークリーがもう1度チェックしたとき、自分が書いた間違いに気づき、走ってガルシアを追いかけた。やっと見つけてガルシアをアテストテントへ呼び戻したのだが、時すでに遅し。一旦、提出したものは提出したものということになり、ガルシアは過少申告で失格となった。

ウィークリーは「間違って書いてしまったのは僕の責任。申し訳ないことをしてしまった。でも、チェックせずにサインして提出したのはセルヒオの責任だ」。

そしてガルシアは「メジャーでは4日間プレーしたいよ。でも僕は数週間前(全英)のときのようなポジションにいるのが好きなんだ。そうじゃないなら、これは大した問題じゃない」

うーん。どう受け取ったらいいのだろうか。わざと失格になったわけじゃないのに、一部のメディアからわざとだと見なされたガルシアは気の毒だ。しかし、そう見なされるだけの言動が過去にあったのは事実。そして、ウィークリーの言葉は、すべてなるほどと頷ける。しかし、ガルシアの立場に立ってみれば、65の好スコアを出して有頂天だったウィークリーのスコア誤記は本来なら「冗談じゃないぜ」と言いたくなるような出来事ではある。しかし、ガルシアは怒ることもなく、どうせ優勝争いするようなポジションじゃないんだから大した問題じゃないぜと片付けてしまった……こんな結論を出されると、すべてがどうでもいいやって話になるではないか。

結局、この出来事は、取材する以前から先入観を持ったメディア、スコアを誤記したウィークリー、チェックしなかったガルシア、いずれにも非がある。しかし、一番の渦中の人であるガルシアが「大した問題じゃない」と片付けてしまったことで、最終的には、誰にとっても「騒いだだけ無駄だった」という話になってしまった気がする。

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ブー・ウィークリー
Photo/ JJ Tanabe

2007年08月13日

珍事が起こった!

タイガー・ウッズがメジャー13勝目を挙げて幕を閉じた全米プロ。しかし、その陰では、ルールにまつわる珍事も起こっていた。珍事に巻き込まれたのはタイガーではなく、コーリー・ペイビンとティム・ヘロンだ。

6番パー3。ペイビンのティショットはグリーン左のバンカーへ。ペイビンが打ったバンカーショットはグリーンに乗りかけたが、斜面を登りきらずコロコロと転がり戻った。ああ、このまま転がっていったらバンカーの横に置いてあるバンカーレイキに当たってしまう……そのとき、ペイビンのキャディがレイキを拾い上げ、ボールはそのまま転がって池へ落ちた。

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(サザンヒルズCC、6番ホールのクリーク)
Photo/JJ Tanabe

その直後、第1打を池ポチャしたヘロンがドロップエリアから第3打を打ち、グリーン奥へ。そこからの第4打がグリーンを越えて転がり、ペイビンのキャディが拾い上げてから再び地面に置いたバンカーレイキに当たって止まった。

私は片山晋呉の取材を終え、メディアセンターに戻ってこの様子をモニターで見ていた。「あれっ?ペイビンのキャディはなぜレイキを拾い上げたのだろう?そのまま置いておけばレイキでボールが止まって池に落ちずにすんだのに……」と思い、同時に「あの場面でレイキを動かしたらルール違反じゃないのかな」とも思った。周囲のアメリカ人記者たちも口々に同じようなことを言っていたが、誰一人定かではない。

結局、ルール委員会が作成した書面で、すべてが明らかになった。アテンドしているピンフラッグとプレーヤーの用具以外は、ボールが動いている最中にボールの動きに影響を与える可能性のあるものを動かしてはならないというルールがあり、ペイビンのキャディがレイキを拾い上げたことは、ボールを池に落とすという悪い結果を生んだにも関わらずルール違反と判明。おかげでペイビンは2打罰を食らい、池ポチャでさらに1打罰。このパー3で「8」を叩いた。

ヘロンのほうは、ルールにのっとり、レイキをそっと取り除いた。するとボールは結局転がって池に落ちたのだが、この場合、元の場所にリプレイスできる。ヘロンはリプレイスしたが、それでもボールはどうしても転がってしまったため、一番近い場所(ニアレストポイント)にリプレイスし、そこから第5打のチップでグリーンに乗せて2パット。スコアは「7」となった。

それにしても、ペイビンのキャディはなぜレイキを拾い上げたのだろう。おそらくは「ボールがレイキに当たったらペナルティだ」と勘違いし、咄嗟にレイキを拾い上げたのだと思う。ペイビンのためを思っての行動だったには違いないが、結果的にはボスに大損害を与えることになった。ペイビンはルールを正しく知っていたのかもしれないが、瞬時の出来事ゆえ、キャディを制止できなかったのだろう。残念ながら、そのあたりのことは今日はタイガーやエルスらの動きを追うのに精一杯で取材できなかった。今度会ったら聞いてみようと思う。

いやいや、ルールは複雑だし、適用の仕方も結構難しい。だが、選手とキャディは、やっぱりルールを正しく理解していないと大変な不幸を招く。そして、私を含めた我々メディアも、もう少しルールに精通していないと情けない……。いい勉強になりました。

2007年08月11日

「流れ」は凄いぞ!

たとえば、あんまり乗り気ではない何かの集まりに出席して、みんなが二次会に行くから「流れ」でそのまま自分も出席しちゃった……なんてことがある。その場合の「流れ」は、言い換えれば「惰性」に過ぎないわけだが、ゴルフにおける「流れ」は惰性では起こりえないし、ものすごい力を持っている。全米プロ2日目のラウンドを眺めながら、そんなことを痛感させられた。

2日目のタイガーチャージは猛烈だった。バーディ発進し、次々にバーディを重ねて、7アンダー63。あと1つバーディを奪って62をマークできていたら、メジャー史上におけるベストスコア記録の更新だった。それでも63はメジャー史上24人目のタイ記録。タイガー自身は97年全英オープンの64がメジャーにおける自己ベストだったが、その記録は1打更新できたわけだ。

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そんな猛チャージのターニングポイントは12番で沈めた10メートルの長いパーセーブパットだったとタイガーは言う。「あれが大きかった」。その言葉通り、直後の13番から3連続バーディ。16番からの上がり3ホールも、すべてバーディチャンスを逃してのパーゆえ、とにかく絶好調の「流れ」は12番のロングパットを沈めた時点から作られたのである。

ひとたび流れに乗ると、難しいものも難しくなくなり、自ずと数字も良くなる。それは、2日目の片山晋呉のチャージにも当てはまった。8番でやはり10メートルのロングパットを沈め、バーディ。それが片山のターニングポイントとなり、その後は前日とは打って変わってショットも安定。デコボコのグリーンもものともせず、パットを沈めまくって、終盤も3つバーディを重ねた。終わってみれば、前日の103位から一気に30位へ浮上して楽々予選通過となった。

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Photo/JJ Tanabe

惰性ではない「流れ」の力は凄い。勢いよく流れる水が決して逆方向へは流れないように、流れに乗ったゴルフはいい方ばかりへ流れていく。「流される」のではなく自力で「いい流れ」を作る。そこには必ずターニングポイントがある。これは、人生にも当てはまるような気がする。

悪いことばかりが起こるときは次々と悪いことが起こるけれど、ターニングポイントを越えると、あとはいい方へいい方へ。そんなことは、長い人生の中でときどきある。

問題は、いつどうやってターニングポイントを作ることができるかどうかだが、それはおそらく努力と気持ちの持ちよう以外に方法はないのだろう。タイガーも片山も努力を重ねてきたからこそ、ターニングポイントを得ることができた。そして、タイガーは「優勝圏内に戻そう」と前を向き、片山は「ダメならダメで帰るだけの話」といい意味で開き直ったことで、ターニングポイントを得た。人生においても、きっと同じなのだろう。いやいや、ゴルフを見ていると、本当に人生勉強になる。いい流れというものは、惰性的な流れからは生まれないのである。

2007年08月09日

ガルシアvsオチョア

全英リコー女子オープンからNYへ戻る飛行機の中で、英国の新聞『Daily Mail』を読んだ。英国メディアのオチョア優勝に対する見方を確かめたかったからなのだが、これが実に興味深い内容で、思わず引き込まれた。

見出しは「Role model. Ochoa sets an example to Sergio」。

どういう内容かというと、全英オープンではセルヒオ・ガルシアが3日間首位を守り通したのに最終日に敗れた。一方、全英女子オープンではロレーナ・オチョアが3日間首位を守り通した上で最終日も逃げ切り、勝利した。2人とも同年代で、2人ともラテンの血を引く。2人ともツアーにおける最高のショットメーカーであり、もっと早くにメジャー優勝をしていてもおかしくない存在だ。その2人に、なぜ一方は敗北し、一方は勝利するという大きな差が出たのかといえば、オチョアは常にファンにもメディアにもきちんとした態度で接っし、選手たちのロールモデルとなっている。だが、ガルシアはといえば、悪態ばかりつき、まるでいまだに15歳の子供のようだ。それを思えば、オチョアが勝ってガルシアが負けたことは、驚きには値しない……といった内容。

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この記事の内容そのものには驚かないが、スペイン人のガルシアは欧州メディアからは応援されている存在なのかと思っていたので、英国メディアがこれほどガルシアを酷評していることに驚いた。それにしても、ガルシアとオチョア、どちらも首位を守り通しての最終日という同じパターンの末に運命が分かれたところが、彼らの運命。そうでなければ、ガルシアだって、これほどオチョアと比較された上で酷評されずにすんだはずなのに……。

私自身、米メディア、この英国メディアらと同じ意見で、ガルシアは根本的に考え方や性格、態度を変えない限り、いや少なくとも変えようと努力しない限り、プロゴルファーとしてのビッグサクセスは難しいと感じている。だが、ここまで世界的に酷評され、しかも自分ではなく女子のオチョアの優勝報道に際してまで酷評されているガルシアが、少しばかりかわいそうになってきた。

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Photo/ JJ Tanabe

今週は全米プロ。今年のメジャーは男女とも、すべて優勝者がメジャー初優勝者という流れのため、今回の全米プロ優勝候補は、初優勝者となる若手のアダム・スコット、ルーク・ドナルド、そしてガルシアらが注目されている。さらに、雪辱戦という意味では、手首の故障で全米オープンで振るわず、全英では予選落ちを喫したフィル・ミケルソン、そして全英雪辱を狙うガルシア。つまり、ガルシアは二重の意味合いで優勝候補にその名が挙がっている。

さてさて、どうなるか。とりあえずは、ガルシアの態度や考え方に注目が集まりそうだ。

2007年08月06日

オチョア優勝は神様のご褒美

全英リコー女子オープンが終わった。今、最終日の夜。セントアンドリュースのメディアセンターの中で、まだ原稿を書いているのは、わずか3人。急ぎの原稿をなんとか仕上げ、これを書いている。

ロレーナ・オチョアが悲願のメジャータイトル獲得。優勝会見が終わり、メディアセンター内でウロウロしていたオチョアに「おめでとう!」と声をかけた。当然、「ありがとう!やっと勝てて、うれしい!」といったリアクションがあると思っていたが、オチョアは意外にも「Oh! How are you? Everything is OK?」と、まるで日ごろの挨拶のように普通の顔と普通の言葉で返してきた。

これが、オチョアだ。メジャーチャンプに輝いても、決して奢ることはない。偉そうになることはない。いつも通りの親しみやすいオチョア。さすがだ。

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そんなオチョアは母国メキシコの人々の生きる望みでもある。国境を越えてアメリカにやってきて貧しい生活を強いられているラテン系の人々を彼女はいつも励ましている。だからこそ、熱狂的な人気を得ている。そしてオチョア自身は、常に謙虚で優しい。さらに彼女は努力家だ。この全英へ向けて3ヶ月も4ヶ月も前から数種類の特殊ショットを練習し、備えてきた。ノースピンで球を高く上げ上から落として止めるショットはその代表例。あんなに高い球でセントアンドリュースを攻めたのはオチョアだけだ。

そんな努力が報われた。そんなオチョアだからこそ、セントアンドリュースの神様がご褒美をくれた。オチョアの優勝を振り返りながら、神様はやっぱり公平な判断を下すのだなと、つくづく思う。

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Photo/JJ Tanabe

2007年08月03日

セントアンドリュースは難しいの?

全英リコー女子オープン開幕前から、ずっと抱いていた疑問がある。果たして、セントアンドリュースは難しいコースなのか、それとも易しいのか、という疑問である。

何言ってんの?と思う方もいるだろうけど、男子の全英オープンがこの地で開催されると、必ずスコアは伸びるし、男子選手たちは口をそろえて「コース自体は簡単」だと言う。気まぐれな海風が強まれば、そりゃ難しくなるが、強風で難しくなるのはセントアンドリュースに限らずどのコースでもいえること。となると、やっぱりセントアンドリュースは簡単なコースなのではないか、少なくとも男子プロにとっては難しくはないのだろうと、そう思えてならないのだ。だが、そこで女子選手たちがプレーするとなると、肉体差による飛距離の差、腕力や体力の差によって、難しいものになるのかどうか。その答えがわからないのである。

悩んでいても仕方がないので、いろんな人に聞いてみた。今回出場している佐伯三貴のコーチ、坂詰和久氏は、かつて片山晋呉のキャディを務めていた人物ゆえ、男子の全英もよく知っている。で、その坂詰氏いわく、「セントアンドリュースは簡単ですよね。広いし、特に今回はラフもないし、池ポチャだってないし。絶対簡単ですよ」。それでは、そこで女子選手がプレーすると、どうなるか。「うーん。やっぱり女子は男子ほど、いろんなことができないんです。ボールにスピンをかけてどうこうするとか、こういう状況ならこういう球筋で攻めるとか、そういうことがあれこれできない。そうなってくると、やっぱりスコアはそんなに伸びないのかなあ」

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今度は、思い切って宮里藍選手に聞いてみた。「男子は簡単というけど、宮里さんにとっては、ここは難しいですか?易しいですか?」「うーん、たぶん男子選手はかなり距離の短いコースでやっている感じなんだと思います。でも女子は、他の試合のコースに比べればここは短いけど、やっぱりこれだけアンジュレーションがあって、バンカーがあって風。やっぱり難しいです」

現在、第1ラウンドが進行中。すでにホールアウトしたロレーナ・オチョアは6バーディ、ノーボギーの6アンダーで首位。宮里は3アンダーで現在3位。2日目以降の天候次第、風次第ではあるが、このペースなら優勝スコアは10アンダー以上まで伸びるだろう。スコアの伸びを見る限り、女子のメジャー開催コースとしても、セントアンドリュースはやっぱり易しいという結論になる。

もちろん、易しいというのはコースの形状やデザインそのもののことで、風やピン位置、メンタル面といった要素は別扱いだ。ゴルフの聖地で挑むメジャーというプレッシャー、メジャータイトルを取りたいというプレッシャー、初優勝したいというプレッシャー。そういうものが、易しいはずのコースを難しくする可能性はきわめて高い。そんな「いたずら」をするからこそ、ゴルフの聖地であり、ゴルフの神様が宿っているのかもしれないけれど……。ともあれ、セントアンドリュースで初開催の全英女子。勝利の行方が楽しみだ。

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(絶対に入れてはいけない!ポットバンカー)
Photo/JJ Tanabe

2007年07月29日

何でも意味はある!

全英オープンの余韻が今も頭の中に残り、体には時差ボケが残って、今週はちょっぴりダラダラモードだ。素晴らしい戦いだったなあと思い返すとき、まず最初によみがえるのは、もちろん終盤のパドレイグ・ハリントンとセルヒオ・ガルシアの優勝争いシーンなのだが、そのほかにも鮮明によみがえってくるシーンがたくさんある。

ほんの一瞬だが、首位に躍り出たジョン・デーリーのことも思い出す。95年の全英覇者は、以後、ずいぶん荒れた私生活を送りながら苦労してきた。つい最近も妻にフォークで頬を刺さられるなど、仰天ニュースが報道されたばかり。そのデーリーがカーヌスティで優勝したら、これはもうカーヌスティに棲むリンクスランドの神様のいたずらとしか言いようがないなんて思って、デーリーのプレー姿を一目見ようと走った。だが、14番でトリプルボギーを叩き、その後はずるずる後退。「あーあ、せっかく全力疾走したのに、無意味になっちゃった」と、そのときは思った。

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取材をしていると、よく「意味なくなっちゃった」という言葉を耳にする。順位を上げてきている選手のことを記事に含めるために、その選手の過去の戦績やプロフィールを調べたり、その選手のラウンドを見に行ったり。しかし、そのあとスコアを落として最終的にその日の順位が下がったりすると、記事には含めなくなるというケースがよくある。そんなとき、記者たちは「せっかく調べたのに、意味なくなった」と嘆き、その選手を撮りに走ったカメラマンたちも「せっかく走ったのに、あの苦労は何だったんだ」と嘆く。私自身もデーリーのために走ったことを「無意味になっちゃった」と、やはり思った。

だが、徒労に終わったと思ったことにも、実はちゃんと意味がある。その場では無意味だと思っても、その後、もしかしたら1年後、2年後、いや10年後になるかもしれないが、意味が出てくることは、ある。思い返してみると、実際、そういう例は過去にもいくつもあった。インタビューなどでも「?年前のあのとき、あの全英で、アナタは○○○でしたよね」なんて言葉がはさめるかはさめないかで、相手が聞きだせる話は十倍にも百倍にもなる。何より、そんなことを見ていてくれたのか、覚えていてくれたのかという具合に、選手は喜んでくれる。私も相手にそう感じてもらえるのはうれしい。そうなったとき、無意味だと思ったことにも大きな意味が出てくる。

今年の全英の3日目に7アンダーで回り、一気に2位へ急浮上したスティーブ・ストリッカー。以前から大好きな選手だ。一時はどうしようもない不調に陥り、Qスクールすら通らず、ドン底だった。そこから再び這い上がり、カンバック・オブ・ザ・イヤーを受賞したストリッカーに勝ってほしいと思っていた。ストリッカーに馴染みのないメディアは、3日目に必死に彼の情報を集めていたが、最終日は74といまひとつ振るわず、8位タイに終わった。8位となれば、ストリッカーのことを細かく記事は誰も必要としない。だから、せっかくストリッカー情報を集めた記者たちは、きっとその努力が無駄になったと感じただろう。

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Photo/ JJ Tanabe

だが、ストリッカー本人はこんな言葉を発した。「昔の自分と今の自分を比べて、僕は今の自分を誇りに思う」。優勝できなくても、大勢の世界のメディアが「キミのことを調べたのに無駄になったよ」と思ったとしても、今の自分に誇りを持てるストリッカーは素敵だ。何位に終わろうと、自分自身の努力と前進に自信が持てることは素晴らしい。ストリッカーいわく、「昔の苦労があったから、こうして全英で上位に絡める自分がある」。血を吐くような過去の悪夢も、未来の糧になる。いや、ストリッカーだからこそ、未来の糧とすることができたのだろう。どんな嫌なことにも、こんなものなければいいのにと思うことにも、いつか必ず意味が出てくる。というより、意味をなすようにできるかどうかは自分次第なのだ。

来週は全英女子オープン。ここでもきっと「無駄足?」と思える取材が出てくるはずだが、どんなにヘトヘトのときでも絶対に「無駄足だった」とは思わないように心がけよう。聖地セント・アンドリュースで目にしたことすべてを心にとどめ、メモにとどめ、貴重なウイットネスになったのだと思うことにしよう。

2007年07月25日

後味すっきり!?人間、修行です!

前回、ここで書いた「後味の悪い出来事」。たくさんのコメントをいただき、感激した。励ましのお言葉の中にいくつかご指摘があったように、あの場面で単に怒声を上げるのではなく、ユーモアとウィットに富んだ言葉でソフトに反撃することができれば、あの後味の悪さは、もう少し解消されていたかもしれないと思う。私たちメディアのインタビューというものは、形式的に一応コメントを取っている記者もいるだろうけれど、この選手の肉声を一言でもいいから取らないと、絶対に自分の記事は書けないとか、この選手のコメントが取れるかどうかで、あのスペースが埋められないとか、いろんな思惑を持って臨んでいる記者もいる。そういう意味で、私もかなり必死だったため、思わずボルテージが上がってしまったのだが、ともあれ、まだまだ修行が足りないということだと反省させられた。

さて、修行といえば、全英オープンの優勝争いをじっくり眺めながら、まさに勝利は人間修養がもたらすものだと痛感させられた。セルヒオ・ガルシアやファンには怒られてしまうかもしれないが、実を言うと、私は当初からガルシア優勝は起こらないだろうと予想しており、メディアセンターでも「ガルシア優勝は、まずない」と周囲に言っていた。多くの日本人メディアは「いやあ、今回はガルシアがいきますよ」と言っていたが、私はそうは思っていなかった。

なぜなら、ガルシアの感情の起伏の激しさや人間修養の有無を考えると、あの難しいカーヌスティの終盤で最後の最後まで首位を守り抜くプレーができるとは思えなかったからだ。その予想が的中し、ガルシアは最終ホールでボギー。パドレイグ・ハリントンとのプレーオフに持ち込まれ、敗北となった。もっとも、ハリントンも首位で72ホール目に臨み、クリークに2度もはまってダブルボギーを喫したわけだが、プレーオフという一騎打ちになったとき、どちらが強いかと問われたら、その答えは「ハリントン」しかなかったと思う。

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面白いことに、ハリントンは大会開幕前から「ナイスガイが優勝する」というユニークな言葉を発していた。優勝して「僕がナイスガイってことだね。なーんて、そんなつもりで言ったわけじゃないけど」と照れ笑いしていたが、彼の言葉は、結構当たっている。今回の優勝がなかったとしても、ハリントンってどんなヤツかと尋ねられたら、誰もが「いいヤツ」と答えるような人柄なのだ。

ナイスガイというのは、単純に性格が温厚という意味ではない。ハリントンは人当たりは温厚だが、内面に秘めた勝利への渇望は人一倍熱く、アスリート魂は温厚というより激しいほうだ。しかし、彼がプロ転向以来、送り続けてきた欧米両ツアー参戦の日々は旅から旅の厳しい道程だったし、そこで勝利を重ねることは並大抵の努力ではなかったはず。欧州ツアーの賞金王に輝くまでに11年を要したのも、欧米両ツアーをかけもつというダブル参戦スタイルが厳しすぎたためだろう。しかし、彼はその苦しさに不平不満を言うことは決してなかったし、いつも我々には穏やかな笑顔を見せていた。そして、彼は試合に出たら好成績を出すという効率的な戦い方を身につけ、少ない試合数で賞金ランク上位へ行く方法も身につけた。だからこそ、今回の全英でも最終日にドーンと追い上げることができ、プレーオフの4ホールで一気に勝利への道を駆け上ることができたのだろう。

ガルシアは、99年のデビュー以来、あっという間にスターと化して、かなり小生意気な小僧となった。しかし、彼もまた、クラブを10回ぐらい握り直すグリップ・イップスになったり、パットのイップスに近い不調になったり、もちろん彼なりの苦労を経験してきた。しかし、年齢的な比較をしても、苦しみの数と苦しみを克服してきた数を比較しても、その度合いはガルシアよりハリントンのほうが数倍上であり、「ナイスガイか?」と質問された人が「イエス」と答える人数もガルシアよりハリントンのほうが百倍ぐらい上であろう。

人間としての修行の度合いが、全英タイトルをハリントンにもたらしたという今回の優勝争い。これは、2日目のあの不愉快だった出来事を忘れさせてくれる素晴らしいドラマだった。そして、ガルシアの敗北ぶりとハリントンの勝ち方を分析しながら、私自身、「修行が足り~ん!」と痛感させられた。人間、なにごとも修行です!

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PATIENCE SHALL PAY YOU SOON
Photo/ JJ Tanabe

2007年07月22日

全英で遭遇した失礼な出来事

全英オープン真っ最中だが、3日目になっても怒りが収まらないほど失礼な出来事に2日目に遭遇してしまった。メジャー会場には通常、ラウンドを終えた選手を記者たちが囲んで取材をするためのインタビューエリアが設けてある。全英の場合は、たいていは屋根のある小さなテントのようなところがそれに当てられており、真ん中には腰の高さぐらいの低いフェンスがある。フェンスの向こう側に選手が立ち、記者たちはフェンスの手前側で押し合いへし合いしながら選手のコメントを取るというスタイルだ。

第2ラウンドを終え、昨年5位と大活躍しながらも今年は無念の予選落ちとなった谷原秀人を20名前後の日本人記者が囲んでインタビューしていた真っ只中。英国の放送局BBCのロゴマークを付けた英国人とおぼしき男性がつかつかと近寄ってきて、インタビューを完全にさえぎりながら、こう言った。「間もなくタイガーがホールアウトしてここに来るから、キミたちは今すぐ取材をやめろ!」

一瞬、耳を疑った。インタビューエリアはどの選手に対する取材も、どこの国のメディアによる取材も、公平に行なわれて然るべきであろう。それなのにタイガー様が来るからといって、日本人選手と日本人メディアが今すぐに「やめろ」と命令されるいわれはまったくない。なんと言っても、予選落ちした悔しさを噛み締めながら一生懸命に取材に応えている谷原という1人のプレーヤーに対してとんでもなく失礼な話だ。あんまり頭に来たので、私はついつい大声で言い返した。「私たちは間もなく取材を終わりにします。今は途中だから、とにかく終わるまでやらせてよ」。すると、その男性、「いいや。たった今、やめろ!NOW!」

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(インタビューエリアでは、数人の選手が並んでインタビューできるスペースがある。*写真は3日目、谷口徹のラウンド後のインタビュー風景)
Photo/JJ Tanabe

「ナ……ウ??????」ふざけるな!「タイガーもミケルソンもタニハラも、みんな1人のプレーヤーであることに変わりはないだろう?」という言葉が口から出かかったとき、ふと見ると、そこにはすでにタイガーが来ており、「とにかく終わるまでやらせてよ」と言った私の怒声を聞いていた。タイガーと目が合った。話の経緯まではわかっていないはずのタイガーは「キミたち、何をもめてるの?」と言いたげな視線。メディアどうしの争いにタイガーを巻き添えにしたのでは、今度はタイガーに対して失礼になると思ったので、それ以上は何も言わず、タイガー&世界のメディアたちは、その横で黙りこくるしかなくなった日本の一団には気をとめることもなく、彼らの質疑応答を始めてしまった。

さて、困ったのはそこから先だ。「どうしよう……」と小声で言うと、谷原が「大丈夫ですよ」。で、結局、内緒話のような小さな声で質問し、谷原も囁くような小さな声で返答。当然、最前列にいた私と両隣の記者ぐらいにしか聞こえない内緒話のようになり、せっかく足を運びながら後方の日本人記者には何も聞こえず何も聞けないという状態に陥った。

タイガーの取材はさっさと終わり、彼らは退陣。日本の一団はそのあとは通常の声が出せるようになったのだが、どうしてこんなに虐げられなきゃいけないのか、考えれば考えるほど納得がいかない。

BBC局は大会の中継局。大金をはたいて放映権を買っているのだから、取材においても大会運営やスタート時間などの決定においても、とにかく優遇されている。が、それはビジネスにおける力関係ゆえ納得できる。さらに言えば、テレビ用のインタビューエリアは我々紙媒体のメディア用とは別にきっちり設置されており、そこを使ってBBCが独自にタイガーの取材を行なえばいいこと。それが終わるまで待たされることに文句を言うメディアはいないはず。それも納得できる。だが、今回の場合は、紙媒体のメディア用に設置されたインタビューエリアで日本人メディアが日本人選手に取材している場所へ、BBCという電波媒体が突然乱入してきて、やりたい放題、言いたい放題、失礼千万な態度を取った。

うーん、許せない。お金の力のせいなのか。それとも、日本という国、日本人メディア、あるいは日本人選手が甘く見られているのか。それとも、差別?

一日経過した3日目になっても、いまだに後味が悪い。せめて明日の最終日、この後味の悪さを忘れさせてくるような素敵なドラマをこの目で味わうことで今年の全英取材を終わらせたい。

2007年07月19日

「話題」が現れる現象。悲劇の予兆?

いよいよ全英オープンウィークになった。私は月曜にNYを発ち、スコットランドの火曜早朝に現地入りしたのだが、エジンバラ空港へ向かう飛行機から、期せずして取材が始まった。というのも、機内に乗り込むときは、昨年の全英でタイガー・ウッズと最後まで優勝争いを展開したクリス・ディマルコと一緒。そして席に着くと、今は亡きペイン・スチュワートのキャディをしていたマイク・ヒッグズが隣にやってきて「ハロー!」。そして、通路を隔てた隣には、先週のジョンディアクラシックで優勝したばかりのジョナサン・バードが座ったではないか。で、よくよく考えてみれば、マイクは現在、バードのバッグを担いでいるわけだから、この2人が一緒でも不思議はない。だが、どうして選手とキャディの合間に私が座っているのかがなんとも不思議。「席、変わりましょうか?」と申し出てみたのだが、「ううん、いいよ、いいよ」と2人ともおっしゃるもんだから、結局、一路7時間、ずっと2人に挟まれたまま座っていた。

バードはジョンディアで優勝するまでは、今回の全英の出場資格がなかった。ジョンディアにはトップ10に入ると全英出場資格が与えられるビッグチャンスがあり、この資格で8名が急遽、カーヌスティに向かうことになったのだが、バードも「とにかくバタバタで、飛行機も昨日必死で予約したんだ。あんまり急だから今回はワイフもベイビーも留守番だよ」。なるほど。でも最後の最後までチャンスを諦めなかった姿勢は見上げたものだ。バードやマイクとの話題は、月曜にカーヌスティで引退発表をしたセベ・バレステロスの話。「やっぱり80を切れなくなったら仕方ないよね」とバード。マイクは「まあ、当然の流れだな」と、もう少しシビアに言っていた。

さて、そんなこんなでカーヌスティに到着。空港からホテル経由でコースへ向かった。予想に反して快晴。私は、今は明かせないが、某選手の単独インタビューの約束があり、その選手を待つためにカーヌスティホテルの前で「張り込み」中だった。すると、そこにはサングラスにTシャツ、短パン姿のサーファーみたいなお兄さんが2人ほど。よくよく見ると、それはスチュワート・アップルビーとロバート・アレンビー。オージー選手は、ちょっと天気がいいと、英国の伝統も何も気に留めず、思い思いのプライベートファッションでそこらへんを歩き回る。

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(ロバート・アレンビー)
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(スチュアート・アップルビー)

翌日。水曜日は一転して曇天。ときおり強い雨も降り、寒かった。タイガーは練習グリーンでパット練習していたが、フィル・ミケルソンは姿を見せず、おそらくは例年通り、近郊の別のコースで密かに練習していた模様。そんな中、ちょっと目を引いたのは、ジョン・デーリーだ。最近は成績が思わしくないデーリーだが、95年の全英チャンプゆえ、過去の優勝者の資格で65歳になるまで全英オープンに出場できる。だが、注目されているのは、何の資格で出ているかではなく、彼の右の頬っぺた。つい先日、妻にフォークでグサリと頬を刺され、しばらくはフォークの3つ穴の傷が癒えぬまま公けの場所に顔を出していた。その傷が今、どのぐらい治ったかな、というのが、玄人筋では密かに注目だったのだ。今日見たところ、頬の傷はほとんど遠目にはわからなかった。時が経てば傷も癒える--これは何においても何の世界でも共通なのだろう。

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(ジョン・デーリー)
Photo/JJ Tanabe

日本人は片山晋呉が欠場したため合計6名の出場。その中で私が期待しているのは昨年大会5位の谷原秀人と日本ツアーで2週連続優勝を達成し、ノリノリの谷口徹。その2人の取材をしたいなあと思いながら歩いていたら、タイミング抜群で、ちょうど2人が順番に目の前にやってきた。2人とも「難しい」と言いながらも「思ったほど難しくない」「思ったより、やりやすい部分がある」と、前向きの話をしてくれた。がんばれ、谷原。がんばれ、谷口。

それにしても、まだ初日が始まってもいないのに、妙に話題が多い。話題が多いというより、期待せずに歩いていると、話題にしたいなあと思っている選手や人、モノが現れる。この現象、何なのだろう?99年のジャン・バンデベルデの悲劇のような、新たなる悲劇の予兆だったら怖いなあ……。

2007年07月11日

丸ちゃん、また?

今季、苦しみ続けている丸山茂樹だが、このところ15位、そして9位と復活の兆しが見えてきている。そうだ、その調子だ!がんばれ~~というところで、今週のジョンディアクラシック初日のティタイムがまたまたトップスタートになった。

ご存知のように、予選2日間の組み合わせはPGAツアーがコンピューターを使って決めることになっている。その際、いわゆるスタープレーヤー、成績上位選手、優勝者などは、テレビ中継にたくさん映る組、シーズン始めのルーキーや成績下位選手などは早朝や午後遅い組という具合にカテゴリー別に分けられた上で組み合わせを決めるのだが、今年の丸山は、早朝1番ホールからのトップスタートが今回で3回目、いや4回目??

丸山にとっての今季開幕戦ソニーオープンが、まずそうだった。まだ夜が明けたのか明けてないのかわからないぐらいの暗がりの中で会場にやってきて、暗がりの中でウォーミングアップ。さすがに、こういう状況は、そう何度もやりたくないもの。だが、先日のトラベラーズ選手権のときも、またまたトップスタートになったことを知るや否や、「(予選落ちを)2回続けちゃうと、こうなのかな」と、がっかりしていた。

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(今年のソニーオープンでは、まだ真っ暗なうちから練習場でウォームアップ)

嫌なトップスタートを回避するためには成績を上げなきゃと思ったかのごとく、その後は前述のような復活の兆しを見せ始めているのだが、そこへ来て、またまた今週、トップスタート。なんとなく、不公平感を感じているのは、私だけではないはず。

しかし、もうこうなったら試練だと思って跳ね返すしかない。苦しいときは、より一層苦しいことが、どうしてだか次々と襲い掛かってくる。もう、いい加減にしてくれ~、やめてくれ~、と叫びたくなるような状況にどうしてだか陥ることがある。だが、それを自力で跳ね返せるかどうか。神様から、それを試されているからこそ試練なのだ……と思うしかない。

がんばれ、マルちゃん!こうなったら優勝して、PGAツアーが否が応でもゴールデンタイムの組み合わせにシゲキ・マルヤマを入れざるを得ない状態を作り出してしまえ~!!!

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(2月のFBRオープンでも、早朝スタート。まだ寒い!)
Photo/JJ Tanabe

2007年07月09日

新しモノ好き?

タイガー・ウッズがホストを務めるトーナメント、AT&Tナショナルで崔京周が優勝した。これでツアー通算6勝目。今年のメモリアルで5勝目を挙げたばかりなのに、もう次なる優勝。いやいや、崔はノリノリだ。

ところで、崔が手にしていたパターを見てびっくり。というのも、彼のパターには太い太い極太グリップが装着されていたからだ。実はこの極太グリップ、今年の5月のザ・プレーヤーズのとき、不思議なものがツアー会場に登場したということで、早々に取材し、ゴルフ雑誌で紹介したばかり。取材時は「たくさんの選手がこのグリップを持っていったけど、みんな練習用にしか使っておらず、まだ実戦で使った選手はいないんですよ」と、ツアーレップが言っていた。だが、それから1ヶ月半ぐらいしか経っていない今週、崔が実戦で使用したばかりでなく優勝までしてしまったのだから、私もびっくりしたけれど、あのツアーレップもびっくり仰天しているに違いない。

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(ツアーレップが握るのが、スーパーストローク・グリップ。極太だ~!)

極太グリップだと、なぜいいか。ツアーレップによれば、「細いものほど人間はぎゅっと握ってしまいがちだが、太いものだとぎゅっと握ろうとしてもなかなか力が入れられない。だから、適度な力でそっと握れる極太グリップは効果的。力を入れすぎてストロークの際に軌道が狂うこともない」と言っていた。そういえば、パットの名手のブラッド・ファクソンから「適度なグリッププレッシャーとは、幼い子供の手を握るぐらいの強さだよ」と教えてもらったことがある。なるほど、強すぎず弱すぎずの適度な握り加減が極太グリップなら自然に実現できるということなのだろう。

ところで、崔は昨秋のクライスラー選手権で4勝目を挙げたのだが、あのときは前週のディズニークラシックからナイキのSUMO2をツアーで一番に使い始め、翌週、優勝した。そのときの勝因を尋ねたとき、彼は「みんながスクエアヘッドだ、スクエアヘッドだって言いながら僕のドライバーに注目していた。注目されるのはいい気分。だから、いい気分のままクライスラーを迎えられた」と言っていた。もちろん、いい気分だけが勝因ではないが、注目されているという感覚が勝利の一因になったことは確かのようだ。

そして今週、あの極太グリップをやっぱりツアーでいち早く採用し、またまた優勝。どうやら崔は、ツアーでも指折りの新しモノ好きなのかもしれない。そして、失敗を恐れず、思い立ったらすぐさま使う、試すという姿勢が、彼をアジア人最多優勝へと導いたのではないだろうか。うーん、そんな気がしてならない。

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(四角いヘッドのドライバーを使い、すぐさま優勝したチェ)
Photo/JJ Tanabe

2007年07月06日

私の色よ!

昨年の日本女子オープンで優勝した韓国人選手チャン・チョンをご存知だろうか。彼女から聞いたメチャクチャ面白い話がある。

チャンはコブラの契約。あるとき、コブラから届いたピンク色のゴルフバッグで試合会場に行ったそうだ。すると、つかつかと歩み寄ってきたのは、ピンクパンサーと呼ばれるポーラ・クリーマー。で、クリーマーはいきなりチャンにこう言ったそうだ。「ねえ、ちょっとちょっと、冗談でしょ?そのバッグ、アナタがコブラに注文してその色にしたの?」

もちろん、クリーマーが本当に言いたかったのは、「ちょっとちょっと、ピンクといえば私の色なのに、どうしてアナタがピンクのバッグを持っているわけ???」ということ。

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「ピンクは、私の色よ!」

で、チャンに尋ねた。クリーマーは冗談でそう言ったんだよね?するとチャンは、「うーん、半々かな。半分は冗談だけど半分は本気。だって目が本気だったもん」

この話、聞いた途端に大笑いしてしまった。自分のトレードマークを他人に取られちゃ叶わないってところがあるのだろう。でも、クリーマーとチャンは、まるでキャラクターが違うわけだし、仮にチャンが全身ピンクづくめになったところで、クリーマーのピンクピンクに対抗しているようには見えないと思うのだけれど、クリーマーにしてみれば、「ちょっと~、真似するのはやめてくれるう~?」ってなところ。

聞いてる分には面白かったけど、よくよく考えると、ちょっと怖~い話だ。

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「色って、みんなのモノじゃなかったんでしたっけ~?」
Photo/JJ Tanabe

2007年07月04日

魔術師?

全米女子オープンはクリスティ・カーの優勝で幕を閉じた。飛距離が出ず、不利と言われていた宮里藍は、しかし最終日に69の立派なラウンドを披露してトップ10入り。米ツアーで1年半、もまれてきただけのことはある。

トップ10といえば、「トップ10に入りたい」と強く願っていた大山志保が最終ラウンドで崩れて22位タイに終わった。18番グリーンで最後のパットを決めた後、キャディのポール・マルティネス大山の耳元で何かを囁き、そのあと大山の背中を優しくさすっていた。私は2人の後姿をグリーン脇から眺めていたのだが、その様子を見ただけで大山が涙していることが伝わってきた。

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アテストテントに来た大山の頬は、思ったとおり、すっかり濡れていた。「キャディに、よくがんばったねって言われて……うれしかったのと、ああ自分はホントにがんばったんだなって思ったのと……」。涙で途切れ途切れになりながら、大山はそう答えた。

要するに、キャディのポールの言葉で、大山のこらえていた何かがふっと切れ、こらえきれなくなって涙が溢れたということ。

そのあと、キャディのポールを発見。大山のバッグの横に立ち、やっぱり残念そうな表情をしていた。大山にかけた言葉を正確に聞いてみたいという衝動にかられ、ポールににじり寄った。

「ねえ、ポール。シホにどんな言葉をかけたの?あなたの言葉が涙の引き金になったってシホが言ってたわよ」。すると、ポールは「えっ、そんなあ……僕はシホを泣かせようとしたわけじゃないのに……」。「わかってるわよ、当たり前でしょ!泣かせようとして泣かせられるなら、アナタは魔術師かペテン師か、どっちかでしょ!」「あ、そうか」

ポールは、ちょっぴりとぼけた、でもとてもいいヤツだ。ちょっと安心した後、大山にかけた言葉を、その言葉通りにボソボソと再現し始めた。

I am very proud of you.(僕はキミをとっても誇りに思うよ)
You should be proud of yourself.(キミはキミを誇りに思うべきだよ)
You really did well this week.(今週、キミはホントによくがんばった)
It was a long long week.(ホントに長い1週間だったもんね)
You wake up around 4AM, 4:20AM, almost every day……(毎日毎日、朝4時とか4時20分とかに起きて……)

おいおい、そんなにたくさんしゃべっていたの?てっきり、「よくがんばってね」の一言で涙を誘ったのだと思っていたのに、そんなにツラツラと語り続けていたなんて……。
ポールは、魔術師でもペテン師でもなく、ひょっとして宣教師か、説教師?

ともあれ、ポールはいいヤツ。そして、日本では「なかなか、納得のいくキャディに巡りあえない」という理由で帯同キャディをつけずハウスキャディをつけている大山にとって、ポールのようなツアーキャディと過ごした1週間は、素晴らしい経験になったはず。

だから、シホちゃん、アナタの涙は、決して無駄にはならないよ。

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Photo/JJ Tanabe

2007年06月30日

これ変じゃない?

全米女子オープンは雷による中断続きで、進行状況がメチャクチャだが、大山志保が暫定8位タイと健闘している。今日2日目は、早朝に第1ラウンドの残り5ホールをプレーし、その後、第2ラウンドへ突入。しかし、17番グリーンでパットを始めようとしたところでサスペンデッドを伝えるホーンが鳴った。

とりあえず近くで待機してくれと大会側から伝えられた大山。近くにたまたまいたギャラリーが連れていた幼い3人の子供を見て「かわいい!」と寄っていった。サインボールをあげたりして遊んでいたら、その様子を日本の新聞社のカメラマンがパチリ。その瞬間、その場にいた日本のカメラマンが全員、ものすごい勢いで大山と子供を取り囲み、バシャバシャバシャ!!

撮影するのが仕事だから、責めるつもりは毛頭ないが、その撮影シーンを眺めていたら、なんかこれって変じゃないかな、と思い始めた。近くを通りかかった別のギャラリーいわく、「どこかの有名人の子供たちなの?」そんな疑問を抱くのも当然だ。総勢10人近いカメラマンが一斉にシャッターを切っているのだから、単に選手を撮っているというより、3人の子供たちを撮っていると感じるだろう。あるいは、有名な3人の子供と遊ぶ選手の絵?

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(たのしそう。でも、この子供たち、だれ?)

私の相棒カメラマンのJJ田辺も、その一陣にいたのだが、途中でニタニタ笑いながら一陣から出てきた。「なんか違いますよね?」そう、なんか違う。でも、どうして撮ったの?「みんなが撮っているからですかねえ。みんなも、みんなが撮っているから撮ったんですよねえ」

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(大山からもらったグローブをつける。うれしそう)

うーん、わかる部分もあり、頷けない部分もある。みんなが撮るものを自分も漏らさず撮りたいと思うのは当然のこと。しかし、みんなが撮るから自分も撮らなければと思うだけでは、自主性がなさすぎる。だが、みんなが知っていることを知ろうとしないのかと私が問われたら、やっぱりみんなが知っていることは自分も知ろうとするだろう。だから、この場にいたカメラマンを私が責めることなんてできないのだが、やっぱり、これって何か変だ。

きっと、こういうことだろう。みんなが撮るものは撮った上で、みんなが撮らないものを撮ればいい。みんなが知っていることは知った上で、みんなが知らないことを知る。それがプロというもの……だと思うのだが……。あまりにも変則スケジュールの取材が続き、頭が朦朧としてきた。

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(撮影会もひと段落して、リラックス)
Photo/JJ Tanabe

2007年06月28日

藍ちゃんのお母さん?お姉さん?

明日から全米女子オープンが開幕する。練習日の今日、宮里のラウンドについてロープ内を歩いていたら、日本人とおぼしき50代ぐらいの女性からいきなり声をかけられた。「あのー、すみません、アナタはアイ・ミヤザトのお母さんですか?」えっ、私がお母さん?ちょっとびっくりして「いえいえ、私は取材のために来ています」と答えると、「ああ、そうですか。私たちは沖縄県人会なんです」。沖縄から、このアメリカのノースカロライナまで応援にいらした?「いえいえ、この近く(ノースカロライナ州)のフェイエットビルという街に沖縄出身者の県人会があるんです」。何人ぐらい会員がいらっしゃる?「70名ぐらいいますよ」

まず驚いたのは、この70名という大所帯だ。はっきり言って、ここはアメリカ国内でもかなりの田舎。そんなところに日本人が何十名も所属する会があると聞いただけでもビックリなのに、沖縄出身者だけで70名というのだから、こりゃすごいことだ。

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しかし、本当に驚かされたのは、ここから先。女性の言葉は放っておいてもどんどん続く。「それでね、私たちは沖縄出身の日本人がどんな活躍をしているのかなと思ってインターネットで検索したんです。そうしたら、アイ・ミヤザトって名前が出てきて、そのアイ・ミヤザトがこの大会に出るってことがわかって、それで私たち応援に駆けつけたんですよ。あらっ、ところでアナタはアイ・ミヤザトのお姉さんでしたっけ?」

「お母さん?お姉さん?」は、かなりずっこけたが、話を要約すると、彼女たちは検索をするまでは宮里のことを知らなかったということになる。日本ではスーパースター的存在、誰もが知る存在である宮里だが、アメリカの隅々までその名が伝わっているわけではなく、それは言葉を変えれば、世界はそれほど広いということだ。

日本で大流行する何々ブームというものは、日本の中では誰もが知るところとなるのだが、それが世界にまで波及するわけではない。その事実は、こんなふうに「あの藍ちゃん」を知らない日本人たちの生の声を聞かなければ実感しにくいかもしれないが、世界の壁というものは、いろんな意味でそれほど厚いのだ。

だからと言って、日本人が世界の壁を破れないわけでは決してない。米ツアーに挑む宮里は、だからこそアメリカで必死に戦っているのだし、そこで勝利を飾り、勝利を重ねていけば、アイ・ミヤザトの名は自ずと世界に知れ渡る。石川遼も日本では「王子」の名までつけられている存在だが、海外では今は「無名」で、そりゃ当たり前。だが、石川君が今後、プロの世界でも勝利を重ね、アメリカそして世界でも勝利を重ねれば、そのとき初めて世界が認めるプリンスになる。

だが、それには想像以上の時間がかかる。世界の壁は想像以上に厚いのだから。
そんな日が来るまで長い目で応援してあげるのが、本当のファンなのだと思う。

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Photo/JJ Tanabe

2007年06月23日

メジャーチャンプのライフチェンジ

全米オープン明けの今週は、コネチカット州で開催されているトラベラーズ。その会場で、マスターズチャンプのザック・ジョンソンと話をしたときのこと。メジャーチャンプになって、何が一番変わったかと尋ねてみたら、彼はちょっと小声で「そりゃもう、取材は信じられないほど増えるし、なんだかんだといろんなことを頼まれて、それはそれは大変な人生になったよ」。

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(プロアマ中、緊急連絡を受けている様子のジョンソン)

なるほど。そりゃそうだろうなあ。マスターズ優勝以前のジョンソンといえば、実力者ではあったけど、知名度はいまひとつだったわけだから、スポンサーなど企業からの依頼もメディアからの取材依頼も、まあ知れたものだったに違いない。が、マスターズチャンプに輝き、一夜明けたら、それまでとはまるで違うライフが待っていた……てなところだ。

ところで、そうなってくると、全米オープンチャンプとなったアンヘル・カブレラのライフも、がらりと変わるのだろうかという疑問が浮かび上がる。普通なら、「もちろん変わるよ」と言いたいところなのだが、カブレラの場合は、一つ大きな問題がある。それは、英語力。優勝インタビューなどをテレビで見たり聞いたりした方はお気づきだと思うが、カブレラは実は英語があんまりしゃべれない。どうしても伝えたいことが、ぎりぎりの英語でなんとか表現できるというレベルゆえ、彼の人となりや考え方を問うようなディープインタビューなどは一人では対応しがたいといえる。もちろん、通訳を介せばなんとかなる。だが、スペイン語と英語を自在にあやつり、しかもゴルフのことがわかっていて、カブレラの言いたいことを的確に通訳できる人材となると、現状では米ツアーではほとんどいない。たとえ1人ぐらいいたとしても、その通訳が常にカブレラのそばにいるとは限らないわけだから、事実上、カブレラを取り巻く環境は、ジョンソンを取り巻く環境が激変したほどの変化にはならないと思う。

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(表彰式でのスピーチは、通訳入りで)

まあ、それはそれで、いいかな、とも思う。オークモントを制したカブレラのプレーぶりから、彼の人柄や心意気は十分すぎるほど伝わっていたし、ディープな部分がよくわからないミステリアスなラテン系チャンプなんていうのが一人ぐらいいても面白いではないか。

なんてことを思っているうちに、ひょっとしたらカブレラで一儲けしちゃおうなんてアグレッシブな誰かが、こりゃ絶好のビジネスチャンスと目をつけ、通訳兼????という形で出現することも十分考えられる。プロゴルフはエンタテイメントビジネス。あくまでビジネスの世界に、他のビジネスが介入してきてもおかしくはない。だが、プロゴルファーはアスリートで一人の人間だということまでを無視するようなビジネスにだけは巻き込まれてほしくない。カブレラちゃん、うれしい限りの日々だろうけど、そのあたりには十分ご注意ください!

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(表彰式の後の、恒例の撮影会)
Photo/JJ Tanabe

2007年06月20日

シンゴの世界

全米オープンに出場した日本人選手は5名。その中で唯一予選通過した片山晋呉は、アメリカでもなかなかの人気者だ。米ツアーを主戦場としたことがないのに、これだけ「シンゴ」の名が飛ぶのは、正直言ってすごいこと。どうして片山がこれほど名前を覚えられ、声援を受けるかといえば、それは彼の個性のおかげだ。

「カウボーイハットのシンゴ」として覚えられた片山だが、最近は帽子のみならず、ベルトなどのアクセサリーでもアメリカ人ギャラリーの目を引いてる。たとえば、オークモントでの最終日。片山はシマウマ模様の地にキラキラ光る飾りがついたベルトをしていた。折り返しの9番グリーン。パットを終えた片山にロープ外がアメリカ人女性が声をかけた。「それ、ダイアモンド?」。プレー中だというのに片山は近くにいた自分のマネージャーに「本物って(英語で)何ていうの?」と尋ねた後、声をかけた女性に向かって「リアル・ダイアモンド!」と笑顔で返答。その女性は「オーッ!」。もちろん、本物のダイアモンドだと信じたわけではないだろうけど、メジャーの全米オープンで自分の質問にジョークを返してくれた日本人選手シンゴのことを彼女は一生忘れないだろう。シンゴ人気はそうやって高まっているのだと思う。

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ところで、人気のみならず高まっているのは片山のメジャーに対する姿勢と技術だ。昨年のマスターズのとき、「世界の頂点が見えてきた」と語った片山は、「高い球、止まる球が打てれば」という課題を自らに課した。以来、その課題をモノにするための努力を続け、今回は「ずいぶんスピンで止められるようになった」と手ごたえを感じ取った。それでもまだ自分は「メジャーで20位以内が狙えるレベル」であって、「トップ5を狙えるようになるには何が必要なのかと問われてもわからない」。これは正直な返答だったと思う。

世界の頂点を目指し、まずは20位以内を目指し、それが達成できたら、今度は10位、5位……。それが現実的な目標設定なのだろう。今回、予選落ちした日本人選手の口から、「こういう(オークモントのような)芝で練習してないと無理ですよ」という言葉を聞いた。芝の違い、コースの違い、設定の違いは、出場する前からわかっていたこと。どうせ無理だというのなら、日本人選手が海外の試合に挑戦するのは無意味ということになる。そう感じさせるコメントには、はっきり言って落胆させられる。だが、片山は自分の主戦場が日本であることを踏まえた上で、「日本に帰って(ここで気づいたものを)吸収して練習してやっていく」と前を向く。それでこそ、賞金王だと感心させられた。

いつだったか、インタビューした際に聞いた「僕は1ミリでもゴルフがうまくなりたい」という片山の言葉が今でも忘れられない。今回の全米オープンでパットのグリップ方法やパターそのものを変えたことも、そんな彼の姿勢の表れだった。もちろん、せっかく予選2日間で好調だったのにグリップを変えた3日目はスコアを崩したことは「どっちに転ぶかわからなかったけど、悪いほうへ転んだ」と失敗を認めていたわけで、まあ、トライアルにエラーはつきものだ。臆せずにトライアル&エラーを繰り返しながら前進する片山。そんな彼の考え方が、あの奇抜でユニークなファッションにも反映され、そんな個性が溢れ出ているからこそ、アメリカのギャラリーも彼が好きなのだろう。

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Photo/JJ Tanabe

2007年06月15日

こんなもの見つけた!

全米オープンはタイガー・ウッズが5位で好発進。日本勢も片山晋呉と今田竜二ががんばっている。そして、私が密かに応援していたのは、ちょっとオトボケのフィル・ミケルソン。昨年の雪辱に燃えるあまり、大会の3週間も前からオークモントでラフやバンカーの練習を重ね、そのせいで左手首を痛めてしまった。その後、左手首をかばって右手首まで痛めてしまい、恒例のファンへのサインも控えなければいけない状態。それでも棄権することなく、一生懸命プレーしているミケルソンがなんとも健気だ。

手首のせいでショットがダメなら、残るはパット。そのためにミケルソンはショートゲームコーチのデーブ・ペルツが開発した秘密兵器でオークモントの全グリーンを徹底チェックした。ペルツは元NASAの科学者。その知識と経験と15万ドルの費用をかけて開発された秘密兵器とは名づけて「ペルツメーター」。名前からもわかるとおり、スティンプメーターのようなもの。詳細は明かされていないが、スティンプメーターの半分の距離を転がして、グリーンのスピードなどをチェックできるもののようなのだ。しかし、「凄いものだ」とミケルソンが言ったので、思わず見学しに行ってしまったのだが、これがなんだか変なのだ。マシーンに3つのボールをセットし、マシーンを傾けて3つのボールをグリーン上に転がす。そして、ボールが止まったところまでの距離を測るのだが、そのときに使うのは、なんと巻尺なのだ。うーん、NASA、科学者、15万ドル、ペルツメーター。どの言葉にもハイテクのムードが漂うというのに、最後に出てくるものが原始的な巻尺。これって、どこか変ではありませんか?

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(ん~、これでなにが分かるの?)

さて、もう1つ、全米オープンを眺めていて発見したのは、ジェイコブ・ロジャースという無名選手のゴルフバッグだ。選手の中にはアマチュアや学生がセルフプレーのときに使うようなスタンド付きのバッグを使っている人もいるが、これは往々にしてキャディが女性だったり父親だったりというときのためのもの。軽量だから担ぐのがラクなのだ。だが、このロジャースという選手は、スタンドバッグよりさらに軽量で、しかもスタンドもついていない筒状の細いバッグを使っているのだ。このバッグはトラベル用として売られているようなバッグ。一応、中にしきりはあるが、14本を入れるとキツキツで、なんだか不便そう。しかも、キャディは女性や老人ではなく、立派な男。おまけに、選手のロジャースよりキャディのほうが身なりもよくて、一見するとどっちが選手かキャディか、よくわからないほどなのだ。うーん、これまた、なんか変。

まあ、どっちも変ではあるが、どっちも原始的っぽいものが近代の全米オープンで愛用されていたということで、「古き良きものは大切にしましょう」のメッセージなのだと受け止めることにしましょう!

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(ダレルサーベイ社がクラブをチェック中)

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(左がキャディ。選手は右の気弱そうな男性)
Photo/JJ Tanabe

2007年06月13日

タイガーのニューバッグ!

いよいよ、全米オープンウィークになった。オークモントは94年当時とはまったく異なる姿を現し、選手やギャラリー、関係者を驚かせている。なにしろ5000本近い木々が伐採されたため、広々としたパノラマのよう。しかし、そのオークモントが広く優しい心で選手たちを迎えているかといえば大間違い。ラフは深いし、密度は濃いし、バンカーはあり地獄のように深いし、グリーンは速いし……こりゃ大変だ。今田竜二も「1日に2オーバー、3オーバーで毎日回ったら優勝争いできるって感じですね」。それほど、今年のオークモントは難しそうである。

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(オークモントCC最終ホール)

そんな中、優勝候補の筆頭、タイガー・ウッズの練習ラウンドをしばらく取材した。技術的には特に何を変えたとか、クラブを変えたとか、そういったものは見当たらない。もちろん、それがタイガー。よくメディアからは「全米オープン対策は何?」「メジャー仕様のクラブセッティングですか?」といった質問が飛び出すのだが、タイガーは普段からメジャーに向かって準備をしているわけだから、いざメジャーだというときに、その場しのぎで何かをするということは、まずないのである。

しかし、1つだけ、新しいものを発見!それはゴルフバッグだ。初めて目にしたそのバッグはシルバーとダークブルーのツートーン。で、「enclave」というロゴマークがどーんと入っている。これは、ビュイックの新車の名前だ。

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アメリカの自動車メーカーといえば、GM、フォード、クライスラーが御三家だが、フォードは大赤字ゆえ、今年はフィル・ミケルソンの胸からもフォードのロゴが消えている。そして、クライスラーはダイムラーへ身売り。それゆえ、昨年までは米PGAツアーにクライスラーの冠大会が3試合あったのに、今年はボブ・ホープ・クライスラークラシックのみに減ってしまった。そんな中、GMはなんとか健闘しており、その傘下のビュイックも必死に奮闘中だ。

以前はビュイックのロゴが入ったバイザーやキャップをかぶっている選手も見かけたが、最近はビュイック契約というとオンリー・タイガー。苦しい立場のビュイックは、それこそ「タイガー様々」で賭けに出ているのだろう。タイガーのニューバッグを眺めながら、そんな企業努力をひしひしと感じていたのは、ちょっぴり変わり者の私と相棒カメラマンのJJ田辺ぐらいだろうけれど、ともあれ、露出多大な全米オープンでビュイックの業績が少しでも上がりますように……なんて思ってしまった。

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コーチのハンク・ヘイニー(左)とタイガー・ウッズ
Photo/JJ Tanabe

2007年06月08日

大人げなくない?

今週は全米女子プロ選手権。今日、初日はミッシェル・ウィーが1オーバー47位だったが、なんだか彼女がかわいそうでならない。先週のギン・トリビュートで棄権したウィーに対し、「大人たち」のバッシングが続いているからだ。「大人たち」はLPGA規定の88以上を叩きそうだったから、それを避けるために棄権したんじゃないかという嫌疑の目を向けている。もちろんウィー本人は「88なんて叩くわけがない」と言い張り、棄権したのは元々痛めていた手首が痛かったからだと主張。そんな中で、今週のメジャーに挑むウィーの心情を思うと、やるせないものを感じてしまう。

手首が痛かったからだと言っている以上、もうそれでいいではないかと思う。米PGAツアーの「大人」の選手たちだって、自らのあまりの大叩きにやる気をそがれ、棄権することがないかと言えばうそになる。だが、そのたびに「いっぱい叩いたからやめたんだろう?」と勘ぐられ、ああだこうだと言われたら、「大人」のプロたちだって精神的に参ってしまうだろう。

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(昨年のジョンディア・クラシック)

叩いちゃったから棄権するという行為が、いいことだとは決して言わない。そんなことを言うつもりは毛頭ない。プロである以上、そのままプレーを続行するのも棄権するのもその選手自身の意志次第。手首を痛め、メモリアルを棄権したフィル・ミケルソンは、ケガによる棄権は初めてのことだった。そんなふうにぎりぎりまで棄権という選択肢を選ばないプロもいるし、ちょっと叩くとすぐ棄権するプロもいる。が、最終的には、「あの選手はそういう選手なんだな」という評価が良きにつけ悪しきにつけ勝手にできあがるのだから、やっと高校卒業に至ったばかりのウィーを現段階で「大人たち」が責めたり追い込んだりしなくてもよいだろう。

もちろん、ウィーが明らかにルール違反を犯したとか、マナー違反を犯したとか、そういう行為に対するバッシングなら正当だ。けれど、先週の棄権に対するバッシングはあくまでも「推測」に基づくものだ。

ウィーが華々しく男子ツアーの試合に登場し、惜しくも予選通過を逃したなんてころは、持ち上げるだけ持ち上げておいて、ちょっぴり風向きがおかしくなると、今度はネガティブトーンばかりで取り沙汰する。それは、いささか大人げない。

昨年、男子ツアーのジョンディアに出場したウィーは、あのときも棄権を余儀なくされたのだが、熱射病でボロボロの体を必死に動かしながら、プレーを続けていた彼女の悲壮な姿は忘れられない。そりゃ、あの程度の暑さでまいってしまうのは、プロとしては体力不足かもしれないし、そこに男女の壁があるのかもしれない。が、少なくとも、そんなふうに必死だった彼女は、今だって必死なのだ。百歩譲って、88を叩くことを避けるために棄権したとしても、それはスーパースター化された彼女が今後もプロの試合に出続けるための策であり、そうするしかなかったということだ。その行為を「ずるい」「せこい」と否定的に見なすか、それとも「仕方がない。そんなこともあるよ」と好意的に受け取るか。それだって「大人たち」の気持ち次第であろう。

ウィーを取り巻く昨今の厳しい状況を眺めていると、すぐさま連想されるのは、日本で今、大ブレーク中のハニカミ王子の未来だ。すでにテレビ局の暴走が問題になっているが、今、そんなふうに「王子」「王子」と言っている「大人たち」が、いつか石川君が不調になったとき、彼にどんな目を向け、どんな言葉をぶつけるのだろうと思うと、ちょっぴり怖くなる。実際、今、ウィーが置かれているのは、そういう状況なのだから。

だからこそ、今週はウィーにがんばってもらいたい。手首はまだ痛むのだろうから、優勝争いには届かないかもしれないが、少なくとも先週の棄権が88回避のための茶番だったという声を否定できるだけの成績を出してほしいと思う。

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(今年のソニーオープン)
Photo/JJ Tanabe

2007年06月05日

キャディの副収入

ツアーキャディのメインの収入は、もちろん選手から支払われるキャディフィ。これは、日当いくらとか、1週間でいくらという具合に支払われ、契約方法はそれぞれの選手&キャディの間で個別に決められる。賞金の10%前後が、そうしたベースのキャディフィのほかに支払われる場合もあるし、予選通過して賞金をゲットした場合は、ベースフィは無関係になったりすることもある。まあ、とにかくキャディフィというのは、選手とキャディが事前に取り決めをしたうえで支払われるギャラなのだ。

が、実はキャディたちには、ときとしてちょっとした副収入が入る場合がある。これは選手からではなく大会側やスポンサーから支払われるものだ。

メモリアルでは、キャディが大会ロゴの入ったキャップをかぶって試合に出ると、ボーナスが支払われるという珍しいシステムがある。予選2日間は1日100ドル。決勝進出すると1日400ドル。つまり、4日間、このキャップをかぶると合計1000ドルがもらえるというわけで、キャディの副収入としては結構な額だ。

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トム・レーマンのキャディのアンディは、大会ロゴの入ったバイザーを着用していた。

だが、そんな金額には目もくれないキャディもいる。たとえば、タイガーのキャディのスティーブなどは、タイガーのスポンサー企業からロゴマークを見せることで何がしかのお金を得ているようだ。だからスティーブは、18番グリーンまで来ると、必ずといっていいほどキャディ用のビブをさっさと脱いでしまう。あのビブは厚手のものが多いから、最初のうちは暑くて脱いでいるのかと思っていたのだが、そんな単純な理由ではなく、あれはスティーブのシャツについている企業ロゴをテレビに映させるためなのだ。

それでスティーブがいくらもらっているかは不明。お金に関することは、選手からも滅多に明かされることはなく、ましてやキャディがスポンサーから得る金額となると、キャディが口を割るはずはない。

いずれにしても、こうしたキャディの副収入というものはテレビに映ってナンボのもの。選手の活躍がなければテレビにも映らない。ということで、最終的には選手を支えてこそキャディの副収入は総合的に増えるという当たり前の結論にたどり着く。だからキャディ君たち、副収入ばかりに目をくらませることなくボスをきっちり支えてあげてね。

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胸と右袖にオイル会社のロゴ。左袖にはナイキのロゴマーク。腕まくりをして露出度アップ。
Photo/JJ Tanabe

2007年06月02日

アナタが心配……

メモリアルの初日、フィル・ミケルソンが途中棄権してしまった。ミケルソンがラウンドの途中で棄権したのは、なんとプロ入り以来、初めてのこと。かつて病気で第2ラウンド終了後に棄権したことが1度だけあるが、ケガで棄権したのも、今回が初めてだった。

だから余計に心配になる。棄権の理由は左手首に痛みを感じたためということだが、この左手首、メモリアルのラウンド中に痛めたわけではなく、先週、全米オープン会場となるオークモントで練習ラウンドしたときに痛めたのだそうだ。オークモントには178個ものバンカーがあり、有名なチャーチ・ピューなる縦長の段々畑風バンカーもある。ミケルソンはオークモントでバンカーやグリーン周りのラフからショットしすぎて手首を痛めてしまったのだという。

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(初日の7番ホール、左手首を気にする)

今年の全米オープンは、昨年の全米オープン最終日最終ホールで崩れたミケルソンにとって雪辱戦となる。だから気合いが入って当然。しかし、だからと言って、早々に練習したら手首が痛くなっちゃった……では困るじゃないの?まったくもう、直情型、正直者のミケルソンは、だからこそ放っておけない存在だ。

それにしても、メモリアルのプロアマの日、ミケルソンはメディアの共同インタビューを延々待たせながら、何をしていたかというと、ギャラリーや子供たちへのサイン。それはそれはすごい人だかりで、こんなの全部サインしてたら手首が腱鞘炎になっちゃうよ、と思いながら眺めていたのだが、ファンサービス精神旺盛な彼は、いつまでもいつまでもサインし続けた。ひょっとしたら、オークモントでの練習ではなく、サインの嵐で手首を痛めたのではないかと思ってしまうほど。

メモリアルを棄権した後、自宅のサンディエゴに戻ったミケルソンは、すぐさまMRIやCTスキャンによる診察を受け、骨に異常はないと確認された。が、炎症はまだひどく、例年なら必ず出る全米オープン前週の試合を、今年は見合わせることになりそうだという。

うんうん、休んだほうがいい。いくらメジャー前週の試合に出てウォーミングアップするのがミケルソンのルーティーンとはいえ、これ以上、無理を重ねたら、下見練習で手首を痛め、前週の試合で力尽き……ついには全米オープンでプレー不能なんてことになりかねない。

少しお休みしなさい。そんなに焦ったら雪辱どころか、またまたトンマなことになっちゃうよ、フィル君。でも、そんなフィル君だからこそ、「アナタが心配」と感じる女性ファンは多いのだろうけど。

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ファンサービスも、ここまでやれば立派!
Photo/JJ Tanabe

2007年05月30日

真似っこ?

今週は米PGAツアーのザ・メモリアルに来ている。メモリアルといえば、帝王ジャック・ニクラスのトーナメント。これは、ボビー・ジョーンズのマスターズに憧れてジャックが創設した大会で、そのせいか、いろいろなものがマスターズに似ているところがなんとも笑える。

たとえば、オフィシャルたちはみなグリーンのジャケットを着ているのだ。これはマスターズのグリーンジャケットとそっくり!ちなみに、このジャケット、大会期間中だけのレンタルだそうで、大会終了と同時に返却するらしい。そういえば、一昔前まで、メディアのバッヂはブリキのバッヂだったのだが、これまたマスターズのメディアバッヂとそっくりで、初めて見たときは大いに笑えたものだ。

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それだけじゃない。この大会のロゴマークの真ん中には、どうしたわけか全英オープン覇者に与えられる優勝トロフィーのクラレットジャグが描かれているから面白い。そして、もさもさのラフは全米オープンのそれと、これまたそっくり。こうして見ると、メモリアルにはマスターズ色、全米オープン色、全英オープン色が含まれているのだが、どうしたわけか全米プロ色が見当たらない。ひょっとしてジャック様は、全米プロより我がメモリアルのほうが上だと思っているのだろうか?どうも、そんな気がしてならない。

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ところで、今日、ギャラリーバッヂを見ていてふと気が付いたことがある。ギャラリーバッヂにはいくつか種類があるのだが、その一つに「パトロン」と書かれているのだ。パトロンとはお金を出してくれるスポンサーのような人のこと。これがゴルフの世界になると、どうしてだかマスターズのサポーター、つまりはオーガスタナショナルのメンバーという意味になる。もっとも、これは狭義の意味合いで、広義にはマスターズを観戦する人々=ギャラリー。いずれにせよ、マスターズのパトロンたちは、なかなか手ごわく頑固だ。私たちメディアは通常はロープ内を歩いて取材したり撮影したりさせてもらえるのだが、マスターズだけはロープ外のみ。それゆえ大勢のパトロンたちを掻き分けながらの取材になる。ところが、マスターズのパトロンたちは、メディアだろうが何だろうが「オレ様がここで見ているんだよ」という顔で、なかなかどいてくれず、私のように背の低いメディアとなると、パトロンの垣根を越えることは至難のワザとなるのだ。

で、このメモリアルのパトロンはどうだろう?ちょっと質問してみた。
私「このミュアフィールドビレッジのメンバーなのですか?」
パトロンおじさん「いいや。オレは単なるギャラリーさ。毎年来てるけどね」
私「そのパトロンのバッヂは、どういう意味?」
パトロンおじさん「これ?これはいくら入場料を払ったかの証明みたいなもんさ。オレは1週間155ドルのウィークリーバッヂを買ったけど、もうちっとだけ多く払えばクラブハウスバッヂがもらえたのさ」
私「えっ?パトロンバッヂはクラブハウスバッヂより格下なの?」
パトロンおじさん「そうさ。格下。オーガスタのパトロン様とは、ちょっと違うんだよ」

なるほど。同じ「パトロン」でも意味は大違い。どうりでメモリアルの会場で見かけるパトロンたちは気さくな人が多いはずだ。でも、マスターズの真似っこで「パトロン」というバッヂを作ったとしても、どうせなら気さくなほうがいい。世の中、ツンと気取っているよりも、気さくでちょっと引き気味ぐらいでドーンと構えている人のところに幸運は舞い込みやすいように思える。だから、いろんなメジャーの真似っこ部分が多いメモリアルとはいえ、気さくなパトロン気質だけは失わず、真似をしないでこのまま維持してほしいなあ。

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Photo/JJ Tanabe

2007年05月26日

気になる……ジュニアの未来

日本では15歳のハニカミ王子で話題が持ちきりだとか。確かに15歳でプロの試合を制するのは、すごい。だが、気になるのは、そんなジュニアの未来だ。すでに、ハンカチ王子ならぬハニカミ王子なんてニックネームでもてはやされ、追いかけまくられる日々を送っているはず。最初のうちは、それも楽しいのだろうけれど、あまりに注目が高まりすぎると、必ずや負担になる。それが、ちょっぴり恐ろしい。

その典型例はミッシェル・ウィーだ。現在、ウィーは両手首の故障のため、ずっと試合を欠場しており、その復帰が待たれている状態。ウィー本人は「友達と遊んだり家族とゆっくり過ごしたり、今までできなかったことができて楽しい」なんて子供らしい言葉を口にしているが、本人が休んでいる間にも、彼女の周辺人物は動いているわけで、本人は何もしていないのに渦中の人になってしまう。

ウィーのコーチ、デビッド・レッドベターの発言が騒動になったのである。レッドベターは「ミッシェルは今年は男子の試合には出ない」「ミッシェルは来年にはLPGAのメンバーになって女子ツアーに専念する」と発言。ついにウィーは男子への挑戦を諦めたのかと思いきや、その発言はウィーの意見を代弁したものではないと、追加報道されたのである。

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実際、ウィーの次なる男子ツアー挑戦は7月のジョンディアクラシックと目されており、大会側は今月末までに彼女から確かな返答をもらうことになっているが、「欠場する」と言われてはおらず、みな彼女の出場を心待ちにしている。それなのに、レッドベター発言が先走り、ウィーはまたしても渦中の人へ……なんだか気の毒でならない。

ウィーを眺めていると、以前、まだアマチュアとしてソニーオープンのプロアマに出たころに比べると、子供らしいあどけなさが重苦しいプレッシャーに消されつつあるように思えてならない。世界から注目され、プロ転向して多額の契約金を得たのはいいが、それだって、そのお金を彼女が好き放題に使っているわけではないし、彼女がやりたいことは、ただただ思う存分ゴルフをしたいってことだろう。それなのに……と思うと、ハニカミ王子の将来までもが心配になる。

宮里藍も、マスコミや世間の注目の大きさによって少なからず自由が奪われ、いろいろ苦労している。スターの宿命と言えばそれまでだが、スターも人間。ましてやハニカミ王子は、たったの15歳。自制心ある大人たちが、しっかり守ってあげなきゃいけないということを、いま一度、自覚しようではありませんか、みなさん。

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Photo/JJ Tanabe

2007年05月22日

今田竜二のヒレカツむなしく……

今田竜二のプレーオフ惜敗は本当に残念だった。ジュニア時代から今田をウォッチしてきた私としては、昨日の優勝争いを眺めながら、ほとんど母親のような気持ちになってしまった。ジュニアの大会を制したときの今田、ジョージア大学時代の今田、ネイションワイドツアーで苦節5年を送ってきた今田、やっとのことでPGAツアー出場資格を得た今田……優勝争いを繰り広げる今田をロープの内側で応援しながら、頭の中にいろんな今田の姿が、それこそ走馬灯のように蘇ってきた

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そんな今田を「妻」の立場から眺めていたのは、香苗夫人。「メディアの人たちに駆けつけてもらって勝てなかったから申し訳なくて……」と妙なことに気を回す香苗夫人の表情には、いつになく緊張が漂っていた。最終日の前夜、今田自身も「勝てなかったら、急遽来てくれるメディアの人たちの飛行機代ぐらい払わなくちゃいけないよね……」なんてことを口走っていたそうで、優勝そのものより、そんなことを会話していたこの夫婦、なんともかわいいではないか。

そう、その最終日の前夜。「竜二くん、緊張してたみたい?」と尋ねると、香苗夫人は「いや~、緊張してたんでしょうけど、そうでもないかな……よく寝てたし。でも、いつもよりイビキは少なかった」。ん?イビキが少なかったことは、いつもより緊張してという意味なのか、緊張してなかったという意味なのか、医学的な見解はわからないが、いつもとちょっとだけ違っていたのは、前夜のディナーのメニューだ。「昨日の夜は、ヒレカツなんか食べてました」。

それは、もちろん「勝つ=カツ、だよね?」「はい、そうだと思うんですけど」。

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(プレーオフ前にはバナナで体力補給)

今田がPGAツアーで勝ちたいと願うその気持ちは、人々の想像以上に強いはずだ。華やかなジュニア時代、アマチュア時代。リュウジの名は全米に轟いていた。AJGA(米ジュニアゴルフ協会)のツアーでは、タイガーかリュウジか、というぐらいの勢いだった。だが、そんな天才ジュニアにも低迷期があった。一時はアメリカで戦うこと、プロゴルファーとして戦うことを諦めようかと思うほど低迷したこともあった。そんな苦労を経てたどり着いたPGAツアー、そして初めての優勝争いは、今田にとって万感あまりある状況だったのだ。

だからこそ、「ヒレカツ」。その「カツ」効果は一歩及ばなかったけれど、今度優勝争いを迎える前夜は、是非ともヒレカツを2枚、3枚食べてほしい。そうすれば、「カツ」効果も倍増!?……なんてことも、もしかしたら怒りうるかもしれない。ともあれ、惜敗したけどがんばった竜二君、香苗ちゃん、お疲れ様でした。

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(本当によくやった。チャンスはまた、必ずやってくる!)
Photo/JJ TanabeVery Happy

2007年05月18日

タイガーもスロープレー?

先週のザ・プレーヤーズを振り返ると、一番印象的だったのは、あのタイガー・ウッズが2日に渡ってスロープレーの計測を受けたことだ。タイガーといえば、ペースの速いプレーで知られているし、今年7月に開催が決定したタイガーのトーナメント「AT&Tナショナル」は、ペースの速いプレーこそがグッドパフォーマンスを生むという理由で出場人数を少人数限定にしようとまで言われている。もちろん発案者はタイガー。そんなタイガーが、こともあろうにスロープレーの計測を受けて自らの集中力を失い、しかもそれが2日間に渡ったのだから、これはちょっとしたニュースだった。

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ザ・プレーヤーズ初日、計測を受けるタイガーの組。Confused

だが、今回のタイガーの計測の場合は、タイガー本人のプレーが遅かったのかどうかはなんともいえないのである。というのも、従来の規定では、ある組のペースが遅いと見なされた場合、その組の選手全員の連帯責任として計測が入ることになっているからだ。要するに、同じ組にスローな選手がいた場合、その煽りをくって計測されてしまうという事態が十分にありうるということなのだ。

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2日目も計測された。年間10回計測されると罰金2万ドル!Shocked
Photo/JJ Tanabe

さて、同大会にはJGTOの山中氏がルール委員として任務についていらしたのだが、その山中氏から伝え聞いた話によると、この連帯責任制を改善したのは日本ツアーだというのだ。プロゴルフの世界となると、大抵の事柄は米ツアーが「先進」で日本ツアーは「後進」だ。だが、日本ツアーでは、明らかに「この人が遅い」とわかる場合に限り、スロープレーの連帯責任を解除し、明らかに遅い人だけを計測や罰則の対象とすることになっているのだそうだ。しかも、その「個別制度」が優れているということで、米ツアーは山中氏を招いてレクチャーを受け、米ツアーでも「個別制度」を導入した。

普通なら日本ツアーが米ツアーから「輸入」ばかりしているのに、このスロープレーの「個別制度」だけは米ツアーが日本ツアーから「逆輸入」。日本のゴルフ界に、そんな優れた制度があって、本当に良かったなあと、妙にうれしくなった。

2007年05月15日

そんなにメジャーになりたいの!?

ザ・プレーヤーズはフィル・ミケルソンの堂々たる勝利で幕を閉じた。ミケルソンはこれでメジャー3勝に「第5のメジャー」タイトルも加えたわけで、押しも押されもせぬビッグスターだ。

ところで、この大会が「第5のメジャー」と呼ばれているのは、ご存知の通り。呼ばれているというより、正確に言うと、主催していてPGAツアーが人々に「呼ばせている」ようなもの。そして、「メジャー」の仲間入りをしたいがために、ツアー側が尽くすあの手この手は涙ぐましい。

開催時期を従来の3月からこの5月に移したのは、3月の雨を避けるためだと言われているが、本当の目的は、4月のマスターズと6月の全米オープンの間にもってきて、「メジャーが続けざま」という状況を作りたかったからだ。初めて5月に開催された今年は、賞金総額が開催直前に1ミリオンも上乗せされ、金額だけは既存の4大メジャーより上を行く状況も作り上げた。

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(前年度優勝者からのトロフィー授与は、「マスターズ」風?)

が、そんなことより、もっと涙ぐましい努力もある。全米オープン最終日が毎年「父の日」と重なり、選手と父親の家族愛の秘話が優勝秘話に加えられて話題になるのを参考にしたのだろう。ザ・プレーヤーズ最終日は「母の日」と重なるように設定されていたのだ!おかげで、最終日にはいろんな選手の母親があっちにもこっちにも。優勝したミケルソンのママの姿もあった。

我々メディアへのお土産は、大きな旅行かばん。キャディたちにもお土産パッケージが配られ、選手たちのクラブやボールの世話をするメーカーのツアーレップたちにも、休憩したり食事したりする場所が新たに設けられるなど、とにかくこの大会は、あらゆる関係者に「いい思い」をしてもらうことで、「メジャーっぽく、盛り上げてね!」という願いを切に訴えかけていた。

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(表書式ではケニーGが生出演し、生演奏を披露。豪華演出は「全米プロ」風?)

そんなPGAツアーの努力を目の当たりにしながら過ごした1週間。毎朝、車でTPCソーグラスに通うとき、必ず出くわすチケット売りのダフ屋の姿を見て、ふと思った。この光景、マスターズのチケットを売るオーガスタのダフ屋たちの姿と似ているけど、ひょっとしてこれは、ザ・プレーヤーズをマスターズっぽく見せるための演出ではないか?ダフ屋はPGAツアーに雇われたサクラ?まさか……いや、本当かも?

そんなことまで想像してしまうほど、PGAツアーは一生懸命。いつしかこの大会が「メジャー」と認識され、4大メジャーが5大メジャーになる日が来る……かもしれない。でも、それは20年ぐらい先のような気がしてならない。

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(18番グリーン上ではなく、クラブハウス前で表彰式を行うのは、昔の「全英オープン」風というところか?)
Photo/ JJ Tanabe

2007年05月12日

ジョーズなバッグ!?

「こんなの初めて見たぞー!」と、選手やキャディもびっくり。もちろん、ギャラリーもびっくりしたのは、漫画ちっくなサメが描かれたゴルフバッグ。しかも、「第5のメジャー」と呼ばれ、選手たちのプレッシャーも増大しているザ・プレーヤーズの会場に、こんなコミカルタッチのバッグがいきなり登場したのだから、目を引いたことは言うまでもない。

このバッグは、スリクソンが同大会のために作った特別仕様。その目的を同社のツアーレップに尋ねてみると、こんな答えだった。「他のメーカーは全米オープンなどのメジャーに合わせて特別仕様のバッグを作っていますよね。でも、この大会用の特別仕様は作っていないので、ウチはそこを狙って作ったんです。スリクソンが大会に合わせて特別仕様のバッグを作ったのは今回が初めてです」

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なるほど。他メーカーの間隙を縫い、4大メジャーではなく第5のメジャーを狙い目にしたというわけだ。だが、どうしてサメなのか?「ウチの会社の宣伝でサメのキャラクターを使っているし、サメはアメリカ国民にとっては、親しみやすいキャラクターですからね」とのこと。

サメが親しみやすいキャラ?これは初耳だ。映画「ジョーズ」に出てくるサメは、親しみやすいどころか怖いという印象だし、あの顔、どう贔屓目に見てもかわいいとは思えない。だが、言われてみれば、確かにサメっぽいキャラクターがアメリカの宣伝や広告のあちらこちらに出てくるのは事実かもしれないし、今回のスリクソンのバッグに描かれているサメは、結構キュートだ。アメリカ人にとってのサメは、日本人にとってのクマちゃん?ウサギちゃん?ってところだろうか。

ともあれ、この「サメバッグ」を従えてプレーしているスリクソン契約選手の成績はどうかといえば、2日目の途中の段階で、看板選手のジム・フューリックは現在9位タイ、ロバート・アレンビーとジョン・ローリンズは予選通過が危ういけれど、2人の選手がそこそこ上位なら、「サメバッグ」効果は、なかなかのものだ。

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スリクソン契約選手のジョン・ローリンズ
Photo/JJ Tanabe

2007年05月09日

新装オープン!TPCソーグラス

「第5のメジャー」と呼ばれるザ・プレーヤーズが今週開催される。今年の目玉は変化づくしのコースとクラブハウス。この13ヶ月間を費やし、コースもクラブハウスも大改修が行なわれ、装い新たに今週を迎えたのだが、果たしてこの改修が選手や関係者から褒められるのかどうかは、今のところなんとも言えない。

まず、クラブハウス。以前はフロリダらしい鬱蒼とした木々に囲まれたグレイ風の落ち着きのある建物だった。しかし、ベールを脱いだ新クラブハウスはオレンジ基調の妙に明るい建物。驚くなかれ、32ミリオン(3200万ドル=約38億円)をかけて改修され、7万7000平方フィートという巨大な建物になったのだが、なんとなくその明るい雰囲気が周囲から「浮いている」のだ。

TPCソーグラスといえば、米PGAツアーの本部がある場所。その意味でも、荘厳さや伝統の趣が感じられた以前のクラブハウスはムードがとってもマッチしていたのだが、新クラブハウスは、なんだかバブリーな感じで、どうも……。

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(18番ホールのギャラリースタンドのむこうに、クラブハウスが見える)

コースのほうは12ミリオンをかけて改修され、全長が合計200ヤード伸ばされた上、かの有名な17番の浮島グリーンも芝をはりかえ、一層難しくなるよう手が加えられた。

その17番を終え、18番のティに立つと、左サイドに広がる池の向こう側に、オレンジ色のクラブハウスが望める。だが、その姿は「第5のメジャー」開催コースのクラブハウスというより、タイガー人気に乗じた米PGAツアーの成金趣味が溢れかえっているように感じてしまうのだ。

選手たちの評判はどうかといえば、とりあえずPGAツアーに気を遣っているのか、「でかいクラブハウスで迷子になりそうだ」なんて言葉しか聞こえてこない。

しかし一番問題なのは、新しいクラブハウスの好き嫌いより、改修されたコースが試合においてどんな展開を生むか、であろう。ちなみにタイガーは、「いいコースだけど、あの17番が、17番目にあること、あるいは試合の71ホール目にあることは、あんまり好ましくない。あまりにも(試合展開や優勝争いに)劇的な変化を与えすぎる。あのホールは、せめて8番ホールあたりに位置づけられるほうがよいかも」と、いきなり言ってしまった。

王者の言葉には、さすがのPGAツアーも何も反論はできないだろう。なぜって、これほどの大改修ができたのは、タイガー人気という牽引力によってゴルフ人気が高まり、PGAツアーが潤っているからだ。ともあれ、今週の試合展開が楽しみだ。

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(トーナメントのロゴマークも一新された)
Photo/ JJ Tanabe

2007年05月05日

J・デーリー、またまたお騒がせ?

ジョン・デーリーと言えば、毎度毎度のお騒がせ男なのだが、そのデーリーが熱演したテレビCMをアメリカのキー局CBSが放送拒否するという騒ぎが起きている。

問題のCMは、マックスフライのゴルフボールの宣伝。マックスフライの契約選手として、そのロゴの入ったキャップを被っているデーリーは、CMの中で、ゴルフカートに乗り、自ら運転している。そこまでは何の問題もない。それじゃあ何がいけないのか?それは、デーリーが運転しながら手に持っているドリンクだそうだ。

このドリンク、マックスフライ側の説明は「中身はジンジャーエールだ!」ということなのだが、CBS側はこれがビールに見えると主張。アルコールを手にしながらカートを運転しているシーンは、CBSの放送ガイドラインに抵触するということで放送を拒んでいる。

うーん、ドリンクの中身がビールなのかジンジャーエールなのか。それは、撮影現場の人間にしか、もはやわからないこと。映像だけを見ている限り、確かめようがない。が、それより何より、もしこれがデーリーではなく他の選手だったら、こんな問題は起こらなかったのではないかと思えて仕方がないのだ。

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Photo/JJ Tanabe

デーリーは、かつてアルコール依存症で施設に入ったこともある。そういえば、その施設から出て、ツアーに復帰したばかりのころ、彼が試合会場の練習場の裏に一人でいるところを発見し、何気なく近寄っていったことがある。デーリーはコーラの缶を手にしていたのだが、私が近寄ると、その缶をなぜだか隠すように背中側に回した。あのときも、ひょっとすると缶の中身はビールだったりして……なんて、ついつい勘ぐってしまったのだけれど、まあ、デーリーには、そんなふうにお酒が付きまとうイメージがある。

だからと言って、そんなデーリーを酒びたりだと非難する気にはまったくならないところが不思議。むしろ、そんなデーリーだからこそ、絶大なる人気を誇っているように思うし、実際、私も彼のキャラクターは大好きだ。

しかし、そんなイメージがあるがゆえに、今回の放送拒否なんぞが起こるのは気の毒だ。もちろん、「気の毒」というのは、中身がビールではなくジンジャーエールだった場合にのみ当てはまる言葉ではあるが、ともかくデーリーは、何をやっても「お騒がせ君」になってしまう。でも、お騒がせの出来事と無縁になったデーリーなんて、きっとつまらない……と思ってしまうのは不謹慎だろうか?私は、デーリーにはいつまでもデーリーらしくいてほしいなあと願っている。

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Photo/JJ Tanabe

2007年05月03日

オチョアの世界一は「コンセンサス」

先週は久しぶりに日本へ一時帰国。昨日、NYに戻ったのだが、ちょっとお休みしていると、すぐさまゴルフ界に動きが出るから、うかうかしていられない。日本にいる間に、女子ゴルフ界の世界ランクは首位がアニカ・ソレンスタムからロレーナ・オチョアへ入れ替わり、新時代が到来しているのだ。

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みんなが認めた“女王”ロレーナ・オチョア

世界ランクに関しては、男子も女子も、それぞれ問題がないわけではない。世界各国のプロツアーのレベルを同一基準で測ろうとするところに根本的な問題があり、選手や関係者の間では常に不公平感が渦めいている。中でも、女子のランクは06年2月に立ち上げられたばかりの新生ランクで、まだまだ改良の余地は多分にある。そして、当初からミッシェル・ウィーの位置づけなどが物議を醸した。

だが、オチョアの首位に関しては、誰も文句は言わないだろう。なんせ彼女は昨季年間6勝を挙げ、賞金女王の座を手に入れたのだし、対する旧女王アニカは不調と故障で欠場中。旧女王の陰りは明らかだし、新女王の躍進は目覚しいわけだし、これじゃ文句のつけようがない。オチョアの世界ナンバー1の座を報道する米ゴルフ雑誌には「コンセンサス No.1」という見出しが付いていた。そう、オチョアの首位は世界のコンセンサスなのだ。

それじゃあ、コンセンサスが得られていない順位は何か?問題のミッシェル・ウィーは、両手首の故障でこれまた欠場中。彼女のランクは現在20位まで下がっており、これでもまだ高すぎるという声もあるけれど、まあ、20位ぐらいまで下がれば妥当であろう。ウィーの次なる出場は5月末から6月初旬にかけてのギン・トリビュートの予定。そろそろ試合に出ないと、世界ランクのみならず、メインスポンサーのソニーにも見放されてしまう。決断の早いソニーは、なかなか勝てず、おまけに欠場となり、ふょっと太めになりつつあるウィーに、しびれを切らし始めている……なんて噂も囁かれていること、ご存知だろうか?

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今年、メジャーのナビスコ選手権に出場した大山志保
Photo/JJ Tanabe

コンセンサスが得られていない順位の中には、日本人選手の位置づけも含まれている。宮里藍の8位にも批判の声はあるが、ほとんど世界の舞台に立っていない大山志保の11位はかなりおかしいと一部の選手や米メディアから首を傾げられている。日本ツアーの評価が高すぎるという問題は、男女双方において長年続いている「世界の不思議」。いやいや、別に不思議なことではなく、背景にある大国日本の経済力や政治力を考慮した結果なのだが、それが選手個人個人の評価に直結してしまうのでは、小国出身選手があまりにもかわいそう。

そんな中、経済力では大国とは決して言いがたいメキシコ出身のオチョアが世界ナンバー1になったことは、いろんな意味で喜ばしい。これぞ真の実力による世界一。だから彼女の首位は「世界のコンセンサス」なのだろう。やったね、ロレーナ!

2007年04月18日

続・モーガンちゃん

先日、クラフト・ナビスコ選手権で優勝したモーガン・プレッセルのクラブが、カリフォルニアからフロリダへの帰路の飛行機で紛失した話をお伝えした。その後、モーガンちゃんのクラブは、やっぱり発見されてはおらず、もうこれは間違いなく盗難である。

それにしても、18歳で史上最年少のメジャーチャンプに輝いたばかりのモーガンちゃん、実はクラブ盗難騒ぎに前後して、あれやこれやと良からぬことが起こっていたそうだ。

手始めは、優勝した夜のこと。親しい人々ばかりが集まっての優勝パーティを開くため、モーガンちゃんらが頼んだフードデリバリーが、待てど暮らせど届かず、やっと届いたのは夜の10時過ぎ。そろそろパーティもお開きにしようかというころに、間抜けなデリバリーが届き、「まったく、もー!」となったわけだ。

で、翌日、気を取り直して飛行機に乗り、家路に着いたところで、今度はクラブの盗難に遭った。そして、その翌日、車に乗って出かけようとしたら、なんとタイヤがパンク!まったくもって、泣きっ面にハチ状態だった。かわいそうに……。

取り急ぎ、無くなったクラブの代用品集めのため、キャロウエイのロジャー・クリーブランド氏はマスターズウィークもモーガンちゃん専用のウエッジの「再現」に必死だったそうだ。が、一番問題なのは、彼女がすでに1年以上も愛用してきたフュージョンFT-3ドライバーである。長期間、使い込んでいればいるほど、その感触は手や体、脳に刻み込まれているからだ。

モーガンちゃんのコーチ役でもあるオジイチャン(祖父)は、「1ヶ月後ぐらいに、モーガンのクラブはeBayに出てくるんだろうなあ……」と諦め顔。そうなったとき、モーガンちゃんは自分のクラブを取り戻せるのだろうか。本人でも、競り落とさなければいけないのだろうか。ものすごく不合理な話だが、もしも競り落とさなければいけないとしたら、彼女はナビスコの優勝賞金を全額はたくことになっても取り戻すような気がする。窃盗品がオークションにかけられ、持ち主が発見した場合、どうなるのだろう?このあたりの法律に詳しい方がいたら、是非、教えてください。

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ナビスコ優勝時=ShockedVery HappyWinkEVERYTHING WENT RIGHT!(すべて上手く行ったわ!)

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ナビスコ優勝後=Crying or Very SadSadEvil or Very Mad EVERYTHING GOES WRONG!(悪いことばっか!)
Photo/JJ Tanabe

2007年04月17日

元祖「2本のドライバー」は、この人だ!

NYには無数のイエローキャブが走っている。取材のときは走り回るせいか、NYに戻ると、いきなり怠惰になる私は、マンハッタン内でよくタクシーに乗ってしまう。つい先日、タクシーに乗ったときのこと。運転席のヘッドレストの真後ろに運転手の名前が大きく記された身分証明書のようなものが貼ってあるのだが、そこに書かれたドライバーの名前は「Singh」。NYのタクシー運転手にはインド系の人が多く、そんな彼らの多くが、この「シン」という苗字なのだ。

マスターズの興奮もそろそろ冷めてきたころなのだが、そのタクシー運転手の「Singh」を見て、思い出した。そうそう、マスターズには2人の「Singh」が出ていたなあ、と。1人は、ビジェイ・シン。そして、もう1人はジーブ・ミルカ・シンだ。

この2人が最終日に同組でラウンドしたこと、ご存知だろうか。滅多にない組み合わせゆえ、オーガスタのパトロンたちの間では、なかなかの話題になっていった。なぜって、ホールの途中途中に掲げられるプレー中の選手のスコア表には、ご覧のように「Singh」が並んでいたからだ。この写真は米ゴルフ雑誌に掲載されていたものを転写したのだが、そう、米ゴルフ雑誌でさえ、ちょっぴり面白がるほど珍しい顔合わせだったのだ。

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米ゴルフウィーク誌に紹介されたスコア表。

さて、私がタクシー運転手の名前を見て思い出したのは、実を言うと、この2人が一緒にラウンドしたという事実ではない。思い出したのは、「2本のドライバー」の話。

2本のドライバーといえば、まず思い浮かべるのは、言うまでもなくフィル・ミケルソン。だが、このジーブ・ミルカ・シンもまた2本のドライバーをバッグに入れているということを、私は今年のマスターズで初めて知って驚いた。なぜ知りえたのか。それは、彼がマスターズ初出場ということで、今年はインド人記者が3人ほど、初めてマスターズ取材に入り、彼らと2度ほどメディアセンターの席がお隣になったから。上手に英語を話すインド人記者と話をしているうちに、2本のドライバーの話になっていった。

私「えっ?ジーブはドライバーを2本入れているの?」
インド記者「そうです。1本はテーラーメイドのバブルシャフト。もう1本はキャロウエイの古いモデルです」
私「そのテーラーメイドのほうも、かなり古いと思うけど?」
インド記者「そうです。90年代の中ごろから使っているドライバーです」
私「ミケルソンはドローとフェード、あるいは距離の打ち分けのために2本使っているけど、ジーブは?」
インド記者「ジーブは、1本はティショット用、もう1本はフェアウエイから打つ用です」
私「ああ、ジカドラかあ……」
インド記者「ジカドラ?」
私「ああ、それはいいの。で、ジーブはいつから2本を使い分けているの?」
インド記者「96年からです」
私「ええっ?そんなに昔から?じゃあ、ミケルソンなんかより、ずっと前から?」
インド記者「そうです。2本のドライバーはジーブが元祖ですよ」
私「じゃあ、ミケルソンはジーブの真似をしたのかな?」
インド記者「それは……どうなんでしょう。わかりません。ミケルソンに聞いてもらえますか?」
私「えっ、私が聞くの?聞いても、はいそうですなんて答えないわよ」
インド記者「そりゃそうですね」

と、こんな会話を交わした。まあ、ミケルソンがジーブからアイディアをもらったのかどうか、そんなことはどっちでもいい。私が興味を抱いたのは、そんなことではなく、ジーブの2本のドライバーが2本とも「古い」ということ。そのオールドファッションのドライバーで、ジーブは今年のオーガスタでなかなかの活躍をした。最終日に79を叩き、37位に後退して終わったが、少なくとも3日目までは優勝戦線の中に身を置いていた。一方、最新テクノロジーを駆使して開発され、さらに特別な調整まで施されている2本のドライバーを使いながら、ミケルソンはタイトルディフェンドに失敗した。これは、なんたることだろう……そんなことをオーガスタで感じた瞬間があった。その瞬間の記憶が、タクシー運転手の「Singh」を見たときよみがえったのだ。

だが、このことを書こうとして、あらためてマスターズの最終成績を眺めたら、ミケルソンは24位。結局、ジーブより上位だったから、これまた不思議な気分になった。そうか、途中まで頑張っても、やっぱりゴルフは上がってナンボ。4日間を通じてナンボだ。初出場のインド人ジーブより、経験値の高いミケルソンのほうが、最後には上に行っていた。その差は、突き詰めれば、やっぱり最新ドライバーと旧式ドライバーの差でもあるのだろうか……またまた、謎が増えた。

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元祖はどっち?こちらはミケルソン。
Photo/JJ Tanabe

2007年04月14日

メジャーチャンプのクラブが消えた!

米女子ツアーの今季初メジャー、クラフトナビスコ選手権で優勝し、史上最年少のメジャーチャンプに輝いたモーガン・プレッセル。しかし、いいことの後には悪いことがある?天にも昇る気分でパームスプリングスから自宅のフロリダへの帰路、飛行機に預けたゴルフクラブがバッグごと消えてしまったのだそうだ。今のところ、まだ彼女のクラブは発見されておらず、米ゴルフ雑誌などは、かわいそうに「モーガン・プレッセルのクラブは今のところ、eBayには出てきていない模様」なんて報道までしている。

今週のギンオープンで、プレッセルは予選落ち。やっぱり、振り慣れたクラブじゃないと調子も出ないというものだろう。

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同じ形のクラブはあるけど、感触は戻るか?Confused
Photo/JJ Tanabe

飛行機に預けたクラブが紛失という話を聞くと、米ツアーに参戦していたころの田中秀道を思い出す。彼のクラブもプレッセルのクラブ同様、飛行機搭乗の際に預けた後、紛失。その後、田中は同タイプのクラブを契約先のテーラーメイドから受け取ったものの、慣れ親しんだものとは「どこかが違う」「何かが違う」と感じ、削ったり、鉛を貼ったり、あれやこれやと四苦八苦。「あの感触はどこへ行ったんだ?」という憤懣やるかたない思いのまま、無くなってしまったクラブのフィーリングを求めて試行錯誤を続けているうちに、どんどんスウィング感覚まで失い、あの大スランプに陥った。最終的に田中が米ツアーのシード権を失うまでになった元凶は、あのときのクラブ紛失事故。それを思うと、今回のプレッセルのクラブ紛失にも、なにやら不吉なものを感じてしまう。

もっとも、クラブに対する割り切りが早い選手なら、田中ほどのダメージは受けないだろう。問題は、プレッセルの割り切りが早いかどうか、である。印象からすれば、プレッセルは勝ち気で強気だから、「新しいクラブでも、私は平気よ」という具合に割り切ってくれそうな気がしないでもない。だが、プロにとってクラブの感触というものは微妙ゆえ、どこまで割り切れるかはなんとも言えない。彼女のクラブがひょっこりどこかの空港から出てきてくれれば問題ないのだが、メジャー優勝した直後のクラブ紛失というのは、あまりにもタイミングが良すぎて、「紛失」ではなく「盗難」の可能性大だ。そうなると、このアメリカ社会で彼女のクラブが出てくる可能性は限りなくゼロに近い。となると、あとは彼女の気持ち次第、対応力次第ということになる。せっかくメジャー優勝を飾ったのに、このことで成績が下降してしまったら、元も子もない。モーガンちゃん、すっぱり割り切って、新しいクラブでもがんばれ!

2007年04月12日

それぞれの戦い

今年のマスターズはザック・ジョンソンの優勝で幕を閉じた。日本的には、まったく無名のジョンソンだが、実は私にとっては結構馴染みの深い選手だったため、終盤は心の中で「ザック、行け行け!」を連発。もう、あの展開になったら、どうしてもジョンソンに勝ってほしかった。

ジョンソンは04年から米PGAツアー参戦を開始した選手だが、その前年はネイションワイドツアーで賞金王、パットランク、オールアラウンドランクの三冠を達成。それゆえ、04年はなかなかの鳴り物入りでPGAツアー入りした選手だ。そのとき、キャディのデーモン・グリーンは、長年の付き合いだったスコット・ホークから突然ジョンソンに乗り換え、これまたなかなかの話題になった。

が、その後のジョンソンは1勝を挙げたものの、あんまりぱっとしない成績続き。ジョンソンはジョンソンで、ネイションワイド時代の栄冠はどこへ行ってしまったのだろうかと苦しみ、デーモンはデーモンで「だからスコット・ホークのバッグを担いでいればよかったんだよ」という「ざまあみろ」の批判に耐え、じっと我慢の戦いを続けてきた。そんな背景を知っていたがゆえに、私としてはどうしても彼ら2人にマスターズ勝利の栄冠を勝ち取ってほしかったのだ。

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キャディのデーモン・グリーン。

優勝が決まった途端、メディアセンターを飛び出し、18番グリーン脇に走った。彼らに「おめでとう」が言いたい一心で--。さすがにジョンソンは、テレビや関係者にすでに抑えられ、その場で声をかけることはできなかったが、デーモンはクラブハウス前のインタビューエリアに半分呆然とした顔で立っていた。「やったね、おめでとう!」すると、デーモンは口ひげを上下させながら、「ありがとう。いやー、ホントにありがとう」と、うれしさを他の言葉にすることもできず、ありがとうばかりを連発。よっぽど、うれしかったのだろう。

試合の影には、4日間のプレーそのもの以外にも、そこまでの経緯や心情、環境を含めたいろいろな戦いがある。戦いというより、葛藤という言葉のほうが適切かもしれない。そして、みなさんにはあまり馴染みがないかもしれないが、メディア間の戦いというのも当然ある。もちろん、その戦いとは、他の誰も知らない情報を密かにゲットするという戦い。これを抜きにして、メディアの仕事の醍醐味はないと私は思う。

そういえば、あれはマスターズ初日。7オーバーでホールアウトした片山晋呉を日本人メディア10数人が囲んで取材した直後のこと。サウスカロライナ州の地元TV局のレポーターに呼び止められ、逆取材を受ける羽目になった。普段、取材する側の私としてはテレビカメラを向けられると、ちょっぴり緊張もするのだが、投げかけられた質問はいきなり、こんな内容。「日本のメディアは全員で1人の選手を囲み、同じコメントを全員で聞いて、それで日本の媒体間の競争は一体どうなっているのですか?」。

思わず苦笑してしまった。アメリカ人にしてみれば、日本のメディアの共同取材が、よほど奇妙な光景だったのだろう。で、私の返答は、こんな感じ。「取材陣の人数が多いので、一社一社が個別にインタビューしていたら、選手は何度も同じ質疑応答を繰り返すことになり大変です。だから、まとめて一緒に取材する。そのやり方はアメリカ人メディアのタイガーに対する共同取材と同じでしょ。でも、共同取材で聞いたまんまを記事にするだけなら、そりゃメディア間の競争はゼロに等しくなる。自分ならではの視点で分析し、自分ならではのとっておき情報を加え、それで記事にするところに競争が成り立つのです」

われながら、うまく答えられたと思ったのだが、TV局の彼らは最後まで、成績が下位の選手なのに大勢の日本人メディアが囲むというところに疑問を持ち続けた。「日本から2人しか出ていないから」と答えても、「でも、成績が悪い選手のあれこれを日本にいる人たちは本当に知りたがっているの?」と反撃してきた。「知りたがっていると思いますよ。日本から2人しか出ていないんだから」。そこから先は、同じ問答の繰り返しで、ラチがあかず、彼らも質問を変えたが、答えながら私もだんだん疑問に思えてきた。うーん、日本のゴルフファンたちは、実際のところ、日本人選手の一挙一動をどこまで知りたいと思っているのだろうか……。

ともあれ、マスターズという場には、選手、キャディ、関係者、メディア、いろいろな人たちのそれぞれの戦いがあった。それぞれの思いがあった。一番幸せだったのは、そんな戦いを楽しんで観戦したパトロンやギャラリーたち。やっぱり、ゴルフの試合は、純粋に観戦するのが一番いい。

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クラブハウス前のインタビューエリアで日本人選手を待つ日本の報道陣たち。
Photo/Sonoko Funakoshi

2007年04月05日

うれしそう!

いよいよ、マスターズウィーク。お祭りムードいっぱいのオーガスタだが、うれしさモードいっぱいなのは、なんと言っても、初出場の谷原秀人だ。2年前まで米ツアーで苦しんでいた谷原が、昨年の全英オープンで一気に上昇気流に乗り、今年はとうとう夢のマスターズへ。練習ラウンドを終えた谷原に近寄ってみたら、「こんにちわ!お久しぶりです!」と、それはそれはうれしそうに声をかけてきた。

生まれて初めて通ったマグノリアレーンに感動し、テレビで何度も見て目に焼きついていたオーガスタを自分の足で歩き、球を打つ。そのうれしさを素直に表す谷原を見ていたら、心底、応援したくなる。

パー3コンテストでは実の姉のさおりさんがキャディを買って出た。最後の9番ホールでは、ピン50センチにつけ、バーディパットをさおりさんがドキドキ顔で沈めた。いい思い出になるだろう。開幕前ののどかな風景を眺めていると、なんだか平和な気持ちになった。

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Photo/Sonoko Funakoshi

さて、うれしそうなのは選手ばかりではない。初めてマスターズを取材する日本人メディアも、やっぱり感動するもの。クラブハウスの前にマスターズフラッグが立った記念写真撮影の場があるのだが、ギャラリーに混じってメディアも列につき、ちゃっかり記念撮影をしていた。ご覧の写真に写っているのは、左から日刊スポーツの木村記者、朝日新聞の畑中記者、そして読売新聞の高岡記者。撮っているのは私。私はマスターズ取材は初めてではないけれど、こんなふうにギャラリーに混じって記念撮影の場に並んだことは今まで一度もなかったので、やってみると、これがなかなか楽しい!(笑)

取材とはいえ、少しは楽しみながら仕事したほうがよいのかな、なんて思えるひと時だった。

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左から木村記者、畑中記者、高岡記者。
Photo/ Sonoko FunakoshiVery Happy

2007年04月04日

女子プロの進化したオシャレ

ゴルフが進化したといわれる昨今、確かにゴルフはパワーゲームとなりつつあるけれど、進化したのはそれだけじゃない。顕著な進化--それは、女子プロたちのオシャレぶりだ。

クラフトナビスコ選手権で目にした朴セリ。優勝とグランドスラム達成を期待されながら、最終日にスコアを落としてしまったのは残念だったが、そんな中でも朴がかわいらしいオシャレをしていたのが目についた。ポニーテールの結び目にカラフルなティペッグが数本。一時期、アメリカ女性の間で、日本のお箸をさして髪を止めるオシャレが流行っていたことがある。日本のお箸はアメリカでは高価なものだから、あんまりお金のない学生たちは、お箸の代わりに鉛筆をさしていたりした。朴の場合、このティペッグで髪を止めているわけではないが、ともあれ、かつてはスウィングロボットのようだった朴にこんなオシャレ心が芽生えていることが、ちょっぴりうれしかった。

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オシャレといえば、日本の選手はとにかくオシャレ。宮里藍は毎日のようにウエアとピアスとサングラスのフレームの色をコーディネイトしているのが、女の子らしくてかわいかった。そして、オシャレの極めつけは、横峯さくら。彼女の場合は、オシャレというより、お化粧がすごい。何がすごいって、ランチョミラージュの暑さの中でラウンドしたあとも、まったく崩れていないあのメーキャップ技術に恐れ入ってしまった。選手を囲む取材の場で、女性記者や女性カメラマンと横峯のメークの話題になった。「どうして、あそこまで崩れないんだろうね?」「どんな化粧品を使っているのか教えてほしい」「マスカラがピンピンだよね」「できれば、アイラッシュは真っ黒じゃなくてダークブラウンぐらいのほうが、白い肌とのコントラストがつきすぎないで、いいんじゃないの?」なんて会話。こんなに女子プロのメークが注目されるのは、まさに時代の変化。かつての女子プロといえば、メークやオシャレとは無縁のような雰囲気だったのだから。

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クラフトナビスコ選手権は、やっぱりオシャレでかわいいモーガン・プレッセルが初優勝をメジャー優勝で飾った素晴らしい大会だった。

そして、今週は男子のメジャー、マスターズ。こちらは男子プロたちのオシャレではなく、彼らの熱い闘志とハイレベルな技術が楽しめそう。誰が優勝するのか。今から楽しみで仕方がない。

C. Kim
この方のおしゃれも、参考になります?クリスティーナ・キムShocked
Photo/JJ Tanabe

2007年03月31日

エンジンとアクセル

米女子ツアーのメジャー第1戦、クラフトナビスコ選手権はすでに2日目が終わった。昨季賞金女王のロレーナ・オチョアとともに首位に並んでいるポーラ・クリーマーを見ていると、やっぱりエンジンのかけ方とアクセルの踏み込み方が上手いなと感じさせられる。

クリーマーは、今季の開幕前、早く試合に出たくてミニツアーに自ら出場した。スポンサー契約などまるでない下積み選手たちに混ざって、企業のロゴがあちらこちらについているピンク一色のクリーマーが出たその試合は、さぞかし奇妙な雰囲気だったのだろうと、想像しながら笑ってしまう。が、クリーマー自身は、一流選手ぶりをひけらかしに行ったわけではもちろんない。たとえミニツアーでも、プロの試合に変わりはなく、そこに出て、少しでも早くエンジンをかけたいという一心だったのだ。ちなみに結果は2位。

その直後に臨んだLPGA開幕戦でクリーマーはいきなり優勝した。ミニツアーでまずエンジンをかけ、自分の本来の土俵に立ったら、すぐさまアクセル全開。これぞプロだと感心させられる。

一方で、エンジンがなかなかかからず、「クラブを握るのも久しぶりなので……」なんて戯言を口にする選手も中にはいる。オフにゴルフから完全に離れてリフレッシュするのも一つの手だが、その状況を言い訳に利用するのでは目も当てられない。どこでエンジンをかけ、どこでアクセルを踏み込み始めるか。その判断ができなければ、開幕からガンガン好成績を出すことはできないだろう。

自分のツアーで試合がないなら、外に出て試合に出る。そんなクリーマーの姿勢を見習ったら、もっといいスタートが切れるのに……と反省すべきは、さて、どこのどなたたちでしょうか?エンジンもかからず、アクセルも踏み込めない状態を作り出している責任は、ツアーのみならず選手自身にもあるはずだ。

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パワー全開でプレーするクリーマー。ファッションも気合入ってる!
Photo/JJ Tanabe

2007年03月28日

ナイキのスクエアドライバー回収騒動

昨秋、米ツアーにセンセーショナルな登場を果たした2つのスクエアドライバーといえば、ナイキのSumo2
とキャラウエイのFt-i。しかし、ナイキのSumo2は、早くも回収騒ぎになった。

ナイキはもちろん、USGAの認可を昨年10月に取った上で、このドライバーをデビューさせたのが、最近になって、スプリング効果(Spring-like effect)が規定を超えているものがあるとわかり、3月16日に違反ドライバーが混じっていることを公けにした。

問題は、これによって何が起こるか、である。まず頭に浮かぶのは、すでにSumo2を使用して米ツアー優勝を果たしたチェ・キョンジュのあの勝利はどうなってしまうのか、である。だが、ナイキいわく、ツアープロ用のSumo2は、すべて規定範囲内の合法クラブだとのこと。つまり、チェの優勝には何ら問題がないということで、ひとまず安心した。

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昨年10月にナイキSUMOを使用し優勝したチェ・キョンジュ。
Photo/JJ Tanabe

次に頭に浮かんだのは、すでにこのドライバーを購入した消費者はどうなるのか、である。が、これに対してもナイキの対応はなかなか親切で素早い。購入したショップあるいはナイキ社へ持っていくなり送るなりすれば、合法なSumo2と無料交換を約束。もし、購入後にシャフトを自分の好きなものに交換してあったりという場合は、そのシャフトと同じものを合法クラブに付けて送り返すという気の配りようだ。

ナイキが自ら負担する賠償、損害は膨大なものになるだろう。しかし、アメリカの小売り業界では、この騒ぎがナイキにネガティブなダメージを与えないと見ているから驚く。リテイラーは概して「正直な発表をして真摯に対応しようとする姿勢が逆に好印象を生む」と見ているのだそうで、この話を聞くと、うーん、世の中そういうものかと、頷けるような気もする。確かに、一度はUSGAからOKが出てものだし、それでも疑いの余地がわずかでもあるということで再テストをしたら、いくつか問題点が混じりこんでいるとわかってそれを正すわけだから、まあ、確かにナイキの対応や姿勢は、きわめて真面目だ。

だが、ゴルフ業界全体を見れば、今回の一件で、今後、奇抜な形やデザインが出るたびに、本当に違法クラブではないのだろうかという疑問や猜疑心がプロたちの間でも消費者の間でも、まず沸き起こる可能性が高まったことは事実。メーカー各社はしのぎを削り、我さきにと新技術を採用して商品化していくわけだが、それが合法違法の境界線すれすれを走るだけの競争になってしまったら、一体誰のための何のための商品開発なのかわからなくなる。要するに、消費者不在の競争、メーカー各社間の単なる争いになってしまう。

ゴルフクラブは、メーカーがその功績を競い合うより先に、ゴルファーの満足度を高め、ゴルファーが楽しくプレーできる道具であってほしい。新しいクラブが発表されたら、ゴルファーがその合法性に疑問を抱くのではなく、そのパフォーマンスに夢と希望を抱いてほしいではないか。

今回のSumo2回収騒動、ナイキの事後対策は決して悪くはないが、この騒ぎが意味するものは大きいのではないかと私は思う。

2007年03月23日

がんばらにゃ~!

今週のWGC-CA選手権の初日、日本人選手2人は惨憺たる成績だった。谷原秀人は8オーバーで71位、片山晋呉は9オーバーで73位。初日に70位台なら予選はいけるかも?いえいえ、この試合は出場資格が限定された大会ゆえ、出場者数は73人。つまり、日本の3年連続賞金王は最下位、谷原くんも大きく出遅れてしまったということだ。

もうちょっと、がんばらにゃ~。そう思っているのは、彼ら本人、その関係者、ファン、そして、PGAツアーだ。なぜって、この大会は世界ランクを基準に出場者を決めているわけで、それで出てきた日本人が2人ともこの成績となると、かねてからアメリカツアーの選手たちが不満をもらしている「世界ランクの不平等性」が、ここぞとばかりに浮上するである。

もちろん「世界ランクがおかしい」という指摘の中には、日本ツアーのみならずアジアンツアーや南アツアーも含まれているのだが、その中でもやっぱり日本ツアーは目立つ存在。だから不満をぶつけるターゲットになりやすい。だからこそ、世界ランクを採用し、それに基づいてWGCを開催しているPGAツアーとしては、日本ツアーからやってきた片山や谷原に「世界ランクが示すとおり、なかなかの実力選手です」という姿を見せてもらわなきゃ困るのである。

もっと言えば、谷原に特別招待を授けたマスターズ委員会も彼の活躍を願っているはず。だから、今日の初日の結果を見て、「おいおい、キミ達、もっとがんばらにゃ~!」と心の中で呟いた人は、案外たくさんいたはずだ。

で、私はどうかといえば、心の中ではなく声に出して、「がんばってよ、もっと!」と言ってみました。

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マスターズに特別招待枠で出場する谷原秀人

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WGC・CA選手権初日、最下位となった片山晋吾
Photo/JJ Tanabe

2007年03月20日

飛んでる!

昨日終わった米PGAツアーのアーノルド・パーマー・インビテーショナルは、タイガーの大失速に驚かされた。一体どうしちゃったんだろう、タイガーくん。絶対に何かがおかしい。スウィングやパットのストロークが日によって、あるいは体調や周辺のコンディションによって微妙に狂うことは王者にもあるだろう。けれど、タイガーの今回の狂い方は、2日目にドカーンと出て、3日目はそこそこ、最終日は前半が絶好調に近かったのに後半再びドカーン、だったのだ。これは、微妙な狂いとは言いがたい。絶対にこれはメンタル面の影響だ。ものすごく落ち込むこと、ものすごく気になること、腹立たしいこと、心配なこと、何かが心の中で浮上してはゴルフが狂う、という現象に思えてならない。

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それはそうと、予選落ちしてしまった丸山茂樹。今季はまだ予選通過が2回しかなく、体のほうも左膝まで痛めてしまって、実に気がかり。しかし、いろんな努力をしている丸山の飛距離は、ときどき思わぬロングヒットを見せる。

ドライビングディスタンス計測ホールとなっていた6番ホール。初日の丸山は300ヤードを越える飛びを記録し、一時は3位につけていたのだ。もっとも丸山は午前中のスタートだったから、午後になると、それ以上の距離を記録した選手たちに抜かれてしまったが、平均286ヤード前後の丸山だって、飛ぶときは飛ぶということだ。

願わくば、丸山の心の中も「飛んでる!」という明るい状態になってほしい。丸山には丸山なりの悩みや苦しみがあり、心境はそりゃ複雑なはずだ。現在、賞金ランクは194位。このままだと、ちょっと危ない。とりあえず、今週に帰国し、膝の治療、体のメンテナンスに務めるという丸山。そういえば去年も丸山は春に一時帰国して、親しい理解者たちに会い、元気を取り戻してアメリカに帰ってきた。今年、状況はさらに厳しいけれど、心の持ちようが、きっと彼のゴルフを上向かせてくれると思う。

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この日の最高はA・バデリー。340ヤードを超えていた。
Photo/JJ Tanabe

2007年03月16日

女子プロもギャラリー!

米PGAツアーのアーノルド・パーマー・インビテーショナル会場に女子プロの姿を発見した。米LPGAプロで昨年の日本女子オープン覇者でもあるジョン・ジャン。彼女はベイヒルのすぐそばに自宅があり、今日の初日はクラブ契約先であるコブラのツアーバンに用事があって来たとのこと。

しかし、せっかく来たのだから、ちょっと観戦もして行こうと思い、付いて回ったのは同じコブラの契約プロで昨年の全米オープン覇者ジェフ・オギルビーの組だった。タイガーは見ないの?「ちょっと行ってみたんだけど、人があまりにも多くて全然見えないから、こっちに来たの」

それって、オギルビーの組はギャラリーが少ないって意味にも取れるが、まあ事実だから仕方がない。タイガーを追いかけるギャラリーの数は、どの選手だってかなわない。

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それにしても、女子プロとしては、すでにアメリカ国内でも有名選手のジョン・ジャンなのだが、それでも男子の試合会場に来たら、普通の一ギャラリー扱いだし、本人もギャラリー気分というのが、何とも楽しい。

やはり女子プロのローリー・ケインの姿もあった。ジョン・ジャンと一緒に会場へ来たそうだが、カナダ出身のケインは、同じカナダのヒーローであるマイク・ウィアの組について行ったという。ジャンが一ギャラリーなら、ケインも一ギャラリー。でも、ケインが同郷のウィアを応援しているのに、ジャンはどうして同郷のチェ・キョンジュではなくコブラつながりのオギルビーの応援団に加わっていたのか。それが、ちょっぴりひっかかる……。

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Photo/JJ Tanabe

2007年03月15日

ちょっとやりすぎ!そっくりさん

この写真の人、ご存知だろうか?ザ・ゴルフチャンネルのレポーターのマイク・リッツ氏。試合会場では、おなじみの顔だ。4~5年前だったか、このマイクに「マーク・カルカベキアにそっくりね」と言ったら、「えー、うそだ~。そんなこと言われたことないし、似てないよ」と取り合わなかった。が、それからというもの、たくさんの人から「カルカベキアそっくり!」と言われたそうで、その後は自分がそっくりであることを自覚するようになった。

そして先週。PODS選手権でそのカルカベキアが優勝争いとなった最終日、マイクは茶目っ気を出してカルカベキアと同じ服装でマイク(マイクロフォン)を持ち、最終組について回った。

アーノルド・パーマー招待のプロアマデーだった今日、ベイヒルでマイクに出くわした。すると、マイクはものすごくうれしそうに近寄ってきて、「いいこと教えてあげる!」。えっ?何?何?「先週さあ、カルクの組に彼と同じ格好して付いたんだよ」うん、知ってる。「そうしたらさ、カルクが優勝した直後、いろんな人がオレにおめでとうって言いに来たんだ」だから言ったでしょ、アナタはカルクとそっくりだって。「しかもさあ、ずっとあの組について歩いていたスコアラーのおばちゃんまでもが、アテストテントのあたりでオレにおめでとうって言って握手を求めてきたんだぞ」えー?ウソー?「ホント、ホント。もうおかしくておかしくて」

それにしても、わざわざ同じウエアまで着込んでいたのだから、この出来事、偶然起こったわけではなく、マイクが最初から期待していたことが期待通りに起こったってことだろう?そう考えると、茶目っ気があって面白いけど、うーん、ちょっぴり、やりすぎかも……。ま、いいか。

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マーク・カルカベッキア

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マイク・リッツ
Photo/JJ Tanabe

2007年03月10日

こんなところに物置?

今週、フロリダ州タンパで開催されている米PGAツアーのPODS選手権。この大会は昨年までクライスラー選手権という名前で親しまれていたシーズン終盤の試合だが、今年からタイトルスポンサーがPODSに変わり、開催時期も3月に繰り上がった。

ところで、スポンサーのPODSって何の会社なのかというと、これは日本で言えば、イナバ物置というところだろうか。アメリカで物置を売っている会社だ。

で、試合会場の18番グリーン周辺というと、大抵の場合はタイトルスポンサーの看板商品がディスプレイされるもので、昨年まではクライスラーの車がデーンと飾られていた。だが、今年は、大きなリーダーボードの前に、なんと物置が!!!

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18番グリーンの風景。なんでこんなところに物置が?

いくらスポンサーが物置の販売会社だからって、さすがにこの位置に物置が置かれているのは変だ。なんと言っても、見た目が格好悪い。いや、いいとか悪いとかじゃなくて、とにかく違和感があると思いませんか?

おまけに、この物置のせいでリーダーボードの一番下の選手名が見えないではないか!うーん、こうなってしまうと、タイトルスポンサーの商品をディスプレイしていることが逆効果であろう。センスのなさ、気遣いのなさが露呈してしまう。もうちょっと考えてちょーだいよ、PODSさん。

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フロリダ名物のワニ登場!選手もびっくり!
Photo/JJ Tanabe

2007年03月08日

異例の記者会見

今日、アメリカで異例の記者会見が行なわれ、その様子がCNNヘッドラインニュースでライブで放送されるというこれまた異例の事態が起こった。映し出されたのはタイガー・ウッズ。だが、何のための会見なのかが、なかなかはっきり説明されないまま、ただただタイガーがしゃべっている様子が映し出されたため、初めて内容を聞いた視聴者は、「えっ?何、これ?何の話をしているの?」ってな具合だったと思う。

とりあえず私は見当がついていたから、ああ、ついに来たか、という感じではあった。何の話かといえば、これはタイガー・ウッズがホストするトーナメントのPGAツアーの試合としての開催が決定したことに対する異例の記者会見。過去21年間、親しまれてきたジ・インターナショナルが今年急遽、なくなることが決まり、7月第1週に穴が空きそうになっていたのだが、その穴を埋めることになったのが、タイガー・ウッズ主催のこの新しい大会。ワシントンDCエリアで7月4日の独立記念日を含む週に開催となるため、アメリカ国民にとっては、余計に大きな話題になっている。

だが、ちょっと気になるのは、PGAツアーがタイガー王国に支配されないだろうかという点だ。スケジュールの穴埋めをどうしようかと考えたPGAツアーが、結局は大金持ちのタイガー・ウッズ基金に泣きつき、それで人肌脱いだのがタイガーというわけだから、今後は王者の意向がより強くツアー運営に反映されることは必至である。そうじゃなくても、今年から始まったフェデックスカップポイントや新スケジュール、シーズンエンドの10ミリオンボーナス等々は、すべてタイガーの意向を反映させたタイガーのための対策といわれているのに、これ以上、タイガーのための何々なんてものが増えたら、ツアーはどうなってしまうのだろうかと、ちょっと心配なのだ。

現在、PGAツアーの大会のホストとなっているのは、アーノルド・パーマー(旧ベイヒル招待、今年からアーノルド・パーマー招待)とジャック・ニクラス(メモリアルトーナメント)の2人だけ。が、キングも帝王も、すでにGAツアーからは引退した身だ。ここにタイガーが加わると言っても、タイガーはまだまだ現役そのもの。そのタイガーが大会名に自らの名を連ね、「タイガーのトーナメント」を創設し、そして自分も出るとしたら、なんかちょっぴり変である。

まあ、今年の第1回大会は、ちょうど妻エリンの出産と重なりそうな気配のため、タイガーの出場は確定していないが、いずれにしてもタイガーのトーナメントが開催されることは今日の記者会見で明らかになった。「ずっと大会を主催するのが夢だった。父も喜んでいると思う」と、妙に真面目な顔つきで語っていたタイガー。だが、胸の中では、「我が王国が本格化してきたぞ」と、ほくそ笑んでいたのかも?

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神さま、仏さま、“タイガーさま”!?
Photo/JJ Tanabe

2007年03月03日

米LPGAのロゴが変わる?

宮里藍が参戦する米LPGAは、昨年から改革に燃えている。それについては、つい最近、某新聞紙上で書かせていただいたのだが、とにもかくにもキャロリン・ビーベンス会長の新施策は留まるところを知らない。改良という言葉があるように、改革が良い結果につながるのであれば、さまざまな変化はウエルカム。しかし、歴史を振り返ってみても、大幅改革は軋轢を生みがちだ。各方面との摩擦をどうやって抑えたり軽減させたりしながら改革を推し進めていくか。これが、ビーベンス会長の最大のテーマであろう。

そんな中、今度はツアーの「顔」であるロゴマークを変えるらしいとの情報が流れている。ロゴマークといえば、その企業や団体を象徴する大切なもの。企業ならCI(コーポレート・アイデンティティ)、でもLPGAはツアーだからTI(ツアー・アイデンティティ)ってところだろうか。

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インタビューエリアに設置されるバックボードには、大会とLPGAのロゴが配される。

現在の米LPGAのロゴマークは、縦長の長方形の中に女性ゴルファーがフィニッシュを取っている姿が描かれている。その下に「LPGA」と記されている。が、よくよく眺めてみると、その女性ゴルファーがどことなく古めかしいというか、昔の西洋女性という感じがするのだ。おそらくは髪型のせい?

先日、ビーベンス会長にインタビューしたとき、彼女は現代の女子選手たちの先進性をツアーの魅力の一つだと強調していた。華やかなファッションもおじさんたちがびっくりしちゃうヘソ出しルックも、若い女の子たちが「Cool!(格好いい!)」と感じてくれてゴルフに興味を持ってくれれば大歓迎なのだ、と。

そんな会長の目から見て、ロゴマークに描かれている女性ゴルファーは、いかにもアウト・オブ・ファッションに感じられるに違いない。そう、ロゴマーク変更プランは、きっと会長のそんな感覚から持ち上がったものなのだろう。

で、新しいロゴマークはどんなデザインになるのだろうか。モデルは、ミニスカートから長い脚を見せているナタリー・ガルビス?それとも、ピンク・ピンクのポーラ・クリーマー?うーん、間違っても、太っちょのローラ・デービース風ゴルファーが描かれることはないと思う。

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ビーベンス会長(左)と、今年の開幕戦で優勝したポーラ・クリーマー。
PHOTO/JJ Tanabe

2007年02月27日

安売りしない!?

深刻なスランプに陥っていた朴セリのバッグのことを、いつだったか、このコーナーで書いたことがあった。かつてはスポンサー企業のロゴでいっぱいだった彼女のバッグから、いつしかロゴが消え、でかでかと書かれていたのは「Se Ri Pak」の文字だけ。不調に陥り、露出が減れば、動く広告塔としての価値も下がるということで、朴セリからスポンサーが離れていったのである。黄金期の彼女に対する世間のフィーバーぶりを目の当たりにした私としては、黒地に白抜きの文字で記された自らの名前が妙に物寂しく感じられた。

だが、朴セリは昨年、メジャーの全米女子プロ選手権で復活優勝を果たした。シーズン途中でスポンサーが変わることももちろんあるが、彼女のバッグに新しいロゴは登場せず昨季が終了。それならば、きっと07年シーズンからは、さまざまな企業ロゴが彼女のバッグに踊るはずだと密かに期待していた。

しかし、今年の開幕戦、ハワイで目にした彼女のバッグは、相変わらず、黒地に自らの名前のみ。メジャーチャンプとして復活したのに、韓国企業をはじめとするスポンサーは朴セリに魅力を感じないのだろうかと首をかしげてしまった。

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親しくてしている韓国人メディアに尋ねてみた。すると、「セリは高いんです。だから、ちょっとやそっとの金額で契約をオファーされてもウンとは言わない」。

なるほど、そうだったのか!彼女に言い寄る企業は多数あったのだ。だが、プロゴルファーとしての自分の商品価値を高く設定している彼女は、「私の価値は、たったのそれだけ?冗談でしょ!」ということで、納得できないオファーはお断りしていたのだ。もちろん、断ってしまえば、当面、バッグはノーロゴ。傍から見れば、淋しげなバッグになってしまうが、彼女は毅然とした態度でそのバッグを使い続けている。

実際、朴セリのスポンサー企業の推移を辿ってみると、97年から01年まで、メインスポンサーはサムソンだった。02年から04年まではテーラーメイド。そことややだぶりながら03年からは韓国のCJがついており、このCJとの契約は5年ゆえ、今年が最後。要するに、今現在の朴セリのスポンサーは、実質的にはこのCJのみなのである。

朴セリといえば、ツアー通算23勝、メジャー5勝、ツアー歴10年を迎えた今年の秋には世界ゴルフ殿堂入りも待っている。それほどの大物が、来年からはノースポンサーになる可能性もあるというのに、本人は堂々たる態度を保っている。

安売りはしないわよ!--生意気ではなく、素直に格好いいと思う。裏事情を知った今は、「Se Ri Pak」とだけ書かれた彼女のバッグから「女のプライド」が漂って感じられるのが不思議だ。

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威風堂々?
Photo/JJ TANABEWink

2007年02月23日

タイガーは異星人ってホント?

今週の米PGAツアーはアクセンチュアマッチプレー。注目のタイガー・ウッズは今日2回戦も勝ち進み、連勝記録「8」へ向かって突進している。

ところで、そのタイガーが先週のニッサンオープンを欠場したことはご存知の通り。これまで9回出場して未勝利のニッサンオープンはタイガーにとって相性の悪い大会と言われており、これに出て勝てずに連勝記録をストップするのが嫌だからタイガーは欠場した、という声があちらこちらから聞こえてくる。

その声を受けて、アメリカのゴルフ雑誌にこんな記事が出ていた。要約すると、「タイガーは連勝記録ストップが嫌だからニッサンオープンに出なかったわけじゃない。そもそもあの大会はタイガーが16歳のときにスポンサー推薦で出場した初のPGAツアーの大会だ。そんな思い出深き大会を記録ストップが怖いなんて理由で休むわけがない」、と。

さらに、その記事は「怖いというのなら、次なるマッチプレーは合計6回も勝ち抜かなければ優勝できないのだから、そのほうがよっぽど大変なのだ。だからタイガーが安易の道を選んだというわけじゃない。おまけにタイガーはメジャーやWGCイベントなどビッグ大会で強いのだから」。

言っていることはわかるのだが、だったらなぜニッサンオープンを欠場したのか、その理由づけがお粗末すぎるのだ。「タイガーが目指すものは、バイロン・ネルソンの11連勝記録を抜くことではなく、ジャック・ニクラスのメジャー18勝の記録を抜くことにある。タイガーはまったく異なる星の上で戦っているのだ。タイガーが戦っている相手は、フィル・ミケルソンやジム・フューリックではなく、ニクラスやネルソンと戦っているのだ」、という結論。

タイガーは異星人?なかなか面白い表現だ。戦う相手が二クラスやネルソンといった歴史を作ってきた人々だというのも、考え方によっては納得できる。でも、「だからニッサンオープンに出ない」というのは、意味不明。地球人が相手にもならない異星人なら、ニッサンオープンだろうとなんだろうと、ひょいと出てさっさと勝てるのではないの?と思わずにはいられないのである。

この記事、大胆な書きっぷりには拍手を送るが、結論付けを読むと、うーん、こういうものをチョウチン記事って呼ぶのかな、と頷いてしまった。

タイガーがニッサンオープンに出なかった理由は、多かれ少なかれ「不得意だから」という現実があるからだと私は思う。思い出深き大会とはいえ、歴史を塗り替える記録がかかっているとなれば、危ないものは避けて通るのが人情だろう。それを責めるのはお門違い。なぜなら、父親が他界すれば泣きもするし、落ち込んで予選落ちもするし、全英優勝で復活すれば人目もはばからず大泣きもする。そんなタイガーは、異星人なんぞではなく、紛れもない地球人だからだ。

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コースが短すぎて、苦手!?
Photo/JJ Tanabe

2007年02月20日

睨まれ役の男

米女子ツアー開幕戦のSBSオープンはピンクづくめのポーラ・クリーマーの優勝となった。ルーキーイヤーの05年にいきなり2勝を挙げながら、昨年は優勝から遠ざかり、辛い1年を送ったと優勝会見で語ったクリーマー。うれしそうに最終日の18ホールを振り返るクリーマーを遠くで眺めながら、ひっそりと立っていたのはキャディのコリンだった。

コリンは、かつて長年の女王アニカ・ソレンスタムのバッグを担いでいたのだが、あるとき突然、彼女のキャディを辞めた。そのニュースを耳にした直後、フロリダ州オーランドで開かれていたPGAショーの会場でコリンに出くわした。「辞めたんだって?」そう尋ねると、コリンは「オレがアニカをクビにしたんだ」。

その後、コリンは朴セリのキャディになった。が、これまた辞めて、クリーマーのキャディへ。個性が強く、気が強い女子プロばかりにつくのは、なぜなのだろう。

SBSオープン最終日の後半、クリーマーは11番でダブルボギー、13番でボギーと一時後退。そして迎えた14番では第2打がグリーンに届かなかった。そのときのクリーマーの形相はすごかった。コリンを睨みつけ、彼のヤーデージミスであるかのごとく、怒りをあらわにした。そして次なる15番パー3でもティショットはピン6メートルとバーディチャンスはきわどい距離。そのときもクリーマーはコリンを睨みつけた。

だが、結局、優勝できたクリーマーは表彰式で「キャディのコリンにも、ひどい態度を取ってしまったけど、優勝は彼のおかげでもあり、とっても感謝しているわ」。

コリンに、そのあたりの経緯を尋ねると、「うん、そうなんだ。ラウンド中は気が立っているし、優勝争いとなると、なおさらだよね。だからオレが睨まれることはよくある。でも、ポーラは最終的にはオレの仕事ぶりを、ちゃんとわかってくれて感謝してくれる」

睨まれても睨まれても、ボスであるクリーマーの勝利への道についていく。「ありがとう」さえ言ってもらえれば、いや言ってくれなくても彼女の感謝が伝われば、自分はそれでいいのだというコリン。睨まれ役を嫌な顔もせず勝って出てくれる最高の助っ人がいるからこそ、クリーマーは優勝できたのかもしれない。

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14番ホールの2打目、ショートした直後のポーラ・クリーマー。手前がキャディのコリン。
Photo/JJ TanabeShocked

2007年02月16日

届かない距離!?

米LPGAの開幕戦、SBSオープンが間もなく始まる。水曜日にプロアマに出ていた宮里藍のラウンドを追っていたら、同じ組で回るアマチュアたちの面白い会話に出くわした。

ボールがフェアウエイバンカーの淵に止まったときのこと。前上がりで左足下がり、おまけにラフに沈み気味。アメリカ人のおじさまがたは、そのライを見るなり、手にしていたウッドでは打てないことを察知。で、おじさまの一人がアイアンを持ってこようとカートのほうへ戻りながら大声でこう叫んだ。「How far?(どのぐらいの距離だ?)」すると、近くに立っていたマーシャルのおじさんが、こう答えた。「More than you hit.」すると、カートに戻りかけていたおじさんは、「Oh, more than we hit. OK!」。そして、みんな苦笑。

この英会話。訳すと、こんな感じになる。
「残りの距離は何ヤードぐらいだあ?」
「心配しなくて大丈夫。どうせ、どのクラブで打っても君たちが届く距離じゃないんだから」
「ああ、そうか。どうせ届かないのか。なーんだ」

実際の残り距離は200ヤードちょいだったと思う。おじさまがたが持てるアイアンでは届かず、かといって長いアイアンやウッドでは打てないライ。だから、それを素早く見てとったマーシャルが「どうせ届かないよ」と言ってのけ、プレーヤーのおじさまも、素直にそれを認めたというわけだ。

ちなみに、同じ場所からウッドで打った藍ちゃんは、見事にグリーンを捉えた。うーん、これぞプロの技。女子プロは飛距離が出ないと言っても、こういう状況で技が使えるのは、やはりプロなのである。英会話に感心しながら、藍ちゃんのプロの技に感心させられた。

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届かないはずのおじさんのボールがグリーンに届いて、大笑い!
Photo・JJ Tanabe

2007年02月11日

スーパースターの証

最近、アメリカのゴルフの現象について語るというありがたいお仕事を日本の某週刊誌から頂いている。担当記者の方はゴルフ歴がさほど長くはないそうだが、実に熱心で、毎回、きっちり調査した上でメールや電話でコンタクトしてくる。そんな姿勢は、さすがプロ。いつも感心させられてしまう。

ところで、先日、その担当記者とタイガーの出場7試合連続優勝について話をしていたときのこと。米ツアーの次なる出場試合はどれになりそうですかと尋ねられ、例年ならニッサンオープンだと答えた。だが、ニッサンオープンはタイガーの数少ない「未勝利試合」だし、今年はツアースケジュールやシステムが変更されたこともあるから、今年はどうでしょうかねえと付け加えた。すると、担当記者はすかさず、「連勝記録を途絶えさせないためには、タイガーはニッサンオープンを避けるんでしょうか?」。

答えに、ちょっと窮してしまった。というのも、2つの考えが交錯してしまったからだ。

タイガーは常日頃、「記録というものはキミたちメディアが勝手に作り出して騒ぐもので、僕は記録なんてものは、あんまり気にしていない。優勝すれば、記録や数字はついてくるものだから」と言っているため、連勝記録更新のために不得意な試合を避けるなんて、あざとい真似を王者がするだろうかという考えがまず頭に浮かんだ。

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しかし、次の瞬間、タイガーが日ごろ、なんだかんだと格好いいことを言っていても、やっぱりこの連勝記録は、他の記録とは異なる意義深いものだろうし、この記録においてただ一人タイガーの上を行くバイロン・ネルソンは、すでに他界している。つまり、タイガーにとって、この記録を「11」に伸ばし、「12」に伸ばすことは、歴史に残るものすごい記録を達成するということになる。となれば、わざわざ記録が途絶えそうな試合に出るなんてバカな真似はしないだろうな、とも思ったわけだ。

どっちに転ぶだろうか……興味津々で時期を待っていたら、ついに発表された答えは「欠場」。うーん、そう来たか。ま、それはそれでいい。

だが、次なる難関は翌週のマッチプレーだ。タイガーはマッチプレーを得意としているから優勝の可能性は高いといえば高い。だが、マッチプレーほど水ものはない。でも、これで負けたら、米メディアは「それでもストロークプレーにおける連勝記録は、まだ生きている」なんて言うのかもしれない。

ともあれ、タイガーのニッサンオープン欠場は、なるほどと思う反面、ちょっぴり小ざかしくて残念でもある。けれど、タイガーも人間。やっぱり記録は気になるし、実際、記録達成によって得る栄誉やそれに付随する彼の商品価値のアップ度を考えると、それも仕方がないだろう。

それにしても、「欠場」がニュースになるのは、スーパースターの証。となると、タイガー欠場とほぼ同時期に報道されえたミッシェル・ウィーの手首故障による最低4週間の休養も、彼女がスーパースターであることの証。大注目の大物は、試合に出ても休んでも、やっぱりスーパースターなのだ。

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今回は、パス!!
Photo/JJ Tanabe

2007年02月07日

許されないミス、なんだけど……

FBRオープンが終わって、もう2日が経つのだが、どうしても忘れられなくて、みなさんにもお伝えしたいことがある。これは、開催地アリゾナ州の地元紙がおかした許されないミス。なんだけど、私としては、おかしくておかしくて、苦笑せずにはいられなかった出来事だ。

大会最終日、つまり日曜日の朝刊の一面に、でかでかと掲載されたのは、もちろんトーナメントリーダーのストーリーだ。3日目を終えて首位に立っていたのは、アリゾナ州立大学出身のジェフ・クイニー。地元の出身者が首位というのは、地元紙が扱うネタとしては最上級のネタである。だから、スポーツ面ではなく総合面の一面トップで「クイニーが大会をリード。初優勝を狙う!」という具合に、大きな見出しが躍っていた。

しかし……その見出しとともに掲載されていた写真は、ジェフ・クイニーではなく、ブレット・クイグリーだったのである!

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2007年2月3日付け『スコッツデール・トリビューン』紙の一面

メディアとしては、許されないミスである。一面トップの写真が「人違い」。日本の新聞だったら、まさに「ありえない」ミスだ。

けれども、このミス、なんとなく「まあ、そんなこともあるかもしれないなあ」と思えてしまうから笑えるのだ。地元出身と言っても、ジェフ・クイニーは今季ルーキー。全米アマで優勝した輝かしい過去はあるものの、プロとしてはまったくの無名。おまけに、クイニーとクイグリー、どことなく名前も似ているため、ゴルフにうとい担当者が写真を扱ったら、間違えも起こりそうな気がするのである。

幸いにも(?)、そのクイニーは最終日に崩れ、敗退したから、結局、月曜日の紙面を飾ったのは優勝したアロン・バデリー。こちらは、それなりに知られているし、さすがに2日続けて同じミスは繰り返さないのだろう。月曜の新聞は、ちゃんとバデリーの写真になっており、密かに胸を撫で下ろした。

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こちらは、ブレット・クイグリー

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こちらが、ジェフ・クイニー
Photo・JJ TANABE

2007年02月05日

自信家

今週は米PGAツアーのFBRオープンがアリゾナ州フェニックスで開催されている。しかし、地元大学を卒業し、しばらくは「土地の人」だったフィル・ミケルソンがあえなく予選落ち。振り返れば、昨年の全米オープン72ホール目で大崩れの敗退を喫して以来、彼の成績はパッとしない。やっぱり、あのとき、フェアウエイ左サイドのビッグテントに打ち込んでしまったあのビッグミスショットと、その後のドタバタプレーで、すっかり自信を喪失してしまったのだろう。たった1ホールの出来事が、1人の人間の精神状態を乱し、こんなにも尾を引かせてしまうのだから、そう考えると、たかが1ホール、されど1ホール、である。

ところで、自信というものを失ったことがないのではないかと思える人物がいる。世界の不動産王ドナルド・トランプだ。昨年11月の米女子ツアー最終戦ADT選手権は、彼の所有コースで開催されたが、あのときも彼は、主催者でもないのに1ミリオンの高額賞金が山積みされた前で撮影された選手たちの集合写真のど真ん中に割って入ってきた。ひょっとして、1ミリオンはトランプ氏のふところから出されたものなのかと思ってしまったぐらいだが、調べてみたら、トランプ氏は賞金とは無関係。単なる開催コースの所有者に過ぎないのに、堂々と中央に立って「われこそは」なんて顔をしている彼が、図々しいというより滑稽だった。

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06年ATD選手権3日目終了後の風景。真ん中にいるのがトランプ氏。

さて、そのトランプ氏、実は米男子ツアー、それもメジャーへの介入を以前から虎視眈々と狙っている。英国にも触手を伸ばし、全英オープンに絡もうとしていたのは周知の事実だが、今度は全米オープンを自らの支配下で開催しようとたくらんでいる。そして先ごろ、ニュージャージー州に全米オープンの舞台となることを前提にしたコースを完成させ、ご満悦だ。驚いたのは、完成に際し、トランプ氏が発したこの言葉だ。「うーん、このコースは、この私よりグレートだなあ」

トランプ氏のこの言葉、「この私」は言わずと知れたグレートな人物だが、「このコース」はそんなグレートな私よりもっとグレートだぞってことである。いやいや、どうですか、この自信。あっけに取られてしまうのだが、人間、このぐらい自信家になれたら、悩むこともなく楽しく人生を送れそうである。まあ、トランプ氏は常識の枠を超えた自信家だからこそ、不動産王と呼ばれる地位へ上りつめることができたのであって、この超ド級の自信家を抱くトランプ氏は、やっぱりグレートなのかもしれない。

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Photo/JJ Tanabe

2007年02月01日

他人の目なんて……

毎年、新しいシーズンの序盤戦は気になることが2つある。1つはキャディの変化。もう1つは選手の契約先の変化だ。キャディの変化については先日もデービス・ラブのキャディが変わったとお伝えしたが、今週の米PGAツアーの試合FBRオープンでは、デビッド・トムズのクラブとバッグがクリーブランドからテーラーメイドに変わっているのが目についた。

トムズと言えば、クリーブランドの顔のような存在だった。その彼がテーラーメイドの契約選手へ。ちょっと、びっくり。でも、このびっくり感は実を言うと最初だけで、2ヶ月もしないうちにメディアもファンも誰も気にしなくなる。というより、気にもならなくなる。

メディアとはいえ、所詮はただの人間。高額賞金をかけて戦うプロゴルファーの大事なキャディや契約先の変化でさえ、喉元すぎれば忘れてしまうのだから、たとえば私たち庶民が「髪を切ったら変にされちゃった」とか、「顔に醜いニキビができちゃって格好悪い」なんて気にするのは、実はナンセンスなのだと思った。そんなこと、自分が気にするほど他人は気にしていない。極端な場合、気づいてもいないものなのだ。

だから、みなさん、他人の目を過度に気にすることはない。他人の目がどうでもいいと思ってしまうのは、それはそれで問題だが、まあ適度に「自分」なるものをしっかり持っていこうではありませんか。

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意外とすんなり、移行できました。
Photo・JJ Tanabe

ちょっと、お知らせ

みなさん、お元気ですか?年末年始は体調を崩し、07年はちょっぴり出遅れましたが、もう大丈夫。元気に取材して原稿を書いております。大勢の方々から励ましの言葉やメール、書き込みなどをいただき、本当にありがたく思ってます。これからも、がんばりますので、どうぞよろしくお願いします。

ところで、1つお知らせです。これまでは私の掲載記事の紹介をこのブログ上でご紹介してきましたが、今年からはそれは載せないことにしました。連載的なコラムや定期的に書かせていただいている記事などは従来通りですので、お時間があるとき、それぞれ読んでいただけたらうれしいです。

みなさん、今年もよろしくお願いします!

2007年01月30日

アニカ引退説はウソ!?

先日、女子ゴルフ界の女王アニカ・ソレンスタムの引退説が報道された。彼女がスウエーデン紙のインタビューで語った言葉が「そのまま」報道されたとのこと。これを聞いたとき、まあそろそろそういう時期なのかもしれないなと思う一方で、賞金女王の座を奪われた途端、おめおめと引退するのは彼女らしくないとも思った。

そう、アニカらしくない!どうせ引退するなら、女王に返り咲いてからにしてほしい……そんな期待が、次なる報道で現実になった。アニカはAPの取材に対し、「すぐにも引退するとか、ゴルフに対するモチベーションが下がったとは言っていない」と答えたのだ。で、APがスウエーデン紙の記者に確認したところ、その記者がアニカの言葉を引用ミスしたこと、おまけに彼の記事が英語に訳される過程で誤訳があったことなどが、引退説報道の真相のようだ。

離婚後、私は女一人でゴルフの道を貫いていくとでも言わんばかりに好成績を挙げ続けたアニカは、その直後からボーイフレンドをゲット。今はその彼氏がマネージャー役を務め始めているが、どちらも、すぐに結婚する意志はないと言う。「今は07年シーズンに向けてモチベーションがどんどん上がっているところ。今季が楽しみなんです。だから引退なんてありえない。そりゃ、いつかは結婚(再婚)もすると思うけど、今、私にとって大切なのはゴルフです」とアニカ。「彼女とは、いつかは結婚したいけど、それは少なくとも5年以上も先のこと。今は彼女がやりたいようにゴルフに専念させてあげたい」とマネージャー氏。

なるほど。女王引退は、まだまだ起こらない。とすれば、今年も米女子ゴルフ界は、女王の座を争う激戦が予想される。いやいや、アニカ引退説が誤報で、良かった良かった。

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「引退なんて、まだまだよっ!」
Photo/JJ Tanabe

2007年01月27日

空しい話

なんとも空しい話がある。デービス・ラブのバッグを長年担いできたジョン・バークが今年からラブの元を去ってしまった。今のところ「個人的理由」とだけしか明かされていないが、ジョンといえば、ときにはラブを奮起させ、ときにはラブをなぐさめ、励まし、ずっとラブの相棒として彼を支えてきた存在だ。そのジョンが、ラブから離れていったことは、なんとも空しい出来事だ。

一体、なぜなんだろう。すぐに思いつくのは、ラブの成績の下降。キャディは一般的には選手の賞金の10%が取り分ということになっているが、あくまでも個人と個人の契約で口約束に近いから、ラブとジョンがどんな取り決めをしていたかはわからない。かつてラブがアメリカを代表するツアープロとして活躍していたころはジョンの取り分もかなりのものだった。が、首や肩の痛みが悪化した昨今はラブの成績が下降し、ジョンの手取りも減っていた。キャディにも生活があるから、選手の成績悪化によって関係解消というのは、よくある話ではあるが、これまで2人でがんばってきた20年近い歳月は何だったのだろうと、どうしても思ってしまう。

もっとも、ジョンがラブの元を去った理由は、実はお金ではないかもしれないわけだから、私が勝手に嘆いていても、あんまり意味はない。ジョンの家族に何かが起こったのかもしれないし、何かが原因でジョンがラブの怒りをかったのかもしれない。だから今はこの出来事を空しい話だと決め付けてはいけないのだろう。けれど、名コンビが一つ、米ツアーから消えてしまったことだけは確か。その事実だけでも私には十分に空しい話である。

ちなみに、今年のラブのバッグを担ぐのは誰かというと、すでに終了したハワイでの2試合ではフレッド・カプルスの専属キャディであるジョー・ラカバだったが、来週のFBRオープンでは元プレーヤーで現ラウンドレポーターのマイク・ハルバート。それ以降はラブの弟のマークがキャディに戻ることになっているそうだ。この出来事でラブのやる気が失せたり、成績がもっと悪くなったり、そんなことにだけはなってほしくない。がんばれ、ラブ!私はずっと密かなるラブファン。陰ながらアナタを応援していますよ~!

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昨年は3年ぶりの勝利を挙げたが、別れてしまった2人(左がジョン・バーク=06年ツアー選手権)。
Photo・JJ Tanabe

2007年01月21日

驚きのランキング

面白いランキングが発表された。06年の収入ランキング。賞金のみならず、広告等への出演やイベント参加料、契約金など、プロゴルファーのさまざまな収入の合計額によるランキング。男女を問わずランク付けしたものだが、トップ6は以下の通りになっている。

1位タイガー=約100M
2位ミケルソン=約44.5M
3位パーマー=27.5M
4位シン=24.8M
5位ノーマン=22.6M
6位ウィー=20.2M

タイガー、ミケルソン、シンは、なるほどと頷けるのだが、3位のパーマー、5位のノーマン、6位のウィーは意外だった。現役から完全引退したパーマーが3位というのは、やっぱりキングの貫禄。ノーマンはプレーヤーというよりビジネスマンとしての活動がメインになっているのだが、ホワイトシャークの売れ行きは行き詰っているというのがもっぱらの噂だったから、それで5位にランクインというのは、かなり意外。

そして最も驚きだったのはウィーの6位だ。プロ転向時の契約金10億円が破格だったのはご存知の通り。しかし、昨年後半からは成績が振るわず、今年もソニーオープンで断トツ予選落ちを喫したばかり。ウィーはもうダメかななんて声が聞こえてくる中での6位だから、彼女の人気にあらためて唸らされた人も多いことだろう。

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賛否両論だが、ウィーへの注目度は依然高い。
Photo/JJ Tanabe

それにしても、女子プロゴルファーの中でウィーがトップになり、一方で長年の女王アニカ・ソレンスタムが引退を示唆するコメントを発表したというのは皮肉だ。まあ、皮肉というより、歳月の流れを示しているということなのだろうか。栄枯盛衰。君臨する者もいつかは去る。時代の移り変わり、世代交代。だが、あのアニカがゴルフ界を去ってしまったら、やっぱり淋しい。人々が「あの人がいなくなるなんて淋しい」と感じてくれるうちに引退するのは、スターの去り方としては立派な引き際なのかもしれない。日本の芸能界でいえば、山口百恵風?となると、タイガーが去るのはいつごろになるのだろうか。そのときまで私はゴルフジャーナリストとして仕事を続けているのだろうか。うーん、未来は果てしない。

2007年01月16日

キラリと光るもの

日本人選手たちの開幕戦となったソニーオープン会場に、PLANETの社長、堀口昭さんの姿があった。PLANETとは、丸山大輔選手が契約しているウエアの会社。最近、「大ちゃんのウエアの趣味が良くなったみたい」なんて声があちらこちらから聞こえてくるが、それは堀口さん率いるこのPLANETの企業努力の賜物でもあるようだ。堀口さんの趣味はゴルフとサーフィンだそうで、「遊び心をもったブランド」「サーフィン&ゴルフ」がPLANETの商品開発のテーマなのだという。大量に売れなくてもいいから、キラリと光るブランド作りをしたい--これって、とってもいい言葉だと感激した。

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木陰から丸山大輔を応援する堀口昭社長。57歳とは思えないほど若々しい。

世の中を制覇するほどのバカ売れや勢いはなくても、独自の何か、キラリと光る何かがあれば、それでいい。その考え方は人間の生き方にも当てはまると思う。キラリと光るものを身につける、得るというのは、言葉では簡単に言えるけど、実践するのは結構難しい。

プロゴルファーとて同じこと。ビッグタイトルを次々に手に入れ、賞金王とか、世界一に君臨することはできなくても、その選手にしかできない独自の技があったり、その選手にしかない魅力があったり、あるいは、その選手ならではの目標設定があって、その目標に向かって邁進していれば、ファンは必ずついてくる。丸山茂樹も今田竜二も丸山大輔も、そういう独自の面がある。丸山茂樹は「アメリカで10年がんばる」という目標に向かって今年もがんばっていこうとしているし、今田はアメリカ育ちの独自のバックグラウンドを生かしてアメリカツアーで足跡を残そうとしているし、丸山大輔は日米両ツアーでシード維持という彼なりの目標をきっちり達成しながら歩んでいる。

日本では女子ゴルフ人気に押され、男子選手たちへの注目度がちょっぴり下がりつつあるけれど、キラリと光るものを持っている彼ら日本の男子選手たちは、なかなか魅力的な存在だと私は思う。

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センスも戦績も上昇中!
Photo/JJ Tanabe

2007年01月08日

遅ればせながら…

みなさん、遅ればせながら、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

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PGAツアーの新しい時代が『メルセデスベンツ選手権』から開幕。

なぜ、新年のご挨拶がこんなに遅くなってしまったかというと、実は年末から体調を壊してしまった。ああ、最悪の年の瀬、最悪のお正月、これでは07年が最悪の年になると、ちょっとばかりクヨクヨしていたのだが、タイガー・ウッズの妻エリン妊娠のニュースが流れ、宮里藍の米国への出発のニュースが流れるという具合に、選手たちが動き出す気配を感じながら、私もそろそろ動かなければと、そんなふうに思って、少し回復してきた。

始めよければ終わりよし、なんて言葉を鵜呑みにすると、始め悪けりゃ終わり悪しと思ってしまうけれど、お正月が最悪だったからその年が全部悪くなるとは限らない。たとえ出だしが最悪でも、そこから先を良くすることは不可能ではないし、そうできるかどうかは自分次第なのだろう。だから、最悪のお正月にめげずに、なんとか今年も乗り切ろうと思う。

そうそう、年末年始、私がウンウンうなっていた間にも、ゴルフ報道に燃える日本の新聞、雑誌の会社は新たな企画や新たな思索を練り、新たなユニークなニュースを日本のファンにお届けするために頭をひねっていたようだ。年が明けると同時に、新企画の打診がメールでポンポンと入ってきた。いやいや、ちょっと疲れ気味だった私がちょっとダウンしていた間に、みんながんばっていたんだなと思うと頭が下がる。

人間、前進あるのみ。いいスタートが切れなかったなんてことは、気にしたって意味がないぜと自分に言い聞かせながら、07年を前進していこうと思う。

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2007年開幕戦優勝を飾ったのは、43歳のビジェイ・シンだ。

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スチュアート・アップルビーの開幕戦4年連続優勝の記録はならず、残念。
Photo/JJ Tanabe(写真はすべて昨年のものですので、ご了承ください。)

2006年12月23日

タイガー君、今年は、いい年?

今年、最愛の父アールを亡くしたタイガー・ウッズは、いつだったか、こんな言葉を口にした。「OFF(試合会場以外の場)での出来事ばかりが取り沙汰されたのは、僕にとって、いい年ではなかったということ」。

OFFの話題とは、父親の死や妻エリンの偽ヌード写真掲載といったこと。タイガー自身のツアーにおける活躍が話題になるなら自分にとって「いい年」だが、周辺のことがやたらと話題になるのは、自身の活躍の度合いがちょっとばかり少なかったことを意味するから「悪い年」という意味だ。

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フォード選手権最終ラウンドの後、エリンとキャディのスティーブはハンバーガーをガブリ。

しかし……今季終了後のタイガーは、OFFの話題を自らどんどん作っている。その1つは、ドバイに建設することが決まったタイガー・ウッズ設計のゴルフコース。ドバイには、すでにアーニー・エルスやトーマス・ビヨーン、コリン・モンゴメリー、イアン・ベイカーフィンチの設計コースがあるが、王者タイガーのコースとなれば、話題性も集客効果もまるで別格となることは明らか。それだけにドバイ側の協力体制や受け入れ体制は、まさに国を挙げてのプロジェクトと化しており、全長7700ヤード、6万スクエアフィートのクラブハウス、ゴルフアカデミー、合計400室の宿泊施設という壮大な豪華コース建設が計画されている。建設は07年終盤からスタートし、完成は09年終盤とされているが、その間、タイガーが足しげくドバイに通うことを考えると、これからもタイガーのOFFの話題は尽きそうもない。

さらなるOFFの話題は、やっぱりエリンの偽ヌード写真の話。このたびエリンは、写真を掲載したアイルランドの雑誌社を訴えたそうで、一方、雑誌社のほうは、写真掲載号の売り上げのうちの一定割合をタイガーの指定する先へ寄付するオファーを出し、訴訟を避けようとしている。

しかし、このオフシーズンのテレビマッチでも稼ぎまくったタイガーである。そんな「ハシタ金」なんて要らないと言うに決まっている。ともあれ、OFFネタが尽きないタイガーにとって、今年は果たして「いい年」だったのか、それとも「悪い年」だったのか。この答えは、本人にしかわからない。

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成績を見れば大活躍だったんだが、、。
Photo・JJ Tanabe

2006年12月21日

ウィーの夢

日本滞在を終え、ロス乗り継ぎでNYへ戻る途上、機内の新聞でミッシェル・ウィーのスタンフォード大学進学が決まったことを知った。昨年の秋にプロ転向したウィーは、ひょっとしたら大学には進学せず、ハイスクール卒業後はそのままプロゴルフ業に専念するかもしれないと見られていたが、ついに大学進学を決意したようだ。

スタンフォード大学への進学はウィーが以前から夢見ていたこと。ゴルフバッグにスタンフォード大学のキャラクターグッズをぶらさげるほどスタンフォードに憧れていたのだから、今回の進学決定は彼女にとって、とってもうれしいことに違いない。

だが、ちょっと複雑な部分もある。元々、ウィーはスタンフォード大学へ進学して男子ゴルフ部に入りたいと思っていたのだ。トム・ワトソンやタイガー・ウッズ、ノタ・ビゲイらが所属した同大学の男子ゴルフ部は、それだけでウィーの心をドキドキさせる存在。そこに入って、NCAAのカレッジゴルフで活躍することは彼女の憧れだったのである。

しかし、同大学のゴルフ部コーチに以前、インタビューしたとき、彼女が進学してきたとしても、男子ゴルフ部に受け入れることはできないと断言していた。理由は、もちろんウィーが女性だからということだった。
そんなコーチの発言は、当然、ウィーの耳にも入っていたはず。

で、結局、高校生のうちにプロ転向したわけだから、来年、大学に進学しても、アマチュア資格をすでに失っているウィーはカレッジゴルフに参加できないから、男子ゴルフ部を目指す理由もなくなっている。どうせ男子ゴルフ部に入れないのなら、その前にプロ転向してしまっても同じことだし、でもスタンフォードには行きたいし……ということで、大学進学前にプロ転向したとも考えられる。

いずれにしても、男子プロの試合に挑戦する夢、プロゴルファーになる夢、スタンフォード大学に進学する夢、これらすべてを実現しているウィーの歩みは見上げたものだ。普通なら、「そんなことは無理」と諦めてしまいそうなことを、世間の批判をものともせず実現していく根性は脱帽ものだ。

ウィーの挑戦には賛否両論があり、今季終盤の不調は否定的な意見を膨らませつつあるが、ちょうどそんなタイミングでスタンフォード大学進学が決まったことは、強い逆風を少しでも和らげる好材料。がんばれ、ウィーちゃんと言ってあげたい。

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スタンフォード大学のマスコットをバッグにつけて、熱烈アピール!?

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Photo/JJ Tanabe

2006年12月16日

オフの過ごし方

ただいま私は日本でしばしのオフを過ごしている。とはいえ、実家で両親と過ごしたのは先週の4日間足らず。その後はホテル滞在しており、この1年、お世話になった仕事先の新聞社や雑誌社、ネット関係の担当者の方々とお会いし、お茶やお食事、宴会にカラオケという状態を続けている。1日に多いときは4社ぐらいの方々と次々にお会いしているのだが、まあ、1年も顔を合わせていないものだから、みなさん歓待してくれて、私にとってはとってもありがたく楽しいひと時だ。普段、NYで過ごしているときも全米中の取材先でも、こんなにたくさんの日本の方々と楽しく過ごせる時間は皆無なので、年に一度のこの行事は私にとって最高のオフだ。こういう時間を持つことで、よしまた1年がんばろうという気持ちになる。

プロゴルファーにとっても、おそらく同じことが言えるのだろう。米ツアー選手たちのオフは長い人で2ヶ月、テレビマッチやスポンサー行事で忙しい人は1ヶ月足らずになってしまうものだが、たとえ1週間でも2週間でも、ツアー期間中には会えない人と会い、ツアー期間中では持てないような時間を持つことで、彼らも心の洗濯ができるに違いない。

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今年は特に強い注目を浴び続けたタイガー。少々、お疲れ!?

タイガー・ウッズは「07年に向けて充電が必要」という理由で最終戦を欠場したが、その直後から中国、日本と渡り、アメリカに戻ってからもターゲットワールドチャレンジに出場するというスケジュールゆえ、オフと言ってもクラブを握り続けている。だが、タイガーはクリスマスあたりからは本当にクラブを握らない日々を過ごす。妻のエリンや母クルチダとのんびり過ごし、好きな映画を見たり、ショッピングをしたり、自宅でぼーっとしていたり。そういう時間がなければ、来季へのモチベーションは上がらないのだろう。

ミケルソンは、タイガーや他選手たちよりずっと早くから独自のオフ体制に入り、間違いなく愛するファミリーたちとの時間を楽しんでいるはず。家族第一主義のミケルソンは、このオフ期間中は招待試合への出場もスポンサー関連の仕事もすべて断り、本当の意味でゴルフから完全に離れた日々を送っている。そんなミケルソンの長いオフの過ごし方が、他選手たちから見れば「フィルはすでに半分引退しているようなもの」という陰口にもつながっているが、誰から何を言われようと、要は試合で結果を出せばいい。今年のミケルソンは、マスターズを制したものの全米オープンで最後に自滅するという憂き目にあったが、このオフで心の傷を癒し、来季はきっと強いミケルソンになって戻ってくるだろう。

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大勢のファンの前で頭を抱える、なんてこと、最初で最後にしたい(全米オープン最終日)
Photo・JJTanabe

タイガーやミケルソンといったビッグスター以外の大半の選手たちは、スポンサー絡み、メディア絡みの仕事もオフはさほどないから、好きなことができる時間はたっぷりある。その間、タイガーやミケルソンのようにクラブをまったく握らず、ゴルフから離れることで英気を養う選手もいれば、このときこそと練習やトレーニングに取り組み、来季に向けて早々に準備を始める選手もいる。あるいは、一旦、2週間ぐらいゴルフから離れたあと、12月下旬ぐらいからウォーミングアップを始める選手もいる。以前、フロリダに住んでいたときは、12月の暇な日にゴルフ場へ行くと、近郊に住むプロたちによく出くわした。そういうときの選手は、試合会場で見るのとはまるで違う普段着っぽい井出たちなので、よくよく見ないと誰だかわからない。まあ、球を打つ姿を見れば、ああ、あの人だとわかることもあるのだが……。

日本人選手は、最終戦終了後、丸山茂樹も丸山大輔も帰国し、そのまま日本でクリスマスやお正月を迎えようとしている。今田竜二だけは、一旦帰国後、11月下旬にはフロリダの自宅に戻り、クリスマスやお正月はタンパで迎える。今田にとっては、アメリカで過ごすオフが一番落ち着くのだろう。

「オフ」は「オフシーズン」「オフ・ザ・コース」の意味だが、「オフ・ゴルフ」にしたほうがいい人、「オン・ゴルフ」にしたほうがいい人、いろいろだ。いずれにしても、ツアー期間中はできないことで今、自分が一番やりたいことをやるのが、オフの最高の過ごし方なのだと思う。

2006年12月12日

温度感覚

日本とアメリカの間を往復する国際線の飛行機に乗ると、そのたびに感じることがある。それは欧米人と日本人あるいはアジア人との温度感覚の違いだ。機内は離陸する直前から直後にかけて、妙に冷えるのが常で、私などは毛布にくるまっていないと寒くてたまらない。だが、周囲を見渡すと、欧米人は半そでシャツ姿などでも平気な顔をしている。どうしてだろうと、ずっと思っていたのだが、いつだったか隣合わせたアメリカ人が、「アジア人は皮膚で感じる温度感覚が違うらしいね。アジアの人は気温に敏感でしょ?」と言っていた。

その言葉は、ゴルフの試合会場で見かける選手たちの服装の違いにもそのまま当てはまる。たとえば、この写真。今年のツアー選手権のひとこまだが、オーストラリア人のスチュワート・アップルビーや南アのレティーフ・グーセンらは、ご覧の通り、半そで姿。しかし、この週はそれはそれは寒く感じられ、長袖シャツの上にセーターを着て、さらに上着を着なければ耐えられなかった。

丸山茂樹が全英オープンで優勝争いを演じたときも、丸山が凍える手をハーハーしていたのに、アーニー・エルスは半そで姿で、「あいつらは化け物だよ。なんで寒くないの?」と丸山がとにかく首を傾げ続けていたことを思い出す。

温度感覚、皮膚感覚の違いは、一体何に起因するのだろうか?詳しいことは、その方面の専門家ではないのでわからないけれど、気温、特に寒さに鈍感であることは、自然と戦うゴルフにおいては、かなり有利。何に対しても鈍感より敏感のほうが良いような気がするが、ゴルフにおける温度感覚だけは鈍感なほうが良さそうだ。

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アメリカのギャラリーもじっと観戦していると震えるほど寒い日だった。

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R・グーセンとS・アップルビーは、寒さを意に介さず、熱いプレーを展開した。('06年11月ツアー選手権)
Photo・JJ Tanabe

2006年12月08日

お寿司に思う

昨日から1年ぶりに日本に戻っている。今日は両親とお寿司を食べた。最近はアメリカ中の大半の都市でお寿司を食べることができるようになったが、やっぱり日本で食べるお寿司は、一味違っておいしい。

お寿司を食べながら、米ツアー選手にもお寿司好きが結構いるなあと、相変わらず頭が仕事から離れられない私は、ふとそんなことを思い出していた。

フロリダ州オーランドに住んでいたとき、市内に正真正銘の日本人経営の寿司レストランは数えるほどしかなかったが、そのうちの1軒はマーク・オメーラがひいきにしていた店で、もう1軒はタイガーもときどき出かけていた店だったことも思いし出た。

現在の住まいであるNYには、オーランドとは比にならないぐらいたくさんの寿司レストランがあるが、今のところ、その中でプロゴルファー御用達だと聞いている店はない。だが、NY好きのプロゴルファーは非常に多いので、NY近郊の大会の際、そのうちのどこかに誰かが行ったであろうことは想像に難くない。

そういえば、つい最近、名前を度忘れしてしまったのだが、ある選手の一問一答のようなインタビュー記事がアメリカのゴルフ雑誌に載っていた。その中で、こんなやり取りがあった。好きな食べ物は?「ジャパニーズフード」たとえば?「Sushi」今までにウニに挑戦したことはある?「ある。この世の中で最悪の気持ち悪さだった」

かつて欧米人の多くは、お寿司は好きだが生魚は気持ち悪いと言って、カリフォルニアロールのような欧米的アレンジの巻き寿司ばかりを食べていた。だが、近年は、堂々とカウンターにすわり、「トロ」「ハマチ」なんて日本語で注文する欧米人も増えてきた。だが、それでもウニだけは、どうしても見た目からして気持ち悪いらしい。

今日、私がいただいたお寿司の中で一番おいしかったのは、もちろんウニ。これがおいしいと感じられる日本人で良かったなとほくそ笑んだ。

*帰国中につき、今回だけ写真がなくてすみません。

2006年12月06日

あの人が今……

プロゴルファーのキャリアは何てはかないのだろうと、つくづく思う出来事がある。米PGAツアー選手のマット・ゴーグルをご存知だろうか?ネイションワイドツアーを経て、PGAツアーにたどり着き、なぜかAT&Tぺブルビーチプロアマと相性が妙に良かった選手だ。2000年の大会では、最終日を首位で迎えながら、タイガー・ウッズに逆転勝利され、涙を飲んだものの、02年の大会では見事優勝。その直後、ニッサンオープン会場のリビエラで彼のインタビューを行なったことを今でもよく覚えている。

リビエラには、練習グリーンから18番グリーンへつながる勾配の急な階段があり、その途中の踊り場のようになったスペースで、ゴーグルと立ち話状態でインタビューをしていた。すると、通りかかったネイションワイドツアー時代の仲間のプロたちが、「おいおい、お前もインターナショナルなスターになったんだなあ」などと、冷やかし半分に声をかけていった。ゴーグルは「Shut Up!」と言いながらも、悪い気はしないぜという表情だった。

そんな時代もあったというのに、ゴーグルは05年から突然成績が下降。5年間守り続けていた賞金ランク125位を05年に初めて下回り、今年は214位まで後退。そして彼は来年のAT&Tぺブルビーチプロアマを最後に引退すると発表したのである。

まだ35歳。もしかしたら「もう35歳」なのだろうか。いずれにしても、かつては大きな注目を集めた選手が、わずか数年のうちに引退してしまうという事実は、勝負の世界ゆえ仕方ないこととはいえ、やっぱり物悲しい。

しかし、来年のぺブルビーチで再び彼が優勝したら、おそらく引退は取りやめになり、もう1度、ツアー生活に挑戦する気になるだろう。だから、来年の大会が彼にとって最後のチャンス。そううまくコトが運ぶとは思えないが、そういう奇跡のようなストーリーが起こらないとは限らない。ウソのような本当の話が、どうか起こってほしいと願うばかりだ。

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2002年週刊GD掲載のマット・ゴーグルの記事
Photo・JJ Tanabe

2006年12月02日

Qスクール or ネイションワイド

今、米PGAツアーのQスクール・ファイナルステージが行なわれている。日本からの参加は細川和彦と小山内護の2人だが、細川は苦戦中、小山内はすでに棄権。どうやら来年のPGAツアーは、丸山茂樹、丸山大輔、今田竜二の3人だけになりそうな気配だ。

ところで、このQスクールの合格者数は、徐々に減少傾向にある。ちょっと前までトップ35に米ツアーカードが与えられていたのだが、それが30になり、07年のQスクールからはさらに減ってトップ25に限定されると発表された。逆にネイションワイドツアーからの米ツアー移行人数はというと、以前は15人だったのが、20人になり、来年からは25人へ増やされる。つまり、二軍のネイションワイドツアーで腕を磨き、そこから米ツアーへ昇格するほうが、近道になりそうだということ。

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ネイションワイドツアー出身のカミロ・ビジェガス

なぜ、このような決定がなされたのか。米PGAツアーによれば、「両方からの出身者の成績を分析した末の決定」だという。だが、今年の最終賞金ランクを見ると、トップ50になったのはネイションワイドツアー出身者が3人、Qスクール出身者が2人で、たった1名分しか差はない。トップ100を見ると、ネイションワイドツアー出身者もQスクール出身者も8人で同数。それなのに、なぜネイションワイドツアーのほうが成績が良いと判断されたのか。まるでわからないのである。

ネイションワイドツアーはPGAツアーの下で運営されているため、その収益はPGAツアーの収益にもなる。ネイションワイドからPGAツアーへという道を確実なものとすれば、華のPGAツアーを夢見る若者たちは、何がなんでもネイションワイドへ出ようとする。そうなれば、もちろんPGAツアー全体としての活性化が図れるわけで、そりゃまあ組織立った興隆プランを練って優先化するのはビジネスとしては妥当な選択なのだろう。

だが、Qスクールというものは昔から、いわゆるドリーム・カム・トゥルーの道として存在し、こういうものがあるからこそ、ネイションワイドやミニツアーに経済的理由等々で常時出られらないゴルファーが、一発勝負にかけるチャンスがあった。Qスクールがあるからこそ、型破りな選手が登場してきた。今年、Qスクール出身者で活躍した顔ぶれを見ても、飛ばしのブレット・ウエタリックやJ・Bホームズなどダイナミックな選手がちゃんとそこにいる。丸山大輔もQスクール出身。日本や他の海外ツアーに出ている選手などは、一旦、ネイションワイドツアーに1年、2年と出て、それからPGAツアーへという道は、いろんな意味で厳しいわけで、今後、Qスクール合格者枠がもっと減らされてしまったら、丸山のような選手のPGAツアーへの登場は、極端に減ってしまうだろう。

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Qスクール出身、丸山