ホーム > Web Magazine TOP > 舩越園子のGOLF JOURNAL > 人物評 アーカイブ
Yahoo!ブックマークに登録
舩越園子のGOLF JOURNAL

2006年01月24日

これぞ、報い

ゴルフというものは本当に難しい。安定して好成績を示し、とってもがんばったとわかっていても、必ずしも勝利にはつながらないことがある。だが、世間の評価は、何勝を挙げたかということで下されがちだ。それゆえ、選手にとっても、「僕はこんなにがんばったのに、大した活躍をしなかったってことになってしまっている‥‥」という場合が往々にしてある。日本人選手で言えば、丸山茂樹はその典型。そして、アメリカ人選手で言えば、クリス・ディマルコがその典型だった。

ディマルコは2000年シーズン以来、賞金ランクでずっとトップ20を外れたことがない。この安定性はピカイチ。しかも昨年は、マスターズでタイガー・ウッズとの死闘を演じ、プレジデンツカップでも米国チーム勝利の立役者として奮闘した。だが、勝利数を見ると、2002年のフェニックスオープン以後はゼロ。それゆえ、シーズン開幕戦のメルセデス選手権にも出られず、悔しい思いをしてきた。そう、今年のメルセデスのように出場資格があっても欠場してしまう選手がいるのだから、いっそのことあの試合は、前年の優勝者が欠場意志を表明した場合、前年が未勝利でも賞金ランクあるいは世界ランクの上位者から順に繰り上げ出場させたらいいのになんて思ってしまう。

メルセデスの話はさておき、がんばりのわりには、どうも勝利の女神から突き放され気味だったディマルコが、先週、欧州ツアーのアブダビ選手権で猛追の末の優勝を飾った。もちろん、欧州ツアーでの勝利だから、これで来年のメルセデス出場が決まったわけではない。だが、優勝の2文字をつかんだことで、今年はやっと勝利の女神がディマルコ贔屓になり始めたような気がする。この大会では、妻のエイミーがバッグを担いでの優勝だったから、ディマルコの喜びもひとしおだ。

ディマルコは、かつてひどいイップスに悩み、ゴルフをやめようかと思った経験がある。それでも諦めず、ゲーターグリップなる変則グリップを採用して復活。今では米ツアー屈指のパットの名手になった。どん底から這い上がるサバイバル精神を持ちながら、彼の人柄はとっても温和で腰が低い。そんなディマルコのがんばりぶりが、今年は米ツアーにおける勝利につながり、世間から「正当な評価」が得られるようになってほしい。

クリス・ディマルコ1.jpg
ディマルコ一家。昨年5月撮影。マスターズで2位となり、インタビューが殺到していた時期だった。
Photo/JJ Tanabe

2005年10月19日

飛ばし屋の悲しい性(さが)

この写真の選手は誰だか、ご存知だろうか。オーストラリア出身のスコット・ヘンド。米ツアーで飛距離ランク1位を誇る飛ばし屋だ。ヘンドが米ツアー参戦を開始したのは昨年のこと。03年秋のQスクールを通過し、出場権を得たのだが、04年シーズンの成績は賞金ランク136位と振るわず、Qスクールへ逆戻り。しかし再び出場権を獲得し、今季、2年目のツアー生活を送っている。
スコット・ヘンド.jpg 
そのヘンドが一番気にしていることは何か。そう尋ねると、彼は必ず「シード権を獲得することだ」と答える。しかし、周囲の選手たちに尋ねると、「いいや、スコットの一番の懸案事項は、自分が飛距離ランク1位の座を守れるかどうかだよ」と口を揃える。

確かに、ヘンドのドライビングディスタンスは軽く300ヤードを超える絶大なる飛距離だ。統計によれば、現在の彼の平均飛距離は319.9ヤードで、ランク1位。あのジョン・デーリーもタイガー・ウッズも舌を巻くパワフルドライビングなのだ。そりゃ、文句なしに凄い!だが、データをよくよく眺めてみると、彼のドライビングアキュラシー(フェアウエイキープ率)は45.4%と低く、ランキングは202位まで落ちてしまう。「飛ぶけど曲がり放題」のドライバーショットが、彼の成績を殺していることは間違いない。

それなのに、彼はドライバーを振り続ける。ドライビングディスタンスは、通常、フロント9とバック9のパー5合計4ホールで計測されるのだが、パー5がドッグレッグなどでドライバーを打つ選手が少ない状況だと、比較的距離が長くまっすぐめのパー4が使用される場合もある。いずれにせよ、選手たちは、必要であれば計測ホールでもフェアウエイウッドやロングアイアンで刻む。飛距離ランクをアップすることより、そのホールでいいスコアを得ることのほうが大切だからである。

だが、ヘンドは違う。計測ホールでは必ずドライバーを振り回す。そして曲げ、ボギーやダブルボギーを叩き、順位を下げる。それでも彼がドライバーを振るわけは、やっぱりドラコン王の座を他の誰かに奪われたくないからなのだろう。

シーズン終盤を迎えた今、ヘンドと言葉を交わした。「相変わらず飛ばしているのね」と言うと、ヘンドは「まあね。でも、今の僕は飛ばすことより正確性を追求しなきゃいけないって、わかっているんだ。なんせ僕は、飛ばしは1位でも賞金ランクは165位の男だからね」

来季のシード権を獲得するためには、賞金ランクで125位以内に入らなければならない。残された試合は、あと3つ。そのうち、ヘンドが出場できるのは今週を含めた2試合しかない。両方の試合でかなり上位に入らない限り、彼は今年もまたQスクール行きだ。今は神にもすがる思いなのだろう。

そういえば、去年の今頃もヘンドと話した。彼は、なんとかしてシード権を獲得したいという思いをヘッドカバーに託していた。すばしっこく枝と枝の隙間に入り込むリスのように、シード選手の残り枠に食い込みたいと考えた彼は、可愛らしいリスのヘッドカバーを飛ばしの武器にかぶせていた。

今年も何か願掛けをしているのだろうかとゴルフバッグを覗いてみたら、ドライバーではなくパターにラスベガスのカジノのロゴマークがデザインされたカバーがかかっているではないか。「これって何の意味があるの?」「見ての通り、ギャンブルだよ。オレ、ギャンブル大好きなんだ」

なるほど。ギャンブル好きのヘンドのゴルフもまたギャンブルゴルフ。だから彼は、一か八かでドライバーを振り回し、うまく真っ直ぐ飛べば、次なるショットはショートアイアンかウエッジでちょこんと寄せるだけ。しかし、ドライバーで失敗すれば、次なるショットはブッシュの中から、あるいは砂の中から。そんなギャンブルゴルフを繰り返しているヘンドは、やっぱり今年もQスクール行きになりそうな気配だ。

PHOTO/JJ TANABE

飛ばし屋の悲しい性(さが)

この写真の選手は誰だか、ご存知だろうか。オーストラリア出身のスコット・ヘンド。米ツアーで飛距離ランク1位を誇る飛ばし屋だ。ヘンドが米ツアー参戦を開始したのは昨年のこと。03年秋のQスクールを通過し、出場権を得たのだが、04年シーズンの成績は賞金ランク136位と振るわず、Qスクールへ逆戻り。しかし再び出場権を獲得し、今季、2年目のツアー生活を送っている。
スコット・ヘンド.jpg 
そのヘンドが一番気にしていることは何か。そう尋ねると、彼は必ず「シード権を獲得することだ」と答える。しかし、周囲の選手たちに尋ねると、「いいや、スコットの一番の懸案事項は、自分が飛距離ランク1位の座を守れるかどうかだよ」と口を揃える。

確かに、ヘンドのドライビングディスタンスは軽く300ヤードを超える絶大なる飛距離だ。統計によれば、現在の彼の平均飛距離は319.9ヤードで、ランク1位。あのジョン・デーリーもタイガー・ウッズも舌を巻くパワフルドライビングなのだ。そりゃ、文句なしに凄い!だが、データをよくよく眺めてみると、彼のドライビングアキュラシー(フェアウエイキープ率)は45.4%と低く、ランキングは202位まで落ちてしまう。「飛ぶけど曲がり放題」のドライバーショットが、彼の成績を殺していることは間違いない。

それなのに、彼はドライバーを振り続ける。ドライビングディスタンスは、通常、フロント9とバック9のパー5合計4ホールで計測されるのだが、パー5がドッグレッグなどでドライバーを打つ選手が少ない状況だと、比較的距離が長くまっすぐめのパー4が使用される場合もある。いずれにせよ、選手たちは、必要であれば計測ホールでもフェアウエイウッドやロングアイアンで刻む。飛距離ランクをアップすることより、そのホールでいいスコアを得ることのほうが大切だからである。

だが、ヘンドは違う。計測ホールでは必ずドライバーを振り回す。そして曲げ、ボギーやダブルボギーを叩き、順位を下げる。それでも彼がドライバーを振るわけは、やっぱりドラコン王の座を他の誰かに奪われたくないからなのだろう。

シーズン終盤を迎えた今、ヘンドと言葉を交わした。「相変わらず飛ばしているのね」と言うと、ヘンドは「まあね。でも、今の僕は飛ばすことより正確性を追求しなきゃいけないって、わかっているんだ。なんせ僕は、飛ばしは1位でも賞金ランクは165位の男だからね」

来季のシード権を獲得するためには、賞金ランクで125位以内に入らなければならない。残された試合は、あと3つ。そのうち、ヘンドが出場できるのは今週を含めた2試合しかない。両方の試合でかなり上位に入らない限り、彼は今年もまたQスクール行きだ。今は神にもすがる思いなのだろう。

そういえば、去年の今頃もヘンドと話した。彼は、なんとかしてシード権を獲得したいという思いをヘッドカバーに託していた。すばしっこく枝と枝の隙間に入り込むリスのように、シード選手の残り枠に食い込みたいと考えた彼は、可愛らしいリスのヘッドカバーを飛ばしの武器にかぶせていた。

今年も何か願掛けをしているのだろうかとゴルフバッグを覗いてみたら、ドライバーではなくパターにラスベガスのカジノのロゴマークがデザインされたカバーがかかっているではないか。「これって何の意味があるの?」「見ての通り、ギャンブルだよ。オレ、ギャンブル大好きなんだ」

なるほど。ギャンブル好きのヘンドのゴルフもまたギャンブルゴルフ。だから彼は、一か八かでドライバーを振り回し、うまく真っ直ぐ飛べば、次なるショットはショートアイアンかウエッジでちょこんと寄せるだけ。しかし、ドライバーで失敗すれば、次なるショットはブッシュの中から、あるいは砂の中から。そんなギャンブルゴルフを繰り返しているヘンドは、やっぱり今年もQスクール行きになりそうな気配だ。

PHOTO/JJ TANABE

飛ばし屋の悲しい性(さが)

この写真の選手は誰だか、ご存知だろうか。オーストラリア出身のスコット・ヘンド。米ツアーで飛距離ランク1位を誇る飛ばし屋だ。ヘンドが米ツアー参戦を開始したのは昨年のこと。03年秋のQスクールを通過し、出場権を得たのだが、04年シーズンの成績は賞金ランク136位と振るわず、Qスクールへ逆戻り。しかし再び出場権を獲得し、今季、2年目のツアー生活を送っている。
スコット・ヘンド.jpg 
そのヘンドが一番気にしていることは何か。そう尋ねると、彼は必ず「シード権を獲得することだ」と答える。しかし、周囲の選手たちに尋ねると、「いいや、スコットの一番の懸案事項は、自分が飛距離ランク1位の座を守れるかどうかだよ」と口を揃える。

確かに、ヘンドのドライビングディスタンスは軽く300ヤードを超える絶大なる飛距離だ。統計によれば、現在の彼の平均飛距離は319.9ヤードで、ランク1位。あのジョン・デーリーもタイガー・ウッズも舌を巻くパワフルドライビングなのだ。そりゃ、文句なしに凄い!だが、データをよくよく眺めてみると、彼のドライビングアキュラシー(フェアウエイキープ率)は45.4%と低く、ランキングは202位まで落ちてしまう。「飛ぶけど曲がり放題」のドライバーショットが、彼の成績を殺していることは間違いない。

それなのに、彼はドライバーを振り続ける。ドライビングディスタンスは、通常、フロント9とバック9のパー5合計4ホールで計測されるのだが、パー5がドッグレッグなどでドライバーを打つ選手が少ない状況だと、比較的距離が長くまっすぐめのパー4が使用される場合もある。いずれにせよ、選手たちは、必要であれば計測ホールでもフェアウエイウッドやロングアイアンで刻む。飛距離ランクをアップすることより、そのホールでいいスコアを得ることのほうが大切だからである。

だが、ヘンドは違う。計測ホールでは必ずドライバーを振り回す。そして曲げ、ボギーやダブルボギーを叩き、順位を下げる。それでも彼がドライバーを振るわけは、やっぱりドラコン王の座を他の誰かに奪われたくないからなのだろう。

シーズン終盤を迎えた今、ヘンドと言葉を交わした。「相変わらず飛ばしているのね」と言うと、ヘンドは「まあね。でも、今の僕は飛ばすことより正確性を追求しなきゃいけないって、わかっているんだ。なんせ僕は、飛ばしは1位でも賞金ランクは165位の男だからね」

来季のシード権を獲得するためには、賞金ランクで125位以内に入らなければならない。残された試合は、あと3つ。そのうち、ヘンドが出場できるのは今週を含めた2試合しかない。両方の試合でかなり上位に入らない限り、彼は今年もまたQスクール行きだ。今は神にもすがる思いなのだろう。

そういえば、去年の今頃もヘンドと話した。彼は、なんとかしてシード権を獲得したいという思いをヘッドカバーに託していた。すばしっこく枝と枝の隙間に入り込むリスのように、シード選手の残り枠に食い込みたいと考えた彼は、可愛らしいリスのヘッドカバーを飛ばしの武器にかぶせていた。

今年も何か願掛けをしているのだろうかとゴルフバッグを覗いてみたら、ドライバーではなくパターにラスベガスのカジノのロゴマークがデザインされたカバーがかかっているではないか。「これって何の意味があるの?」「見ての通り、ギャンブルだよ。オレ、ギャンブル大好きなんだ」

なるほど。ギャンブル好きのヘンドのゴルフもまたギャンブルゴルフ。だから彼は、一か八かでドライバーを振り回し、うまく真っ直ぐ飛べば、次なるショットはショートアイアンかウエッジでちょこんと寄せるだけ。しかし、ドライバーで失敗すれば、次なるショットはブッシュの中から、あるいは砂の中から。そんなギャンブルゴルフを繰り返しているヘンドは、やっぱり今年もQスクール行きになりそうな気配だ。

PHOTO/JJ TANABE

2005年10月11日

放っておけない人

米ツアーはシーズン終盤戦。この時期になると、気になるのはシード権争いだ。ボーダーラインの賞金ランク125位近辺でさまよっている選手たちは、まさに1ドル単位でしのぎを削る思いだが、私が個人的に放っておけない選手は2人いる。1人は日本の田中秀道。そしてもう1人は、ケビン・スタドラーだ。米ツアー参戦4年目の田中は現在167位と苦戦しており、ケビンも田中とほぼ同じ163位にいる。

ケビンは、その名でおわかりの通り、あのクレッグ・スタドラーの息子だ。父親クレッグはマスターズ1勝を含む米ツアー13勝のメジャーチャンプ。だが、あのぼってり太った体型、ズボンに一生懸命しまってもしまっても出てくるシャツの裾、ヒゲの合間から覗かせるかわいい笑顔。そんな風貌はツワモノとは思えぬ愛らしさだ。ニックネームはセイウチ。数年前、その父親と息子がファザー&サン(父子)トーナメントに出ていたとき、2人揃ってティグラウンドに立つ様は、まさに2頭のセイウチのショータイムそのものだったことを昨日のことのように覚えている。

2年前、シニア入りした父クレッグが、若者に混じって米ツアーに出場し、史上5番目の長老優勝を達成した。あれは自分が出れば息子もスポンサー推薦で出られると知り、「それならば」と出場して優勝してしまったという珍事だった。「優勝する予定はなかったけど勝っちゃった。オレには計画性ってものがないからなあ」

あのころは父親同伴でやっと試合に出ることができた息子ケビン。だが、昨年、二軍のネイションワイドツアーで賞金ランク13位になり、今年の米ツアー出場権を自力で獲得した。ネイション2勝ゆえ、底力はある。しかし、米ツアーでは、なかなか好成績が出せずにいる。それでも、あの大人気のセイウチの息子ということで、ギャラリーからの人気はやっぱり高く、「お父さんにそっくりだねえ!」と声援が飛ぶ。すると、ケビンは、「そんな不思議なことを言われたのは初めてだ」なんてジョークで返す。体型のみならず、ユーモラスな一面も父親譲りのようだ。

ケビン・スタドラー1.jpg
ケビン・スタドラー2.jpg
ケビン・スタドラー3.jpg
人気は上々。いつも話題の的。あとは成績だけなのだが、、、。
PHOTO/JJ TANABE

いつだったか、父親クレッグがこう言っていた。「オレは計画性がないけど、物事はすべて成り行きだから、計画性はなくてもいいのさ」。しかし、この表現は、クレッグの照れ隠しだ。ただ指をくわえて無計画に待っていたらメジャータイトルが転がり込んだはずはないのだから。そんな父親の背中を、息子ケビンはちゃんと見ながら育ったのだろう。「今年はずっと苦戦しているけど、僕はじっくりがんばります。今年、シード権が取れなかったら、またネイションワイドに戻って一から出直し、何度でも挑戦します」。

多くは望まず。地道な努力は欠かさず。セイウチ親子の流儀だ。

舩越園子

放っておけない人

米ツアーはシーズン終盤戦。この時期になると、気になるのはシード権争いだ。ボーダーラインの賞金ランク125位近辺でさまよっている選手たちは、まさに1ドル単位でしのぎを削る思いだが、私が個人的に放っておけない選手は2人いる。1人は日本の田中秀道。そしてもう1人は、ケビン・スタドラーだ。米ツアー参戦4年目の田中は現在167位と苦戦しており、ケビンも田中とほぼ同じ163位にいる。

ケビンは、その名でおわかりの通り、あのクレッグ・スタドラーの息子だ。父親クレッグはマスターズ1勝を含む米ツアー13勝のメジャーチャンプ。だが、あのぼってり太った体型、ズボンに一生懸命しまってもしまっても出てくるシャツの裾、ヒゲの合間から覗かせるかわいい笑顔。そんな風貌はツワモノとは思えぬ愛らしさだ。ニックネームはセイウチ。数年前、その父親と息子がファザー&サン(父子)トーナメントに出ていたとき、2人揃ってティグラウンドに立つ様は、まさに2頭のセイウチのショータイムそのものだったことを昨日のことのように覚えている。

2年前、シニア入りした父クレッグが、若者に混じって米ツアーに出場し、史上5番目の長老優勝を達成した。あれは自分が出れば息子もスポンサー推薦で出られると知り、「それならば」と出場して優勝してしまったという珍事だった。「優勝する予定はなかったけど勝っちゃった。オレには計画性ってものがないからなあ」

あのころは父親同伴でやっと試合に出ることができた息子ケビン。だが、昨年、二軍のネイションワイドツアーで賞金ランク13位になり、今年の米ツアー出場権を自力で獲得した。ネイション2勝ゆえ、底力はある。しかし、米ツアーでは、なかなか好成績が出せずにいる。それでも、あの大人気のセイウチの息子ということで、ギャラリーからの人気はやっぱり高く、「お父さんにそっくりだねえ!」と声援が飛ぶ。すると、ケビンは、「そんな不思議なことを言われたのは初めてだ」なんてジョークで返す。体型のみならず、ユーモラスな一面も父親譲りのようだ。

ケビン・スタドラー1.jpg
ケビン・スタドラー2.jpg
ケビン・スタドラー3.jpg
人気は上々。いつも話題の的。あとは成績だけなのだが、、、。
PHOTO/JJ TANABE

いつだったか、父親クレッグがこう言っていた。「オレは計画性がないけど、物事はすべて成り行きだから、計画性はなくてもいいのさ」。しかし、この表現は、クレッグの照れ隠しだ。ただ指をくわえて無計画に待っていたらメジャータイトルが転がり込んだはずはないのだから。そんな父親の背中を、息子ケビンはちゃんと見ながら育ったのだろう。「今年はずっと苦戦しているけど、僕はじっくりがんばります。今年、シード権が取れなかったら、またネイションワイドに戻って一から出直し、何度でも挑戦します」。

多くは望まず。地道な努力は欠かさず。セイウチ親子の流儀だ。

舩越園子

放っておけない人

米ツアーはシーズン終盤戦。この時期になると、気になるのはシード権争いだ。ボーダーラインの賞金ランク125位近辺でさまよっている選手たちは、まさに1ドル単位でしのぎを削る思いだが、私が個人的に放っておけない選手は2人いる。1人は日本の田中秀道。そしてもう1人は、ケビン・スタドラーだ。米ツアー参戦4年目の田中は現在167位と苦戦しており、ケビンも田中とほぼ同じ163位にいる。

ケビンは、その名でおわかりの通り、あのクレッグ・スタドラーの息子だ。父親クレッグはマスターズ1勝を含む米ツアー13勝のメジャーチャンプ。だが、あのぼってり太った体型、ズボンに一生懸命しまってもしまっても出てくるシャツの裾、ヒゲの合間から覗かせるかわいい笑顔。そんな風貌はツワモノとは思えぬ愛らしさだ。ニックネームはセイウチ。数年前、その父親と息子がファザー&サン(父子)トーナメントに出ていたとき、2人揃ってティグラウンドに立つ様は、まさに2頭のセイウチのショータイムそのものだったことを昨日のことのように覚えている。

2年前、シニア入りした父クレッグが、若者に混じって米ツアーに出場し、史上5番目の長老優勝を達成した。あれは自分が出れば息子もスポンサー推薦で出られると知り、「それならば」と出場して優勝してしまったという珍事だった。「優勝する予定はなかったけど勝っちゃった。オレには計画性ってものがないからなあ」

あのころは父親同伴でやっと試合に出ることができた息子ケビン。だが、昨年、二軍のネイションワイドツアーで賞金ランク13位になり、今年の米ツアー出場権を自力で獲得した。ネイション2勝ゆえ、底力はある。しかし、米ツアーでは、なかなか好成績が出せずにいる。それでも、あの大人気のセイウチの息子ということで、ギャラリーからの人気はやっぱり高く、「お父さんにそっくりだねえ!」と声援が飛ぶ。すると、ケビンは、「そんな不思議なことを言われたのは初めてだ」なんてジョークで返す。体型のみならず、ユーモラスな一面も父親譲りのようだ。

ケビン・スタドラー1.jpg
ケビン・スタドラー2.jpg
ケビン・スタドラー3.jpg
人気は上々。いつも話題の的。あとは成績だけなのだが、、、。
PHOTO/JJ TANABE

いつだったか、父親クレッグがこう言っていた。「オレは計画性がないけど、物事はすべて成り行きだから、計画性はなくてもいいのさ」。しかし、この表現は、クレッグの照れ隠しだ。ただ指をくわえて無計画に待っていたらメジャータイトルが転がり込んだはずはないのだから。そんな父親の背中を、息子ケビンはちゃんと見ながら育ったのだろう。「今年はずっと苦戦しているけど、僕はじっくりがんばります。今年、シード権が取れなかったら、またネイションワイドに戻って一から出直し、何度でも挑戦します」。

多くは望まず。地道な努力は欠かさず。セイウチ親子の流儀だ。

舩越園子

プロフィール

CALENDAR
2009年09月
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      
CATEGORY
ARCHIVES
RESENT ENTRYS
RESENT COMMENTS
QR

QR

SEARCH