ホーム > Web Magazine TOP > Life-style > インフルエンザ予防に効果を発揮する緑茶カテキン

日常生活の中で、緑茶はいつも身近にある飲み物。特に、真冬にコタツでみかんと緑茶、それはどこか懐かしい日本人の原風景のようなもの。ペットボトルの登場で、ゴルフのときも常に緑茶を口にしているゴルファーの方も多いことだろう。
日本では、鎌倉時代に茶の専門書『喫茶養生記』が書かれていて、茶は心臓を強くし、眠気を少なくし、利尿効果を持ち、疲労を除くなど、その効果が記されているほど、古来より、緑茶は体にいいと広く知られるところでもある。
そんな緑茶成分の代表格が「カテキン」。体脂肪低下効果や悪玉コレステロール低下作用などとともに、最近注目されているのは、抗菌・抗ウイルス作用。新型インフルエンザの登場で、しっかり予防を心がけたい昨今、緑茶カテキンがインフルエンザの感染を阻害する効果が明らかにされてきて、大きな注目が集まっているのだ。
緑茶カテキンがなぜインフルエンザの感染を阻害する効果があるのか。それは、インフルエンザウイルスがどのように人に感染するかというメカニズムと関係がある。
インフルエンザウイルスには、細胞に取り付くジョイント部があり、細胞に取り付いたところから感染症状を引き起こす。予防接種などのワクチンでつくられる抗体は、インフルエンザウイルスが体内に入ってきても、感染しにくくしたり、感染したとしても重症化しにくくする働きがある。ただしその場合は、主なインフルエンザウイルスの型であるA型ウイルス、B型ウイルスのそれぞれどちらかにしか対応できない。ところが、緑茶に含まれるカテキンは、インフルエンザウイルスの型に関係なくウイルスに吸着し、ジョイント部を塞いでしまうことで、感染を阻害するのだ。
緑茶カテキンに関する研究を行っている静岡県立大学薬学部・山田浩教授も、「緑茶カテキンの作用はインフルエンザウイルスに吸着して、体内に入る前に感染を防ぐことですが、カテキンの特徴は、ウイルスの型に関わらず吸着できることにあります。このことから、緑茶カテキンは新型インフルエンザにも吸着し、予防できる効果があると考えられます」と語る。
静岡県立大学薬学部の鈴木隆教授と伊藤園中央研究所との共同研究では、緑茶カテキンの一種「エピガロカテキンガレート」が、新型インフルエンザの原因となるブタ由来ウイルスを含めた3種の型のウイルスに対して感染阻害作用を示し、型に関係なくウイルス感染予防に有効であることを、細胞実験で確認した。
実験では、新型インフルエンザウイルスを実験用の細胞で培養し、緑茶から抽出したエピガロカテキンガレートを混合したところ、急須で入れた一般的な緑茶のカテキン濃度の1000分の1程度で、ウイルス感染細胞が半分に抑制されたという。
インフルエンザウイルスは感染力が強く、また容易に変化することから、毎年流行を繰り返す。しかし、この結果により、緑茶カテキンはインフルエンザの型に関係なく予防に有効である可能性が示された。
そこで大いに推奨されているのが、緑茶でのうがい。先の山田教授が2005年に行った研究によって、緑茶カテキンでのうがいがインフルエンザ予防に期待できるという結果が得られたことで、近年注目されている。
この研究では、特別養護老人ホームの入所者76人には緑茶カテキンでのうがいを1日3回、3カ月間行ってもらい、48人には水でうがいを行ってもらったところ、インフルエンザ発症者がそれぞれ1.3%、10%と、両者に有意差が認められたというもの。その後この老人ホームでは、緑茶カテキンでのうがいが継続して行われ、2005年には6名だったインフルエンザ発症者が、06年と07年には0名、08年には1名と、大きく低下したという。
山田教授によると、「今回はうがいで検討を行いましたが、緑茶の飲用でも効果は十分に期待できます。一度にたくさん飲むのではなく、緑茶のペットボトルを持ち歩いて、外でもこまめに飲むとインフルエンザ予防に効果的だと考えられます」と言う。特に、インフルエンザウイルスが体内に入り、細胞に取り付くのは30分以内と言われており、こまめに緑茶カテキンでのどを潤すことが重要なのだという。
うがいがなかなかできない場所でも、緑茶でのどを潤すのであれば比較的簡単にできるはず。この冬は、特に緑茶が手放せなくなりそうだ。
静岡県立大学薬学部医薬品情報解析学分野教授
医学博士・山田浩(やまだ・ひろし)氏
専門は、臨床薬理学、神経内科学、内科学。現在、茶カテキンを始めとした健康食品の有効性と安全性評価に関する研究に従事。